赤まるち


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・最初はモーターだったのに」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「気付いたら核融合エンジンになってた」

「ずいぶん飛んだわね・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・自分でも持て余しそうなんだ」

「そう?楽しそうじゃない・・・・・・・・・・・・・・・」

ぎわんっ!!!!!
たわむ空間、今までのずいぶんと泥臭い描写とはうってかわって
一気にSFちっくな事が起きる、なんだか知らないが33マルチから
風が起きて綾香の髪をざわざわと流している、別段下がるわけでもなく
綾香は直立不動、しかし目は、今までのどれよりも鋭い

「綾香お嬢様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「セリオ?・・・・・・サポートお願い、こればっかりは私が出る」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お聞きできません、お嬢様、っ!!」

っ!、とセリオが先に出た、綾香が何事か静止する言葉をかけたが
聞こえていない、全力のセリオが33に衝突する

きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!!!!

ものすごい高い音が轟く、凄まじい周波数で空気が振れ
窓ガラスが耐えられずにバリバリと割れていく、マイクのハウリングより酷い(当たり前)
セリオが初めて武器を使った、エモノは布団叩き、そうセリオの最も得意とする家事は
洗濯及び布団を干す事なのだ、余談になるがその性能は烈しく
一日に1t程度の洗濯物量なら余裕を持って全て行う事ができる
その中でも秀逸なのが、濯ぎ、セリオの濯ぎは布地を痛めずなおかつ
洗剤の一粒までも残さずに洗い流すという素晴らしい芸当、もはや芸術の域らしい
と、そして晴れた日には最も良い角度を衛星からのデータを使い計算し
その日一番陽が当たる場所へ当たる角度に洗濯物を干す事が出来る、当然
布団を干す時も究極だ、セリオが干した布団はダニの子一匹残っておらず全て叩き落とされており
あまりの日当たりの良さから布団のかさが二倍に膨れるらしい
凄いぜセリオさん、と余談終了

ずがっ!!!がきっ!!!!

布団叩きをモップで受ける33、セリオが軽やかに舞う
優雅で滑らかに宙を泳ぐようにして33の周りを予測出来ない軌道で絡む
それを迎撃するため、モップが大きく奮われ砂塵が起きる
しかし、それをもかわし、ゆるやかに死角を突くと布団叩きが唸りをあげる

ずががががっ!!!!!!!!

「くあ・・・・・・・・・・・・・」

「まだ」

吹っ飛ぶ33、それを追うセリオ追いついた所でもう一度振り上げる
が、笑う33が左腕のスタンガンを発動させる、ばちっと高電圧が
空気を伝い周りを包む、ちぃと舌打ちしセリオが離れる
と、離れたセリオの背後から赤線!!!!

「せ、セリオっ!!!」

ずびむっ!!!
レーザー兵器だ、背中を捕らえた貫通はしない
そこまで強力でないのかセリオが強いのかはわからない
グラリと体勢を崩す、冷静な表情だが大きな焦りが見える
すぐに立て直すと前を向いた刹那

ひんひんひんひんひんひんっ
・・・・・・・ずばばばばばばばばばばっっ!!!!

雨霰の赤線がセリオを包む、あらゆる角度から光線が放射される
集中砲火を浴びるセリオ、気付かないうちに周りを、33の小型遠隔操作型の武器に
包囲されたらしい、分かり易く・・・・いや、具体例を上げるとファンネルやビットと言った武器だ
攪乱しながらの放射が容赦なくセリオを包む

きゅぅぅぅぅぅううううううううううう

集束音、にわかに砂煙が晴れると中心にセリオを持ったやや赤みがかった
四角い物体が現れた、セリオのバリアだ四方とその天を防御障壁で包み
レーザーを遮断している、跳ね返すタイプではなくそれを吸収するタイプらしく
音もなく赤線は吸われて消える、吸ってエネルギーが肥大する壁
セリオが頃合いを見計らってそれを四散させた、エネルギー体がその武器を
一つ残らずたたき落とした、余談だがこのバリアは、本来蚊帳の役割を担い、これで夏の夜も(以下削除)

「流石、来栖川で一番だね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・メイドです、私は」

言うとまた布団叩きを振りかざして突進を試みる
今度は落ち着いた物、33型が不敵に笑いながら見切ったと
身体で示す、踏み込みながらもセリオの布団叩きが当たらない
間合いを完全に把握した芸当で一気に優勢を手に入れる

「悪いなっ、ハードの整備状態は我流だが、フェラーリのピットチームよりは上なんだよっ」

赤い髪が荒馬と吠える、躍るように身体を躍動させ
振りかぶったモップがぎゅわっと大きく湾曲して、反動をつけて伸びるっ!

