Ost.
Die Sonne geht im Osten auf.


「夜戦の用意だ」

「隊長、そいつはちょっと」

思わずといった調子で部下から不平があがる
一日、働きづめ働いてきたのだ
ここらで休息が欲しいと思うのは人の常だろう
だが、頑として傭兵隊長はそれを拒んだ
こういうときのこの男は厄介だ、部下はそれを知っている
やれやれと重い腰をあげる

「予定より早いと思うんだがなぁ」

「ぼやくな、どうも胸騒ぎがするんだ」

「酒の飲み過ぎじゃねぇんですかい?」

軽口を叩いて、やれやれと傭兵達が己の武器を確かめる
場所は、目標である東ツィーゲル宮から2区画隔てた場所だ
目の前にそびえる壁は流石に頑丈で、
虎の子の投石を何度か試したが強固なそれはついに崩れなかった
もっとも、相当の被害を出したのは明白、あとはごり押しの白兵戦で
なんとかなる、それくらいの傷になっている
トンカントンカン、夜に響く金槌の音が、味方だけでなく敵も眠っていないことを伝える

「たかだか1日働いたくらいで眠いなんざ、てめぇらも鈍ったもんだな」

「へいへい、そうでしたね傭兵稼業は寝る間も惜しんで戦争でしたねぇ」

卑下た笑いを見せて、部下達は実際、余り散らしている体力を
ここに投入することを決めたらしい、久しぶりのその臭いに
早い内から満腹になりつつあったが、違う
本当はもっと腹ぺこだ、食べないといけない戦場の空気を吸わないといけない
手柄を挙げて金銭を手にしなくてはいけない
快楽と生活をかけて彼らは闘い続けないといけない
カインはその長として、全身で伝令をする
それを見て、引き締まった顔の部下達が前に並ぶ
闇に浮かぶそれぞれの顔、全てが見知った男ばかりだ

「俺の予定では、この時間までにあの区画までは落としておくはずだったんだ」

「なに、朝までは大分あるぜ、隊長」

「そうだ、明日の朝は気持ちよく、あの区画内で迎えるぞ、そうすりゃ明日にゃ敵の本拠を叩ける」

「全員、揃いました」

それぞれの部隊長格と話をしていたところ
荷駄係がスタートの合図を送ってよこした
そうか、隊長はそう呟き
がたり、何と言わず物音を鈍く立てて部隊長達が立つ
かんこんかんこんと相変わらず敵方の壁修復の音は響いている
彼らがここに居ると知っているかのようにだ

「ひょっとしてこの国では夜襲というのは反則なのかな?」

「それは無いでしょう、部隊に詳しい奴がいるがそんなことは言ってませんでしたよ」

「てことは、そんだけ追いつめられてるってことか、あるいは」

「罠か」

にやりと見合わせて笑う、後の線が濃いなと思っている
実際、どちらも、バンダーウもデハンも計略と言うべきか狡猾と言うべきか
ともかく何かにハめて陥れるというのが好きな国だと思っている
土地柄なんだろう
正攻法もあるんだろうが、より勝てるかもしれないという
よくわからない単純なひっかけを二つか三つ駆使して戦争をしている
当初から解っているが、傭兵はデコイだ
デハンは彼らをデコイだとは一言も言わない、そういうのも大切だろうが
カインでなくては、そんな雇い主信用できないと突っぱねるところだ
部下共は不満を持ってはいるが、隊長の言うことには服従している
それだけのいい目にあってきたのだから、信頼する

「罠で上等だろう、そうでなくては俺達がここに居る意味がない」

「ったく、なんで物好きに自ら囮を買うんだかな」

「お前らも好きこのんでついてきてんだろうが、文句を言うな、いくぞ、4隊で攻める」

言われて、もう軽口を叩くような気のいい奴はみんな持ち場へ離れた
そいつらは一人として、反抗しないで今を過ごしている
どういうわけかこの大将にだけは忠義を尽くそうと
金にしか何もかもを見いだせない男がそう思った
実際のところ、この男についていけば金にありつける
そういう打算もあるが、それは他としてもついていくだけの何かがある
それが、カインになのか、その妻とのラブ夫婦っぷりになのか
それはわからない、独り者ばかりの集団では
それは羨ましくもあるし、妬ましくもある、ただ、憧れている

