Ost.
Die Sonne geht im Osten auf.
「9区がやられたらしいぞ」
「本当か?連勝続きのグイ司祭の守衛区だろ?」
「しかも完敗だったとかいう話らしいぞ」
「噂だろう、そんなのに躍らされるな、デハン共の罠かもしれん」
「そうは言うがな、見たと言う奴がな」
ざわざわ、噂は歯止めがきかず
口の数があるだけ広がっていく、耳の数があるだけ大きくなっていく
人の数があるだけ伝わっていく
前線に位置する区画それぞれでは、その話でもちきりになっている
それまでは、デハンが攻勢に出てくるという話に
急ぎ守備固めをするため、あちこちの工事を行ったりしていたが
昨日のトップニュースとしてそれが伝わるにつけ
仕事に力が入るようになっている、自分たちがそうならないように
そういう効果があるんだろうか、ただ、動揺しているのも確かなので
戦況はどちらに有利とは言い難い
「しかし、デハンの奴らが使っていたおかげで、なかなか防備が整ってるから」
「ああ、ここは大丈夫だろう9区はもともとバンダーウのものだったのだし」
「それを言うならここだって、元々は我々の・・・・?」
「どうした?」
壁際で、積み上げられた石に泥を塗って補強しているところ
工事現場で働くバンダーウの青年達は、耳に重たさを感じて黙った
音、なんだろうか、ぼーん、としたような重いものがある
気圧の変化とかそういうのじゃなくて、耳鳴りのような
わからないけども聴覚が圧力を受けている
「何かの音だろうか、おい、おーいっ」
心配になって、一人が壁の上で作業している仲間に声をかける
ちらりと、気付いた一人が壁の上から身を乗り出して耳を傾ける
なんだよ、仕事早くしろよさぼんなよ、そういう声が陽気な笑顔とセットで降ってくる
下で泥を塗る青年達は、違和感を伝えて壁の外側の様子を訊ねた
納得して、壁の上の青年はぐるりと見回した
向かいにある居住区の壁がそびえている、そこに
いつもと変わらずデハンの青旗がたなびいているのが見える
何もかもが一緒だ、強いて言うなら、空がとても蒼くて、雲がすこぶる大きい
壮観だと下に伝えた
「ん?」
だが、その重たさを壁の上の青年も感じた
ぴくりと、草食動物が何かの気配を察知したときと同じ動き
きょどきょどして、辺りを見回してしまう
ただ見晴らしのよいそれの向こうには壁しか見えない
ここは隣の区画とほとんど離れていないから
よくよく目をこらすと、壁の石の継ぎ目が見えるくらいだ
交易を考えて、もともとはこの一番近いところにお互い門があったのだが
今この工事により、バンダーウ側は壁に作り替えられた
門構えだけが残っているへんてこな物体だ
対するデハン側は、もともとのままのように見える
実際、裏側ではどうなっているかわからない、高い壁によって見えないのだから当然だ
「・・・・」
「どうしたー、なにか」
この区画にいた青年の数は100人前後だった
そのうち、正面門付近で泥塗りをしていた作業員は10人
壁に上り修復をしていたのが8人
彼らは、何も知らぬまま、そして報われることのない世界へと
それぞれちりぢりに旅立たされてしまった
ボッ、
なんの音かわからない、マッチを擦った音が凄い大きさになったような
思い浮かぶのは、柱くらいのマッチで火を付けたような、そういう
何かをこすりつけたような音の最大級だったろうか
壁の上の全員は反対側の壁を思わず見た、その視線と交錯して
とても大きな黒いものが過ぎていくのを感じた
数人はそれが眼前にせまったのを知った
ズズゥウン、
音は遅れてやってきた、先にその衝撃が耳と言わず身体全てを揺さぶった
転落する壁上の青年達、その下で瓦礫に下敷きとなる泥塗りの青年達
離れたところで石運びをしていた輩がその異変に気付き大声をあげる
全てがとてもゆっくり流れているような気がする
この時、幸運にも、正門近くだが寺院の屋根の修復をしていた青年
たった一人だけが生き残った
その時の惨状は、とてもゆっくり記憶に無理矢理塗りたくられるようにして
二度と忘れられないものになっていったという、全てを見届けて
彼はまさに死にものぐるいで東ツィーゲル宮の神の耳へと走った
「投石だっ!!!!」
「バカな、どこからっ」
