第3回八幡町臨時議会 (2003年7月11日)
郡上郡町村合併議決のための臨時議会での川上朝史議員の反対討論 2003.7.11
(赤い字の大見出し・緑の文字の小見出しは、読みやすいように後から付け加えました)
細川孝弥議長:それでは議案71号から議案75号までの討論を行います。
一括して行いますのでよろしくお願いいたします。
議案71号から議案75号までの反対の討論を行います。
反対の諸君の発言を求めます。
川上朝史議員:はい、2番川上朝史です。
細川孝弥議長:2番、川上朝史君。討論は壇上でやって頂いても結構です。
川上朝史議員:(登壇)
日本共産党の川上朝史です。郡上郡の七か町村を廃止して合併をし、一つの「郡上市」
を設置するという議案第71号他の5議案について、これに反対し討論を行います。
第一の反対理由
合併の本質=国の財政赤字の地方への押し付け
私達日本共産党は、市町村合併の全てに反対するという立場は取っておりませんが、
今回郡上郡で進められている町村合併をはじめ、全国的に進められてきております市町
村合併を、「国の事情による押し付けの性格の極めて強い合併である」と見定め、これ
には反対いたすものです。国の事情というのは、「建設事業中心の大型公共事業」を
はじめとして将来の世代の負担を全く考えないままに無責任な政治を繰り返したあげく
に出来た「財政赤字」の“付け”、これを地方自治体に押し付けたい、というもので
あります。
住民は戸惑いの中の合併
地方自治は「それぞれの自治体のことは、そこに住む住民の意思に基づいて決める」
ということが土台であります。「合併する」か「合併しない」かは、それぞれの市町村に
暮らす人たちがよく話し合って決めていくことが一番大切なことであります。
こうした点を考えるとき、今回の郡上郡の合併は八幡町の町民の皆さんや郡上郡の
郡民の皆さんの意思に基づいたものでなく、国や県のいうことを十分な検討をすること
も無いままに受け入れ、住民の意思を尊重するという一番大切な問題をないがしろに
して、「住民は戸惑いの中」で進められてきた町村合併であります。
当局も合併は考えていなかった
郡上郡の七カ町村を「合併せよ」「合併すべき」という声が、八幡町の町民や郡上郡
の郡民のどこにあったというのでしょうか。決して「郡上郡を一つに合併せよ」「八幡町
を、明宝村を、高鷲村を廃止せよ」という住民サイドから声があったわけではありませ
ん。それが証拠には、八幡町をはじめ他の町村の各自治体においては、過去において
合併のための「町づくり」や「村づくり」を行ってきてはおりません。当局自身も合併する
意思は全く無かったということであります。その当局が最近になって、具体的には平成
12年の12月に郡上郡の町村長が立ち上げた「町村合併問題研究会」以降、郡上郡の
合併が急速に進められてきたわけであります。(わずか2年7ヶ月前のことです)
合併すれば豊かになれるか?
