Ost.
Die Sonne geht im Osten auf.
罪状?
神の代理である聖王に近づく
女という悪しき性の生き物
その性質により、決して、神官と騎士と王とに近づくことが赦されぬ
愚かな生き物
そうでありながら、その全てに近づき
その全ての耳元で等しく囁いた
悪魔の言葉を呟いた
女は悪しき物
さればこそ
サロンに閉じこめ囲い込み
その魔性を外へと漏らさぬように仕組むのだ
全ては神の御為
全ては神に従う為
下手な歌だと思う
吟遊詩人と嘘を言った、ジプシーとも言えぬ
愚か者が、デハンに訪れてそう謳ったと言う
大きな声で、すぐに、殺されるとわかっていたのか
そうでもなかったのか
死んだ彼からは、もう聞くことができない
彼は生業をまっとうし、不幸にも、この街に落ちたばかりに
天に召された
あまたの命が、そう消えてきた
「では、始めよう、ローザヴィ殿、よろしいな」
ローザヴィは沈黙をもって答える
この場では、返答も、反論も、弁解も
どれもこれも、おおよそ保証されるべき権利の類は
一つとしてここには用意されない
ただ、ローザヴィは気を失わないように、そして、辛さに倒れることがないように
心持ちを強くして、その場に、凛々しく立ち続ける
それしかないのだ
金融公は、少しだけ、冷たい笑顔を浮かべて
ことと次第を説明していく
おおよそが、当たっている、悪意のあるいいざまだが
実際、そうなのだ
デハンにカインが雇われ、9区に攻撃をしかける頃には既に
ローザヴィの姿はサロンで見かけられていた
というよりも、サロンでしか見られなかった
武偏の夫を支える妻は、そうすることで、政に触れることで
二人の愛を長らえさせていた
ローザヴィがサロンでしたことは少ない
3人の女性と友達になった
たったそれだけでしかない
だが、そのたったそれだけで
「サロンにはびこり、聖王に近づいたこと、違いないな」
2日ほどだろうか、通い詰めて、そのグループと噂とを
上手にかぎ分けたローザヴィは、騎士夫人という麗しい渾名を手に入れることで
第1段階を完了させていた、すなわちサロンでのデビューを上々に飾ったのだ
そのうえで、3人を選んだ
その3人が、暗にしてサロンの主であり、それぞれが
サモン神官、ないし、聖王と、なんらかの契りがある人物
それらを選定し、自然、近づいた
当然、そのような地位に落ち着いたサロンの女王達だ
あざとければ、軽蔑はおろか、その身命を脅かすそれらになる
ローザヴィは賢い、そして、なによりも勇敢だった
その物言いと、その物腰と、全てを飽和する美しい笑顔
それらによって、とうとう、籠絡とは言わない
そのサロンの三女に並ぶだけの器量を認めさせていった
ここが、金融公の言う「賤しくも忍び込んだ」とは違う
正式には「堂々と正面から上がり込んだ」のだ
「聖王との謁見はさておき、その後、何度も非公式で会したこと、間違いあるまい」
認めさせた器量は、デハンの為になると、三人の女は思ったのだろう
ローザヴィは多くの治世や政治についての含蓄があり
それらを、夢語りにし、また、人恋のそれらと交えて話すことで
好感を得ていた、智恵のある女は智恵が彩られた物語が好きだ
その智恵には、私しか気付かない、そう思えるような
些細な粉飾がとても好きでしかたがない
ローザヴィのそれは、まさにそれだった
すぐにその知性が、また、知識が王の耳に流れた
だからこそ招聘され、かの短い謁見を経た
無論、謁見のみで終わらず、その場で知嚢となるべく口約束すら
かわされるようなほどであった
それを遺憾なく発揮していた
何のためにそうしたかと訊ねられたら
「夫と己の保身のため」
とも答えられる、だが、いいざまを変えれば
「夫と己の才を発揮するため」
公式の謁見後、王とまみえたのは、わずかに3度
そもそも戦時に突入しており
また、日にちがほとんど経過していない
この数字は少ないわけじゃない、むしろ
頻繁に会っていたと思うだろう、他人が不審に思うほどでもあろう
「その間、悪魔のささやきにより、この戦の趨勢、大きく悪化させた」