バガンッ、どわあぁああああっっ
「あああっ、正面が空いたぞっ、デハンは門を埋めてなかったんだっ」
「敵だ、敵がくるぞっ!!!!」
「司祭様は、司祭様はっ!!!!ぎゃああああっっ」
躍り込んでくる銀色の悪魔達
バンダーウ教徒達は戦慄した、それまでのとは何かが違う
それを体感している、しながら、次々と傷を負い、果てていくものが増えた
区画内にいた100人は、その出鼻で既に半分近くが戦闘不能に陥っている
おまけに司祭がその不能の側に入ってしまった
こうなっては烏合の衆たる教徒達は、虚しい抵抗を見せるものの
ほぼ一方的な戦況に成す術を持たなかった
「残っている者は下がれ、他の区画と合流するのだ、無駄死にするな、急げっ」
いくつかのリーダー格だと思われる教徒が
必死に逃げまどうバンダーウ教徒を、貧乏人達を先導して退散していく
しかし銀色の悪魔達は攻め手を緩めない
その視界に入る異教徒を、完膚無きまでの叩きのめしていく
そして殺さなかった分については全て、奴隷として保持していく
「よし、当面の攻撃は成功だ、すぐに第二陣へと備える、隊員せいれーーーーーつっ」
ザガザガザガ、まだまだ、たどたどしいその整列風景で
この騎士達が、ほとんど見習いであるとわかる
隊長は騎士として長くつとめているものだろう、言っても3年程度であろうが
3年、この戦場で闘った騎士なら立派なもの
それらが率いて、50人前後の部隊が戦略を開始した
デハンの聖戦遂行を命題とした、本格的な攻撃部隊の一つだ
「派手にやったな」
「流石金のかかってる武器は違うな」
「これは武器とは言わんだろう、兵器だ」
少し遅れた形で、ほとんど戦闘の出番がなかった
騎士よりも見た目のランクが落ちる男達が入ってきた
投石により砕かれた壁をしげしげ眺めつつ、ずらずらと入ってくる
その数が300、カイン率いる傭兵隊だ
全員で、その噂の投石器を引きずってくる、人馬を相当数使わないと移動できない
だが、その反動とも言うべきか、凄まじい破壊力を持つ
ここが先発隊の本隊だ、この他に若手騎士を主体とした部隊があと二つあり
それぞれが別の方面から攻略を展開している
まだ何も伝わってきていないが、ここの様子を見ている限り
おそらくどこも攻略成功しているだろう
「カイン殿」
「ああ、急ごう、稼げる内に稼いでおかないといけないしな」
「先導をよろしくお願いいたします」
若い騎士隊長は頭を下げて、この異教徒の教えを仰いだ
ここからはこの傭兵隊が先鋒として働いていくことになる
戦争のやりかたを教えてやるというティーチャー業務も
今回の依頼に、知らない内に入れられていた
よく読まずにサインした契約書に載っていたらしい、些末なことだ
「隊長、鎮圧してからにしますか?」
「いや、他二部隊よりも先に敵の反撃に遭っておきたい、急ぐぞ」
「はは、人柄がよぉござんすな」
「うるさいバカ、黙って走れ」
カインがそう言うと部下達はそれぞれ細かい分隊に別れて
真っ直ぐ搦め手へと突き進んでいった、まだ残党が幾ばくか残っているが
それは若い騎士に任せておくことにして、ただ先を急ぐ
先鋒をつとめる以上、一番槍を取らなくてはなんの名誉か、
ぶらさげられたニンジンに向かって、馬鹿という動物が走っていく
西ツィーゲル城
「カイン殿の部隊が早々に破っていったらしいぞ」
「他二つはどうなってる?」
「少し手こずったようだが、まぁ、なんとかなる上質の騎士を投入しているのだ信じろ」
西ツィーゲル城ではサモン神官が雁首揃えて戦況を見守っている
見ているというよりは、使いの知らせを受けているばかりだ
大本営は西ツィーゲル城内に置いている
ただ、もう間もなく、バイデン騎士団および武威公と治安公が出陣する
城内には、医術公とその配下の神官がそれぞれ3つの分隊に別れ
既に準備を終えつつある
こちらも間もなく出陣となるだろう、戦場の空気が充満している
このサモン達の奥に、スビエ王がいる
「そろそろ、行くのか」
「はい、次にお会いする時は戦勝の報告となりましょう」
うやうやしく、治安公と武威公が頭を下げる
その二人を玉座の上からただ見つめるのみの王
二人がそこを出ていこうと振り返る、
王が突然立ち上がった
