<−第八夜
「あ、志保」
「はぁい、あかり、元気?」
「相変わらず元気だね志保は、私も元気だよ」
「ってか、なんでそんな英語の教科書みたいな会話しないといけないの」
「そうだね」
「それよかどうしたの?言ってるわりにはあんまり元気ないみたいな?」
「うん、ちょっとね」
「そうか、あかりも大変だね」
「聞いてくれないんだ?」
「え?」
「どうしてって」
「え、う、うん」
「あのね、浩之ちゃんのことなんだけどね」
「なんかされたの?まさか、あの鬼畜坊主っ」
「酷いよ、そんなじゃないよ、そのね、志保、ね?」
「あ、あかり・・・」
「うん、いいの、わかってる志保はそういう気じゃなかったんだよね?」
「う、うん」
「そうだよね、ずっと保科さんのこと気にしてるしおかしいなとは思ってたんだ、いいんだよ、それは」
「・・・ごめん、あかり」
「謝ることじゃないよ、いいよ、私はまだ、そんな所まで行ってないけど、それはそういうものだもの」
「あ、あかり、本当、ごめんね、ごめん」
「ううん、謝って欲しいからとか、そういうんじゃないんだ、志保ならわかってくれると思うんだ」
「うん、わかる、あかりはそうだもの、付き合い長いから解るよ、だ、だけど」
「だけど?」
「私は、ほら、ぜ、前科があるから・・・」
「やだな、そんな言い方、志保らしくないよ、違うの本当に」
「う、うん」
「いいの、志保と浩之ちゃんがどうしたとか、そういうのはもう、なんていうか、私が知っちゃう時点で
浩之ちゃんだって解ってるんだ、私がそれを聞くって、だから、これはもう、そうなんだよ」
「あかり・・・」
「ううん、ごめんね、本当、私は嫌な女の子だね」
「ううん、違うよ、やっぱりあいつにはあかりしか居ないよ、そんな風に思えるくらいなんて・・・少なくとも、私は無理だよ」
「うん☆」
「・・・・・・・」
「ありがとう志保」
「う、うん」
☆
「あ、マルチちゃん」
「あ、あかりさん、お久しぶりです〜」
「よかったね、テスト終わってからも回収されて無くなることがなくて」
「そうなんです、えへへー」
「本当、かわいいな、頭撫でてあげるね」
「あ、・・・・☆」
「マルチちゃんももう立派なメイドロボだね、これからももっと勉強の為に学校に来るの?」
「はい、もっと勉強してもっとみなさんのお役に立てるように頑張ります」
「いいなぁ、その健気な姿、がんばってって応援したくなるよ、マルチちゃん」
「あかりさん・・・・ありがとうございます」
「えへへー、なでなで」
「あ☆・・・・あかりさん、ありがとうございますぅ」
「いいよ、マルチちゃんは、本当は、違う人に撫でられたいんだろうけど・・・・我慢してね、私で」
「あ、そ、そういうんじゃ」
「いいんだよ、マルチちゃんがんばり屋さんだもの、私応援したいもん」
「そんな・・・ありがとうございます、あかりさん・・・」
「猫っ毛なんだね、マルチちゃん」
「はい、その、セリオさんもそうなんですよ、私よりもロングだからもっと撫で応えがあると思います」
「ふふ、そんなことないよ、浩之ちゃんもショートカット好きだもの」
「そうだったんですか、よく撫でてもらいました、だから」
「あ、違うよ、浩之ちゃんはそういうのでじゃないんだ、天然なんだよ」
「てんねん?」
「なんというかな、そう、素でそういうことをしてしまうの、特別じゃないんだよ、とても自然」
「ああ、じゃぁ、なんだかぬか喜びみたいですね」
「ううん、ごめんね、それじゃなんだかいじわる言ったみたいだね、ごめんねマルチちゃん」
「ああ、いいんですよあかりさん、それに」
「それに?」
「撫でられたらそれだけでうれしいんです」
「・・・・可愛いね、マルチちゃんは」
「そ、そんなこと、それに、メイドロボは可愛い必要は無いんですよ」
「?」
「もっと仕事ができて、端麗で、そうでないと私達は生まれてきた価値がありません」
「マルチちゃん・・・そんなこと、セリオとなにかあったの?私が言ってあげようか?」
「あ、いや、そんなことは全然、むしろ、無さすぎて・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「えへ、なんだか今、あかりさんいつものじゃなかったですね」
「マルチちゃんもね」
「あかりさんは、浩之さんの事が好きなんですか?」
「うん、好きだよ、マルチちゃんは?」
「私は、浩之さんよりも、セリオさんのことが好きなんです」
「!・・・・そう、そうなんだ」
「あかりさん?」
「ううん、なんでもないよ、いや、さっきはごめんね」
「え?」
「ああ、セリオ・・・のこと悪く言ったみたいになって」
「ううん、あかりさんはそんなことしないですから、心配してませんよ」
「わたしは?」
「あ、いや・・・」
「うん、そうだね私はしないよ、それにね、きっと綾香さんもしないと思うんだ」
「・・・」
「誰もセリオを嫌ってくれないよ、好かれてしまうよ、切ないよね」
