斬り


ふっ

「!!」

やられた
桜子が焦る、辛うじて闇を照らし唯一自分の視界を広げてくれていた焚き火が
一瞬にして消え去った、もの凄い数の蛾が火に飛び込んだらしい
通常なら、ばちばち爆ぜてどうという事がないはずだが
数がことさら多い、異様な臭いがたちこめて
鼻もきかない、いきなりの暗転で目も見えない、耳にはどこで鳴くかわからない小虫の声

「・・・・・・・・・・・」

流石に黙っている、だが戸惑っている暇はない
もの凄いスピードで色々考える、今しないといけないことは
余裕の表情を作ること
相当焦っているが、ここは我慢の所
おそらく相手には見えているのだろう
ここで、さも闇にも目が利くと思わせれば少しは有利になる
ハッタリをかますのだ、こういう時、妙に知恵が働く

「・・・・・はっ、闇にしたらあたしから見えないと思ってて?とっくに露見しててよ?」

なぜお蝶婦人調なのかわからないが
若干の狼狽から、思わず口を衝いて上の台詞が出た
相変わらず人を見下した笑顔を携えて
余裕たっぷりに構え直す

「蠱使いだか、なんだか知らないけど、お笑いね、叩き斬られたくなかったら大人しく立ち去りな」

「・・・・み、見逃してくれる?」

「うあっ!!!!」

いきなり返事が返ってきた
驚きまくる桜子、おどおどした様子からして
ハッタリが相当効いているらしい、い、いけない、ここで驚いたらハッタリだとバレる

「そ、そうね・・・・本当は八つ裂きにした上に琵琶湖に棄ててブラックバスのエサだけども見逃すわ」

「今、驚いた?」

「な、な、なわけないじゃない、バカ言うんじゃないわよ、殺されたいのね、死にたいのね、この世に未練は亡いのね」

矢継ぎ早に言葉を畳みかける
桜子の焦りはホンモノだ、どうも台詞にゆとりが無くなってきた
声はしたが、どこからなのか皆目見当もつかない
しかしそれを悟られてはいけない、桜子が最大に脳を働かせる
今、さも見えているように演技するためには

「ふん、怯えているね」

「な、なんでわかった」

「表情に出てるのよ、おまけに足が短いわね」

「よ、よけいなお世話だ」

「好いことを教えてあげるわ、私は鬼斬り、鬼斬り桜子・・・・鬼を斬った豪傑よ」

「う、嘘をつくな」

「ははん、嘘だと思うならその刀を抜いてかかってらっしゃい」

「なっ、なんで俺が刀を隠してるってわかったんだっ」

「ふ、ふふ、鬼斬りよ、当然じゃない、見えてるのよ」

「・・・・・・・・・・・・ぬぅ」

「さ、そんな顔じゃ、先が見えてる、さっさとどっか消えな、でないと」

すんっ

「こうなるよ」

さっきまでの事で覚えていた、確かこのアタリに枝があったはず
それめがけて刀をとりあえず振り回してみた
幸い手応えもあった、ぱさりと落ちる音からして、かなりの効果だろう
端から見たら、絶対に全てが見えているようにしか見えない
大体誰にも当てはまりそうな事を、さも言い当てたようにして云う
詐欺師というか、占い師と同じ手法だが、幸い相手は術中だ

「・・・・・・だ、だけど」

「あ?まだ云うか?死にたいか?」

ここが勝負所だ
桜子が最後の賭に出る、居合いの構えを見せる
そして殺気を全方向に垂れ流す
これでどこに居ても斬られると錯覚するはず
ちなみに、桜子は居合いなんぞできない、ハッタリ極まる

「ま、待てお、落ち着け・・・・・・は、話せばわかる」

「だから、さっきから譲歩してやってんじゃない、ぶっ飛ばすわよ、このとーへんぼく
ブサイクな顔して突っ立ってるくらいなら、さっさと尻をまくって逃げなっ」

「ぶ、ブサイクとか云うなっ、き、気にしてんだっ」

「わたしはそれがイヤだから、あんたの方を見てないのよ、見えてないからじゃないのよ
断じて違うわ、あんたが短足でブサイクだから背けてんのよ、ふざけんじゃないわよ
さっさと私の視界から消えてなくなりなさいっ」

