斬り


桜子達が鬼と遭遇した頃の良夫サイド

「道の真ん中に誰か居ますが?」

「んー、ああ、ガキの方か、面倒臭ぇな・・・・・・さて」

「除けますか?避けますか?」

「お前な、帝の軍が逃げるようなマネ、できるわけなかろう」

黒い集団は、ずらずらと道を行く
邑までまだだいぶある所で、道の真ん中に鬼を発見した
言わずもがな、良夫

「ならば、一気に・・・・」

「まぁ、待て、見敵必殺というわけでもないらしい、用件があるんだろう、何しに来たか聞いてこい」

「は?・・・・・私が、でありますか?」

「お前に話してんだ、お前じゃなくてもいいけどさ・・・・・ほれ、早く」

一陣は道の真ん中で止まった
良夫に向けて、使者が走る
真横から見ると、少し滑稽な絵ヅラだ

とてててててて

「・・・・悪いが、大将に会わせてくれ」

とてててててててて

「どうやら、御大将に面会希望の模様ですが」

「お前は、驚くほど役に立たんな・・・しかも、一言も喋ってねぇだろう」

「いや、目的は完遂したかと思いましたので、どういたしますか、殺しますか、無視しますか」

ぐい、真面目な顔で報告を続ける部下のデコを
おもむろに押した、?????、押された部下は
当然なんなのかわからない

「あ、暗号でありますか?それとも、奴のデコを押したらよいのですか?」

「いや、お前デコ広いなと思って」

「そんな、ご無体な」

「仕方ねぇ、直接会ってやろう、貴様ら、隊列乱すな別命あるまで待機だ」

ざ、ざっ
軍は待機の姿勢を取った、休息とは違う
隊後方に居た大将は、すたりすたりと歩いていく
威風堂々、遠目から見ていると、本当に頼もしくて仕方ない
悪鬼羅刹をものともせず、帝に危害を及ぼす魑魅魍魎を
全てせせら笑いながら殺してきた
そんな、嘘かまことかわからない話もある
黒い男は成り上がりだ、なによりも強い

「・・・・・・・・本当に来た・・・・・さて、どうするかな」

ゆっくりと近づいてくる黒い男
良夫は目を離さない、前回の橋の上を思い出す
目を離したら、大変な目にあう
だが、戦闘をするわけじゃないんだ、うまく説き伏せなくてはいけない
智恵だ、般若を使うんだ俺
良夫が念仏よろしく、自分に暗示をかける
幸い相手は、桜子の父親だ、村人の話によれば
桜子と同程度のバカらしい、チャンスは必ずある

顔が確認できるくらいの距離になった
不機嫌そうでもない、にこにこもしてない
無表情だ、圧倒する迫力もある
びりびりと、命の危機を感じる、しかしここで恐怖に負けて鬼になっては
おそらく未来永劫、話し合うことなどできないだろう
じっと堪えて、ぎりぎりまで待つ、待ったところで声をかけよう
大丈夫だ、多分

「わざわざ有り難い、実は、桜子の」

「お養父さんとか、パパとか、呼べると思ったら、大間違いだっこのタコスケ野郎っ!!!!!!!」

ぶ・お・んっ
風裂、間一髪で良夫はかわす
あ、危ない、こいつは危ない、何が危ないって
いきなり会話にならない、しまった、バカってコトは話が通じないってことじゃないか
自分の浅はかさを呪いながら、なんとか命がおびやかされない距離を保つ

「待てっ!!!俺ぁ、ひとこともそんなこたぁ、言ってねぇし、話はそんなことじゃ」

「黙れ下郎っ、死んで償えっっっ!!!」

「なんもしてねぇだろうがっ」

がいぃっっ
良夫も本気で相手をする他無い
なりふりかまってられない、鬼の本性を顕わす
これで少なくとも剛力だけなら互角になったはずだ
もりもりと良夫の上腕がうなる、黒い男の身体をつかまえて
思いっきり絞り上げる、動きを止めて話し合おう