それは違う
ローザヴィは、ようやく瞳でのみ反乱を見せた
弱々しいものだ、他愛もないものだ、可愛らしいものだ
金融公はそれを黙殺する
そこだけはでっちあげだと、強くローザヴィは念じる
居合わせる神官の幾人かは、その静かだった女性が起こした
一瞬の炎、それを見て、真実、ローザヴィの言い分を悟った様子だが
それは、この場で、意味をもたない、満足感という
目に見えないものだけが残り、その実、何一つ現実社会に貢献しない
ローザヴィの心の慰みものだ、しかも、慰めきれない
あなた方が、そんな仲違いをしているからじゃないか
悪化の原因を語れと言われれば、そう言うだけの強い想いがある
サモンという組織が200年目をして、とうとう
その弱点をさらけ出している
サモン神官組織はデハンの歴史のそれと同意だ
議会制を取り入れたのは、実に賢いことだったろう、祖王は
類い希な政治観の持ち主だったに違いない
バンダーウは、君主制を布いた、だからこそ君主が愚鈍であれば
また、一部が力を持ちすぎれば、破綻が見えることが明らかだった
この200年の間に、そのほころびを撃てるはずだった
ところが
もくろみははずれ、産まれ出づる教祖は常に優れていた
それゆえバンダーウは最高の繁栄を続けた
尋常あり得ない、確率で見ても5代続いて優れた君主が出るなど
誰が想定できよう、デハンの祖王はそこを見誤っていたのだ
翻って、デハンは
200年によって、議会制は派閥という悪しき風習を生み出した
その結果が、このざまだ、200年かかってデハンが産んだものは
ちっぽけな、治安公派と、金融公派の二つの派閥だ
しかも、救いようがないことに、競い合う二党ではなく、競食しあう敵対感情
その互い、狙う様を
シヴァに利用されているというのに・・・
この言葉は、スビエ王の心の声だ
ローザヴィを使い、また、兄、治安公が残した諜報から探り得た
シヴァと金融公の内通
それにより、完全な弱体化をさらけ出した
戦争は負けるだろう、もっとも引き分けの和議を持ち寄られるだろうが
その後、この組織ではもう対抗できうるだけの体力を回復できまい
見誤りました、兄さん
うつむいたまま、スビエ王は、己の爪牙となったがため
この事態に巻き込まれた、哀れな賢い女性を見ることすらできないでいる
金融公の顔は、少し笑みのようなものをたたえたまま
この時を、つくつく、次へと進めていく
思惑通り、これで王を失脚させるも、そのまま据え置いても
デハンをものにすることができる
医術公は黙って、少し暗がりに立っている
聖騎士の彼は、この策を聞き、大きく狼狽し悩んだ
彼もまた、武威公と同じく、騎士の誇りとデハンへの忠誠で生きている
その二つ、どちらにも背くことになる
張り裂けそうになるが、その大喝しようと思う口の前に金融公が蓋をした
講和の後、西方と組んで
もう一度立て直す、その為の一時撤退だ
バンダーウに勝つためには仕方のないことだ
奴らと同じ組織を作る
後から作ることは模倣でもあるが、改良されることでもある
後出しの方が優れたものになるのは当たり前なのだ
金融公、医術公の思うところはそれだ
早期の決着、緊張した状態からの脱出
再起への時を稼ぐ
ただ、それをするために、治安公が邪魔だと思ったのだろう
私怨もあろう
同じ女に惚れるなんてのも
デハン最大の失敗は、議会制にしながら、
その力を最大に発揮できる議会を持てなかったことだ
ローザヴィは睨むでもなく、時を待つ
夫に伝えたかった言葉を胸に、じっと
戦争は終わります、だから必ず、生きて
外交は血の流れぬ戦争だそうだ
ローザヴィはその外交の部分を知っている
治安公派の調略の完了を
☆
「シヴァ様、ど、どちらへ」
「よい、共はいらぬ」
それは質問に対する答えではない
シヴァ本人もわかっていて言っているのだろう
宰相二人は慌てる、止めようとするがきかない
すたりすたり、歩く先は、まだ絶対安静を約束せねばならぬ
神の腕のところ
後ろを、従者がついていく
お使いから帰ってきて、すぐのことだ
ついていくことを赦され、おちおちと、その背中をおっていく