「4隊中、乙隊が一番破損の酷いアレを、そして他2隊は俺の隊に続け」

「了解、では」

それ以降終了まで、声がこの男達から漏れることはない
死のうと殺そうと生き残ろうと
その苦しみ哀しみ喜び
全てを音として今後見出すことはない
あるのは日の出の後だけだ、そこだけで始めて許される
夜襲の鉄則は相手に悟らせず、自分だけが全てを知っている
そういうことを造り出すことにある

音を出す方法もあるが、相手が出しているならこちらは静まろう

カインはそう考えて今回の指揮を執っている
まもなく乙隊が捨て身の攻撃を最も弱いところにかけるだろう
あそこが罠だとすれば、1隊の損害で済む
だがあれがフェイクで、見事罠にはまってこちらが打撃を受けようとも
乙隊が必ず突破をしてくれる、信頼と信用と
都合の良い計算で成り立つ酷く危ない作戦
しかし、単純な作戦を信じるほど、不思議と運がついてきた
これまでもそう、だからこれからもそう
何より、俺には女神がついている
自嘲気味に笑い、カイン達3隊が別口へと辿り着いた
先に物見を放って調べた、損害が無いが薄い壁
ここはわざと攻撃しなかった、それを相手に悟られていれば賭に負ける

ポイントに着いたことを悟り、部下達はすぐに散開する
何人かずつに別れ、壁に攻撃をしかける準備をして待つ
肝要なのは別働隊の動きと合わせることだ

グアン

始まった、それを悟って一斉に壁へと取りかかる
少しでも早くこの壁を切り崩し、中から全てを乱れさせる必要がある
300弱の人間は実に使い勝手がいい
それぞれにある程度の任務を与えたとして
5人組で60通りの指令を伝えることができる
60通りもあれば、それこそ組み合わせにしたら
天文学的数字の複雑さを得られることすらある
チンケな戦争なんか、その実力の100分の1程度で充分
今回はそれをどれくらいに抑えたのか
解るのは簡単だ、壁を壊す係、壊れた残骸を片づける係、壊れた先へ突撃する係
なんと3通り、ただ、その中身は色々と細かいが
この場にいる男達にはそれぞれ任務が与えられている
全員が全員を見張っている、その働きぶりで報酬が決まる
さぁ、稼げお前達、ここで稼がずどこで稼ぐんだ
カインは言わずとも、それが伝わっている

数分後、意外でもないが
どうやら見た目の空虚を罠と使っていたと判明する
この場所には、おろか、他の穴場にも敵影が見られない

乙隊が危ないやもしれん

そう判断して、真新しい壁穴へと全体を突撃させる
音は無く、いや、走っている音だけがある
人の声がないというのが正しい表現だ
ざがざがざが、どすどすどす、そういう音が徒党を組んで走っていく
だが、途中で別れていく
暗闇で別れて迫ってくる音、その数を想定することはできない
だがこちらからは見える、見えると信じている
そこに敵が集中していると思っている

ざばっ、ざばっ、ざばっ

川遊びをするような、そういう水しぶきを蹴上げる音
それが続いた、乙隊の攻撃地点では派手な戦闘が繰り広げられていた
だが、彼らもルールを守って、この暗がりで声を上げないことで相手に重圧をしかけた
どれだけの敵がいるかわかるまい、松明を灯している辺りは全て叩いてある
新しい灯がともれば、それを射抜く、暗闇に戻るそこで
戦闘訓練をされていない民が動員されたこの場所は恐慌状態に陥る

勝った

カインが確信して、号令を上げた
そのサインに乗って、この暗がりで近くに居た仲間がそれを見て笑い
笑った顔が伝播し、戦場にいる全ての傭兵が笑顔を見せる
そして、同じタイミングでやる、何度も練習を、訓練を重ねてきた

どぉぉおおおおおっっ

声を始めて上げた
天をつくばかりに音が登る、相手はもうダメだろう
欠陥を抱えたようなものだ、恐怖に食い尽くされたものは脆い
追い立てるようにして次々に散らしていく
傷をつけて殺さずにおく、後は騎士達が奴隷として連れて帰るだろうから
傭兵の任務はここで派手に暴れることだ、敵の主力を引きつけるということは
その反動は大きいだろう、だが、戦争のプロだ
大きな反動をどれだけうまくいなして、自分たちの取り分を多くするか
彼らは金銭に魂を売ったからこそ、それに忠実で
そして、それを稼ぐためにならなんだってやる