「聞け、こんなトコで喧嘩してる場合じゃねぇ、桜子があんたに会いたがってる」

「あああ?ふざけんなこのやろう、何、他人の娘を呼び捨てにしてやがんだ」

「いや、そ、そういうことじゃ」

「かりそめにも、お養父さんに対して、なんだその口ききわっ」

「は、話にならん・・・・・・・・・落ち着いてくれ、落ち着け、俺ぁ別に、あれをヨメにくれとかそんなこたぁ言わねぇ」

「なんだとこの野郎、てめぇ、人の娘をヨメにもとれねぇ器量オチだっつうのかっ、あああっっ!!!」

ずごっ!!!!!
父の愛は偉大だ
あろうことか、良夫の馬鹿力が余裕で弾かれた
ホールドしていた両腕がびりびりと痛む
3m近く吹き飛ばされた、というか、なんだこの男は
彼女のお父さんとかいう生き物はこんなに厄介なのか
話がずれつつあるが、良夫も所詮バカなのだ
バカ同士の場合、主導権を握るのは真のバカ
だから、良夫はもう逃れられない

「くらえ、父の愛っ!!!」

「バカくせぇっ!!!いい加減にしやがれ、このおっさんがっ!!!」

「娘は、貴様のようなバカには渡さんっっ」

「だーかーらーっ」

「娘は、どこだっ、娘を返せっ!!!鬼畜生っ!!」

ずごあああっっんんんん
描写するのも面倒くさいくらいの、凄い力の激突があるんだが省略
彼女をヨメにするために、彼女の父親と対決する様相を思い起こしてもらえばいい
数度の渡り合いの後、両者が間合いをはずす
肩で息をする良夫、相変わらず父の愛パワーで元気な黒い男
はた迷惑な喧嘩の余波で、辺りの畑は無茶苦茶だ、二人揃って大人げないというか
社会人としてどうかしている、小学校からやり直さねばならぬ(・・・・。)
だが、ふいにその気配が途絶えた

「ま、実際の所、一番可愛い時期過ぎたから、娘なんてどっちでもいいんだけどな、父としてわ」

「・・・・い、今までの論点はなんだったんだよ、おいっ」

「るせぇな、俺ぁ今仕事中なんだよ、てめぇみたいなゴミ虫野郎と遊んでる暇はねぇんだ、道空けろひょっとこ」

「そうは、いかねぇ、俺ぁ俺で、あんたを桜子のトコに連れていくって約束してんだよ」

「奇遇だな、俺も娘にゃ、会いたかったんだよ、っつうか連れて帰ろうと思っててな」

「・・・・・・・・・連れて?」

「大事な跡継ぎだからな」

「あとつぎ?てめぇにゃ、息子が居ただろう、頭の悪い」

「頭悪いはよけいだ、そうだったな、てめぇはうちの息子にも手ぇ出してたか」

ダメージはお互い何もない、まぁ、一応じゃれあったような感じだ
良夫は鬼の姿になっているが、理性が飛ぶほど力に任せてはいない
だから、会話は成り立つ
この喧噪を遠目から見る黒い軍は、やはり微動だにしない

「・・・・・・・どうした、鬼の姿を見てビビられないから困ってんのか?」

「冗談、だが、よくできてるなあんたの部下は」

「当然だ、てめぇぐらいの鬼なんざ怖くもねぇさ・・・・・あっちの奴ぁ、ちょっと手強いがな」

「あっちの?」

「さて、ここまで粘られたら仕方ねぇ、俺も娘との交際を認めてやらないと」

「まだその、親子ごっこ続いてんのかよ」

「うひゃひゃ、俺ぁ、こういうのが好きでねぇ、芝居とかよぅ」

本当に芝居が好きなおっさんの顔をする
嘘はついてないだろう、つく必要もないボケてるわけでもない
人柄がにじむというと大げさだが、ざっくばらんとは、こういう人を言うんだろう
桜子と同じ臭いを感じる、良夫は少しやりづらい

