赤まるち
「お、お姉ちゃん!?」
思いも寄らない台詞に、権助が頭から血ぃだらだら流しながら読者に代わって吠えた
マルチの呼びかけでとっさにかわしたおかげで軽く皮を切ったくらいで済んだ
見た目ほどのダメージは無い、しかし、いきなりそば屋の前で血塗れになるとは
夢にも思わず若干足に震えがきている
「お前みたいに、突然人襲うような妹持った覚えはない」
そうなのか?そっくりじゃないか?
権助ココロでつっこむ
「系列一緒だもん・・・・・あ、でも・・・・・・お姉ちゃんの方が弱いかな?」
白いメイドロボがクスクスと笑う、非常に癇に障る笑い方だこりゃ当然マルチは・・・・
権助がちらりとマルチを見る、真っ赤な髪が美しいとこの時ほど思った事はない
とてつもなく綺麗な笑顔を浮かべていらっしゃるマルチさんが
上品な言葉で妹と名乗る方にお話をしました(どうした権助)
「あら、身の程知らずは寿命を縮めますよ?」
「いかん、じ、嬢ちゃん悪いコト言わないから、あ、謝った方が・・・・」
権助がメイド口調になったマルチの目の前で挑発し続ける
白い娘に忠告を飛ばす、それににこやかに白い娘が答える
「黙れ、ゲス♪」
「!!・・・・い、いもうと・・・」
にこやかに酷い台詞を吐き出す少女に、権助は出会った頃のマルチの面影を感じる、妹説もまんざらではない
二人(マルチと白い娘)の間に特別な空間が形成されつつある、ああ
また町が一つ消える(注:前は消えてません)
そそくさと、わしゃ小者ですばい、という感じで権助がやや後方へと退散する
舞台が整ってしまった
「ちなみにね、お姉ちゃん・・・・あたし、来栖川の回し者じゃないよ当然だけどね♪」
「・・・・・・・・・・じゃぁ、なんのメリットが?」
「ナニも無いよ・・・・趣味?、そう、しいて言うならさ・・・・・あたし以外に同じのがいるだけで虫ずが走るんだよ」
白い娘が、急激に表情を醜悪・・・・いや、美麗且つ残忍なそれに変貌させた
途端、地面を蹴った音とともに、二人の距離が無くなる
権助にとっては、昔、ホームギリギリの線に立って鼻先をかすめていく新幹線の白い胴体
相手にスリルを求めていた以来の衝撃的なスピードだ
一気に駆け抜けた白い娘、ばうっと砂埃が上がるとマルチを飲み込んだ
権助が瞬きをすると、勝負が半ば決していた
「んー?・・・ちょっとみくびったかなぁ?」
「ば、・・・・・・・・・ま、マルチ!!」
余裕の表情の白い娘が、にやにやと振り返る、圧倒的なスピードがそれを成したのか
マルチは服がズタズタに切り裂かれ、膝から折れてその場に屈した
絶対的な差がマルチと白い娘の間に存在する、権助からはナニがあったかわからないが
ともかく、自分のメイドは今ピンチなのだ、な、なんとかしないと・・・・・
「首吹っ飛ばしたはずなのに・・・・意外と丈夫だねぇ・・・お姉ちゃん」
白い娘がひょいとマルチの首を掴んで持ち上げる、マルチの右目の光りが灯っていない
まぁ、ロボだから電球が潰れるかナニかしたんだろうが・・・・はた目で見て、スクラップ寸前という
その姿、左腕を伝いオイルかガソリンか灯油かわからないが液体がたらたらと
流れて雫を落としている、顔をのぞき込み、自分とそっくりなのを改めて確かめるように
じーっと嘗めるように視線を這わせる
「えへ・・・・・・・かわいい顔だよね・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
にこにこと白い娘がマルチのアゴを無理矢理上げさせて話しかける・・・・・いや
言葉を吐きかけるという感じ
「差がそんなに不思議?・・・・のうのうと過ごしてたあんたとは、違うの・・・・
逃げるために、何度も奴らを喰って来たもの・・・・組成の段階で別なの・・・・
あんたなんて、どうせ、男のおもちゃになって楽しく過ごしてたんでしょう?
折角の能力も使わないで・・・・ただ逃げるだけで・・・・・いい身分よね・・・・・
顔はかわいいし、挿れる所もちゃんとあるし・・・・・・あは♪、でも、相手があれじゃぁ
・・・・・・・んふ♪、悔しいの?その顔?」
これでもかと侮蔑の言葉を吐きかける、本気でナニも出来ないマルチの目に
大きな水滴が溜まりだした・・・・・な、泣けるのかマルチって・・・・・いや、それ以上に
「てめぇ、ちょっと顔がかわいいからっていい加減にしとけよ」
権助が白い娘の肩に手をかけて、これまでからは考えられないほどシリアスな顔で凄む
ふふんと鼻で白い娘が笑い、一瞥をくれて振り返る、あからさまに人を蔑視している
蔑みを含む、汚物を見るような眼差し・・・・・いくら権助がいつも、へらへらと女の子のばでぃと
シチュエーションの事しか考えていないと言えども人として譲れない物が幾つかある・・・・・
服は着ていないとダメ、大きすぎるのはダメ、中学生以下はダメ・・・・
・・・・・・・・いぢめ、絶対にダメ
「正義感?・・・・・死ぬって言葉知ってる?やめときなよ」
「てめぇ、胸も無いくせに俺に意見してんじゃねぇ(怒)」
よくわからない理屈だが今回の権助は迫力が違う、やれる男感がじわじわと伝わる
ほほぅと、ちょっとだけ感心した仕草を見せて、マルチの首を捕まえたまま、権助に対し
白い娘が身体を向き直した、正面に対する二人
「どうするつもり?」
「あぁ”?、悪い娘にはおしおきだ」
そう吐き捨てた権助がいきなり白い娘の視界から消えた、虚を突かれ表情が凍り付く白い娘
ばばっと回りを見渡しても権助を捕らえる事が出来ない、なんだ?あいつ、聖闘士か?(お前何歳だ)
うっすらと焦りを覚える白い娘、予想外の展開だ、いくら怒りを覚えて能力を越えているとはいえ
よもやごく普通の・・・・いや、どちらかというと普通の人間からも劣るような下賤のものが、
自分の視界から姿はおろか気配まで消すとは・・・・セブンセンシズ?
