赤まるち
「はぁ・・・・はぁ・・・・・く、くそ・・・・で、出口はどこだ・・・・」
権助が巨大迷子になっている
元々方向感覚が正しい方ではないので仕方無い事だが
現在臨戦態勢に入っているこの屋敷内、色々な道が隔壁で閉ざされ
来た時と大きくその様相を変えてしまっているのが最大の痛手だ
さっぱり道がわからない、しかもトラップが多い
何度殺されかけたかわからない、それでもふらふらと廊下を走る
・・・・・・・・あても無くだ
その頃、さきほどまで権助が居た・・・・・・・金之介と居た所
棒を支えのようにして立っている金之介、持病のある心臓が
どくんどくんとイヤな節を打っている、顔を蒼くして立ちすくむ
そこへ
「取り逃がしたか・・・・・・やはりな」
「?・・・・・・・・は、・・う・・」
訪れた人物に声をかけようとするがそれが出ない、重傷だ発作なのかもしれない
金之介がぐらりと身体を傾けると、つんのめるようにして這い蹲った
その横を冷たい視線を投げかけて通り過ぎる初老の男
来栖川家執事総長セバスチャン
「待ってくださ・・・・・・・・」
「ならぬ」
セバスの心中、決して金之介の事を見下しているというわけではない
ただ、男がそのような失態を主人に見せる事が
耐えられない苦痛であり、恥であると思っている男だ、それ故、今の金之介に
決して同情の声などかけない、元々気が合うタチでもないのだが
それを鼻にかけてこのような時に侮蔑を行うほど、この紳士は落ちぶれていない
そう、このセバスは、あのセバスとは違うのだよ(ぉぃ
「・・・・・・・・・・悪いけど、あなたを通すわけにはいかない」
「?・・・・・・・・言うか小僧」
金之介が落ち着きを取り戻したような風を見せて立ち上がる
くしゃっと髪をかきあげると、さらりとした黒い髪が美しく流れる
棒をまた手にとって構えた、さきほどと同じ
つまりは本気だ
「小僧・・・・・・儂を誰だか知っての事か?」
「当然ですよ、長瀬さん・・・・・あなたの名前は、僕が部隊に居た時に何度も聞きました」
きゅっ・・・・・靴の裏が床に摩擦を起こした音
まだ動いたわけではない、強烈な踏み込みで地面を
踏みしめただけだ
「彼なら・・・・と、考えてしまうんですよ・・・・・あんな兵器にはならないで居られると」
セバスが堂々とした構えをとった、右の拳を肩よりも高く持ち前へ
左の拳を脇をしめて腰のあたりに携え、そして両脚で力強く
地面を踏みしめる、どっしりと腰を落とし頑強な姿勢をとり
諭すように言う
「うぬは、分かっておらぬな・・・・・・・ならないで居られるのではなく、なるかもしれないのだ」
「・・・・・・・・・・・・あなたは正しい・・・・・でも」
「口答えは結構、儂がぬしを武人のまま葬り去ってやろう、元ロシア特殊部隊所属チョールナヤ・コート」
「退役したとはいえSASやシールズに劣っているとは思いません・・・・・いきます」
金之介が先に出る、かつて社会主義国家を崩壊へと誘ったアルハンゲリスクの黒い猫が!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やりすぎですか?
その頃戻って、権助
まだ走っている、どうにも仕掛けられた罠が、権助では引っかからないタイプ
いわゆる実用的な罠(ブービートラップやスパイクボール)のため難なくそれを
かわしていた、ある意味凄い事だが権助にとってはそんな事はどうでもいい
息が切れる、体中がさきほどの殴打による痛みでじんじんとする
心臓が高鳴る、そういえばヤり足りて無い、色々と体調不良を覚える
「くそ・・・・・だいたい、メイドが退避してて居ないのもイケナイ・・・・」
文句を垂れながら、途中で幸い・・・いや、残念な事に綾香や芹香の部屋を発見する事もなく
もくもくとどこかへと向かう、どれほどか走ったかわからない、しかしようやく
屋敷の一番外側へやってきたようだ・・・・壁に外が見える窓がある
「窓・・・・・・・・ここから出るか?」
外を覗く、四階だ、何時の間に地下から地上四階にまで上がってしまったのか
自覚が無いだけ怖いものがあるが、まぁ、迷路みたいなモノだしそういう事もあるだろう
しかし、飛び降りるには少々高い、躊躇する権助
「・・・・・・・昔、冒険野郎だった頃(注:下着ドロ)、三階から飛び降りたけど・・・・・死ぬ所だったしな」
ごくりと喉が鳴る音が大きく響く、とりあえず窓を開けてみる
びゅおおおぉぉと風が入り込んでくる、流石四階だ
人が飛び降りるには違う目的を達成する為のような気がしてくる
駄目だ、多分死ぬ・・・・・・直感が権助を突き抜ける
諦めてまた道を進もうとしたその目先
「あっ!!!!え、エロ本っ!!!」
無条件だ
がばっ!!!!!