「なんつーか、本当に仕様がねぇやろうだな」

「るせぇよ、てめぇが俺を呼んだんだろうが、このクソ忙しい時に」

「そりゃそうだが・・・・・話ややこしくしたのは、あんたじゃねぇか、子供の遊びみたく」

「近いね、違いねぇ、そんな感じだ、わかってるじゃねぇか」

「戯れ事は後だ、桜子に会って、話を聞いてやってくれ」

「ああ、なんだって聞いてやる、実家(うち)でな」

じりっ
良夫が反射的に下がった
黒い男は別に何もしてない、にたにたしているだけだ
野郎、遊んでやがる

「いや、さっきから誰がどう見ても、遊ばれてるじゃんお前」

「ぅわっ、脳内につっこむなっ」

「るせぇんだよ、とりあえずお前はとっとと俺を娘の所まで連れていけばいいんだ」

「冗談じゃねぇ、桜子を連れていかすかよ」

「でも、お前は会わせるって約束してきたんだろ?」

「ぐ」

「頭悪い野郎だな、っつうかお前と遊んでる暇は無ぇんだよ、俺には任務があんだ」

「任務?・・・・邑を焼く気か?それもさせんぜ、桜子が嫌がってるからな」

「ったく、二言目には、桜子桜子・・・・てめぇ、尻に敷かれてやがんな?」

「黙れ、娘に愛されない親」

良夫は腹を決めた
この男を殺す、桜子には、途中で帰ったと伝える
仕方がない、人柄も良さそうだしバカだし、なによりも桜子の父親だ
実に惜しい人物に見えるが、残念なことに、こいつの目はずっと本気のままだ
邑の人間を皆殺しにしかねない、そういう殺気紛いのものを纏い続けてる
どんなにへらへらとくだらないやりとりが続こうとも、その目は物語っている
邑の人間には何一つ義理は無いが、父親のそんな姿を見せるわけにはいくまい

「・・・・・・・・なに勘違いしてやがんだ」

「あ?」

「誰が邑焼くつったよ、おかしな野郎だな」

にたにた
黒い男は、にたにた笑ったまま
良夫の言ったことを反芻して、また笑う

「早く連れていかねぇと大変なことになるぜ、俺ぁ、鬼退治に来たんだよ」

「おにたいじ?」

「お前みたいな、ひよっこじゃねぇ、てめぇも端くれならわかってんだろう、あっちの奴のコト」

ぐい、指さす先は桜子達の方向

「あれは、俺のエモノだ」

「・・・・・・・・・・・」

信用できるのか?
というか、なんだこの唐突な展開は
良夫は混乱する
今までのコト、良夫がここに来たことは無駄以外の何者でもない
というか、そもそもなんでこいつは俺に喧嘩売ってきたんだ

「てめぇが邑で何吹き込まれたか知らねぇが、あの鬼は、俺にとっちゃ仇になんだよ」

「・・・・・・・・・・・・・」

「仇討ちに来て、おかしいか?」

「・・・・話おかしいじゃねぇか、私怨で、軍を動かせるのかよ」

「実際アレの討伐指令が降りたんだ、それを俺が買ったんだ、早くどけ、邑をやられるぞ」

「生憎あっちには桜子と猫又が行ってる、あんたらの出番わ・・・」

どぉおおっ!!!!!!!
その方角、その方向で爆炎が噴き昇った
大地を揺るがし、思わずよろめくほどの大きな衝撃が
一帯の空気を動かした

「!?」

「・・・・・・・・ほら、言わんこっちゃねぇ、早くいかねぇと邑無くなるな、こりゃ」

「・・・・・・・・・」

「お前、アレのコトを知ってるみたいだが、多分間違った情報だ」

ぽむ、驚いて振り返った良夫の頭に
黒い男が手をのせた、ぐりぐりと
ガキの頭をいじるみたいにして、わしわしと動かす、そして続ける

「お前が知ってるアレの姿は、あいつの母親を喰う前の姿だろう?」

どくどくどく、ど、く

「残念だがアレは、俺以外にゃ・・・・鬼殺し以外には無理だ、喰われるだけだぜ、さ、早く案内しろ手遅れになる」

ど、だっ!!!!

