斬り


夕餉の時間を楽しく過ごしている
良夫と桜子は、呼ばれるままに大広間で飯を喰う
座には、衣夢と従者8人、そして桜子と良夫
全部で11人だ

上座に、衣夢と客二人、そして下座に従者
そんな具合で腰を下ろしている、宴も半ばだ
良夫は黙って飯を喰らう、その空気、雰囲気は悪くない、不機嫌な顔は相変わらずだが
桜子がモテているおかげで、随分と場は明るい

「いやはや、しかし回復なされて、本当よかった」

「ご迷惑をおかけいたしました」

「本当、ごめんなさい、このバカ男のせいで・・・・・よよよ」

およよ泣きなぞしている小娘を無視して
良夫は衣夢と視線を交わす、ばちり、と音がするように
良夫の業と、衣夢の徳が視線を伝って爆ぜる気がした
ここにきて、良夫は改めて、自分が鬼であると自覚している
先だっての事件もそうだが、衣夢の前に居るとなぜか思う

桜子は人間で、良夫は鬼である現実を

不愉快
そう、酔った頭は判断した、だけど顔にはなるべく出さない
相変わらず衣夢のたおやかな笑顔は、桜子から邪気を取り払っている
気付けば、桜子は笑顔で良夫の焼き魚をぼりぼりと骨ごと貪る
邪気がないと書いて無邪気、自分に正直なだけに悪質な気がする
小魚の一匹や二匹で今更どうこうと、良夫は思わないが
なんとなく、衣夢の前にいる桜子はイメージが違うのを感じる、猫を被っているというか
その動作動作、演技演技がなぜかムカツク

「桜子」

(おだまり、あんたのモノはわたしのもの、わたしのものはわたしのものよ)

ジャイアニズム全開で良夫の機先を征する
無論、小声で誰にも悟られないように、鋭い視線で

「そうでなくて・・・・・」

「なに?」

・・・・・・。
それ以上言葉は続かない、良夫自体言いたいことがわかってない
いや、言おうとしたコトはわかったが、理由がチンケなので戸惑った
「衣夢の前で自分を偽るな」
言う理由が見つからない、言って、本性ならば衣夢が桜子を遠ざけるとか
そんなコトを期待した?そういう気がする、不愉快だ
なんで、こんなに桜子を

「どしたの?お金は心配ないのよ?食べられる内に食べないといけないのよ?」

心配声が良夫を起こす
はっと気付くと、焼き魚に続いて汁物が消えている
桜子を見れば、心配そうな顔をしながら、当たり前に汁をすする
良夫を心配というより、汁が熱いから、そんな顔してるようにしか見えない

「いや、・・・・・汁物はおかわり出来るから、俺のを取るんじゃない」

「ああ、そうか、ごめんごめん」

大丈夫そうだと判断したのか、桜子はまた良夫から興味を無くす
おかわりを頼み、すくりと席を立つ

「?おい」

「雪隠」

からから、ぴし、
障子を抜けて、玄関みたいな音をさせて、桜子が一旦座から消えた
ちなみに、雪隠ってのはトイレのコトだ、女の子のたしなみとして
是非覚えておいて頂きたい(誰だ)
なんとなく取り残されたような感じを受ける、視線を落として漬け物を食べる
衣夢が立った、失礼、と呟いてこいつも席を外した

ぴしゃり、衣夢がふすまを閉めた

「ところで、良夫殿」

「・・・・・・・なにか?」

この宴へ誘ってくれた気のよい顔が声をかけてきた
座は先ほどより和んでいる、同時に良夫も何かリラックスしている
どうやら衣夢が居なくなったせいらしい
従者は緊張するせいか、良夫は生理的に合わないせいか
ともかく、自然良夫の不機嫌顔も弛む
一部、桜子に関する嫉妬の視線を送る従者も可愛く見えてしまう
喋りかけてきた従者と酒を酌み交わす