「・・・はい」
「でも大丈夫、マルチちゃんも嫌われないよ、きっと、いぢわるをする人はからかっているだけなんだよ」
「ああ、そんなことはどうでも大丈夫です、わたしたちはそうやって生まれてきましたから」
「うん、そう、わたしたちはみんな酷いよ、セリオにもそうするといいよね?」
「あ」
「二人だけの世界だったらいいよね、だって、同じなんだものね、わかる」
「あかりさん、わたしは、嫌われないけど・・・」
「うん、私は好きだよ、大丈夫、嫌われないだけじゃない、好かれるよ、きっと私以外の人でも好きだって言うよ」
「えへへ、あ、ありがとうございます」
「だから自信を持って、独りで満たされようなんてしないで、切ないよそれは、不幸だよ悲しいよ」
「・・・はい」
「セリオがみんなに酷くされて、誰もが嫌って、そんなことを願ってしまうんだよね」
「あかりさ・・・」
「いいの、これは私が勝手に言うことなの、だからマルチちゃんは関係無いよ、私が願うこと」
「・・・・」
「そう、マルチちゃんは頷かないで、ただ、私のこの話を不潔だと言えばいいの」
「・・・はい」
「マルチちゃんの愛情がいつか、その身体を投げ出して、空想に逃げてしまうくらいの気持ちが
いつかセリオに届くよ、その為には、しないといけないことがあるのかも」
「・・・はい」
「いつか、綾香さんにセリオが嫌われる日がくると、いいね」
☆
「先輩」
「・・・・・」
「言葉を失ったみたいに最近は、まるでお話をしないって聞いてますよ」
「・・・・・」
「初めまして、じゃないですよ、浩之ちゃんと一緒にお会いしてます、来栖川先輩」
「・・・・・」
「ああ、そんなに心配しないでください、先輩、顔にすぐ出るんですね」
「・・・・・」
「大丈夫です、私、嫉妬に狂ってとか、そういう本当の女の子らしさは少し控えてますから」
「・・・・・」
「先輩、わかってらっしゃるんですね、そう、浩之ちゃんもそういうの嫌いなんです」
「・・・・・」
「男の人達は勝手ですよね、女の子同士がどれくらいどろどろで、もっと暴力、残虐が酷いかって知らなくて」
「・・・・・」
「いじめとか、陰湿で、兇悪で、泣いたくらいじゃ許されない、尊厳そのものに傷をつけるって」
「・・・・・」
「男の人は、みんな、そういうのから目を背けますよね、先輩」
「・・・・・」
「すいません、先輩を怯えさせるつもりは無いんです、今言ったようなことは、絶対先輩にしないですから」
「・・・・・」
「わかってますよ、先輩がそうしたことで二つの不幸を招くと悲観したこと、理緒ちゃんから聞いた話でわかりました」
「・・・・・」
「ああ、それに、綾香さんにもしないですよ、心配してらっしゃるのはそれですよね?」
「・・・・・」
「やっぱり先輩は嘘がつけないな、今言ったことは本当ですよ、大丈夫ですって」
「・・・・・」
「うん、ごめんなさい、糺したみたいになってしまって、でも」
「・・・・・」
「ありがとうございます、やっぱり、先輩は解ってくれると思ってました」
「・・・・・」
「そうなんです、私は、浩之ちゃんのことが、本当に好きなんですよ」
「・・・・・」
「誰かが、他の人を好きになるっていうのよりも、ずっとずっと強く好きなんです」
「・・・・・」
「でも、あんまり強い力は嫌われてしまうから、私は、そんなの出さずに過ごしてるんですよ」
「・・・・・」
「浮気が甲斐性だとか、そういうんじゃないんです、先輩ならわかりますよね」
「・・・・・」
「そう、あんなだけど、あんなだけど幼なじみでずっと一緒で、一番好きなんです」
「・・・・・」
「だから、誰にも渡したくないし、最後に帰ってくるってわかってても、嫌なんです」
「・・・・・」
「その形跡を辿るなんて、自分でもやめておいたほうがいいことなんですけど」
「・・・・・」
「そう、私は犬性の女なんです、先輩や綾香さんの猫と違って、忠実で従順だけど」
「・・・・・」
「時折、噛むんです、牙を立てて本能に従って手をあるいは、のど頸を」
「・・・・・」
「先輩?」
「・・・・・」
「知ってますよ、猫にも爪と牙があるって、公園で油断したハトが食べられるのを見たことがあるんです」
「・・・・・」
「ああ、鳩って知ってます?今、街にいる鳩はほとんど人間から与えられるエサで生きているんですよ」
「・・・・・」
「どこかの街で、鳩のエサやりを禁止したら数が4分の1に減ったんだって聞きました」
「・・・・・」
「最近はケータイとか、電波の影響でおうちに帰れない鳩が増えてるそうです」
「・・・・・」
「帰るところがわからなくても、帰りたい、そう思うんでしょうね」
「・・・・・」
「長居しました、お昼休みにすいませんでした、来栖川先輩、それでは」
☆
全国の神岸あかりファンの皆様
本当に申し訳ございません
でも、こうだと思うんだ、私は
そういう味付けで連載しています
駄文、誠に失礼しました
R(05/06/20)