赤マルチ  その四


「下がっていてください」

立ち上がった13型が権助に告げる、
それを、おろおろしながら言いつけ通り少し下がり壁際で腰を抜かす
その様子を確認しゆっくりと、13型がマルチに向かって構えた、なんかの拳法の構えだ
ゆるやかにそして大きく、なぞらえる型が非常に美しい
先ほどとまるで違う雰囲気を醸す13型に軽く舌打ちをして
また標識を振り上げるマルチ

「投降なさる気は・・・・・・」

「ない」

13型の最後通告を即座に棄てるマルチ
タンタンと、つま先を地面に何度か打ち付けてリズムをとっている
13型の瞳がふるりと変化を宿す
瞳孔が開いたように瞳の大部分が暗い色に染まる
無表情だったそれはますます、生きている匂いを消す
なぞる型のスピードが増して目で追うのが難しくなっていく

かつっ

マルチが地面を蹴った音がした、すぐ後にものすごい圧力が権助を押しつぶしそうになる
音という破壊者が辺りをぎしぎしと揺さぶる、空間が歪んだような感覚が円く広がると
権助の全身をびりびりと震わせた、もう何が起こってるのか権助の目では確認出来ない

ぐわん

マルチが地面を蹴って直進した時、13型が型に沿ってそれを力の方向へと流し、カウンターを決める
ぐらつくマルチに13型の肘、膝、拳が各急所をピンポイントで捕らえ、動きが鈍った所に
手のひらを真っ直ぐにマルチに押しつけて、そのまま壁際まで突き飛ばした
爆煙が吹き上がり壁の向こうにあったお家は大変だ

破壊された瓦礫と視界を覆う埃の中から、手槍のように標識が飛び出した
それを軽く手で払い落とす13型

「!!!!!」

13型が標識を払い落とす動作で一瞬、型から動作が外れた、狙い澄ましたように砂煙を身にまといマルチが
距離を一気につめた、急に目前に現れたその幼女が、キスでもしそうなほど顔を近づけて
にやりと笑った、すぱっと空気が裂ける音とともにマルチが姿勢を低く伏せ、前に踏み込みながら
蹴り足を大きくそして、真っ直ぐに13型のアゴへと伸ばした

ばうっ!!!

蹴りって音が出るものなのか?と一瞬疑問を抱くような凄まじい威力の蹴り足が
13型のアゴもとをかすめていった、辛うじてスウェーでそれをかわしたものの
破壊力は充分で足が纏う風圧のような物で13型の服の胸元が大きく裂けた
蹴り本体もアゴ先を数ミリの単位でも触れたのか13型のアゴが不自然に上がった
踏み込みの勢いが死なずにそのまま上昇するマルチ、身体を翻し
蹴り上げた足に体重を乗せて今度は振り下ろす、俗に言うネリチャギという奴だ
もっとも昇りの蹴りは、ジャッキーチェンが酔拳2で見せた奴だから(もっと描写しろよ)
ちょっと語弊があるが、細かい事を気にしてはいけない

がごっ!!!

鈍い音とともに13型の左肩に振り下ろされた踵がめり込む
権助だったら悲鳴をあげて泣きながら「いやっぉう!!」とか叫ぶくらいの痛みだろうが
それにも動じる事のない13型、ぐらりというよりは、ズシリとバランスを崩しながらも
踏みとどまった所で動いた

左腕は先の蹴りで動かなくなったのかダラリとぶら下げたまま、右腕を前に突き出し強引に
マルチの胸ぐらをつかみ持ち上げた、蹴りで体重を前にかけていたマルチにはかわす事は出来ず
されるままに持ち上げられる、すぐに膝で13型を蹴りにかかるがそれを軽くあしらい
身体を鉛直逆方向へとかち上げた、ずむっと捕まれていた右腕がマルチの喉元に
食い込むと、続いて何かに引っ張られたように身体が空へと上る、格闘ゲームならこっから
空中コンボがごすごす入る、13型は落ち着いて長い脚に残像を纏わせながら
美しい弧を描かせた

ざしっ!!!

13型の長い脚がマルチの延髄あたりを直撃、蹴り足の加速度は弛む事なく、
そのまま重力方向へとたたき落とした、叩きつけられてだむっっとゴム毬のように弾むマルチ、
ぶわりと重力を無視して浮き上がる身体、13型がマルチの左腕をつかみ上げる
そして砲丸投げのように前後左右に振り回して遠心力をつけて地面に叩きつける

ずがっ、どごっ、ばぐっ

「ま、まるでトムとジェリーじゃねえか・・・・・・・」

ちなみに権助の台詞である、ようやく事に思考が追いついて一発目の台詞
目の前では、まさにアメリカンコメディのように
びたんびたんと左右に振り回されて叩きつけられている図が展開されているのだが
実際行われているのを目の当たりにすると笑えない
ずがんずがんと音がする度にアスファルトにヒビが入っていく
公共事業は大忙しだ(意味不明)

ずごぉん!