「いや、なんてことはないんですが、折角なので自己紹介を賜ろうかと」

「ん、、、、、ああ、あんたにか?それとも・・・」

「皆に、よろしくお願いできますか?」

申し訳なさそうに、気のよい顔は言う
断る道理は無い、ただ、少し作る必要がある
もったいぶるようにして、自分の設定を考える

「皆様、本日並びに、ここ数日間、本当にありがとうございました」

座は、静まり、良夫の声に耳を傾ける

「下の出ですので、姓はございません、名の良夫だけでございます、もともと身体が大きいので用心棒を生業としております」

使い慣れない丁寧な言葉遣いで説明をする
一同、特に不審を感じた表情は無い
さて、こっから壮大な俺様伝を聞かせて・・・・・
すい、一人が手を挙げた

「いくつか、質問をよろしいか?」

「ええ・・・・」

折角の作り話を・・・・・・、少々残念に思うが
妙なボロを出すよりはよいと良夫は承諾する

「ああ、そんなに堅くならないでください、ほら、私たちは衣夢様をお守りする者ですので、用心棒の方から是非
心がけや、何かを伺おうと思っておるだけですので、ざっくばらんでお願いします」

気のよい顔はフォローをする
そういうことなら、良夫は少し姿勢を糺す
酩酊、とまでは至らないが、意外とまわっている
きちんと聞くために、意識をそれぞれに集中させる

【臨む時の心構えは?】→

「いや、そんなに難しく考えず、なんつーかな、なりゆきで・・・・」

【兵法の要は?】↓

「経験・・・かなぁ」

【闘いの因は?】→

「感情だろう、むかついたらとか・・・・存外単純だと、思う」

【者としての備えは?】↓

「いや、言っとくけど、俺ぁ桜子の従者じゃねぇから、そういうのはな」

【皆で動く際の要領は?】→

「んあ、集団は陣形だろう」

【陣の心は?】↓

「乱れないように全員の意志統一だろう」

【列か?】→

「だけじゃねぇだろう・・・・って、なんか、会話おかしくな」

【前のように?】↓

「前って、何を言って・・・」

す、8人がそれぞれに言った後
衣夢が戻ってきた、いや、もとから居た?わからない
良夫の目の前には、ぼんやりと光の筋がいくつも並んだ
そういえば、逐一、一人一人が質問の度に、横か縦に1本ずつ
目の前に線を引いていた、なんだ、よくわからない

【行きましょう】→

最後に、衣夢が横に一本線を引いて唱えた
するとどうだろう、8人の従者と衣夢の引いた9本の線が
それぞれ、横、縦、横、縦、横、縦、横、縦、横
交わり格子を作り上げる、光る格子が良夫の目の前に現れる
見とれる、見つめてしまう、動きができない
なんだ?酔った頭が、ようやく警鐘を鳴らす、不可解な格子から
良夫は目を離せない、頭に字が浮かぶ、会話の頭文字が揃う

→、↓、→、↓、→、↓、→、↓、→
臨、兵、闘、者、皆、陣、列、前、行

「これ・・・・九字!!!!まずっ」

「遅い、『臨める兵、闘う者、皆 陣列ねて、前を行く』、初歩だ、鬼よ」

ちぃぃん、リンの音がする、仏じみてる
衣夢の声は、鐘を撞いたように響く、染みる、広がる
宴会場は、空となる、天地左右が不覚となる、良夫の周りは
感じられるだけでは、光しか無い、あまりに眩しいので
何も見えない、浮かぶように、衣夢の姿だけは見える、神々しいまま

「くそっ、いつもながらなんで俺ぁ・・・・」

毎回同じパターンで、同じように危機に陥る
お約束を忘れない男良夫、いや、今はそんな戯れ事を言う時じゃない
一等の危険を感じる、人外の力だ、これはまずい、この九字はハンパな呪術と次元が異なる
ヘタレ法師が使う、早九字なんぞとはわけが違う
束縛の呪詛かのように、格子からは目が離せない、意識も次第にそこへと吸い込まれる
現実とその先と、意識が間で蠢いているのがわかる
その先に連れていかれては、良夫は手も足もでなくなる、その先とはどこか

上界だ

「・・・・・れ、良夫は、寝ちゃったの?」

桜子、声だけ聞こえる
既に魂が、抜け出している証拠か
良夫の本体は眠ったように倒れているらしい

「・・・・そう、じゃ、仕方ないね」

仕方なくない、っていうか、何云ってんだ
何言いくるめられてんだ、こいつは
焦る良夫、必死にこちら側から呼びかける
だが、声は出ていない、暴れたいが身体は動かない
ただただ、9本の光る線が良夫の意識を縛り付けて離さない

しゃんっ、また細い音がした、同時に空間の輝きはさらに増した
9本から意識をようやく離せた
だが、既に良夫は、現世に居ない
感覚的にわかる、魂だけがひきずりだされた、目の前の男によって