「聞かせてやれ、ランディシー傭兵団の雄叫びを」

「おうよ、カイン隊長ぅ!!!!」

ノリに乗った攻撃が開始される
暗闇から次々と、傭兵隊が突撃しはじめる
もう乱戦だ、いや、乱れているのは敵だけだ
勝ち戦の臭いが立った、それだけでいける
そして残念でもあるが、そういう臭いに敵も慣れているらしい
一斉に引き始めた
潮のように、気付かぬうちにだが、迅速にするすると居なくなっていく
この手際の良さだけは舌を巻く

「逃がすな、一人でも多く、一人でも多く減らしておくんだ、明日のためだ、急げっ」

カインの精一杯の声が味方を鼓舞する
それに釣られて次々と部下達が攻撃を開始する
この暗闇、これだけの喧噪、だのに

「後ろの騎士どもは一つも来ないってことは」

「何を今更、だから俺達はデコイなんだろ隊長」

「・・・・」

味方のはずの彼らは援軍を寄越さない
どこか信用していた自分を馬鹿だなと思う
それでも、ともかく、今現在の状況では成功している
予定通りにことが進む、怖いくらい、そう思ったが
それは勝ちが進んでいる時に萎縮する
己の弱い心だ

「区画いっぱいを掃討するぞ、ここが明日、俺達の砦になる、いいな」

「わかってるっ、いくぞてめぇらっ」

ちりぢりに区画を潰していく自分たちの手に余るものは壊し
そうでないものは利用する、それが戦争で奪った敵地でのたしなみだと信じている
次々と逃げていく敵はほっておき、取り残された奴らを連行する
区画の淵までは2隊が追いやる、残ったところを2隊で洗う
残った方にカインがいる、次々と捕まえられる若い信者達
若いというのは幼いとは違う、それなりの若者ばかりだ

「しかし宗教てのはわからんもんですな」

「そう思うか」

「ああ、俺達の若い頃には命張って金やてめぇの生活以外を守るだ、理解できねぇ」

「まぁ、俺達も可笑しいのだろう、彼らから見たら」

この男もおそらく30を超えていないだろう
カインはそれをおかしく思いながら、自分もそうだと改めて思う
自分たちよりも5,6歳若いくらいの青年が
身命を賭して、よくわからない国家の事情に巻き込まれている
それをさせるのが宗教だとするなら、素晴らしい国家なんだろう
軍事的にも、商用的にも、統率がとれているというのは
とかく都合がいいのは確かだ、ごく一部にとってだが

「信奉か」

「隊長、似合わない顔すんのはそこまでだ、表の部隊が戻ってきたぜ」

「ああ」

気のない返事で追い立てていた部隊の報告を受ける
知っている話を説明される、それは酷くつまらない
そういう当たり前のことを思い浮かべてしまったが
顔は職業軍人のそれで、カインは静かに彼らの話を聞いた

「全て掃討し終わりました、捕まえた奴は50人にも満たない、どうしますか?」

「そうだな、今回ので怪我した奴を本部に運ぶのと10人くらいに任せる、お前人選しとけ」

「アイアイサー」

「なんだそれ」

「知らないんですか?最近流行りのかけ声らしいぜ」

「わかったよ、やっとけ」

笑い声がそちこちで聞こえる
それを不快に思っているのであろう
奴隷となるべく未来を定められた若者が一人
鋭くカインを睨んでいる、その視線に気付いた
気付いていて、無視をしている

「いい気なものだな、この金に溺れる亡者ども」

「今からでいいから、寝る所確保しておけ、明朝、朝日とともにいよいよ決戦だ」

「無視をするな、浮かれていられるのもじっくり寝られるのも今晩だけだ」

「ああ、明日の飯はほら、目玉焼きとか俺作ってやるからって言っておけ」

「だから、聞けよ、お前っ!!」

「よーし、本日かいさーん」

「明日、全員、神の声に蹂躙されるがいいさっ」

ふてくされて、思わず口走った一信者
その一言を聞き出してから、ようやくカインはその青年の所へと身を向けた
ゆっくりと、そして尋問するような調子で
近づいて、質問を2つ続ける