「・・・って、おーい、人の話聞けよ・・・・・・・・」

桜子が危ない、桜子がっ
地面をえぐるように、足先が地面を削っていく
ロケットスタートでいきなり走り出した
当然のように、黒い男はおいてけぼりだ、がりがり頭をかいて
あっという間に見えなくなる鬼を見送った
良夫は走る、火の柱に向かって走る
焦りが全身を駆け抜けた、総て誤算だった
火柱の位置が、良夫が予定していた桜子達の決戦地よりもずっと奥
これは圧されたと考えるのが正しいだろう

間に合うか、間に合ってくれ

良夫は、黒い男の指摘通り
あの鬼を知っている、だから、安心していた
桜子達でも大丈夫だろうと計算を立てた、その上で黒い男を止める方に回った
いや、違う、逃げた、適当な言い訳を見つけて、これ幸いと逃げたんだ
あの鬼に会いたくない、会いたくなかっただけだ

「頭悪いぜ、俺わよぅ」

ぎぃ、滲む悔しさ
後悔は後からするものです、当たり前のコトをいくつも反省として抱える
目先のコトから逃げるのは、解決ではないのだ
大きな不安は、いつか解消する必要があったのだ
それは今だ、今だったのに

「!!・・・・・・・よしたほうがいい」

良夫の頭に映像が入り込んだ、思わず口をついて声が出た
左腕がうずいている、魂の持ち主の波長を捕らえた
桜子のイメージが混ざった
立ち上がってはいけない、立つとやられる、俺が行くまで寝てろ、桜子

「・・・・・・・・・・・追いかけますか?」

「いや、あれは追いつけん、早いな、驚いた」

「そうですか・・・・・・・・・・それよりも、任務の内容が」

「聞いてたか?・・・・・嘘じゃないさ、あの鬼の討伐も含まれてる」

黒い男は、近づいてきた側近に話しかけながらも
全軍に指示を出す、指示は声じゃない手振りだ
右手を大きく挙げた、同時に待機していた軍が立ち上がる
右手を振る、二度、そして火柱の方向を指す
軍はそれに従い動き出した

「そうでありましたか」

「そうだ、正式な任務の内容をお前だけに教えてやろう」

軍は先に森へと入った
遅れて、黒い男と側近もそちらへと足を向ける

「勅命、邑を破壊した鬼を殲滅せよ」

「??」

「わからんか?『邑を破壊した』鬼を倒すんだ」

「それは・・・・」

「お前、察しが悪いな、あの邑はな、破壊されるコトが前提なんだよ、続け、急ぐぞ」

黒い影は、さらに深い闇に向かう
黄色い目は、さっきから邑のさらに奥を見つめている

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

どごぉん!

「か、壁がっ!!!」

「だ、ダメじゃ、相手が悪い、前の比じゃないっ、た、たすけてっ!!!」

「静まれ、静まらんかっ!!!!」

禰宜の声が必死に村人をなだめるが
まるで効果が無い、得体の知れない闇は
ずぶずぶ音をたてながら、じわじわと近づいてくる
邑を囲う壁が一瞬にして無くなった
スケールが違う、何か全く別のものだ、バケモノ、これが鬼か
恐怖と戦慄が村人を虜にする、あわてふためき
ほとんどが逃げる、残った若者も手足がまるで動かないだけだ
心は竦み、腰が抜けている

びゅっ!!!!!

