赤まるち
「う・・・・あ・・・・ここ?・・・・・・・おあ!?でっかいおっぱい!!」
権助が目を覚ました、まだ深夜なのだろうか自分が横たわっているのを確認しつつ
どうやら電気の点いた部屋の中らしく見回すと、黒髪が長く美しい女が看病?なのか
世話をしてくれている、しかし、でかい胸だ・・・・・マルチの時に満たされなかった何かが
うごめき出し、思わず目の前の胸に顔をうずめる
「はぁはぁ・・・・・・ああ、この中で死にたい・・・・」
むにむにむに
「じゃぁ死ね(怒)」
ぽくっ
「!?・・・・ごあああああああああああああああああああああああ!!!」
殺人宣言とかわいらしい音の後に権助の悲鳴がこだました
凄まじい痛撃が権助を襲う・・・・いや、叩かれた痛み?ち、違う、この感じ・・・・
「な、なんじゃこりゃ・・・・・」
全身に包帯が巻いてある、そして目覚めてくる神経が、だんだんと身体の奥から
じんじんと鈍い痛みを連れてきた、い、痛い・・・・・・ぐ・・・あ、熱い・・・・
権助は、自分がものすごい怪我をしていて、もしかしたら瀕死なのかもしれないと悟った
そして、見覚えのある天井が権助の目に飛び込む、総てを理解したわけではないが
今の自分が居る場所と、健康状態だけ分かった
「6号室・・・・・ね・・・・・ねこやんのトコ?」
「金之介様は、今、お出かけになりました・・・・」
権助の問いかけに黒髪の美しいメイド・・・ラネーフスカヤが優しく答えた
そう、ここは、大学の友人杉本金之介の部屋だ
以前、ねこやんがロシア産のエロ本を大量に所持しているという疑惑がもたれた時に
散々ぱら忍び込んだからよく覚えている、そう、結局どこに隠してあるかわかんなかったんだけどな
「・・・・・・・・ってさっき俺殴ったのは・・・・・」
「金之介様です、殴るというよりは軽くこづいた程度でしたが・・・・痛みますか?」
どうやら、殴って痛がってる間に出ていったみたいだ・・・・おそらく痛み具合から
俺が何も出来ないと悟りやがったな、あの野郎・・・・・、毒づく権助の荒んだ瞳など気にする事なく
ラネーフスカヤがしげしげと叩かれた頭を撫でる、ああ、優しい・・・・お、溺れそうだ
権助が、鼻血をだらだら滴らせて幸せの海に沈む
「ああ、ラネーフスカヤ・・・・・君の事を僕は愛してしまいそうだ・・・はぁはぁ・・・・」
「おやめください」
ぺしっ
「!!!ごああぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
権助が懲りずにアプローチを仕掛けたが軽くはたかれた程度でこのダメージ・・・
ちくしょう、何も出来ないだと!?この権助様が、たぷたぷの胸を踊らせた女の前で
寝てることしか出来ないだとぉ!?いつもならあのでっかいおっぱいの間に
思いっきり挟まれてやるってのに!!無論、挟まれるのは顔だけで済まないぜ!!!(謎)
と、熱く語りつつ泣き出す権助(泣くなよ)・・・・・うう、こんな身体でマルチに殴られたら・・・・・そうだ!
「ま、マルチは!?」
「・・・・・・・・・・・・・」
一部欠落していた記憶から、ふと少女の名前を思い出す、かわいい笑顔と残忍な手口忘れるはずがない
確かここにくる前までは一緒にいたはずだ・・・・・・・・
うつむいて何も答えないラネーフスカヤ、なんだその薄倖美人みたいな反応は
てめぇ、かなり教育が行き届いてやがるな!、いらぬ所で嫉妬を覚える権助だが
それ以上にマルチがいない事に不安を覚え無理矢理起きあがろうとする
ぴき
「おんごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
起きられない
腹筋が張り裂けそうなくらい痛む、ちょっと動いて傷口が開いたのかばくばくじんじんと痛みが
襲ってきた、まずい脂汗が・・・・・仕方無しに布団に倒れる権助・・・・い、痛い・・・まて、なんでこうなったか
そっから思い出さないと・・・・・・
権助の脳裏に白い娘の顔が浮かぶ・・・・・・・そうだ、奴に思いっきりぶん殴られて・・・
???でも、トドメを刺したのはあいつじゃなくて、マルチだったような・・・・???
記憶の最後の方が酷く曖昧になっているが、ともかくあの戦いの間にやられたとだけ思い出す
ともすれば、マルチはあいつに勝ったのか?
