かくてる☆ポニーテールーー後編ーー
「あんだ?てめえは・・・・・」
男が陸をにらみつける、陸が小さいせいもあるが、相手はかなり大きい
「謝ったんだから、それくらいにしとけよ、おっさん」
陸が明らかに挑発している、当然男が乗ってくる
「んだと、こらあ!!てめえ、何様のつもりだぁ!?」
男が陸に拳を放つ、ばごっ!!鈍い音が響いた
「・・・・・・・・・・っぐう」
豪快に陸が吹っ飛んだ、男がさらに詰め寄りタコ殴りにする
ぼごばぐばぐぼごべぎべぎべこめきめきめきゃきゃ・・・・・・
「へっへっへ、これくらいにしといてやらあ」
男が満足そうに、そこを後にした、その様子に呆然としていた
美沙だったが、すぐに駆け寄り、声をかける
「な、な、何よ、あんた!かっこよく出てきたから、強いかと思ったら・・・、
期待した私が馬鹿みたいじゃない!!」
少々涙目で美沙が陸を抱きかかえる
むく、
「ふー、行ったか・・・・・・ちょろいもんだぜ」
突然陸が、一仕事終えた顔して立ち上がった、唖然とする美沙
「ん?なんだよ、どうかした・・・・」
ぼぐっ!
「ぶっとばすわよ!!心配した私が馬鹿みたいじゃない」
「ぐはっ、あんたの一撃の方が効くなあ・・・」
陸が笑う、今回は美沙の方がからかわれている
「・・・でも、ありがとう・・・そうだ、お風呂のおわびと、今のお礼にお酒でもおごらせてよ」
「ええ!?み、未成年に酒飲ませて何する気だよお・・・」
ばぐっ!
「いい加減にしなさいよ、おごってあげるんだから、飲みなさいよ」
美沙が拳を入れつつ、陸をバーに連れ込む
カクテルが前に並べられた、二人グラスを合わせる
きん、「では、乾杯♪」「・・・・・・うん」
美沙は、くいくい飲んでいく、陸は少しためらっている、未成年だからという
わけではないのだが、酒に恐ろしく弱いのである、ちびりちびりと飲んでいく
「ふぅ、お酒なんて久しぶり・・・・・」
美沙が、グラスを揺らしながら呟く、なんとなく寂しそうだ
一瞬、何かあったのか聞こうとも思ったが、過去に立ち入ることだけに
陸には聞けなかった、陸が一杯飲む間に美沙は二杯、三杯とあけていく
なんとか、一杯飲み終えようとする陸が、美沙の様子に声をかけた
「・・・・・なあ、ちょっと飲み過ぎじゃないのか?」
かたっ、言うやいなや、美沙が潰れてしまった、慌てる陸
「お、おい、・・・・・・・ああ、・・・・ったく、仕方ねえ・・・・」
そっと、美沙をおぶさり、部屋まで戻ることにした
「・・・・・・最初っから、潰れても俺が運ぶこと見越してあんなに飲んだのか?
・・・・・・でもどうして、・・・・・やけ酒みたいだったし」
ぶつぶつ、つぶやきながら廊下を歩く、すると、先の男が反対から来た
「・・・・・・・やっかいな」
「へへへへへ、なんだ?女の介抱か?手伝ってやるぜ?」
男が下品な声で、陸を小馬鹿にする、無視して通ろうとしたが
「おっと、すんなり通すと思って・・・・・」
ばごお!!