「・・・・・・・・・背けてる?・・・・・見えてない?」

「なな、な、何云うの、見えてるって云ってんでしょっ」

「だって、さっきから俺は目の前に・・・・・・・・・・・・・ハッタリかよっ」

まずい
桜子は思う、まさか目の前に居るとは・・・
予想外の展開に狼狽える、流石に表情(かお)にでた
これ以上は隠せない

「て、てめぇ、ハッタリで散々人の事、ブサイクとか短足とか、眉毛が太いとかイイやがったな」

「いや、眉毛は言ってな・・・」

「るせぇっ、俺様をたばかった罪は重いぜ、鬼斬りだかなんだか知らねぇが、蠱使い百平 方米(ひゃくひら ほうまい)様が葬ってくれる」

「あ?十分の一反?」

「一言たりとも言ってねぇっ」

方米が叫ぶ、そして刀を抜いたらしい、桜子からは相変わらず見えない、音だけで解る
怒り狂ったらしい声は桜子に危険を告げる
こうなっては由もない、桜子もすぐさま刀を抜き放ち、とりあえず振り回す
そして、溢れるばかりの奇声を発する

けぇえええええええええええっっっっっっ

ぇぇぇぇぇぇ・・・・・・

「桜子?」

「どうした、良夫さん・・・・いや、そもそも、桜子さんを呼び捨てにするな」

随分離れた所だ
良夫がその声を聞き取った
宿屋は聞こえなかったのか、急に桜子の名前を呟いた良夫に
あからさまな不信感を抱いている、言葉に殺傷能力が秘められている

「いや、・・・・・今、桜子の悲鳴というか、奇声が」

「だから呼び捨てに・・!・・・・火が消えてる・・・・・・まずい、何かあったんじゃないのか」

宿屋がさきほどまであったはずの方向を見る
しかし、言う如く真っ暗闇のままだ
おまけに随分と静かになっている
異変と考えて相違ない

「くそっ、無闇に離れすぎたっ」

叫ぶ良夫、しかしすぐに足を止める
そして目をやや細めて、じっと目の前を見定める
敵だ、何かわからないが敵が居る

「・・・・・・なんだ?」

良夫の目でも認められない
何か得体の知れない生き物が居る
呼吸の音が無い、いや、何か空気が漏れているような音
こしゅー、こしゅーと規則正しい不可解な音だけは聞こえる
真っ暗な中、どうやらそいつは黒い、闇のような体色らしい

「蠱・・・・・・・か・・・・・・・・」

ぎゅ、地面を踏みしめる
良夫が構える、相手がうっすらとだけ闇に浮かぶ
光沢があるような、それでいていかめつい

「か、カブトムシ?」

カタカナで言うあたり、なかなか昆虫というのを解っている良夫だが
そんな事はどうでもよい、あからさまに小学生に大人気なフォルムが見える
ただデカイ、普通のカブトムシなら何一つ怖くないのだが
暗闇でよく見えないが、ロバくらいの大きさだ、良夫は思う

「中途半端な大きさしやがって・・・・・・・」

熊くらいあったら凄さが伝わったろうに・・・・・
そこまで思ったが、いかんよ、あのストロンガーのような角
黒光りする体色、体重の20倍をものともしない力
体格がロバ並だから、単純にロバ20頭を持ち上げるパワーがあるわけだ
熊ほどあったら、多分、地球上で最強だ

ぎぃぎぃぎぃぎぃ

鳴いているらしい、なんか妙にやばい感じがする
気のせいか?良夫の本能が鳴らすシグナルに激しく動揺する
やや後ずさりする、鬼の力を全開にしたい所だが
宿屋が居るので、はばかれる