「ラネーフスカヤ!・・・マルチ・・・えっと、赤い髪のメイドロボ、ほら、お前じゃない方の・・・えっと・・・」
ふるふるふる
黒髪がゆっくりと左右に振られる・・・・・ろ、ロングっていいな、シーツに広がったり
なんつーか、く、黒髪が・・・・・・・・じゃない!ま、マルチ・・・
一瞬だけココロ奪われたがすぐに正気を取り戻す権助、しかし今の身体では何もする事が出来ない
どうなったんだろう・・・・あの後・・・・どうして・・・
「どうして俺は、ねこやんの部屋で寝てるんだ?」
「質問にはお応えしますが、そうやって太股を撫でるのは辞めてください」
ラネーフスカヤがたしなめながら事の次第を説明し始めた
「夜の散歩を金之介さまとしていました所、荒れ果てた権助様のお家があったと思われる場所に
お倒れになっていまして、素早くここへお連れして手当をしました・・・・・最初は病院へお連れしようかと
思ったのですが、金之介さまが、なにやら厄介な事を起こしていて、正規の医者にかかるのは
足がつく可能性が高いからと申されましたので、仕方なく・・・・・大丈夫です、手当はほぼ完璧に行いましたので」
静かにすらすらと暗記した文章のように答えるラネーフスカヤ
とりあえず、ねこやんが俺を犯罪者扱いしているという現状は理解
あの男いつか殺るとココロに決めつつ、気になった単語をピックアップ
「・・・・・・荒れ果てた俺の家があったと思われる、というくだりが気になるんだが・・・・・」
「・・・・・・・・・・ですから、元ご自宅が建っていらっしゃったであろう場所です」
「・・・・・・お、俺のアパート・・・・・・・・」
「過去です」
突き放すラネーフスカヤの台詞に涙がはらはらと流れ落ちる権助
ああ、俺の家が・・・・俺のマシンが・・・・・・俺の選りすぐりエロ画像10GBが・・・・・
その他にももう手に入らないであろうエロゲーや、思い出深い品々を思い出す
しまった、裏モノも、2,30本あったのに・・・・・・・デッキごと・・・・・・・・
止まらない涙をそっと、ラネーフスカヤが拭う、うぐうぐと本気で泣いている権助
男の泣く理由として果たして、立派なものなのかどうかはともかく、可哀想という憐れみの視線を
ラネーフスカヤから受ける
「・・・・・慰めてくれるのかい?」
「悲しいのですか?」
ラネーフスカヤがやや困った感じで眉根を寄せる、たまらなく大人びた色香を漂わせる
権助が、そっと手を布団から出しラネーフスカヤに近づけ・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・りゅーう゛ぁ」
「あ、はい」
「ええ!?」
突如、権助の寝ている部屋のふすまの向こうから女の子の声が聞こえ
ラネーフスカヤがそれに敏感に反応すると手早く立ち上がった、権助の手が空を切る
そ、そんな・・・・今、本当なら俺の手につきたてのおモチのような感触があるはずだったのに・・・・
ラネーフスカヤがてきぱきと、権助の寝ている部屋から出ていく、わざわざ
ふすまを通らずに廊下側からふすまの向こうの部屋へと入っていった
「・・・・・・・女の声?・・・・・若い声だった・・・・・・野郎・・・・囲ってやがるのか?
それとも、監禁モノか?・・・・・・・調教?」
権助が冷静に分析する、ねこやんという男、確かに付き合いは長いが
決して本性を目前に出すという事の無い奴だ、油断はならない
権助の予想では、権助の3倍以上はアレなはずだ(アレ?)
なんとかして声の正体を確かめたいが身体が言う事を聞かないので、聞き耳を立てる・・・・
聞こえる会話
「・・・・・・・・もう、かなり好いようですね」
「うん、ありがとうリューバ、おかげでかなりね・・・・・・・・・」
「どうしますか?」
「そう・・・・・・・・にしんそばが食べたいな」
聞き覚えのある声・・・・・・・・・聴覚神経からの信号が脳に到達すると同時に
赤い髪の少女のビジョンが権助の脳裏に鮮やかに蘇る・・・・・
マルチの声だ
そうと分かると何かほっと安堵の波紋が、心に広く、ほわほわと広がった
なんだ、生きてたんだ・・・・大丈夫だったんだ・・・そうか、さっき引っ張った意味が
よくわからんが、とりあえず・・・・なら、いいや・・・・
何かへへへっと、笑顔になってしまう権助、自分のその様子にいささか謎めいた所を
覚えるが、ともかくよかった、しかしリューバってなんだ?
ラネーフスカヤが戻ってくる、やや顔の緊張が弛んでいる権助を見て声をかける
「・・・・?悲しくなくなったのですか?」
「ん?・・・・・あ・・・ああ、そ、それよりも、隣に・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
何も答えずに、また部屋を出ていこうとするラネーフスカヤ
「まてーーーーい!!!、なんだ!おい、隣にマルチがいるんだろ?おーい
ラネーフスカヤ!・・・こら・・・っておい!」
冷たい目線だけを落として、さっさと出ていき、コンロに鍋をかけた音が聞こえた
さっきの会話から推測するに、にしんそばを作っているんだろう・・・やや、それはどうでもいい
なんだ、どうして、俺にマルチの事を隠すんだ?