先に戦争の宰相が眠ることを知っている
また、奇蹟を起こすのだと信じている、嬉しそうな瞳でついていく
表情はそのままだが、瞳は喜んでいる
神の力に、すっかり馴染んでいる
その顔に天使のような微笑みが浮かんでいる
ぱたり
扉が閉じられ、その外に待たされる
そこでは門番のように、偉そうだが、かわいげのある
その様子でじっと立っている
後ろから追いかけてきた宰相に、礼を尽くすが
決してそこを譲らないでおく
「どくのだ」
「なりません、赦されておられません」
「そうも言っておれん、どくのだ」
大人の宰相が、そんな言葉だけでしか
この子供を叱責することができない
手を触れることはできない
教義を逆手に取られたかのように、歯痒いそれだが
しかし、守らなくてはならない
他の衆目もある
かなりの数の信者がここを見ている
中に英雄が寝ているのだから当然だろう、そのために
祈りを捧げに来ている敬虔な信者も数多くいる
その前で、神の従者に触ることはできない、教祖の従者は神の使いの一つなのだ
「お前は、わかっていない、中でどうなっているか」
「何を、シヴァ様は奇蹟を起こされるのです、大丈夫です宰相様、私は見ましたから」
「そうではない、お前が思うこととは違う奇蹟が起きてしまうのだ」
「いえ、違いません、手をかざしたら、怪我が治るのですよ、その力できっと」
全ての期待に満ちた笑顔
宰相は焦る、そうではないのだ
そうであったら、どんなによいのか
奇蹟は残酷だ
「大丈夫です、シヴァ様も言っておられました、宰相達の期待にこたえねばならぬと」
「そ、のようなことを」
言われて、もう、下がるしか浮かばなかった
いや、ここから一刻も早く離れなくてはならない
離れて、己の部屋で、耳と目とを塞ぎ
しばらくの闇を楽しむしかない
そこに逃げ込むしかないと思った
武力に、全ての生き様を捧げる
かの宰相と、この二人の宰相は圧倒的に違う
二人は脅え、逃げることを知っている
だから、生き残ることになる
それらの怯懦と引き替えに手に入れた知能で
シヴァのこれからを、少しだけ予見できている
彼らの思惑とは大きく異なった
この数時間くらいで、その大きさを知り
既に運命に振り落とされたというべきか
ひきずられるしかないと悟った
「目よ、我々は間違えたのであろうか」
「そうではない耳よ、お前の情報は間違いがなかった、間違えたのは私の策だ」
「そうだろうか、我々はやはり、無理だとわかりながらも、腕を、腕のために策を練るべきだったのだろうか」
「言うな、もう済んでいる、それにこの資源と、奴らの充実ぶりを見て、無理だとわかっていただろう」
この一週間ほどだろうか、もっと短いだろうか
決戦が始まる少し前まで遡る
三宰相での会談、それぞれの思惑の違い
それぞれ、ではない
腕の宰相と、この二人との違い
腕の宰相はあくまで強攻策を訴えていた
それをなんとかするためと「欺いて」用意したのが
経済「目」の宰相の提案による、今回の工事を施しての博打
これを「耳」が提案したように見せた
負けを見せたところで、一気に叩き潰す、偽りの撤退からの反撃
その実、この二人で念入りにもう一つの策を考えていた
というか、もともと無理がある策なのだ
全面工事するだけの費用も時間もなく、敵の動きが妖しくなっていた
斥候を放ち、妖しい動きをしてくるところまでは掴んでいたが
結局、それがなんなのか、それを敵将「治安公」は漏らさなかった
だから、時と食糧とを手に入れるため、港を襲う策を同時展開させることにした
囲い込んでいる間に港を取れば、敵は窮する
こちらも一時的に備えられる、そこで、和睦ができる
バンダーウ優勢ではあったが、やがて貧窮するのは目に見えていた
それでも、和睦は腕の宰相が赦さないだろう
それは会合でわかっていた
ならば
「我々は、間違えたのだろうか」
「いや、バンダーウの、神の思し召しなのだ、我らが浮かべたそれは、当然だったのだ・・・・」
「そうだろうか、そうなのだろうか、腕は、それでもバンダーウの為では・・・」
