赤まるち
モップが空気を切り裂き、金属製の無刃刀がコンクリートを砕く
一進一退、前回からは予想も出来ないような名勝負となっている
「っっらあああああああああああ!!!!」
ずばっ!!!!!ばごっぉぉっっぉぉおおおおおっ!!!
マルチが号を発してモップを振り抜いた、それを曲芸のように宙返りで白い娘が
かわす、モップが電話ボックスを真っ二つにかち割り、なおかつ粉々に破砕した
今回はNTTも大変だ
今はマルチの間合い(槍の間合い)で勝負が進んでいる、白い娘も
再三に渡り近距離戦に持ち込もうとするが、思っている以上にマルチのモップ裁きが
上手いのか近づかせる事がない、二刀を振りかざしモップを払いのける白い娘
身の軽さは、マルチよりも上なのか、運動性能が桁外れだ
「流石お姉ちゃん♪うれしくなるよ」
白い娘が突き出されるモップをかいくぐり、そう声をかける
モップの柄が白い娘の足下に突き刺さる
ずばっ、爆音と共に突き出された先のアスファルトが爆裂する、それをくるくると人間魚雷のように
回転して上空に逃れる白い娘、そして着地と同時に前に飛び出した
「いくよ」
きりもみしながら二刀でモップをさばき、マルチの懐に飛び込んだ
一瞬の静寂・・・いや、空虚な時間、息を呑むのも忘れるような全てが
凍結したように錯覚する刹那、白い髪がざわざわとたなびくと
二筋の閃光が十字に開く
ずがっっっっっ!!!
凄まじい炸裂音とともに閃光が四方へほとばしる、まばゆい光りに視界を失うかと思いきや
権助、グラサンをどこからか持ち出し装備、流石ドラゴンボール世代、用意周到だ
大きく両腕を開いた形で大地を踏みしめている白い娘、衝撃で吹き飛ぶマルチだが
体勢を崩していない所を見る限り防御が間に合ったのだろう、バックステップの要領で
素早く距離を開く、そこですぐさま距離を詰めにかかる白い娘
「寄るんじゃねぇぇぇえええ!!!」
マルチが左腕を振りかぶった、右手でモップを持ちバランスを保ちながらバックジャンプ
大きく振りかぶった左腕が光って唸る、例のあれだ、いきなり使うのか!?
権助が、大きくツバを飲み込み白い娘の後方に何か無いか確認する
むむ、警察署が都合良くある、よし、やれマルチ!!(こらこら
期待をはらんだ目でマルチを応援する権助、そしてぶっ放される電気の固まり
バリバリバリバリリリリリリッッ
権助の髪の毛が総て逆立つ、そりゃそうだ、原子力発電所を30基くらい直列に繋いだような
電圧を持つ固まりが空気を走るのだ、野良猫なんてもっと凄いだろう
怒りの雷が空気を引き裂く轟音とともに、白い娘に炸裂する
ぱしゅっ!!!
「!?・・・・・・・・防御障壁か!?」
「バーカ、電撃兵器があたしに効くかよ」
マルチの放った電撃が白い娘の手前で消え失せた、防御障壁、平たく言うならバリアだ
目には見えないが、電磁波を散らす物質でもばらまいているのかもしれない
いつぞやの13型のように電磁波で、回路をずたずたというのは無理なようだ
電撃を放った動作で、大きく隙を作ってしまったマルチに
白い娘がすぐさま攻撃を加える
「あああああああああっっっっ!!!!」
凄まじい剣戟、一の太刀が下方からマルチを撫でると、登り切った位置からうち下ろしの
二の太刀が振るわれる、檄とともに小破が起こる、斬るわけではない殴りつける武器が
最大限の力を発揮、マルチにうち下ろした太刀が深くえぐりこむ
「っかはっ!!」
「こ・れ・か・ら・♪」
太刀と共に地面に叩きつけられたマルチに、間髪入れず白い娘が連続撃ちを見せて
地に屈したところへ突き降ろしを加える
間一髪でそれを横へかわすマルチ、外れた一つの太刀が地面を大きくえぐる
マルチが、回転しながらの起きあがりにモップを使って白い娘の足を薙ぐ
しかし、小ジャンプでそれを交わし、前方回転しながら回転激を打ち込んでくる白い娘
両の手でマルチがモップを持ち、上段防御をする
がしっっという音が震えると、マルチの足が地面に沈み込む
「あのモップ、何で出来てんだ!!!」
権助が、がんばって存在をアピール、しかし誰も聞いてない
マルチが槍の構えから、棍のそれに持ち替える、モップの柄の真ん中を持ち
くるくると振り回して、たむたむと地面を踏み舞う
たたたたた、静かにマルチのステップが一定のリズムを刻み出すと
ゆっくりと移動を開始した、マルチが棍を360度隙なく自在に操りながら間合いを詰めていく
近づいたらずたずたになるんだろう、竜巻みたいな物か
「やるやる♪」
白い娘もうれしそうに笑顔を浮かべて、さきほどと違う構えを取る
左腕の刀を水平に前へと突き出し、右の太刀を後方へと構える、柳生新陰流二刀術か?
