第11話 2/9 『任天堂、唯一の例外』

前回では、スーファミCD−ROMについて紹介しましたね。でもよく考えてみると、任天堂と正式にライセンス契約を結んで互換ハードを出しているメーカーが有りませんでしたか? 今回はそんなお話しです。

その互換ハードっていうのはいくつか出ているんですが、全部同一メーカーですね。ツインファミコンを思い浮かべたら分かるかもしれません。そうです、家電メーカーの大手、シャープです。
まず出ていたハードの種類ですが、ファミコン一体型テレビ、ツインファミコン、ファミコンタイトラー、スーファミ一体型テレビ、とまあ軽く思い出せるのはこれくらいです。
何故シャープだったのか。それというのは、任天堂と深い縁があったからです。
事の発端は、あの有名なゲーム&ウォッチシリーズの開発でした。その中でも重要となる液晶部品の製造をお願いしていました。
そんなわけでゲーム&ウォッチで一緒に潤っていたわけですが、ファミコンに移行していく時には半導体開発として任天堂はリコーと契約したようです。市場からLSIゲームが消える頃にシャープと手を切ったのかというと、そんなことはなく、今度は違った角度からお互い結びついていきました。
それというのは、ゲームの開発機材として、シャープ製のコンピュータを使わなければならなかったことです。その辺の兼ね合いもあり、シャープからファミコンの互換機がいくつか発売されることになりました。
ちょっと困ったのは他のサードパーティー側で、ファミコン発売当初から変わっていない開発用ハードを当時と同じ値段で購入しなくてはならなかったことです。しかも、今現在のようなDOS/V機の中から選択するというような事も出来ませんでした。
シャープはサードパーティー参入してくる会社が来るたびに、一台数百万円のパソコンが売れていくので、かなりおいしいめにあったようです。

その後、ゲームボーイの液晶開発で再び集い、スーパーファミコンの開発機においても独占状態でした。そしてスーファミ一体テレビも発売をしました。
しかしスーファミ中期以降は普通のパソコンでの開発方法も確立され、容易に開発を行える次世代機の登場、ニンテンドウ64にシリコングラフィックス社の技術を取り入れたことにより、シャープと任天堂のおいしい関係は消滅していきました。