ああああああ、あ、あ、ああああ、ああ、ああああ、ああ、あ、あ

「!?」

「静まれ邑の者、見たか、矢が効かぬ相手ではない、攻撃は効くのだ、さぁ今だっ、私に続けっ」

宮司が大きな声で逃げる村人に声をかけた
一本の矢が確かに鬼を貫いた、一瞬遅れて莫大な量の桜の花びらが散った
さらにもう一本弓を絞る、矢が飛ぶ、ずぶりと闇に熔ける
そしてまた、不気味な声が聞こえる、桜が散る、続く
攻撃は確かに効いているのだ

「宮司様・・・・・・流石」

「禰宜、急げ、この時のための鏃(やじり)を総て使え、ともかく射かけろ、トドメは私がなんとかする」

「わかりました・・・・・・・ものどもっ!!!先ほどの武器を取れっ、さぁ急げ、邑に伝わる鬼殺しの武器を取れぇっ!!」

どおぉ、どよめきが音となる
そして一人がすぐに弓をとった、へろへろ、しっかり引き絞らないから大した物ではない
だが、そんな矢ですら闇に吸い込まれると、不気味な声と桜を引き出した

「き、効いとる・・・・・効いとるがやっ!!」

一人でよかった
たった一人の勇気で、衆愚は総て煽動された
次々に放り出した武器を今一度取る、そして一斉に射かける
雨アラレに、黒い矢が降り注ぐ、鏃(やじり)は黒曜石だ

ずがががっががががががっ
幾百の矢がささった、闇はハリネズミのようになり
音が一瞬だけ途絶えた、動きが止まる、いや、下がる
風がどこからか吹いてくる、幾万の花びらが冬と紛う夜に、狂ったように散っていく
下がっていく、その姿がさらに村人を勇気づける、勝てる、勝てそうだと

「・・・・・・・・・・・おかしい」

「どうされました、宮司様」

「動きがおかしい、誘っているのかもしれぬっ」

あ、禰宜の声がけなぞ
気にとめることもなく、矢倉の上から宮司は飛び降りた
調子にのって弓を使う衆愚に突入する
志気があがってる、高揚感がある、だが、宮司は胸騒ぎを感じ取った

「下がれっ、一旦下がれっ」

「なにを宮司様、今、まさにトドメを・・・・」

あああ、ああああ、ああ、あ、あ、あああああああ

声が地鳴りを起こす
やはりか
宮司が印を結んだ、村人達の一番前に出る
目の前は薄紅色のそれが雪のように舞う、いや、円を描いて曼陀羅を作る

「下がれ、私の後ろに下がるのだっ」

ばばばっ
派手に宮司が腕をふるう、装束が風にはためくように躍った
両腕を左右に大きく開く、腕の先から蒼い光が広がった、扇子のようにそれが開く
一枚の壁が宮司を中心に広がった、盾ができた

あああああああああああああああああああ

声しか聞こえなかった
派手な爆発が起きたようだが、村人達にはわからない
宮司の盾で総てが止められた

「・・・・・・・・・なんたる・・・・・・・・・おぞましいっ」

宮司は無傷、装束も乱れてはいない
この男の神通力は生半可ではない
宮司より前の空間、邑の3分の1に相当する土地は、残らず夜になった
それだけの破壊が一瞬で行われた、破壊?わからないが、この世では無い力が放たれた

「ば、ばけもの・・・・・・な、なんだ今のわ・・・・」

「狼狽えるな、奴の攻撃は宮司様が防いでくれる、我らで援護をするのだっ」

おおおお、すぐさま矢をひきしぼる
またいくつもの矢がずぶずぶと刺さる、鬼は蠢く
本当に効いているのか?
村人の中に、そんな疑惑と動揺が走る、しかしそれでも続けるしかない
宮司も矢を射る、一等鋭い一撃が光を放つ
光が鬼の姿を照らす、おぞましい姿は、闇に似合い、凄みを増している

宮司は、まずい事実に気付いた
わざと矢を受けている節があるコト、桜を吐き出す度に形が鮮明になっていく
何か胸騒ぎがする、誘われている感じが未だ抜けない
もう一つ、先の破壊は村人に向けられたのではないコト
盾となり向けられた方向が見えたからわかる
手は邑奥の祠をめがけていた

・・・・・・・この鬼、狙いは、サンか

月の無い夜は、まだ明けない

つぎ

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