「・・・・・・・・・・・・・・・いいよ、良夫さん、本気出しな」

「は?」

「いいんだ、あんた人間じゃないんだろう、何かわからないが、それでとっちめてやってくれ」

「な、なにをいっているのかねきみわ」

「平仮名で喋るな、白状しておこう、僕も人間じゃない」

「???」

急展開だ、素晴らしいご都合により
唐突に宿屋が怖い事を言う、人間じゃないて・・・・、悪びれた風はない
そして騙していたという感じでもない
淡々と続ける、夜目の効く不思議な男はなおも続ける

「僕は妖怪だ、気付いてなかったのは幸いだけども、水が苦手なんだけども」

すぅ・・・・・

なんの音だろう、良夫にはわからない
闇夜に紛れて、突然宿屋の気配は大きく様変わりした
狼狽を禁じ得ない、気配が変わった?違う、気配が消えた
足音が、心音が、息づかいが
なぜかどれ一つとして消えてなくなった

「や、宿屋?」

「・・・・・ここは頼むよ、桜子さんは僕が助ける」

声だけはしていた、しかしすぐに遠ざかっていった
目の前のカブトムシも気付いていないらしい
恐ろしいほど静かに、誰にも悟られない仕草で、闇の中で
宿屋が消えた

「・・・・・・・・・・ま、いいか、とりあえずだ」

ぎゅんっ
良夫がようやく自分を顕わす、鬼の力を少しずつ解放する
カブトムシがやや気圧されたのが充分にわかる
所詮蠱だ、生物の長者たる、鬼の恐ろしさは
下等な生物だけにわかるようだ、ゆっくりじっくり

力比べだってしてやるよ

桜子のピンチになぜか焦る気持ちを携えて
鬼降臨、ぎちぎちぎちぎちぎちっ、蠱の声が激しくなる、カブトムシが啼く
角をゆっくりと下げてきた

++++

「ぅあらぁっ!!!!!」

ぶぅんっ、刀の音がする野営地、ともかく立ち止まることなく
ひたすら刀を振り回しまくる桜子、見えない以上
近寄らせないようにする、それだけを目標にして当てずっぽうとかいう次元を
ゆうに飛び越えて、ともかく暴れ回る、空を斬る刀の音だけが全てだ

ぶんぶんぶんぶんぶんっ

「・・・・・・・・・・・・・・」

「おい、何してるお前」

「うわぁっ!!!!み、見つかった」

素っ頓狂な声
桜子から随分離れた所で、男の声が二つした

「!?なに?だれ?」

振り回される剣の音だけだった世界に、一つ、そして二つ目と邪魔が入った
しゅぼっ、大きな音がして火が起きた
ぼぅっと照らされて、宿屋が見える
火は宿屋が出したらしい、桜子がじっと目を細めると
暗がりに浮かぶ、もう一人の見知らぬ男

「あああっ、眉毛が太くて足短い、ブサイクっ!!!」

「大声で言うなっっ!!!!」

思わず吠え返してきた、どうやらそれが件の蠱使いらしい
桜子がぶんぶんと、相手の所在が解らないのに刀を振り回している間に
まんまと荷物に手をかけていたようだ
闇に紛れて車上ドロみたいなマネをしていたらしい、姑息だ

「くそっ、このアホ女がすっかりかんかり騙されて、踊り狂ってたっつうのに・・・・」

「だ、誰がアホじゃ、このブサイクっ、ブサイクっ」

「に、二回も言うなっ、アホ、バカ、のーたりんの、こんちきっ」

低脳同士のステキな口げんかになりそうだったが、やや蠱使いが上回った
方米が何か呻くと、また何百万の蛾が集結しだしたのだ
宿屋がつけた火がまた消える、今回は
消した後も、何万と蛾が生き残っているらしい
あたりをばさばさと、羽音をこすらせて飛び交っている

「ぃ、ぃやぁあああっっ、き、キモっ、蛾とか嫌いなのよ、ちょ、き、キモっっ」

「・・・・・・・・キモいとかちょっと気になるが、まぁともかく荷物さえ頂けば俺ぁ、命は取らねぇ、這い蹲ってな」

「ぎゃあああああっっ寄るな、羽虫っ、羽虫っ、モスラっ、蛾次郎」

「いや、蛾次郎て・・・・」

弱いつっこみを入れるが、気を取り直して蠱使いが腕を大きく振った
それに合わせるよう更に大量の蛾が集まってきた、どういう細工かさっぱりわからないが
闇の中を飛び交う蛾の大群なんてのは、ちょっと本気で気持ち悪い
桜子はすっかりパニックだ、宿屋は?