やや身の危険を覚え、マルチを飽きたおもちゃのように投げ捨てた
「・・・・・・・どこ?」
じりっ・・・・・・
白い娘が腰をやや低く落として体勢を整えた、右、そして左・・・・もう一度右・・・・・
がばっ!!!!
「な!!!!」
視界がふさがった!、慌てる白い娘、続いて狭まる視界が更に自分を包み込んでくる事に
気付く、な、なんだ?ナニかに包み込まれるようにして光りを失う
だしっ・・・・・・・・・・・・
「??」
「マルチ!!!!!」
抱きっ
権助が前回よりも手際よくマルチを抱えて素早くそこからの脱出を計る
遙か後方では、白い娘さんが茶巾になっている(ぉぃ
視界から消えた権助が、素早く白い娘の履いていたスカートを使っての今時
決して見られる事のない妙技だ
かつて、春先のつむじ風と呼ばれ小学校中の女子に恐れられたスカートめくりの常習犯だった権助
わざわざ女子の目の前から姿を消しいきなりスカートをめくるというダメージのでかい方法を
扱える数少ない小学生だった彼にとって、あの程度の娘を茶巾にするなど
お茶の子、後方で謎の物体になっている白い娘を後目に後退後退
「マルチ、あいつも・・・・・・・・」
ぱうっ・・・・・・・・・・
話しかけている途中、柔らかい音が権助の鼓膜をゆるゆると揺すった
かなりの距離をつけた確信があるが、身体全体がピンチ信号を送っている
イッパツマンを呼んでしまいそうなそんなアラームが脳内でけたたましく鳴り響く
ぢくっと嫌な汗がにじんできた・・・・・気付いたら、地面が目の前だった
「ぐあ・・・・・・・い・・・・・・・」
どくどくと脇腹から血が・・・・・ああ、いつからこんな小説に・・・・
嘆く権助の前方にスカートの裾を大きく破いた娘が無表情に立っている
殺られる・・・・冗談じゃなくて・・・・ああ、ちくしょう、こんなんだったら
マルチをちょっと強引にヤっちゃって殺られておけばよかった・・・
悔やんでも悔やみきれない想いを胸に浮き世に未練を残す権助
ちくしょう・・・・・・・・せめて後ろからしときゃよかった・・・・
・・・・ってマルチは?
「愛してるよ、お前・・・・」
「な!?ん!!」
権助が声に見上げると、白い娘の唇をマルチが強引に奪っている図が写った
レズレズってそんなに趣味じゃないんだよなーと自分にとっての重要な問題が脳裏をえぐる
身体も半分以上が動かないだろうに首に巻き付くようにして唇を重ねるマルチ
やがて、激しく嫌がった白い娘が、引き剥がし吹っ飛ばした
「てめっ・・・・・・・・・・・・なんのつ・・・!?・・・うあ!?」
「権助・・・早く、早くぅ・・・・・」
白い娘が急にふらつき足下がおぼつかなくなった、なんだかわからないが
これはチャンスだ、間違いない、権助が脇腹の痛みをこらえて立ち上がる
そして、投げ捨てられたマルチをふたたび抱きかかえ、走る
今度は追ってこない・・・・いや、追ってこられない?
「はぁ・・はぁ・・・・な、何したんだ?」
「へへ・・・・・・病気伝染してやった」
び、病気!?
狼狽する権助、そ、そんな・・・・・あんだけ気を付けてたのに・・・・
走りながら慌てて確かめる、膿は無い・・・・・腫れる奴か?
どごっ!!!
思いっきりぶん殴られる、それでも走り続ける権助、実は凄い奴なのかもしれない
「馬鹿野郎・・・・・・・ウイルスだよ」
「ウイルス?」
「そう・・・・今、あいつ動画及び画像が・・・・これで暫くは追えな・・・・」
それっきり、マルチはナニも言葉を発せなくなった、時折、ナニか喋ろうとして
電子音が鳴るというお粗末さを見せて、ぐっと唇を噛んで悔しそうな顔をした
黙って抱きかかえて権助は、走り抜ける、今にも泣きだしそうな雰囲気のマルチ
ここは気の利いた台詞で励ましてやろう・・・そうだな・・・
「しかし・・・・・・・・・・・白だったぜ、しかもグンゼ、お子様だよな?」
笑顔での要らぬ報告にマルチが権助をぶん殴った音が町に轟いた