「くはあっ!!」
男の顔が蛙みたくなる、そして、美沙を降ろし、男を池に投げ捨てる(気温:−3度)
「・・・・・いけね、やっちまった、アルコールのせいか?ダメだな俺って・・・・」
はっと我に返り陸は、美沙を背負い、部屋まで歩く
「さあ、ついたぞ・・・・・・・・っと」
美沙を布団の上に降ろす、じっと美沙を見つめる
「・・・・・・・・寝る時もこの髪おろさねえのかな?」
ふと、気になったが、美沙の目が半分ほど開いたので、視線をはずす
「・・・・・・おやすみ」
陸はそう言って、立ち去ろうとしたが、急に美沙が起きて、袖をつかんだ
「こ、こら、俺は別の部屋にいかなきゃ・・・・・・」
「・・・・・卓朗・・・・・」「?」
暗い部屋、美沙の頬に何か光が、陸は立つのをやめ美沙を見つめる
「卓朗・・・ごめんね、もうあんなことしない、絶対にしないだから、お願い、許して・・・また一緒に・・・」
「??・・・・・おい、・・・・なあ、卓・・・・・!!」
がばっ、言葉半ばの陸に美沙が体をあずけてきた、美沙の手がゆっくり、
陸を包む、鼓動が高まる陸。さっきまで、全く意識してなかった、
美沙が女であるという事実が体を通して伝わってくる
軽くきゃしゃな体、柔らかい感覚、そして優しい温かさ、・・・・・この全てが
ありありと伝わってくる、部屋が暗いことも手伝い、美沙をすごく近くに感じる
とくん、とくん、とくん、美沙の心音が伝い、陸の手が理性を失う、
しかし
「・・・・・・・・卓朗、許して・・・・・・・・・」
声と共に目から雫が落ち陸の胸元を濡らした、抱こうとしていた手が止まる
「・・・・・・・・ごめんね・・・・・」
「・・・・・・・・・いつまでも、過去にこだわるなよ・・・・・」
そんな言葉が出た
陸自身驚いた、その台詞が果たして、美沙に向けたものなのか、自分への言葉なのか
そっと、美沙の髪を撫でる、柔らかい・・・・・
美沙はその言葉に安心したのか、陸を強く一度抱きしめ、少しして寝息をたてだした
陸がすうっと深呼吸をした、美沙の寝顔を見る、何かが辛い
「・・・・・・たく、俺って・・・・・・・・」
そう呟き、動くに動けない体を美沙の枕にして
陸も静かに目を閉じた、小さく拳を握った
「ん・・・・・・・」
陸が目を覚ました、まだぼやけた視界に美沙が入る
「起きたの?おはよう・・・朝日がきれいよ」
美沙が窓辺で朝日に照らされている、起き抜けでぼーっとしている陸に
「ほらほら、もう目を覚ましましょうねえ」
むぎー、と優しい言葉で、頬をつねった
「・・・・・・・・!ったたたたた!!な、何するんだよお」
陸の眠気が怒りに変わる
「あたし、着替えるから外にでてくれる?」
美沙が言うと、陸の顔が真っ赤になる
「あ、あ、あの、ど、どうぞ、ごゆっくり・・・・」
昨日のコトもあって、すっかり言葉がおかしい陸
「あ、待って、その前にいいもの見せてあげる」
と、陸を振り返らせた、陸の瞳に自分が映るのを確認し、手を髪にかけた
いたずらっぽい顔をして、その手により、束ねられた髪がおろされる
ふぁさ・・・・、ポニーテールが静かに崩れ落ち、解き放たれた髪が広がる
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
朝日に照らされ、温かい光により一層髪が美しく見える
声など出るはずもない、息もしてないかもしれない、ただその姿に全てを
奪われた陸、驚きよりも、その姿に魅入られている
満足そうな顔をして、美沙が陸の首に手をまわし、耳元に囁く
「・・・・・・昨日、ごめんね」
言葉が、陸の脳を溶かしているように、陸から力が抜けていく
解かれた髪が柔らかく美沙の香りを運ぶ、動揺する陸だったが、一つ聞く
「・・・・・き、昨日って、覚えてるの?あの、た・・・・・」
「・・・・・・着替えるから・・・外に・・・・・・」
陸の問いを静かに遮り、小さく言った、その台詞に美沙の手から離れ
ふらふらと、部屋を出た、ゆっくりまぶしそうに、空を見上げる
「・・・・・・・・まだ、辛いのか・・・・・・・」
その数刻後、二人は分かれて、この地を後にした
別段二人の仲に、なにか特別なモノが芽生えるわけではなかった
チャックアウトの際に、またケンカして、さよならという別れだった
陸は、また学園に戻った
・・・・・・・・・・・・そして、冬が来る