ごぅおおおおおっっっっ!!!!!!

疑問そして轟音と同時、爆炎が上がった
突然、吹き上がる火炎が、ことごとく飛び交う蛾を焼き殺した
再び火がついて、闇が照らされる
キツネ火が、ぼう、ぼう、と野営地を囲むように広がった

「・・・・・・・夜盗、荷物置いてとっとと消えろ、小細工はこれ以上通用しない」

「だれがハスモンだ・・・・・っつうか、お前何者だ」

ちなみにハスモンヨトウの事な<ハスモン=夜盗
それはさておき、火の中央、宿屋が立っている
火は、彼から起きた、ことのほか明るい、宿屋が言う

「人間ぶぜいが、たかだかムシケラを指揮できるからっていい気になるな」

「・・・・ムシケラとか言うんじゃねぇ、こいつらにもちゃんと一匹一匹名前があんだよっ、まずオケラに謝れ!」

オケラをバカにした台詞に対して蠱使いが怒り狂ったらしい
わけわからん理由だが、それに呼応するよう、また幾千の小蠱が集まってきた
今度は蛾じゃない、甲虫の類らしい、ぎちぎちと、独特の不気味な音をたてて
わらわら集まる、やがて一斉に羽根を広げ、宿屋に飛びかかる
通常なら驚くというか、生理的に受け付けないような絵ヅラだ、ここでたいがいの人間は怯む
だが、宿屋の表情は変わらない

「まだ、解らないのか?差がありすぎるんだよ」

台詞の後、また炎が舞い上がった
ごうごうと空気を焼き、飛びかかる蠱という蠱を、ことごとく焼き落とす
ばちばちと爆ぜる音、炎は宿屋の口から漏れている
炎を噴いている、噴き出された炎は取り巻くようにして、どんどんと量を増している
膨れ上がる炎、まるで獣だ、流石に気圧された如く蠱使いが思わず口にする

「・・・・だ、大道芸の方ですか?」

「それが、お前の辞世の句だっ!!!!」

もっと気の利いた事を言うべきだった
蠱使いがそう思ったかどうかは、今となってはわからない
一瞬にして、突如現れた動物に飛びかかられていた
何十匹という黒い生き物、それが一斉に蠱使いを食い散らそうとしている、宿屋が纏う炎は
その様子をことさら地獄絵図の如く見せている、ゆらゆらとした光りに蠢く
いくつかの黒い影、呆気にとられている、桜子

「え・・・と・・・・・・ん、猫?」

桜子の周り、いや
宿屋の周りに数十匹の猫が集まっている
よく見てみれば、蠱使いに飛びかかっているのも猫だ
相変わらず炎は空中を彷徨っていて、ゆらゆらと姿を照らしている
宿屋が桜子の方を見る、目が妙に円い

「・・・・・や、宿屋さん?」

「ああ・・・・・黙ってましたが、僕、猫又なんですよ」

言葉が終わると
どこに隠していたのか、シッポがぽそ、ぽそ、と2本地面を撫でた
人間の形のままだが、目つきが尾が猫のそれになっている
姿だけが、あくまで人間、だけどすっかり猫になってる

「ね、ねこまた?」

「ええ・・・・・・・・日頃油というか、着火性のある液体を舐めてるせいで、火を吐けるんですよ」

にこり、笑う
一応裏設定で、彼はウォトカが好きな好青年だ、油の代わりにぐびぐび飲んでいる
体内にそれを溜めているのか、口から火を噴くらしい
なるほど妖怪猫又なんだからまぁ、火ぃくらい吐くだろうと
結構余裕を見せようと努力する桜子