「手前・・・・・・・・・ただの僧侶じゃ」

「ですから、僧侶ではないと言ったはずですよ、そのようなものだって」

にこやかな笑顔は、暖かみと慈悲に溢れている
芥子屋を触っただけで改心させた程の、凄まじい徳を備えた男
良夫の業は、今、丸裸でサラされている、自分の姿を見ることはできないが
間違いなく、「子音」の姿になっている
ぐるるる、獣のように食いしばり睨み付ける、いらいらする
ずっと感じていたイライラはこいつのせいだ
鬼殺しじゃない、こいつ、衣夢っ、こいつを気に入らないからっ

「何者なんだ、手前はっ!!!」

「ですから、衣夢ですよ」

細く糸を引いたように、薄い目を明けている
莫迦にしている顔じゃない、だが、見下されたようにしか思えない
それくらい感情に深い溝がある、ぎりっ、いつもの通り奥歯が鳴る
良夫は動こうと努力をする、ぴくりぴくり、指先が動いた
大丈夫、こいつを殺れる

ぞわっ、殺すという概念が体中からしみ出した
良夫のまわりの空気、空間がその言葉で酷く汚れた
狼狽える、自分の出したヨゴレに怯えてしまう
連れてこられた世界は、自分の色がそのまま視覚できる

「・・・・本性は、やはりそうか、鬼よ、お前がこれ以上人間の娘と一緒にいるのは」

「るっせぇっ!!!話勝手に進めてんじゃねぇ、答えろ、お前は」

「衣夢」

「名前は何度も聞いたっ、この痴呆っ」

「イムですよ、カタカナで、ほら、いい加減に悟りなさい」

言葉が乱れた、いや、叱るような調子
イムと呟く度に、衣夢の周りの空気は黄金色に輝く
宝玉を思い浮かべるほど美しく光る
衣夢、イム・・・・・・・・・まさか、

「仏」

「また、遅かった、気付くのが」

ごぉおおおおおおおんんんんんんんん、鐘の音が突然響いた
良夫は思わず耳を塞ぐ、ぐらぐらと脳が揺れる、続けて響く鐘の音
ごおおんんんんんん、おおおおおんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん
永劫続く、安らかな音が良夫をいたぶる、鬼はこれに堪えられない

イライラが募るはずだ、相容れるわけがない相手が目の前に居るんだから、当たり前だ

仏は静かに立っている、音はどこか遠くからやってくるらしい
辺りは輝いているばかりだ、強いて言うならば白いと言おう
だが本来は色ではない、ただ、輝いているだけだ
輝きの中心に、衣夢は立っている

「さて、鬼よ、あの娘から離れなさい」

「よけいなお世話だ、このクソ野郎っ」

「言葉が汚い、あなたの周りが汚れるばかりだ、わからないのか、そのヨゴレが娘に及ぶと」

「それは、ここだけのコトだっ、妙な所に連れてきやがって」

「違うよ、ここはたまたま見えるだけだ、現世でもこれは在る、濁るのだ、わかるだろう、世界が濁っている様は」

ぐぅ、良夫は黙る
いちいちもっともらしい、確かなコトを優しく諭す、気にくわない
人間の欲がこの世界で見えるなら
それこそ、今の良夫を遙かに凌ぐヨゴレが流れているだろう
だが、それは常のもので、良夫が時折流す、今のようなヨゴレとは異なる
もともとあるヨゴレと、良夫の産むヨゴレは根底が異なる
異形が流すものは、ぬぐい取れない
水性絵の具同士ならば混じり合い、新しい色となるが
そこに油絵の具は、混ざることが叶わない、ただ、その色で上塗りするだけだ
良夫は鬼で油絵の具だ、人間で水性絵の具の桜子には影響を、ただ与えるばかりで
変化は無い、押しつけるばかりで息苦しい

ましてそれが、先のように汚い色だったら、なおのこと

「鬼よ、人間と共に在ろうと思うのが間違いだ、消えなさい、今なら娘の記憶はなんとかしよう」

「黙れ、黙れっ、なんでいつもいつも、鬼ばかりがっ、仏がっ、手前がそうし向けるせいで、俺達ぁ」

「お前は、本当に気付くのが遅い、目を背けているのかもしれないな」

「何を」

「喰ったのだろう、娘の魂を、記憶を、辿ってみよ、因果を、娘と居てはならぬ理由を」

ちぃぃぃんんんんんんん、鐘の音に紛れて、リンの音が混じる
16分を打つ拍子で、だが伸びる音は、とこしえ
途絶えることなく、全符を司り
ただただ、空間の色を元に戻す、何もない、空へと還る