そしてその合併推進という動きの中で「合併しないと地域間競争に生き残れない」
「合併すれば自治体財政が大きく豊かになる」「合併して行政基盤を拡大しないと高齢化
社会は乗り切れない」等々の合併必要論が振りまかれ、世論誘導が強引に行われて
きました。しかし、郡上郡が一つに合併すれば「地域間競争に生き残れる」「財政が
豊かになる」「高齢化社会を乗り切れる」というような住民の皆さんが納得できる説明は
全くなされておりません。
財政危機を作る合併特例債
付け加えてもう一つの財政特例措置の「合併特例債」、有利な借金が出来るという
触れ込みの特例債は、将来に大きな財政負担を求めるもので「無責任で危険な特例債」
であることも、この際はっきりと指摘しておきます。九十年代の地方自治体の財政危機
を作ったと同じ手法であり、今度は起債比率を95%まで引き上げたものであります。
この郡上郡の合併は、国の事情により「まやかしの特例措置」をあめ玉にした押し付け
合併であり、これに迎合した無責任な町村合併であるというのが、私たち共産党議員団
がこの議案に反対する第一点の理由であります。
第二の反対理由
住民の意向を尊重せず合併に走る
郡上郡の合併に反対する理由の第二点は、住民の意向を全く尊重せず無視して行われ
るという問題であります。私達共産党議員団は、この合併論議が始まる当初から住民の
意向を確かめ尊重することを求めてきました。「最終的には合併に賛成か反対かの是非を
問う住民投票を行うこと」これを強く求めてきました。もちろんそれには合併した場合、
しない場合の財政的なシミュレーションをはじめ、住民にわかりやすい“判断材料と
なる資料を提供する”のが前提であります。財政シミュレーションは最後まで出ません
でしたし、「協議内容のうち重要なものは合併後に決める」というもので判断材料の
引き伸ばしが行われ、行政や議員ばかりの出席が目立つ形だけの説明会に終始しました。
このように、住民の意向を尊重するという大事な問題は軽視されました。
住民のアンケート結果は合併賛成は少数
昨年、私達共産党は二回にわたって八幡町で合併に関するアンケートを実施しました。
この二つのアンケート結果を見る限りにおいては、合併賛成の回答は全く少数でした。
隣の明宝村では村当局自身が、これも、昨年においてアンケートを実施しております。
このアンケート結果を見ても、合併賛成の回答は、合併反対の回答を下回っていました。
こうしたアンケート結果をみる限り、住民の皆さんの意向は合併に賛成と読み取ること
が出来ません。
最終的には住民投票実施を
合併の推進を図った当局や議会関係者は、「郡上郡の町村合併については、住民の皆
さんの理解と納得を得ている。」と自負されているようですが、そうであるならば最終
的には合併の「是非」を問う住民投票を実施すべきと考えます。それが民主主義のルール
と考えます。しかし、この住民投票を実施しないということは、町村合併に対して「住
民の皆さんの理解と納得を得た」という点に自信が持てていない証拠であると考えます。
自信があったら正々堂々と住民投票を行うべきであり、それを拒否したことは郡上郡民
の意向を無視したことであり、この郡上郡の合併には賛成しかねるものであります。
第三の反対理由
合併は行政サービスを大きく後退させる
三つ目は、町村合併は行政サービスを「大きく後退させる」という問題であります。
郡上郡は1030キロ平方米という広大な面積を有しております。「郡上郡の面積に
匹敵する都市は、探したが北海道にしか見当らない」と郡上郡合併問題調査報告書は
述べています。このような広い面積の郡上郡が一つの自治体となったら「行政の目が
住民に届かない」「住民の声が行政に届きにくくなる」という問題は深刻であります。
広すぎて行政サービスが大きく後退する心配があります。
特例が終れば総合支所方式は維持できない
当面、総合支所方式で現行の各町村役場が支所として行政サービスを提供するとなっ
ているものの、地方交付税の特例措置が切れてくる時点においてはこれを大きく見直し、
大事な行政サービスが切り捨てられていくことは目に見えております。地方交付税の
特例措置が無くなる時点においては、財政的にも総合支所方式による行政サービスは
維持できないことは、現時点においても明らかであると考えるものであります。役場
職員を大幅に削減し行政サービスを切り捨てざるを得ない状況が、それこそ避けて通れ
ません。郡上郡においては高齢化が進み、今まで以上の福祉を始めとする各種の行政サ
ービスの向上の必要性が高まってきています。こうした時点における、この行政サービ
スの後退はあってはならないという考えです。町長は「行政の最大の仕事は住民福祉の
向上を図ることである」と先の議会で服部政子議員に答弁されましたが、広大な面積を
有する郡上郡の合併によって、行政サービスの後退は必然であり、従ってこれを認める
ことは出来ないということであります。郡上郡の合併問題には他にたくさんの問題点が
ありますが、最後に四つ目の反対理由を申し添えておきます。
問題点はまだまだ言い尽くせないほどありますが、以上をもって議案71号
から議案75号の5議案は全て私達の住む郡上郡の地方自治を根本から崩しか
ねないものと考え反対致します。
服部政子議員反対討論 金子智孝議員の賛成討論 朝史の日記へ
※ 合併した場合の消防費の交付額試算(郡上へ年に3億円以上が来なくなる)。
(試算者:川上朝史)