ずしゃっ!!!!ずばばばばばばっっ!!!

「さぁああああああああああっっっっっ!!!!!!!」

閃光が走る、まずは横一閃、ついで休む間も事なく袈裟に落ちて
垂直に昇り上がり、天上から稲妻が落ちる、かけ声が落雷轟音さながら
綾香の足技が光りを放った、セリオの技の奥付になる

「いきなり出てくるかなっ!」

「せいあああああっっ!!!!」

迅い、人間に見切れるスピードではない、そして鋭い
まさに斬りつけるような蹴り、凄まじい切れ味で33型を縦横無尽に襲う
真上、真逆さ、袈裟、逆袈裟、左右一文字あらゆる方向から刃と化した蹴り足が
旋を巻いて繰り出される、綾香の本領だ
真横に薙いだ蹴り足が深く地を這うように沈み込み、水面蹴りを放つ
それをわずかの隙で33型は小ジャンプでかわし、そのまま前へ膝から出る
綾香の美しい顔に33型の膝が

ぶわっ!!!!

「っんもぅっ!!!」

今度はセリオが出てきた、レッグラリアートで前へ出る33型の首を刈る
捕らえたかと思うが浅く、すぐさま外されてその場で回転するセリオ
蹴り足をやや下ろしてから、ローリングソバットに変えて大きな一撃
大技過ぎて見切られるが、その隙を埋めるため、綾香が出る
沈み込んでいた状態から、両脚を大きく開きそれを腰で回転させながら
逆立ちで昇る、カポエラかなにかの技なのだろう、二人が知恵の輪のように
複雑怪奇に交わりながらともかく、33型の身体を狙う

「・・・・・・・・・・・・・・流石に・・・・っっ!!!!」

面白くなさそうな瞳を見せたかと思うと、間合いを半歩外し両腕を地面に打ちつけた
派手に吹き上がる砂煙、どうも触れた腕で高電圧の例の奴を暴発させたようだ
視界がふさがり、後退するだけの時間をゆうに稼ぐと
バックジャンプ、回転して表を向き直ると、肩からミサイルのポッドが出てくる

「核じゃないから、安心だよっ!!!!」

放たれる火弾、両肩から二門ずつの砲門から計4本、ミサイルと言うが
グレネードランチャーの弾丸程度、軌道をやや斜めうち下ろしにして
鋭角に突き刺さる、砂煙を吹き飛ばす爆炎、煌々と赤く染まるその場
しかし、赤の色味が炎ではなく、ビーム兵器独特のそれだ、防御障壁の角が見えると
セリオが吶喊(とっかん)を繰る、目の前に分厚い光学兵器の壁

それに対して33型は真正面から受ける体勢を取った
腕を大きく突きだし、そこに電気を溜める、雷撃を放つつもりだ
ばりばりと烈しい音で空気を張り割きながら電圧をいっぱいに高める
が、ここで急速にそれがしぼむ

「うわっ!・・・・・・・・・・そういうのあるの?!」

セリオが電気を散らす特殊兵器(実際は主人の静電気を除ける物)を使い
空気中の伝導率を変化させよくわからないが、ともかく電気を散らす
消える雷撃、そしてセリオが壁を取り払い、手刀を突き出す
やや狼狽えたものの心得た動きで33型はそれを、逆手に取り、関節を極めに・・・・

「おとりっ!?」

33型の目の前でセリオがしゃがみ込むとその後ろに黒い髪の女・・・・・綾香が
鷲の如く飛び込む、33型の頭・・・・両耳の例のモノを掴み
大きく逆立ちをするように下半身を持ち上げて、重力に任せて膝を撃つ
激しい打突が33型の顔面を捕らえた、ぐらりと後ろへ体重がかかると
綾香が頭を土台にして、33型の真後ろへ下りる
そして、33型の両脇に腕を差し入れて、高々と掲げ上げる

「セリオ、いくよっ!!!」

かけ声とともに、背中越しに抱え上げた33型を真っ逆様に自分の
前へと頭から落とす、そう、上空高々とそびえる山より、急転直下のフリーフォール
強力無比、スプラッシュマウンテン!!!!
天上落下の33型、そこに全体重をかける綾香、さらに

みしっ!

