鈴音御使

はるか東には果て無き大海。
はるか西には深き密林。
はるか北には頂の見えぬ天嶮の山脈。
はるか南にはこの世の果てまで続く砂漠があるという。
曰く、北の頂には神が住まい、南の果てには魔が巣食う。

老人は語る。
『災いはいつも南からやってくる。
幸いはいつも北からやってくる。
合図はどちらも鈴の音だ』

童は唄に歌う。
『南の鈴には背を向けろ。耳をふさいで振り向くな。災い連れてやってくる。
鈴を鳴らしてやってくる。北の鈴には顔をあげろ。こちらに鳴らせと呼びよせろ。
福を運びにやってくる。鈴を鳴らしてやってくる。』

だから、ある者は彼らをこう呼ぶ。あれは『南鈴』だ。
だから、ある者は彼らをこう呼ぶ。あれは『北鈴』だ。
彼らは災いと福を運ぶ。彼らは魔となり神となる。そんな者たちがいるという。
悪人に禍を、善人に幸をもたらす、鈴の音の使い―――『鈴音御使』。
この大陸には、そんな者たちがいるという。

初出:05/05/29  再録:09/01/02
*この作品は2005年5月29日COMIC CITY 大阪54にて発表したものです。
              

新初:09/01/13  最終:09/04/27
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