良夫の頭、いや、周りの空気に文字がいくつも浮かびあがった
少しして絵のように、記憶が描かれる、桜子の記憶が
閉じこめていた記憶が現れる、桜の散る夜に母親を失った話

「作り話じゃ、なかったのか、やっぱり」

「そうだ、桜を散らす鬼が娘の母を喰った、先のお前のように」

「!」

「娘はあまりのコトに記憶を隠蔽した、人間はとかく便利なものだ、見たものを忘れたことにした」

「・・・・・・・」

「だが、実際は忘れてない、思い出さないようにしているだけだ、いや、だけだった」

「・・・・・・・・」

「鬼よ、お前は喰ってしまった『忘れたことにした』という記憶を」

「・・・だけど、俺はこいつのその封じ込められた記憶ごと喰ったから・・・・」

「そうだ本来なら、それで良いが・・・・・・・・鬼よ、娘の生い立ちを知らないだろう」

「それは」

「生い立ちも同時に封印していたのだ、だが、お前はその封印を食い破った、今に思い出す、娘は本当の生業を」

「本当の?って・・・・・てめぇ、仏だかなんだか知らねぇが、妙に言い含むなっ、安っぽいんだよ、展開が」

それは衣夢のせいじゃない(天の声)
良夫が吼える度に、空間は色を変えて、風を巻く
ぐあらんぐあらんと、やかましく響いては、やがて無くなる
衣夢が小さく訊ねる

「・・・・・・・そんなに、愛しいのか?」

「なっ、ば、馬鹿野郎っ、てめ、な、なに」

「恥ずかしがるな、鬼も生き物だ、そういうものだろう」

「い、い、いけしゃぁしゃぁと、手前は・・・っつうか、どうしてそういう話になんだよっ」

「怯えているだろう、お前は、鬼だと周りに名乗らないのは、娘を思ってじゃなく、娘と居られなくなる可能性を心配してだろう」

「そんなわけあるか、阿呆っ」

「居られる方法を教えてやるよ、お前も人間になればいい」

「・・・・・何を言うかと思えば、くだらねぇ・・・・いちいち頭に来るようなことばかり」

「成れないと思っているね、いいかい、私は仏だよ、わかるかい?」

はぅ、諭す声が良夫の脳味噌を否応なく濯いだ
浄化されたような気分になる、目の前の仏は
あの笑顔で立っている、こいつが仏なのは本当だ、そして仏ならば

人間を仏にし、鬼を人間にできるのかもしれない

渇望が色として自分の周りの空気を塗った
慌てる、この世界では嘘は吐けない
全て色になって、自分が染み出てしまう
衣夢の色は先から変わることがない、ずっと変わっているようでもあるが
玉虫色、るりるりと美しい移ろいを見せている
どれもこれも、汚い色を出すことがない
嘘を吐いてない

「・・・・・・・・・・・俺を人間に」

「そう、お前が人間になれば全ては解決するだろう、そしてあの娘を守ってやれる、婚姻すら望める」

とぅん、とぅん、とぅん
弦を弾くような音がした、琵琶のような音
良夫は戸惑う、迷いの前に仏は現れる、道程を示すため
静かに、その手を差し伸べる、仏の掌は今、目の前にある

人間になれば・・・・・

りぃぃ、りぃぃぃぃ、りぃぃぃい
あいかわらず仏具の奏でるような音だけがしている
良夫の目は望むもの、渇望するものの目になっている
目前にある、レアアイテムを見つけたヲタの顔
そういう顔、欲しい物を望む姿になっている

「俺は・・・・・」

きぃっ

「鬼だから、桜子と一緒に居るんだよ、馬鹿なコト言ってんじゃねぇっ、この偽物がっ、下層を作る権化がっ!!!!」

ぎぃぃぃぃいいいいいいいいいっっっ
良夫が音を鳴らした、初めて良夫から空気が震えた
汚い声、言葉、台詞、だがあふれ出した色はどれも汚れていない
淡くもない、濃くはっきりとして、曲がることのない信念を顕わした