二人の距離が二間ほどになった所で牽制のしあいになる、ちりちりと
マルチが振り回すモップの先から空気中の塵を割く音がしている
しびれを切らしたのか、白い娘が先に動いた
ぱんっ
「とぉぉぉぉりゃああああああああっ!!!」
間合いを自分から詰めていき、強引に突きだした左腕の刀に
棍・・・いや、モップの柄を触れさせる、途端、白い娘の右腕がしなう
閃光を放ち後方に構えていた刀の一閃がマルチに到達する
心得たようにマルチもそれに対して斜めにモップを構えて切っ先を逸らす
白い娘が予想外の軌道に乗った太刀筋に振り回され無防備になる
狙い澄ました一撃が突き出される
「てりゃああああっあああっ!!!」
マルチがかわいらしいかけ声でモップを突きだした、ばうっという音が
白い娘の脇腹をえぐる・・・・・鋭く回転したモップの先が白い娘の服をはぎ取るように
突き抜ける、紙一重で白い娘が身体をよじって突きをかわした
「あま・・・・・・・」
ばっばっばっ!!!!!
空中とはいえ、大きく踏み出した一撃をかわした余裕で白い娘が微笑いかけた時
小爆音がすると、モップの先がすぐに戻って二の突きを繰り出していた
驚きを隠せない表情を見せて、白い娘がそれを受ける、むじっとめり込むモップ
そして更に三の突きが白い娘を襲う
ずどんっ!!!!
「う・・・・・そ・・・・・・」
「倍返しな」
マルチが冷酷に言い放ち、確実に捕らえた一撃を引き抜き、トドメを殴り降ろした
見事な三段突き、いつの間にか天然理心流奥義まで体得していたのか
その場に崩れ落ちる白い娘、もさっという音がして動かなくなった
マルチが仁王立ちになってそれを見下ろす
「・・・・・・・・・・・・・・気をつけろマルチ!!!」
「え?」
権助が突然吠えた、何事かとぱっと間合いを取るマルチ
ぎりぎりと歯を食いしばり権助が立ち上がる
「そいつ、この前の時よりパワーアップしてる、終わってない!!」
「なんで?」
権助の忠告に狼狽するマルチ、なんでお前がそんな事言いきれるんだ
お前、そういうキャラちゃうやん、動揺するマルチだが、その自信に溢れる
言葉に思わず従ってしまい、構えを直す
「気をつけろ・・・・・そいつ、グンゼじゃない、今回ワコールのレースのセミオー・・・・」
ずびむっ
マルチが100m先の権助を目からビームで正確に撃ち抜く、ぎゃあす、とかいうベタな
叫び声とともに権助沈黙、アホらしくなってやれやれと気を抜くマルチ
「お姉ちゃん実際甘いね」
「え・・・・・わ!!!」
倒れたままの白い娘がそう呟くと、いきなり髪の毛をむしりそれを散らした
抜けた髪がばさっと空気中に散らばる、マルチの周りをそれが囲む、虚を突かれ棒立ちになった
マルチに髪が絡みつき始めた、見えないほど細いそれがきゅっとマルチの四肢を這い回り、肉に食い込む
ぷにっと揉みだされるようにマルチがボンレスハムみたいにされた
そして力を失うようにへたりこんでしまい、モップを落とした
「あ”−・・・・びっくりした・・・・・流石にやばいかと思ったけど、まだまだだったね」
白い娘が立ち上がりマルチに近づく、髪がきつく自由を奪い、束縛されたマルチが
嫌悪の視線を白い娘に送る、気にもとめずにマルチの前までやってきた
ふいに笑顔がなくなる白い娘、電源を切った時のあの顔だ
「・・・・・・あー、なんかえっちっぽいよねそれ♪・・・・・・」
「な、何言って・・・」
「ねぇ、刀・・・・・・・入ると思う?」
いやらしく縛り上げられ、きゅっと浮き上がった肉が生々しい
へたりこんでるマルチの所にひょいと中腰になる白い娘、手に持つ刀を
いきなりマルチのナニに圧し当てた、むにっと、それの先が埋まる
ぞくぞくっと悪寒が走るマルチ、激しく抵抗するが絡みついた髪がそれを許さない
気をよくしたのか、白い娘が、それをぐにぐにと押しつけてこねまわす
うぐうぐと口元も髪に束縛されたマルチが嫌々する
「・・・・・・・・ちぇ、ここで濡れてきたりするとエロ漫画みたいでいいのに」
特に反応が無いそこに残念そうな視線を投げかける白い娘
そしてもう一本の刀を振り上げて事務的にそれを振り下ろした
どごっ!!!
「んああ!!」
どごっどごっどごっどごっどごっどごっ
振り下ろされる刀がどむどむと、マルチの肢体を撃ち廻る
機械的に感情の入っていない一撃一撃が、マルチの肉に食い込み
止まる事なく撃ち続けられ、それにマルチが声をあげる
タコ殴りだ、今日日、街のケンカでもそんな事しないってほど
ぼこぼこに殴り散らす、白い娘の感情の灯らない瞳がその様子をおぼろげに見つめている
「こんのぉぉぉぉ!!!」
マルチが叫びながら、右目に意識を集中する、破壊光線が白い娘に伸びていく
かきんっ、しかし渇いた硬質な音とともにそれも大きく軌道がずれる、バリアのせいだ
有らぬ方向へと飛んだそれが空の飛行機を打ち落としたが、そんな事はどうでもいい
気にとめた風もなく、白い娘が口を開く
「お姉ちゃん・・・・・・・・楽しかった?」
白い娘にまた表情が戻る、にこやかなスマイルが
まぶしくマルチに照らし出された、絶望を覚えるマルチ
しかし
そんな惨状の後ろで
権助が
今
立ち上がった