「ふふん、夜目が利くのもガテンがいったわ・・・・・まぁ、あたしが居たからあんた追いつけたんだけどね」

無理があるが、とりあえず自分が一番偉くないと我慢ならない性分
桜子はべらべら並べ立てて、最終的に捕まえたのが自分とするため
そいつに近づく、しかし猫がたかっているのは奴じゃない
奴のヌケガラ?・・・・ともかく、中身が居ない
まんまと逃げられている

「居ない?」

猫又が静かに呟いた、不審を瞳に宿した
確実に捕まえたと思ったのに、今、下僕の猫がたかっているのは
何かわからない、空蝉(うつせみ)だ、人の食い散らかしじゃない

「き、今日の所はこれくらいで勘弁しておいてやる、縁があったらまたどっかでな・・・・・・、とりあえず1箱貰ったし」

「なっ!!か、返せバカ野郎っ、てめぇ、猫に襲われてすっかりやられたヘタレのくせに、何生意気なことしてんのよっ」

「う、うるさいわっこの小娘っ、次に会う時にゃぁ、お前みたいに胸の無い奴ぁ生きてる価値が無ぇって正面切って」

「はんっ、足短いブサイク男なんざ、モテやしねぇって言い返してやるわよ、っていうか言いふらしてやるわよ、都で、今から行くし」

「だから、何度も言うんじゃ・・・・・・・・まぁいい、あばよっ」

ざさっ
音だけがした、葉が空からはらはら落ちてきた
知らない内に木の上へと逃げていたらしい
結局よく姿を見ることなく逃げられた、まぁブサイクなんだろう
荷物を見るとなるほど確かに1箱無くなっている
桜子、宣言する

「ま、上々かな?1箱で済んだなんて、あたしじゃなきゃどうなってたか」

「そうでございますな、幸い盗られたのは偽物ですし」

「ぅうわっ・・・・・あんた、今までどこに」

「いえいえ、あまりの怖さに荷車の下でぶるぶると・・・」

いきなり現れて、相変わらずのにこにこ笑顔で心配そうに箱を見ている
おっさん、本当はすげぇ強ぇんじゃねぇのか?疑問も浮かぶが
とりあえず一段落した、夜盗も様子からして二度目の襲撃は無いだろう
済んでしまうと、急に緊張がほぐれたのか
桜子が大きなあくびをする

「・・・・・ん、とりあえず終わったし、今日終了、お休み、邪魔したら殺す、かいさん」

言う、終わるか否かのうちに
素早く寝床を確保して、ぐっすりと就寝した、相変わらず早い
既にいびきがきこえ、寝言で良夫斬らせろ、などと呟いている
続くようにして、宿屋と芥子屋も眠ることにした

「いや、猫又だったとは・・・・・・今度、大阪の町で屋敷燃やしてみませんか?」

「いや、笑顔で何言い出すんですか、あなた」

「いやいやいや、冗談ですよ、商売敵を炎に葬って、私がボロ儲けなんて、一つも考えてないですよ、さ、寝ましょう」

ほっほっほ、たおやかな笑いを交えて
ゆっくりと芥子屋も横になった
猫又だと知られて、こんなに普通に接して貰ったことがついぞ無い
戸惑いを覚えざるを得ないが、ばたばたしてたからだろうと思う宿屋

「・・・・・・・・ありがとう」

呟くと、気配は既になかった
気を使うというよりは、自分が傷つかないために
それまでの経験から当然の行動に出た
宿屋は一行からするすると離れていった
誰にも気付かれず
たった独りになるため

すがら、猫が何匹か彼を慕っていた、月の無い夜に熔けてなくなる

・・・・・・・・・・・

その頃、良夫はカブトムシと、凄まじい戦闘を繰り広げ、明け方頃にようやく決着
行数の関係上、また、相手もカブトムシだから地味だしってことで省略

最終的に小さい角を掴んで、良夫が勝った事だけ記しておく(カブトムシ捕獲の常識)

つぎ

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