「力を過信したことは、罪だったのだ」
この無茶な作戦によって
彼らは、腕の宰相が戦死するとふんでいた
ところが
生きて帰ってきた
「シヴァ様は、恐ろしい」
「そうだ、結局は、我々、躍らされていただけなのだ」
「一縷でも、シヴァ様をないがしろ、いや、教団やバンダーウのことよりも己の才などと勘違いをしてしまったばかりに」
「我々は、今を迎えたのだ、改めねばならない、あの童子のように澄んだ瞳を思い出さなくてはならない」
黙る二人
今回の作戦で、耳の宰相をして手に入れられなかった
敵の攻撃情報を、シヴァは手に入れていた
それにより、エリートバンダーウの投入先が決定された
ここで彼ら二人は、腕の宰相にそれを告げるべきか迷った
その情報さえあれば、彼を殺さずに勝つことができる
望むべく完勝が手に入る可能性が高まる
彼らは告げなかった
告げないことで、バンダーウ教の攻撃が、いよいよ
その囲い込みであるという偽装をまとわせ
先に立てた作戦の完成を強固にした
「腕の宰相と引き替えの引き分け」と「奇襲を破ることでの完勝」
天秤にかけて、前者を取った
何もおかしくない
計算高い、耳と目の宰相は、より確実なほうをとったにすぎない
いや、合わせたというべきだろう
「腕の宰相の命と引き替えにより奇襲破りを確実に成功させる」
そんな作戦にしたのだ
全てはバンダーウの為に、骨身とならん
二人は目をつぶり、同時にそう頭で唱えた
その直後、
大勢の人間の嘆息、そして、おびただしい慟哭が木霊した
シヴァが部屋から出たのだろう
そして、その口から告げたのだろう
童子はどのような顔をしただろう
全ては誰が悪いのか
神の創り得たものは、あまりにも残酷だ
二人の宰相は耳を塞ぐ、そしてうずくまる
神の斧
神の腕
戦の宰相
英雄逝去の報が東ツィーゲル宮を揺さぶった
☆
「退去を勧めるだけでは、残念ながら償えるものではありません」
金融公がようやく本題に入った
いよいよ、判決、そして即刻、罰が降りる
ローザヴィは、ただ黙って立ち続けた
ろうそくの炎のように、ゆらめくような仕草が
時折見られたが、ついに途中で退席することなく
この重圧のなか、規定時間ぎりぎりまで、立ち続けた
そのおかげで、長い時を過ごすこととなった
思いの外やるものだ、短期間でこれだけの罪を犯しただけはあるな
金融公は、少し、気丈な夫人に驚いている
かなりの悪し様、なによりも、この空気に
女の身持ちで耐えうることができるとは
よほどの強さを持っている
惜しい
とまでは思わないが、金融公自身の選択が間違っていなかったことを
より強く感じさせる程度のことだ
情報のとりあいとなっていた
既に、自分がバンダーウと別の和議を望むための下準備を進めていることが
スビエ王側に漏れだしていた、少々早いこととなったが
治安公をともかく消すこと、これにつくしたことが予想以上にうまくはまり
騎士隊、傭兵、武威公をここから、排出することに成功したのだ
スビエ王が、慌てて何かをしていた様子だが
この女を止めておけば、チェックメイト
我々の方が一手早かった
「では、そなたに罪があるか否か、それは神に定めていただく」
罪状を述べた後、判決は神の采配に委ねられる
方法は簡単、容疑者を吊すなり、焼くなり、刺すなりして
生き残れば無罪、死ねば有罪
そういう単純なことをやる
今まで、無罪だったものは居ない、そういうものだ
それを施す道具が、合図とともに入ってくる
がらり、扉が開いた
ざわ、サモンの会議室が少し揺れた
そういうざわめきが起きた
「?なんだ」
金融公が振り返る
そこに、予定していた道具は一つも見えない
ただ、デハンの旗に包まれた物が運び込まれてきた
一同がどよめく
その金融公の狼狽を、見ているしかできない王は敏感に見て取った
風向きが変わる
「何をしている、貴様」
「は、申し訳ございません、実は、バンダーウ教よりこの聖物と書状が届きまして」
「愚か者、サモン会議に許しもなく、このような勝手を働いて、貴様」
「い、いえ、た、確かに過ちかとも思われましたが、なにぶん、いや、火急にお知らせせねばと」