「威勢のいいことだが、我々は負けないよ、それとも勝てると思っているほどのことがあるのか?」

「は、誘導尋問か?つられるかよ」

「なら、いい、その程度だってことだろう、お前達は明日負ける、違うか?」

「あり得ないな、俺達如きのこんな下っ端を叩いたくらいでのうのうと・・・」

「おい、早く連れていけ、けが人合わせて、今晩中に移動だ、頼むぞ」

いきりたつ青年はそのままにして
その怒りだけを増幅させておいて、カインはその場を離れた
すぐに別の回帰部隊がそれらを連行して去っていく
見ていた部下の一人がカインに寄った

「いいんですか?ありゃ、カモだぜ、もうちょっとつついたら色々」

「いいんだ」

ぶっきらぼうに言うと、率先して
自分の寝床へと進んでいく、それを見送り
かりかりと頭をかきながら部下はしぶしぶそこを去る
それでいい
下手に聞いて、それが爆弾並の情報ならば
戦線が崩壊してしまう、人間の心は弱い
圧倒的な不利を感じてしまうと、それが正しいとかじゃなくて
自分を信用してやまない者達は自然、逃げてしまう

「悪いことをしているな、俺は」

呟いて、眠りに落ちる
夜の空、満天の星空が広がる
闇と言ったが、思ったよりも明るい
それだけの美しい空が広がる、まだ晴れているんだろう
明日も晴れるだろうか、思いながらいよいよ
東ツィーゲル宮まであと1区画のところまで彼らはこぎつけた
バイデン騎士団は、当然のことながらここには到着していない
それでも、それを悟らせないだけの攻めを見せられただろう
カインはそう信じて、少ない睡眠を、浅い眠りを甘受する

眠れない夜、眠らない夜

「そうか5区が陥ちたか」

3区、と呼ばれる
東ツィーゲル宮眼前の区画にてその声が漏れた
バンダーウの戦を司る、いや、戦じゃない、武力を司る
神の腕、戦争の宰相はその言葉を噛み締めた
予定よりも早いな、

「出てきて好かった」

「??」

「よい、明朝、全容を見せてやろう、そして完璧な籠城を見舞ってやる」

「籠城ですか?」

「そうだ、バンダーウ神がそうおっしゃっておられる、これはシヴァ様の言葉でもある」

「シヴァ様が・・・・・仰せの通りに」

従者は下がっていった
戦風景が彩られて、血の気の多い輩は
ぶいぶいと次の攻めてを待ち望んでいる
だが、ここはうまくやらなくてはいけない、あくまで守勢で
それでいて守りすぎてはいけない
バンダーウの民は狡猾だ、その狡猾さをふんだんに盛り込んだ
立派な籠城戦を見せる、幸い、3区画はバンダーウ教が始まった頃より
その手元にあった地だ、守るに易く、攻めるに難い

万全の体勢を持って、迎え撃つ備えがある

朝まではまだ時間がある
だが、戦の宰相は眠れる心地がしなかった
昂揚しすぎている、自分が負けることで大局が勝つ
そんな夢心地、味わえるものではない
神の声と同化したと言われた自分をとても喜ばしく思っている

「宰相様」

「どうした」

「いえ、宮より使いが」

「使い?」

不審な顔をして、折角のエツを乱されたことにいささか腹を立てつつ
その従者を中へと通させた、何度も見たことがある
神の耳に仕える従者だ、一番のお気に入りということはこの情報は重い
そこまで考えると、すぐに目の前の若者は話を切り出した、情報を零した

「お伝えいたします、情報宰相様より、言づてを」

「言え」

「はい、9の女が恋に落ちた」

「・・・・それだけか?」

「はい」

暗号だ、その内容は一瞬にして理解できた
戦争の宰相は馬鹿じゃないから、その内容をよくわかっている
9はグイの意味を為す、恋に落ちた女とは制御から離れた恐ろしい者を意味する
しばらく黙った、夜の月、それは闇夜を照らす
昼の世界からの報せ
月明かりに照らされて、黙ったままの戦争の宰相は彫りの深い顔をさらしている