「待ちなさい・・・」
「?」
「神に仕えし者に、祝福のあらんことを」
それは突然だった、王がその権威を示す神器の一つ
聖杯を用いて、祝福の祈りを切った
洗練された顔つきはいつものままだ
だが、久しく見ていなかった、王となってからは軽々しく見せることがなかった
かつてサモン1と言われた、美しい礼式を披露し
聖杯より、命の雫を二人の神官へと振り掛けた
「聖水・・・」
「神のご加護のあらんことを、さぁ、頼みましたよサモン武威公、・・・治安公」
「はいっ」
大きな声で応答をすると、先よりも勇ましい足取りで
二人は出陣していった
西ツィーゲル城眼下から、騎士団が出撃していくのが見える
医術公を筆頭とした、医療を含む衛生隊
これらがいることにより前線の騎士達は安心して闘うことができる
命は粗末とならないと知っている以上、これほど強いものはないと
それを見て足取りをさらに早めて、武威公と治安公の二人は城下へと降りていく
「お前の入れ知恵か?」
「何がだ」
「さっきの聖水の儀式」
「スビエ王にそのようなことを強要できるわけがなかろう」
「ということは、自らのものか、立派なものだな、それが本当ならば」
「お前なぁ・・・」
降りる途中で脚を止めた
治安公が疲れたような顔で不平を言おうとしている
それを見て、武威公が先に切り出す
「いい顔だ」
「何言ってんだお前は」
怒り調子で治安公が武威公にがなる
それを涼しい顔でうけて、さらに続ける
「戦場に向かうんだ、それくらいの気が入ってないとな」
「話をそらすな、何が言いたいんだ」
「・・・弟があれだけ頑張っているんだ兄が頑張らないでどうすると思っただけさ」
「武威公っ!」
つかみかかって、つり上げるような仕草を見せる
武威公はつかみかかられてはいるが、動揺した様子もない
ぎり、音がする視線で睨み付ける治安公
いつもとは逆の立場になってる
「怒るな」
「怒るわっ」
「誰に言われていようとも、そんな表情を見せるな」
暖かい視線を武威公がおろしている
相変わらず掴みかかったままの治安公
その瞳は赤く焼けているように怒りに染まっている
逆鱗に触れたというその言葉の通り、触れてはいけないところを
武威公は無造作に触れてまわったようだ
スビエ王は【元】サモン神官「治安公」
その身の上は、現「治安公」の【弟】
ただ、最高司祭たる聖王となった時点で
そういったしがらみとも言うべき縁は全て消えてはいるのだが
その事実はずっとあるだろう
「金融公あたりが言いふらしているが、皆が信じているわけじゃない」
「当たり前だ、事実無根なのだからな」
「だが、そうツンケンしてると疑う輩も出る、気を付けろ」
スビエ王選出の際、弟をそこへと落ち着かせるために
当初から有名だった政治力を駆使した
結果、弟は王となり、兄は治安公になった
そういう黒い噂がある、尊く清い神官にとってスキャンダルだろう
それを圧殺してきて今に至っている
「俺は正しい、神に誓って後ろめたいことなど何もない」
「わかってるさ、悪かったよ、それよか一ついいか」
「謝るなら最初からするな馬鹿、なんだよ」
「喧嘩で掴みかかる時、利き腕で胸元掴んだら意味無いんだよ」
にや、武威公が笑った、それを見て理解して
顔を真っ赤にした治安公が掴みかかっていた右手をはなす
確かに、右手でつり上げて次に殴るのが利き腕でないのは馬鹿げている
恥ずかしさを誤魔化すように、振り払ってから目を合わせない
「貴様は喧嘩馴れをしてない、だから、見ていてはらはらするんだ」
「お前、人が悪いぞ」
「頭がいいくせにあからさまな挑発に乗るところがいかん、黙ってればいいんだ」
「お前に心配されるとは、ほとほと困ったものだな俺も」
「そういうことだ、いや、だいたい文官の貴様を戦場にかり出すのがよくない、俺の足らないところだ」
「武威公・・・」
「なにこの戦が終われば、貴様は治安公を返上しろ、そうすればいらぬ噂も無いものだ」
「それじゃ誰が治安公を継ぐんだよ」
城下についた、まだ門の内だ外では部下達が槍をしごいて待っている
薄暗い中、天窓からうっすらと光が降りてきている
神官二人をそれは包み、先に受けた聖水がきらきらと輝いている
