かくてる☆ポニーテールーー中編ーー


ざっざっざっ・・・・・・「ふーーっ、ここか・・・・」

陸が、その日泊まる旅館の前に着いた。

そう、休日を利用しての、一人旅を決行したのだ。

あれから、あきらの顔を見る度にあの女性のコトが頭をよぎったが、心をこの日にだけ集中し

平静を装いながら、今日まできた。

既に、観光はすませ、山に登り、野原で転び、川で溺れるなど、自然を満喫してきて、後は

宿で、さみし・・・・いや、楽しい旅の思い出を噛み締めつつ寝るだけである

「温泉♪温泉♪、美味しい食事に、きれいな夜空♪」

まだまだ色々期待をしながら、旅館へ入る、うぃーー〜〜ん自動扉が開き、足を進めた

「あの、予約していた、加藤陸と言うものですが」

「そう、田中です、田中美沙」

受付で、なんだか、聞き覚えのある声がした、そっと隣を見る、すると、向こうも陸を見た

「・・・・・・・・ぁあああああーーーーーーー!!」

「!!!のわ!?髪の長い女!!」

ばっちーーーん!
「な、何よ、人を港のヨーコみたいに呼ばないでよ!」

早速、お約束の平手が飛んだ、瞬間沸騰する、二人

「信じらんない、つけてきたの!?あんた!」

「ば、ば、馬鹿言ってんじゃねえ、誰が、お前なんか追って、こんなとこまで来るかあ!!」

ぎゃあぎゃあ、騒ぐ二人の所に、女将がやってきた

「あの、加藤様と、田中様ですね・・・・・・」

「は、はいそうです、僕が加藤です」「私が田中です」

二人がほぼ同時に、返事を返す。それが気に入らなかったのか、お互いにらみ合う

「まあ、お二人はお知り合いでしたの、ちょうど、よかった、実はお部屋が一つ使えなく

なってしまいまして、お食事を同じ部屋でとって頂きたいと・・・」

女将が言うやいなや

「い、いやだ!!こんな奴と一緒に飯なんて・・・・」

ぼぐっ!
「ぶっとばすわよ・・・、なんで私じゃなくて、あんたがそういうこと言うわけ!?」

陸が美沙の拳に沈む、そのうちに、

「ええ、結構です。食事は一人じゃ美味しくないですから・・・・」

などと、美沙が勝手に決めてしまった、それに慌てる陸

「な、な、なんで・・・」

「いいじゃない、ご飯食べるだけなんだし、一人より、二人の方が楽しいでしょ?」

美沙が子供をあやすように、陸を扱う

「では、こちらです・・・・・・・久美子、お料理の用意を頼んできて」

女将が二人を連れて、部屋へいく

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あー、本当においしい♪」美沙がうれしそうに言う

「・・・・・・・・・・・・・」黙ってがっつく陸

「んー、この魚なんて最高だわ♪」美沙が魚をほおばる

「・・・・・・・・・・・・」ひたすら、食べ続ける陸

「何よ、なんか話しなさいよ」美沙が不満を口にする

「・・・・・・・ご趣味は?」陸が聞く

「な、なんで、いきなり見合い話みたいになるのよ・・・」

美沙が、冷たい目を向ける

「だったら、何を喋ればいいんだよ」

陸が、困る。正直、男のような感じだが、女性だ、そんな相手に何をどうすれば

いいかなど、陸にわかるわけもない

「なんか、面白い話とかないの?」

「・・・・・・昔々、あるところに真っ白い犬がいました、体が白けりゃ、尾も白い・・・・・・」

美沙の提案に陸が、幼少の頃大爆笑した、落語で答えた

「・・・・・・まあ楽しい」

美沙が、むやみにきれいな笑顔を見せる

「・・・・・・・わ、わるかったよお」

「・・・・・・本当におもしろいわあ♪」

さらに追い打ちをかける、打ちひしがれる陸、その様子をふっと笑い、

「はー、温泉でも行ってこようかな」

と、タオルを持って部屋を出ていった、少し時間をずらして、陸もそうした

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・ふー、温泉と、この夜空だけは、期待通りだなあ」

陸が、温泉につかりながら、月を見上げて呟く

「なんか、違う気がする・・・・・・・・・あいつのせいか」

「・・・・・なんで、俺はあいつと一緒にいるんだろう・・・・・・・どうして、ここに来たんだっけ・・・・」

色々ぐるぐる考える陸、ここに来た理由を考えた時、月にいずみを重ねていた

「・・・・・・・・・・最低だな・・・・・・・もう、切り替えなきゃいけないのに」

切り替えないといけないことは、いずみのコトだけではない

あの過去も・・・・・・・・、顔を半分くらい湯に沈め息を吹く、ぶくぶくぶくぶくぶく

「・・・・・・・・・・・出るか」

ざばっ、湯から上がり脱衣所へ移動する、扉の前に着いた時

ちょうど脱衣所から、誰か入ってきた

がらがらがらがら・・・・・・
「・・・・・・・・・・え」

なんと、美沙だ。タオルで隠してるとはいえ、お風呂への臨戦態勢だ、陸が固まる

「・・・・・・ぅひゃあああ、きゃああああ!!!」

ばごっ、ごすごすごす、美沙が叫ぶと同時に蹴りを浴びせる、そして、そのまま走り去る

「ひゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・」

美沙の声が遠くなっていった、ふいをつかれ、直撃弾を浴びた陸

「・・・・・・・・・・・・温泉も期待通りじゃないや」

よたよたと、風呂を後にした

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ、いたいた、さっきはごめんね」

湯上がりの休憩所で、くつろいでいた陸の所に美沙がやってきた

「実は、迷子になってて、女将に聞いたら、あそこだって言うもんだからさあ」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・怒ってるの?」

美沙が陸の顔をのぞき込む、陸が無愛想な顔で横を向いて視線をかわす

「なによ、男のくせに、細かいことに。もういい子だから、機嫌直しましょうねえ」

美沙が、陸をからかう。陸も怒りこそ湧くものの、黙っているだけで、何もしない

「・・・・・・・ふう」

美沙が何か、ため息を一つ吐いて、そこを離れる、ところが

どしっ、「きゃ!」「のあ!?」

運悪く、他の宿泊客とぶつかってしまった

「ああ、ごめんなさい」

美沙が慌てて謝るが、見るからにタチの悪そうな奴だ、当然絡んできた

「ようよう、姉ちゃん、いきなりぶつかってきて、謝って終わりじゃあなあ」

男が美沙に手をかけようとする、しかし、素早くそれを振り払う

「!!・・・・・なんだ、このアマ!!」

男が突然大声を上げて、美沙を脅す、若干ひるむ美沙だが、すぐに反撃にでようと

「あんたが・・・・」ぐいっ、

喋りかけた美沙をどかして陸が割って入った


つぎ

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