逆落としになる33型の上にセリオが体重を載せる、ツープラトン攻撃
相手が人間ならそのまま二度とこちらの世界に帰ってくる事はないだろう
どごむっと、派手な音で投げが決まると同時、体重を載せていたセリオが
そのまま両脚を極めて反り返る、レッグロッククラッチホールド、もう素人にはナニもわからない
フォールをとれるその姿にして、綾香がトドメ・・・・・いや、電源を潰しにかかる

しかし

「!?・・・・・・・くそっ、終われないの?」

綾香がすぐに下がる、セリオもロックを解いた
強烈な高熱を発する33型、地面から水蒸気があがると、どうやって
探し当てたのか地下水脈を刺激し地面を揺さぶった
その天変地異じみた効果で、危険を難なく回避、もう、ナニと戦ってるのかもわからない(−−;
それで綾香とセリオが弛まず、次の攻撃に向かう

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「おや・・・・・・・・・お姉さんのおでましだよ、綾香さん」

「!?・・・・・ね、姉さん!?・・・だ、駄目だって今は!」

叫ぶが遅い、楽しそうに笑った33型がどうやったのか
セリオと綾香をすり抜けて前方、芹香までナニもない位置に自分を置いた
そして溜めもなく雷撃が轟く

ずがががががっががっっ!!!!!

駈ける稲光、走るイカヅチ
竜のようにうねりながら、芹香に向かって黄金色の兇獣が襲いかかる

ずぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっっ!!!!

「うぎあああああああああああああああっっっ!!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

権助の叫び声がこだました
身を挺して芹香を守ったのだ、話しは前後する
綾香が、極めにかかるその時に
やや陰となった所でマルチと二人で眺めていた権助

「・・・・・・・・・・・・・あれは、勝てんぞ、マルチ・・・・」

「だろ?・・・・・・あんなのとこないだやったんだぞわたし・・・・・・」

と、ふいに権助が匂いで女の気配を感じる、近いっ
しかも上物の匂い、そう直感するとすぐその源を辿る
すぐに見つかった、正門のあたりに妙な黒い服を着て、マントをかむり
さらにとんがり帽子をつけてる、典型的な「魔女」ちっくな格好をした
かなりのべっぴんさんが居るではないか

「コスプレ美女?・・・・・・・俺は、そっちも大丈夫だ・・・・・・・って、あれは」

「?どした権助」

刹那、爆音

「い、いかんっっ!!!!!!」

「ご、権助っ!!!」

借りがある、ここに出してもらった借りがある
権助がその黒衣の美女の元へと飛ぶ、多分柏木の力だろう(いい加減な・・・)
怪我などもろともせずに、身を挺してその雷撃を防ぐ
そして、上記

「姉さんっ!!!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」
(音量大:綾香ちゃん、わたしは大丈夫、安心してね♪」

意外とお茶目だ芹香嬢、黒こげになる権助が
とりあえず守りきった事を確認してほっと一息
芹香がじっと権助を見つめる・・・・・見つめる・・・・・見つめる

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「?・・・・・・何語・・・・??」

複雑怪奇な言葉を紡ぎだした芹香、権助が全身の毛穴が開いてしまうような
ヤバイ感覚に襲われる、なぜだ、ナニか知らないが俺に対して良くない事を
今このお嬢さんはやってないだろうか?・・・・・・そして、自分の下半身に
何も衣服が無い事に気付くと同時、お嬢様の黒魔術が発動する

ああ・・・・・・また、怒ってらっしゃるんですね・・・・違うんですよお嬢さ・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・おもしろい?

つづいたー

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