「なに、戦争はこれで終わりだ、武威公がいらなくなるからな、俺が治安をやればいい」
「ははは、そりゃ名案だな、俺は安穏と隠居できるって寸法か」
「馬鹿を言え」
がががが、重い扉が開く
暗がりから白を基調とした法衣と鎧をまとった神官が現れる
この二人のその様子だけで、外で待ち続けた騎士達はどれほど勇気づけられることか
「戦後処理を誰がやるんだよ、お前はその後、それを治める係だ」
「なんだそれ」
「法律公だよ、バンダーウもまとめて律することができる、そういうルールをお前が作るんだ、行くぞ」
先に武威公が踏み出した
バイデン騎士団員が槍を掲げてその登場を迎えている
それに凛々しい、そして相変わらずの「武威」を見せつけ
堂々と馬へと手をかけた、もう振り返ることはない
「出撃っ!!!!」
「おおおおおおおおおおっっっ!!!!」
どぉおおぉぉぉおお、いつにも増して、大きな地鳴り
それが声から端を発している、その音に後押しされて
白馬と白騎士が城外から戦場へと向かった
馬の鳴らす地響きがそれに続いていく、蒼い旗が何十本もなびいている
騎士団員の誰にも行き先は知らされていない
ただ、隊長でありサモン神官である武威公に続いていくのみ
出て向かう方向は、傭兵隊の所と見える、砂塵にその姿が見えなくなるのもすぐだった
「さて」
見送った後、わずかな感動を胸にして
先の最愛の親友から受けた言葉を面白いと思い
もう一つの戦闘部隊が先を伺う
治安公が率いる別働隊
「我々は別働隊として、また治安の名に恥じぬよう武威公達先鋒が突き破った先を
ことごとく平らにまとめていくぞ、俺に続け、デハンの神を信じろ」
「おおおっ!」
こちらは、やや優しい面立ちの男達がいる
半分が工夫、半分が義勇兵、そういう集まりだ
どこの馬の骨だかわからないのも混じっているが
自分から名乗りでるというのは強い
非戦闘部隊としての働きも望め、また、防衛程度の戦闘になら参加できる
普段はそういう任務を続けている、今回もそうだと今告げた
そして武威公に遅れること10分、治安公の部隊も戦場へと散った
城の上では、涼しい目をしたスビエ王がその様子を見ていた
見ていて、やがて、それらが見えなくなると
「全てに神の祝福のあらんこと」
とても小さく、だが、とても美しい礼式を切って祈りを捧げた
空は青空だ、デハンの色が染めている
そう思うだけで勝てる気がする、勝たなくてはいけない
スビエ王はただ、祈ることしかできない
東ツィーゲル宮
「デハンの攻撃が始まった様子です」
「そうか、どうなっている」
「既に中央の3区が奪われました、残念なことです」
「もう3区か、グイ敗戦の噂による効果も出ているな、いいペースだ」
「はい、ですが、物見の噂によりますと新型の投石器を携えているらしく、
中央で思った以上に損害を受けている様子」
耳のもとへと次から次へと情報が走ってくる
それを逐一とめて、一定量がたまると腕のところへと持っていく
精査はここで行われる、耳の宰相がそれらの真偽を定めている
「よし、そろそろ腕のところへと行ってくるか」
「宰相!!!!」
「どうした?」
「間諜から報告がありました、バイデン騎士団が出撃した模様」
「でかした、来たか、どこだ、どこへ向かっている」
「どうやら例の傭兵隊の所の模様、また、投石器も傭兵隊のみが所持との報告」
「中央の最短ルートをとってきたか・・・・わかった、続けて探れ」
言い終わるのが先か、それくらいの急ぎ足で
耳の宰相が腕の宰相のもとへと走る
本来なら手下を使ってもよいところだが
なぜだか、自分で伝えたいと思ったらしい
腕の宰相はまだ出撃にならないはずだ、あの日から5日が経っている
あと2日、あと2日うまく耐えれば、そこから反撃ができる
それを知って、その時機を計って出陣を控えている
「おい、いよいよバイデン騎士団が出て・・・・!シヴァ様」
「よい、続けよ」
驚きすぐその場に膝をついた
頭を垂れる前に許しが出たので
中途半端だが膝立ちの姿勢で報告を
口調を新たにして続ける
「いよいよデハンの騎士団が出撃して参りました」
「まことか」
「はい、先に雇った輩とともに中央突破を試みてくるとのこと」
「なるほど、して、腕よどうする」
「は、予定よりも1日早くはありますが、これから出陣いたします」