色は不快じゃない、みるみる空間は良夫の色が塗り固める

衣夢が微笑んだ

「そう、それでいい、お前は鬼で、桜子は人間で、それが真実なんだ」

「な、なんだ?」

色は相変わらず広がりを見せ、いくつもの筆がするすると
空に絵を描いていく、塗り替えられるようにして景色が産まれ出す
まだまだ色数が少なく抽象画のようだが、それでも風景を描いている

「お前は、鬼であることを自ら、引け目にしていた、そうじゃない、お前が言った通り全てに上下は無い」

「仏・・・・・」

「いや、上下は在るが、定められたものでもない、そして上が下を蔑んで良いわけでもない、無論、数が全てでもない」

景色ははっきりとしてきた
筆は、さらに仕事を進めている
絵がわかってきた、宴会場の絵だ、事細かに
畳の目までしっかりと再現する

「気を付けてこれからも過ごすがいい、お前が一番よく知ってる、桜子はお前を鬼と思っても・・・」

「いい、うるさい、わかってるから・・・・・・・・・・・・・言わなくて、いい」

さらさらさら、筆が消えた
もともと無かった、絵は現世となった
なんとなくわかった、それぞれ自らが出す色で形を作っているんだ
だから、現世はこんなに鮮やかで、綺麗な絵なのか、綺麗な色を出す奴が居るから
結構、側に

どごぉっ!!!!!

「ぐぉあああっっ」

「あらやだ、強すぎた」

「お、おばちゃん見たいなコト言ってんじゃねぇ、な、何しやが」

「だって、あんた失礼でしょうが、宴会場でいきなり寝たらっ」

案の定の形で起きあがった
いや、戻ってきた、目の前には桜子が馬鹿を見る目つきで良夫を見てる
いつものコトだ、それを見て、従者達が笑っている、これもよくあることだ

「ほら、そろそろたけなわ、寝室で寝なさいよ、で、明日出るわよ」

「お、い、え、お?」

「だーかーらー」

「桜子さん・・・・・・」

脳に染みる声が近づく
良夫は反射的にそちらへ目を向ける
衣夢は何もなかった顔だ、良夫の方を見た

「かなりお呑みになられたようで、私たち、明日ここを発つのです、またご縁があったらお会いしましょう」

言うと従者達が静かに席を立った
どれもこれも、少しにやにやして良夫を見ている
どうも良夫が尻に敷かれていることが面白いという感じがするが
実際は、仏に丸め込まれた鬼という構図が面白いのかもしれない
ヤな奴らだ・・・・・

思ったが、不思議と、不快感は無くなっている

「では、お忘れ無きよう」

は、と声に気を奪われた
もう衣夢は居ない、桜子と二人で残された
桜子も大分酔ってるらしく、相当不自然だったはずの宴会場を
不審とも思っていない、ただ、酷く眠たそうだ

「・・・・・・・・・・・・よーしーおー、ねーむーいー」

「おうおう、わかったわかった、お前の寝室あっち、俺こっち」

テキパキと子供を寝かしつけるように仕向
桜子を部屋へと押しやる、そのまま布団に倒れ込みいびきをかく
ぴしゃりとふすまを閉めて、一人になる、思い返す

「・・・・・・・・・・・るせぇよ、本当、仏ってのは、いちいち説教で気に入らない」

呟いて部屋へと消えた
随分と気持ちよく寝られそうな
そんな夜になった

つぎ

もどる








やらかしてしまった・・・・・・

こういうのは、一番読み手に嫌われると
頭でわかってというか、自分が一番嫌なのに
なんでするかな、自分

そういうわけで、ギャグ分が全く無いという
最低のお話でした、申し訳ございませんm(__)m
ちなみに、このお話はこれの連載を始める時に
一番最初に思いついたエピソードだったんですけども
結果は、まあ・・・・・ふぅ

早九字とか九字については
うちのTOPを新しくした時に思いついたですたい
豆知識としては、今回使った九字は天台宗のもので
孔雀王とかで有名な真言宗の
『臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前』(臨める兵、闘う者、皆 陣烈れて、前に在り)
を使ってないあたり、ヲタくさくてよいんではないでしょうか(にやにや

ともあれ、笑う所が無いのでは
このSS書いてる意味がないので、次回は
もっと軽く、そして、こんな馬鹿みたいな独善を振りかざさないように
頑張りますので、お願いだから、見限らないでください(;´Д`)ハァハァ

長文失礼いたしました