かくてる☆ポニーテールーー前編ーー


赤信号を、陸が待っている、後ろから、いずみがやってきた

「また、待ってるのか、一緒に渡ろうぜ」

いずみが、笑顔を向けながら、そう誘う

「でも、・・・・・・・」「じゃあ、私は先に行くぜ」

いずみが、赤信号を渡って行く、慌てて追おうとする陸

「待って、い、い、いずみさん!」

しかし、ふいに袖を引っぱられ、歩き出せない、振り向く陸の目に、うつむいた少女が映る

「?誰・・?」「やだよ、陸ちゃん、赤信号は渡っちゃだめなんだよ・・・・」

少女がそう言い、顔を上げた、冷たい笑顔を浮かべている

「・・・・・そんな、・・・ごめん、俺もう、渡らないから・・・、だから、だから」

うろたえる、陸の耳元に少女が囁く

「許さない・・・・・、絶対に許さないの・・・」

どくんっどくんっどくんっ!心音が急に高鳴り、陸が叫ぶ

「ぅうわああああああああ!!!」

がばちょ、がすっごすごすどきゃめきゃずごずごどごっ!

「はあ、はあ、はあ、・・・・ゆ、夢か・・・・・・・」

悪夢にうなされた、陸が、布団の上で立ち往生している、辺りには起きた拍子に破壊した

いくつかの、所有物が無惨な姿をさらしている、気怠い気持ちを引きずりつつ、片づける。

頭のもげた、狸の置物をそっと、拾い上げ見つめる、陸

「・・・・・・・許さない、か・・・・・・・・」

過去はまだ、陸を縛り付けて、束縛を緩めることはない・・・・・・

 

もう、十月になった。陸は、夏休みが終わると部活を引退し、就職に備えていた。

就職は八十八町ではなく、ずっと離れた所の建設会社へと決めていた。

部活へいかないので、いずみに会うことはない、望んでそうしたのかもしれない。

そんな弱気な日々が続いていたが、ある日の赤信号で・・・・・・

 

「・・・・・・・・みんな、無視していきやがるなあ」

赤信号を一人だけ、待っている陸。その他の生徒達は次々と渡っていく

下校する時間すら惜しむように、参考書を持って横を走り過ぎていく

「・・・・・ねえ、君」

「・・・・・・・・・・・・」

「ねえってば・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「こら!返事くらい、しなさいよ!」
ばきっ!!

いきなり後方から、聞き慣れない声とともに、なにやら、打撃が飛んできた

「いたたた、な、なんだよ!」

振り向く陸、そこに髪の長い女性が、陸の方を見ていた

「な、な、なんですか・・・?」

女性とわかると急にうろたえて言葉がおかしくなる陸、

「高校生の内から、そんなにぼーっとしてると、ロクな大人になれないわよ」

女性が、哀れむような、目を向けて言う

(なんか、失礼なコト言われてないか・・・?)
ふと思う陸に、女性が

「あのさ、この辺りで、『鈴木』って女の子が住んでる所しらない?」

と、聞いてきた

「鈴木・・・ですか?」「そうそう、ピンクっぽい髪してる娘なんだけどさあ」

一生懸命に考える陸、

(ピンクの頭で、鈴木さん・・・・?この辺りっていうと・・・・!そうか)

「家は知りませんけど、たしか、あそこのコンビニでバイトしてますよ」

陸が、ひろ子ちゃんのコトを、教える

「そう、ありがとう、・・・コンビニでバイトかあ、美穂も変わったなあ」

女性は、礼を言うと走っていってしまった

「美穂?・・・・・まあいいか」

少し不審に思うも、信号を渡り、旅行代理店の前を通る

「・・・・・旅行か・・・・」
ふいに、足が止まってしまった

「気晴らしに、旅行にいくのも悪くないな・・・・」

そんなコトを考えてると、安い温泉旅行のチラシが目に入った

「・・・・温泉かあ、いいなあ・・・・・・決めた、行こう!」

なぜだか、無性にどこかへ行きたい気分だったので、即実行へと移す

これが、世に言う失恋旅行への系譜であろう。しかしそんなコトに気付きもせず、

せっせと予約を済ませ、店を出た

「♪さて、次の休みが楽しみだなっと♪」

なんだか、無理して喜んでる感があるが、軽い足取りで歩きだす、

そんな矢先、曲がり角でさっきの女性と鉢合わせた

「あ・・・・さっきの、髪の長い人」

「?・・・・・・!!あーーーーーーーーーーー!」

いきなり、奇声を上げられる

「えええ?え?え?お、俺ってなんかし・・・・・」

ばっちーーん!

なんだかわからない内に突然、頬をたたかれた、続けて

「あんた、嘘ついたわね!」

女性が陸にくってかかる、パニくる陸にさらに

「コンビニでバイトしてるのは違う娘だったし、もう一人の男店員がナンパしてくるし、

変な太った男につけまわされて写真とられるし、柔道着の少年とタンクトップの大男

に囲まれそうになるし・・・・・・」

なんだか、色々並べられるがどれをとっても、陸が悪いわけでなく、この町が悪いだけだ

「??い、いや、あの人違いだったのは謝りますけど・・・・」

困った顔を向ける陸、女性には、てんで強気にでることができない

「・・・・・・・・おもしろくない」

ぼそっと、小さな声で女性が呟いた

「おもしろくない?って僕になんか、期待してたんですか?」

陸が聞く、すると、驚いた顔をして女性がまた陸をたたく

ばっちーん!「ち、違うわよ!だ、誰がケンカなんかしたがってるもんですか!」

「????ケンカ?俺、そんなこと言ってな・・・・」

ぼぐっ!
「ぶ、ぶっとばすわよ!人のあげ足とるようなマネしないでよ!」

「ったたたた、な、なんで、俺が殴られなきゃいけないんだ?」

だんだん、陸の言葉が男友達と喋ってる時に近づいていく

文句を言おうとしたが、もう走って信号の向こうにいってしまった

「????な、なんだったんだよ・・・・・・」

困惑する陸だったが、今度の一人旅のコトを考えて気持ちを落ち着ける

「よう、陸!聞いてくれよ、さっき、髪の長い女の人がなあ、チャンネル9の

ピンズ付けててよお、どこで、もらったか、聞こうとしたんだ、そしたら、

運悪く天道が来てさあ、その人に逃げられてしま・・・」

ばきっ、ぼぐぼぐごつっ!

いきなり、わいて出てきたあきらに、思わず攻撃を加えた

「はあ、はあ、はあ、・・・・・・・・・」

そして、何もなかったように、そこを後にした


つぎ

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