「ラネーフスカヤ!!おーい!」
権助が必死に叫ぶが答えてくれない、しかし、隣にいるのであろうマルチも
声が聞こえていそうなものなのに、何も答えてこないのはどういう事か
「マルチー!!いるんだろ?マルチ!!ほら、返事しろーマルチ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙
鍋からぐらぐらという音だけが聞こえてくる・・・・・考えてみるとロボが二体いるだけなのだから
人の気配は全くないわけで・・・・急に寂しさを覚え、不安になる権助、なんでマルチを隠すんだ?
「・・・・ぽそぽそ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「?」
隣から声がまた聞こえてくる
「んあ・・・・・あ・・・・・だ、駄目・・・・まだ、日が高いよ・・・・あ・・・・」
「マルチ?」
権助が違和感を覚えると同時にふつふつと腹の奥から何かたぎるものを確認する
なんだ、どうして突然マルチのあえぎ声が聞こえるんだ?だ、誰だ相手は?
!!!!
「ま、まさか・・・・ラネーフスカヤ!ね、ねこやんは、さっき出て行ったんだよな?
隣の部屋にいたりとかしないんだよな?・・・答えろ、ラネーフスカヤ!!!」
ぐつぐつぐつぐつ・・・・(鍋音)
「・・・・んあ・・・・はぁ・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・ぃ・・・・・んく・・・・はんっ」
吠える権助はむなしく、だんだんとエスカレートしていくマルチの声
焦る権助、そして、煮える鍋!
「うおおおおお!、金之介ぇぇええええ!!!」
権助が渾身の力を込めて立ち上がりふすまに手をかける
傷口が開いたのか、脇腹から血しぶきがあがる(ぉぃぉぃ
目を殺気で血走らせ逆三角にしつつ、ふすまの向こうを睨み付けてふすまを開け放つ
ざばっ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・はい、わかりました・・・・はい」
ぴっ
「誰?」
「綾香さんですよ、なんか、すぐ戻るようにって・・・・・・どうします?坂下先輩」
空手着を着た二人の少女が、草原のようなだだっぴろい所にたたずんでいる
やや小高くなった丘のような所の一番てっぺん、そこに、松原葵と坂下好恵の姿がある
二人とも胴着の胸部分に、小さく、来栖川グループの刺繍がほどこしてある
二人揃って、来栖川グループに入社でもしたのだろうか
「戻るって・・・・・・・・あと、ちょっとの所まで追いつめたのに・・・・・」
「じゃぁ、やってからいきますか?」
「当然」
坂下が、ぐっと拳を握り答えると、葵もケータイを鞄にしまい、アキレス腱を伸ばし軽く身体をほぐす
ゆっくりと臨戦態勢を整える二人、周りには、三機の13型メイドロボ迎撃隊の
残骸が散っている、かなり強敵らしい
「12型の顔をしてて、髪が青いんだそうです」
「・・・・・・・・マルチ顔で青い髪って・・・・・葵そっくりなんじゃないの?」
「へ、変な事言わないでください(^^;」
かさかさかさっ、たたたたたたたたたたた・・・・・・・・・・
冗談をちりばめた会話の後、わずかに草が揺れる音と
小走りにこの場を立ち去る音がした、それだ
二人がその音の方向へと踏み出す、走って追いかけるという原始的な方法だが
肉体派の二人にはちょうど好い感じだ、綾香だったらなんかもっと華麗な何かだろうに
「葵!・・・左に!」
「わかりました!!!」
好恵の指示に従って、葵が離れていく
展開した二人の軌道が円を描くように逃げ去ろうとする物体に
近づく、左右から挟み撃ちのような形で追いついていくのだ
やがて、走り続ける二人が向かい会わせるような形で走り込んできた
その中央
「葵!」
「ぁぁぁああああああああっ!崩拳っ!」
走り込みながらそんな手強い一発を放てるようになったのか
葵がワンステップの後、光り輝く拳を前に突きだした、モーションの早い
中段突きが轟音を上げて繰り出される
ずばっっっ
空気を突き破る音のみ、はずした!?
「上かぁっ!」
葵の一撃のコンマ4秒後、天高く舞い上がる好恵の身体が空中で蹴りのモーションに入っていた
普段、極真空手やってるくせに空中戦とは、邪道だなと思うかどうかさておき
稲妻のような蹴りが炸裂、青い物体に確かな手応えを覚える
「!!はいった!・・・・葵ぃっ、とどめ!」
「ぜやぁっっ!!!」
ぎりぎりまで引き絞るように身体をよじって、沈み込みからせり上がるように回転の蹴りを放つ
蹴り足が落ちてきた青い物体を一閃、だむっという肉壊音とともに葵の脚がミートポイントを通過
蹴り脚を引き戻すと同時に正面を向く
「・・・・・・・・・やりました」
「ああ」
葵が動作状況を確認するまでもなく、力尽きた物体を拾い上げる
見た目よりもより一層軽い肢体、かわいい顔
この物体が、今まで幾多の追っ手を破壊し逃走してきたとはとうてい思えない
番号は、D1103・・・・・・・・・・逃げたマルチ型メイドロボDシリーズ5体の内の1体
「・・・・・・・・・・じゃぁ」
「ああ、戻ろう・・・・・」
二人が帰路に就く