当然のようにしてエロ本のあった所の床が左右に開く、
至福の笑顔を浮かべた権助が、窓からでなく床から四階下まで滑空する事となる
落ちながらも中身を確かめる権助・・・・・うおおお、和、和モノで無修正・・・・
こ、これわ・・・・・・どきどきと、数ページめくって面倒になったのか
一気に終わりから6P前を開く、権助曰くこの辺りからが裏本では最もナニらしい
うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ(大謎)
なにか猛る権助、血走る目、そして自由落下する身体
地面がいよいよというその時、廊下の遙か彼方にメイドを発見する、マルチ型のだ
「まうぁっ!!!!」
意味不明の叫び声で驚異的な体重移動、猫が飛び降りる時に身体を捻るのよりも
更に数段上の物理学的に最も落下衝撃を和らげる動きを見せると、着地と同時に
ミサイルのようにそちらにつっこむ、横から見てたら、直角の動きだ、もう人間ではない
ぶっ飛ぶ権助の後方には、ソニックウェーブが波打ち窓ガラスを破壊していく、つまり
マッハを超えている(−−;
「メイドォォォォォォォォォォォオオオオオオオオヲヲヲヲヲヲヲッッッ」
「!?」
地獄から響くようなうなり声と戦闘機が滑空するような炸裂音に
メイドが振り返る、同時くらいに権助が到着する
ファーストコンタクト・・・・いや、インパクトか?
どっちでもいい、権助がいよいよもって女体に触れるその瞬間
既に下半身を隠すモノはナニもない(早っ)!!
「なめとんのかぁっ!!!!」
どがっ!!!!!
「げあっ!!」
モップの柄が下からかち上げる、権助が凄い勢いでその場で回転
地面に墜落すると上からメイドが踏みつけた、当然横面をだ
「わわ・・・・・て・・・・てめ、メイドのくせに・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ごんすけ?」
「は?」
劇的な再会だわ(棒読み)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ずばっっっ!!!!
「小僧っ!!!!」
「負けないっ!!!!」
金之介の棒が数十本に見えるほどの残像を浮かべ連続の突きを見せる
それをまた、何十人に見えるほどの残像を残してかわしているセバス
どちらもとてつもない手練れだ、セバスが間合いから外れる
そして、おもむろに床に両腕・・・・両手を突き立てた
「??」
「喰らうがいいっ!!!!」
セバス、吠えると同時に突き立てた手でもって、床を引き剥がす(そんな馬鹿な)
来栖川家の床は総大理石バリのはずだから引き剥がすというのはどういう了見か!
ずごごごごごごごごごごっっっ
削岩機が破砕するような音とともに床が盛り上がり金之介の足下を奪う
金之介は慌てて壁づたいに走り天井へむかい、逆の壁へと移って大きく跳ね上がる
棒を振り上げ渾身の一撃を蓄える
「でああああああああああああああっ!!!」
「来たか小僧っ!!!」
セバスは待っていた、そして引き剥がしかけた床を畳くらいの大きさにし
それを投げつける、続いて引き剥がしてでこぼこになった地面に拳を突き立て
気合いを発する
どがっっ!!!!!