「・・・・・・・・投降なさってください」

ひときわ大きな音がした後に13型が叩きつけた物体にそう話しかけた
ぐにゃりと力無くぶら下がるマルチの肢体が痛々しい
それでも掴んだ左腕を離さず、警戒を緩めた仕草を見せない13型
一瞬の静寂、粉塵が凄まじいこの空間
呻くようにマルチが呟いた

「ころす・・・・・・・・・・・・・・・・」

「そうですか」

マルチのうわごとに冷酷な視線を落とした13型が、またマルチを捕まえている腕に
力をこめた、ぐわっ!!!!、思いっきり引っ張り上げてそしてまた地面へと叩きつける
先ほどよりも更に強烈に、今度は塀や電柱にも情け容赦なく叩きつけ激しく振り回す

「ま、マルチ!!!・・・おいこら、てめぇ!!や、やめ・・・・・・」

権助をゆっくり13型が見つめる

「や・・・・・めてあげてください」

権助が一瞬だけ怒りにまかせて男気を全開にしたが、目で殺された
何事もなかったように、マルチを振り回し続ける13型、みしみしとなにやらイヤな音が
どこからともなく鳴りだした

みしみしみし・・・・

「・・・・・って、も、もしか・・・・・」

権助の台詞途中で、突然、ぶずっ!!!!という鈍いというか酷い音とともに
振り回されていたマルチが有らぬ方向へと飛んだ・・・・・
13型は、突然重石がなくなったため、グラリと体勢を崩す
その手には、マルチの左腕が・・・・・・・・・そう、もげたのだ
大空を舞うマルチ、ああ、かわいそうに・・・・・権助が冥福をお祈りする
合掌するその先に、吹き飛んだマルチがだんだんと下降してくる

(そうあなたは、酷い人でしたが・・・それでもかわいさだけなら、そこらの
女の子には負けませんでした、ええ、昨日やっぱりヤっときゃよかったって今さら思います)

権助の視界が涙でにじむ、落ちてくるマルチ
背が丸まり重力落下するその姿、お尻をこちらに向けて仰向けに
しかしだんだんと身体が起きてきた、そう、開脚前転みたいな感じに上半身がぐぐっと起きて
言うなら、あれだね、ゲイロードかな?(違うと思うよ
落下する物体を突っ立って見つめている13型
マルチの上半身が空中で起きあがる、無くなった左腕部分を前に突きだして・・・・・・・・

「・・・・!!!」

「bye」

ずびむっ!!!!!!!

視界が突然真っ白になり、そして白い閃光が13型を貫いた

「さ、サイコガンなのか!!??」

権助が山田康夫さんの渋い声を思い出す、「よう、クリスタルボーイ」
台詞はともかく、さきほどもげたと思われた左腕部分に、あの銃口が姿を見せている
そこからビーム光線?のようなものが真っ直ぐに13型を貫いていた
だごっ!と大きな音とともにマルチが地面に叩きつけられる、その一発で力尽きたのか
受け身もとれていない、13型は大きく吹き飛び、雑巾のようにべちゃりと落ちた

決着の静寂、そして

「権助・・・・・・あたし背負ってここから離れろ」

マルチの声が権助の耳に通った
マルチがずるずると身体を引きずってちょっとでも権助に近づこうと這っている
大慌てで権助がそこへ向かう、途中、打ち抜かれた13型の死体?を
横目で・・・・・・・・・・・

「!?うおおおおお、で、でっかいおっぱい!!!」

「!?」

先ほどの戦闘中、大きくはだけた胸元に思いっきりの好い反応を見せる権助
倒れた13型に実るたわわなそれに進路を変えた、その間0.7秒

「って、この馬鹿!!!何言ってんだお前!!!」

「るせぇっ!男の一大事なんだよ!!」

女の子とロリコンには決して理解出来ない強力なベクトルが権助の方向を修正する
あっけにとられるマルチだったが、身の危険を感じて必死に叫ぶ

「ご、権助!!!・・・・え、えっと・・・・そ、そうだ、や、ヤらせてやるから!!!」

ぴた

「・・・・・・・・・・・・・・じゃ、ちょっと触るだけ」

と言い残しまた13型へ足を向ける権助
余力があったら、確実に殺している所だがそうも出来ずに
マルチが知恵を絞る
んくっとツバを飲み込むような仕草の後に

「・・・・・・・・・・・ご主人様ぁ」

ぴた

「ご主人様・・・・・マルチをどうかお部屋へお連れくださいぃ・・・・・もう、我慢が出来ませんんん
・・・・・・・は、早くぅ・・・・この場所から離れて、ご主人様のお部屋でぇ・・・・・いけないメイドに
お仕置きを・・・・・・・はうううぅぅぅぅぅ、は、恥ずかしいですぅぅぅぅぅ、ご、ご主人さまぁ♪」

「マルチぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

涙と鼻血にむせばみながら権助が笑顔を浮かべて戻ってくる、作戦勝ちだ
戻ってくるや否やどこにそんな力があるのかと思わせるほど逞しく、マルチを抱きかかえ
地球上でもっとも速い移動速度でその場から立ち去る
すごいぞ権助、男って奴は・・・・・・・・・・

「・・・・・けど、あんなでっかくてなんつーか、柔らかそうな・・・・」

「黙って走れ(怒)」

だむだむだむ、地面を蹴ってマルチを背負った権助が街道をひた走る
マルチは先ほどのダメージがよほどでかいのか、いつもならそのまま首がへし折れるような
勢いでつっこむ所を声で牽制するにとどまっている、それはそれで権助にとっては都合が好いのだが
元気が無いマルチに少し残念な思いを募らせる・・・・・ちょっとMっ気ありか?(ぉぃ

暗い道をひた走っていく
そして、暗い部屋へと戻ってくる
薄暗い部屋に、男と女の子が二人っきり

・・・・・いよいよか・・・えろえろ・・・・・(長いよ


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