持ち込んだ神官は、まだ若いものの様子で
自分がしでかしたことに対して
大きく悩んでいたのが、手に取るようにわかる
金融公が言うことは当然だ
だが、それを破らなくてはならないと思う何かが来たのだ
「書状を貸せ、なんだ」
「いえ、これは、王にあてられております」
っち
聞こえないが、舌打ちをしているのだろう
そんな表情を金融公は出した
そう言われてしまえば仕方ない
何があるかは、わからないが、もはやここまで入れてしまった以上
書状を王に渡すこととする
おそらく、和睦を進める書状だろう、金融公の予定よりも早く送られてきたが
これもバンダーウ・シヴァとの約束の一つだ
ただ、この包みについては聞いていない、なんだろうか
いぶかしく思うが
その視線が止まった
運ばれ入れた物への推測が急に起こる
まずい
いや、なぜこのようなものを
「い、いかん、おい、急げ、急いでギロチンを用意せよ、早くせよっ」
「どうされました、金融公、そのように焦ることではないでしょう」
「スビエ王!あなたには言動の権利が無い」
「法廷は一時休止している、私を縛る物はありませんよ」
「話にならん、この悪魔を城内に入れている時点で法を犯しておるのです、一刻の猶予もならんのです」
焦る金融公
心臓がばくばくと撥ねる
はめられた
そんな言葉がよぎる、思えば、どうしてそこまで相手を信用したのか
いや、そんなことを奴らが知っているわけもない、はずだ、
わからない、そんなのはどうだっていい、だが、しかし
ここにあるのは
「・・・・・・・・・」
深い沈黙をとったのは、スビエ王だ
千載一遇の好機
今の悪い流れを一度に流してしまえる機会に恵まれた
笑うことができたら、あとは、どんなに楽しいことだろうか
スビエ王という表の顔は、沈痛の面もち
その裏、心の内では大きなうねりを抱える
あれは、兄なのか
聖骸となりはてたのだろう、自国の旗に包まれた
不自然な贈り物
書状には、事細かな和睦に関する内容が記されている
また、そこに敵将である戦争の宰相が死んだことも書かれている
些末なことだ、全てが
泣くな、泣いてはいけない、絶対に
「私は、王なのだから」
嗚咽にも似た声が漏れた
それが、訪れていた静寂をうち破った
悲哀という水が、細かく散っていく、空気が濡れていく
外は晴れている、雨はもう止んでいる
スビエ王の、王たろうとするがための無理が
ありありと、周りの誰の目にも明らかに写った
今まで、そういった感情全てを押しつぶして、王でありつづけた男に
人間らしさが戻ってしまった
止めようとしているのだろう涙は、その瞳から幾重も流れている
金融公はその様子を見て、黙る
何かを、そういう気分を失せさせる、違う、そういうことじゃない
もっと単純に
兄を亡くした、その喪失に苦しむ、一人の弟がここにいる
感傷という言葉がこそばゆいほどの悔恨と、哀惜が溢れてくる
何もかもが停止した
してしまえばいい
もう、何もなくなっても構わない
そういった、全てがどうでもよくなる言葉を何百、何千と心の内で吼えた
感情に振り回されて、もう、歯止めがなくなったスビエその人が
もう一度口を開いた
「これは治安公の遺骸である、教義により、この喪に服す間、一切の殺傷を禁ずる」
嗚咽の声ではなくはっきりと
それは、王の声で告げられた
サモン神官の死は、全ての生によって慰められる
議会は解散された
すぐに早馬が出る
港へと向かう
そこでは
もうこの戦争と関わりのない、殺傷がありふれている
この文体を気に入っているわけではないのですが、
もう、ごめんなさい、うわん
結局物語や人物に語らせることができず
説明してしまう悲しい文体で書いております
酷く理不尽で、俺理論炸裂なので
読みづらいし、解りづらいのに、なんか物語盛り上がってる風だよと
ああ、あああぁああぁあああ、
悔恨を覚えつつも、それにしたって
前に進めようと思います
長くお待たせして、申し訳ございませんでした
次回もこんな調子でしょう
駄文、本当に申し訳ございません
R(06/01/12)