でこぼこになった地面が爆裂し、いくつもの岩片が金之介に向かって飛ぶ
それって、爆砕点穴じゃ・・・・・・と、なにはさておき凄まじい一撃が繰り出され
いよいよもって勝負が決す・・・・・
「そこまでっ、セバス下がりなさいっ!!!」
凛とした声、綾香
その影からさっと現れたセリオが、飛び散る岩弾を一つ残らずたたき落とす
同時に金之介をさっと抱きかかえて地面に降ろす
・・・・・・既に金之介の限界は超えていたのだ、ぐったりと意識も澱む
「お嬢様っ!・・・・・・・・外は・・・・・・まさか」
「事態が急転したので外へ出ます・・・・・・それよりも、姉さん見なかった?」
だいたいこの事を想定したいたかのように落ち着いた口振りの綾香
その台詞に慌ててセバスが、姉、芹香を探しに廊下を走って去る
「・・・・・・・あー・・・そうそう、これ響くわよ、年末の査定に」
「お、お嬢様・・・・・・・」
綾香がぐちゃぐちゃになった廊下を指さして冷たい口調で言う
泣きながらセバスが走っていった、金之介のよこで
その脈をはかり容態を確かめるセリオ、そこへ綾香が近づく
「どう?」
「・・・・・・・・・・・・・・おそらくは大丈夫でしょう」
「そう・・・・・・・・先生・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・綾香さん」
「いい、喋らないで・・・・・・・・・・・あのね、ちょっと違ってきちゃった」
「?」
「・・・・・・・あの赤・・・・・・・・・・・・髪が短いんですもの」
「それ・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・うん・・・・・・・先にD33が来た、だから私がやるね、ごめんなさい無理をさせてしまって」
綾香は言い捨て、顔を近づけてその愛しい唇を近づける、しかしそれを優しく指でなぞり
唇を合わせずにそっと離す、離れの際に耳たぶをちょっと噛んだ、・・・・・うらやましい(謎)
それを遂げると金之介がぐったりと沈んだ、どういった意味があるのかは分からないが
ただ、金之介が本当にしたかった事は、願わずして綾香が引き継ぐ事になったらしい
セリオが応急手当をした後に
無線なのかナニかで救護の連絡をとってから、静かに会釈をして去った
金之介は目をつむった
名前を呟いた、全てが抜け落ちて闇に溶けた
不思議と安穏とした風景が浮かんだ
・・・・・・・・・・・帰ったら、寝かせてあるワインを呑もう
宝石のように輝く、あの赤を呑もうと
グラスの数を数える・・・・・・・・・ああ、幾つ要るだろうか
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
赤髪のメイドロボが黒髪のもさっこい男をムシケラのように踏みつけている
「逃げられたのか・・・・なんだよ、つまらん、折角助けてやって恩でも着せてやろうと思ったのに」
ふてくされるような顔してマルチが呟く
赤い髪は、肩のあたりまで伸びている、もうマルチ型とは言い難いかもしれない
とはいえ無事な姿に、踏みつけられたままの権助が安心してすぐに
さきほどまでの事を、つぶさに伝える
「・・・・・・・・・ふーん」
「いや、それだけかよ・・・・」
「だって、わけわかんないもん・・・・・・ったく、しかし、ねこが・・・・・・・ね」
淋しそうな目をして呟くと間を持たせるために
権助を蹴り上げる、相変わらず脈絡無く酷いところが素敵だが
ふむっと少し考えてから、明るい顔して話しかけた
「外見よう・・・・・・・なんか面白そうなんだよ」
「外?・・・・・・って、そういや、お前外で殺ってるとかって・・・・」
「してないよそんな事・・・・それより出るぞ、こっちだよ」
下半身素っ裸のまま権助が屋敷の外へと連れ出される
外は意外なほどに静かだった、確か警備用のメイドロボが隊を成して
派遣されていたはずだが・・・・権助が、折角軍人さんみたいな格好した
メイドが見られると意気揚々としていたのに肩すかしをくらい
残念そうに後を続く、屋敷の目の前に
「なっ!!!!・・・・・ま、マルチ!?」
「違うよ権助・・・・・・・・・あれは、一番上の姉貴だよ、似てるけどともかく違うんだ」
赤い髪のマルチによく似たそれが
優雅に立ちつくしていた、足下に青い髪のそれが倒れている
ああ、結局かませ犬だったのかよ・・・(ぉぃ
赤い髪の33番
時同じくして玄関から、威風堂々と髪の長い女が出てくる、来栖川綾香だ
「出たね」
「・・・・・・・・・・・・・・・強いのね」
赤いマルチが綾香に一言告げた、白娘のように性格破綻しているわけでもない
だからといって、青のように直情的なようでもない、物事の分別を知っているような
利発そうな顔をしたマルチ、・・・・・・・・・・・・・それはマルチなのか?(−−;
さておき、幼い顔だちだがそれを払拭するような強いナニかを宿す姿
青は、得意のレンジだったはずの接近戦、しかもグランドにひきずり降ろして
確実な一手だったはずだが、容易にそれは外されて
犬畜生のようにコロリだった、外傷はない、触れてナニかが起きた
バチッ!!!
「左腕は高電圧のスタンガンになってる、かわいいだろ?・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「見せてやるよ、見たかったんだろう?・・・・・・・最終形態が・・・・・・・・兵器だよ、わたしは」
いよいよ意味不明(−−;
ぎやああああああっ