「そうか、異教徒を本当に主力として組んでくるとはデハンも追いつめられておるな」
「この闘いこそ、全てに決着できるという裏付けでありましょう」
シヴァ教祖はそう告げた信者を愛おしいという瞳で見つめた
相変わらず小姓を横につけて、扇で仰がせてはいるが
その出で立ちは戦衣装になっている
教祖自らがそれを纏うということは、これまで無かったことだ
しかもこの衣装でまだ、国民の信者全ての前には出ていない
この宰相達に見せるために着ている
「お前達には苦労をかける、【声】はまもなく届く、今暫くだ」
「わかっております、それでは」
言い終わると、深々と礼をしてから
腕の宰相が出ていく、白い布の軽やかな様子だが
たくわえたヒゲと太くたくましい腕、それを支える身体
全てが戦を物語るその人が、戦場へと出ていった
戦斧をかついで蛮勇を司る
「耳よ、今暫く私の側で、その情報全てを聞かせよ」
「は、しかし」
「口出しをするわけではない、ただ、聞かせてくれればいいのだ」
「わかりました、手狭な場所になりますが私の部屋へと」
神の代理であるシヴァ教祖は宰相らの特権とも言うべき、
バンダーウから与えられたそれぞれの執務を全て自分のもとへと返させることができる
シヴァが望めば、上記のように断らずとも情報を手に入れることができるが
今は、教典の上ではそれらの執務を三人の宰相に与えているとしている
まだ、力を分散させている体制となっている
「好い部屋だ」
「勿体ないお言葉」
広々とした神の耳の部屋へとやってくる
そんな当たり障りないやりとりのあと、また
各方面へと放った手下達が次々と情報を運んでくる
どれもこれも苦戦だとか、敗戦だとか、よくないが予定通りの情報ばかり
部屋へ入ると教祖がいるため、手下達がそれぞれ萎縮してしまう
最初はその場で聞いていたが、シヴァは気を使ってか少し奥で
隠れるようにして伺うことにした
「中央の損傷が激しい模様、一番の激戦となっております」
「傭兵隊のところか、騎士団が出たと聞いたがまだ届いていないのか?」
「はい、まだ到着の報せは受けておりません、ただ」
口ごもる手下に不安を見せる神の耳
この手下の癖で、悪いことがあると
必ずこういう順序で話だす、嫌な予感がする
そう思って、ごくりと呑む、後ろに控えるシヴァに気をきかせつつも
黙ってそれを待つ
「先に敗戦を喫したグイ司祭が一団を率いて行方をくらましておられます」
「グイが・・・」
蒼白となる、そのような予定外の行動で、敵をこちらへと引き込めなければ
全てが無駄になってしまうではないか、何をしているんだ、
文句が次から次へと涌いてくるが先と同じ音で呑み込み
ただそれを受け入れるだけにトドメ、また手下を放つ
少しがらんとなる部屋
「そのような顔をするでない、耳よ」
「は、も、申し訳ございません・・・」
「宰相が取り乱しては様々弊害がある、すべてが予定調和だとせねばならぬよ」
シヴァが奥から出てきて、そう諭した
言うシヴァは実際に、それが予測の範囲内、むしろ
起こさせるべくして起こしたとでも言うかのように
余裕と威厳に溢れている
「引き込めずともよい、あと2日の時を稼げばそれで充分有利となりうるのだ、自信を持て」
「は、ははぁっ」
「バンダーウのお導きである、安心して務めよ」
言い終わるとひたひたと歩いて部屋を出ていった
それを見届け、耳が側のものに使いを任せる
戦場へと向かった神の腕に報せる必要がある
早馬が走る、戦場は混沌としている、ばらまかれた噂が何もかもを攪乱して
どれが本当で、どれが嘘なのか
「神のみぞ知るならば」
耳の宰相は礼拝を始めた
言ったとおりならば、我々に全ての理がある
なぜなら、全知全能であり
全ての運命を司るのがバンダーウに他ならないからである
「我ら全て、バンダーウの骨身となる」
捧げる言葉が風にのって流れた
あと1日半、まもなく夕刻から夜を迎える
読み直ししていないでとりあえず仮Ageしてしまうので
また手直しするかもだよだよとか
嘗めたこと描いておきつつ
仕事がまたにわかってきたので
頑張ろうと思います
もはや誰のためでもない、俺のために
駄文失礼しております
R(05/09/12)