「ならば、こう返して欲しい」

一通り考えをまとめたのであろう
戦争の宰相は呟いて、伝令の瞳を見つめた
射抜くように睨み付けた

「その女は報われぬ片想いをしている」

「了解いたしました」

「頼んだ」

言い得ただろうか、伝えた後に不安を覚えた
独立攻撃に挑んだ以上、グイを止める術は現状では無いのだろう
奴の中のバンダーウがそう叫んだのだから仕方ない、あとはどちらのが正しいかだ
ただ戦争宰相が信じているのは、奴がどれだけどうしたとしても現在の大局は変わらない
そういうことを伝えた、でなくてはここで、戦の宰相が負ける意味がない
一日の時間を稼ぎながら宮の眼前まで奴らをおびき寄せるという作戦が
水泡に帰してしまう

「どちらに転ぼうとも、バンダーウの勝利に揺らぎがなければよいがな」

自嘲気味に彼はそう呟いて今晩の全ての発言を終えた
あとは寝るだけとなる、連れてきたお気に入りの従者を
この夜だけは入れず、一人で寝た
寝られたのかは彼にしかわからないが、翌日
ひどくあっさりと、さっぱりとした表情で出てきたとだけ解っている

朝日が昇り始める
辺りには霧が立ちこめていて、その明るさのみしか解らず
視界のほとんどが手に入らない

「そうか、傭兵隊はそんなところまで、ますます」

報告を受けて、台詞を途中で止めた治安公は
一安心といった顔を見せた
現在、主戦場からほど近いが、誰もが見過ごしているであろう区域にいる
今回のデハンの攻撃隊最大の要点
分厚く、そして守りにくく攻めにくいという最悪の要所
そこを敢えて叩くこと、それがデハンのくだした戦の要だ
そこは地下水が近く、掘ればすぐに水がわき
また、区画の間なので壁が分厚い

「お前らここで根性見せろよ、ここさえぶち破れば、奴らののど頸を押さえら得る」

要所だからこそ防御が難い
それを知った上で、治安公とその仲間達は攻略を急いでいる
ここを抜ければ、すぐに敵の本拠を叩ける
その道を作るのが仕事だ、ぎりぎりまで引っ張って
バイデン騎士団はここへとやってくる
先に辿り着いてはここを攻略しているのが敵に悟られる
極力大騒ぎとならないように静かに進行を進めている
水道の中を通っているのだから、表からはバレないはずだ
そういう危険と困難を敵に回して、デハンの反撃は続いている
離れた3区を攻撃の要所と見せかけて、少しでも時間を稼ぎ
ここの攻略を急ぐ

「武威公様、先発隊が3区眼前まで進んだ模様です」

「そうか」

武威公は忸怩たる思いでそれを聞いた
その通りならば正面から傭兵隊を援護しつつ攻撃に迫りたい
そう願っているが、実際この500に登らないバイデン騎士団は
投入する場所によって、あまりにも戦況を変えすぎる
もし、傭兵隊がうまく敵の主力を持ちこたえるならば
別から騎士団で攻めれば間違いなく勝利を手に取る
だから、苦戦する味方を見捨ててまで別の場所で闘わなくてはならない

「闘いで勝つのは容易だが、戦争で勝つのは難しい」

「どうされました、武威公」

「どうでもない、明日に備えろ、あと、大きな音を慣らすものを集めておけ、手はずの通りにだ」

「心得ております」

夜が更けていく、不思議と夜が深くなるにつれ
月の灯りすら届かぬようになってきた
雲が出てきたのか、その灯りが下界まで降りない
二つの宗教どちらも同じことを思う

暗雲は凶兆

いずれに起こる凶兆か
わからないまま、いよいよ、一つの戦勝を司る日が明ける
250ほどの傭兵隊が待ちかまえる区画は
意気揚々と第3区画を見つめる
霧が深くて見えない、雲が厚くて暗い
そういう朝、カイン率いる傭兵隊は、それまでお同じように
投石器を用いての攻城へと向かう

朝日が登った、ニワトリの声を聞かずとも、どちらもそれを悟り
決戦の火蓋が落ちた

つぎ

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連載をしているとそればかりに係り切りになるので
なんか思いついたエピソードをSSにすることが
なかなか難しかったりするとか
嘗めたことを抜かす素人作家です

プロと比べて好きなようにやれるし
自由度が高いんだから、当然
完成度も高いはずだよと思うんだが
実際のところは、編集さんと呼ばれる人が
色々考えてくれるから、凄い名作が生まれてんだろうなとか
自分に無いところに責任を転嫁してしまいます
ダメですね、がんばりましょうよ

駄文長々失礼しております
R(05/09/19)