Ost.
Die Sonne geht im Osten auf.


東ツィーゲル宮殿
三人の宰相が集まり、会議を開いている
宰相は情報、戦争、経済のいずれかを担当し
各々「耳」「腕」「目」の二つ名で呼ばれている
それぞれは、非常に優秀な賢者でありまた、才覚豊かな政治家でもある
かれらは、出所が裕福なわけでもなく、どちらかと言えば中堅から下の層から這い上がってきた
己の能力に従いここまで上り詰めている
デハンと異なり、バンダーウ教は身分、貧賤を問わず、教徒の性質が幅広いことも反映し
莫大な信者の数を誇っている、その中で自分の力によって出世を
躍進を叶えてきたものは、それこそ、驚くべき能力を備えていると容易に想像できる
彼らはそういうエリートだ

東ツィーゲル宮殿の近くには、裕福な者達が邸宅を並べている
早い段階で、ここよりも東方や南方より移住して商売を行ってきたものだ
パイオニアにあたる人々で、豊穣な大地と交易の拠点という
二つの魅力にとりつかれ、この町を作ってきたと言って過言ではない
彼らは、初代の教祖である「バンダーウ・トナミ」に連れられて
この地に繁栄を築き上げてきた
それを見た、他のまだ貧しかったものたちは、バンダーウについていくことで
富を得られ、やがて、幸福を手に入れられるとこぞって入信し
東ツィーゲルの人口を増やすに至った

「15区で、騒動が起きたそうだな」

「流石【耳】、早いな」

「それが仕事だ、今回は負けたらしいじゃないか」

「予想より早く騎士団を投入してきた、ひとたまりもなく蹴散らされた、やはり組織的な戦では分が悪い」

「しかし騎士団を投入してきたということは、いよいよ戦がしやすくなったと見るべきなんだろう?」

「確かにそうだが、数で圧倒できても、長期戦を保たせるほどの経済力がまだ無かろう?ちと早い」

「【腕】の言う通りだ、相変わらず富める者が富み、そうでないものは貧しいままだ」

「ガス抜きが必要かもしれぬか?市井の話を聞いていれば、そうとは思えないが」

「貧富差などの不平はうまく奴らへと転換させればどうとでもなる、戦争には金が要る、そちらが問題だ」

「労働力があれば、自然金は集まるものだと思ったが、そうでもないのか」

「貴様は、経済を嘗めてるな、この戦バカ」

「でもないさ、少ない金でいかにやりくりして戦争するか、考えるだけで大変なんだよ【腕】としてはな」

国民教徒を人と思わず、そこまでは言わないが
人よりも国を、宗教を思うがゆえ、宰相達は巧妙な政治力を使い
また、情報を操作して、彼らを戦へと狩り立たせていく
デハンは気付いていないが、全ての「爪」による突発的暴動は
「腕」の作戦に従い、「耳」が操って、「目」にそれらを起こすだけの力を与えられ
意図的に起こされている
全ては、シヴァ教祖の命令に従ってのことだが、実質的に
器械を操作するように、川の流れを変えるように、彼ら教徒を動かしているのは
シヴァであり、三人の宰相だ

「集まっておるな?」

「これは、シヴァ様」

唐突に現れた教祖に対して三人はすぐにひれ伏した、
それらが頭を下げた姿から目を離さず
教祖は上座に座って、礼を解く合図を送る
三人はゆっくりと視線を持ち上げる

「【耳】よ、それからどうだ?」

「はい、昨夜、デハンのスビエ王が瞑想から戻ったと、物見の話では「聖戦」が発動されたとか」

「そうか、とうとう攻勢に出てくるか、勝算はどうだ?【腕】」

「はい、これまでに広げてきた地区の前線には、有力な戦慣れしている教徒を派遣してあります」

「それで防げると思うか?」

「・・・・残念ながら、いくつかは手放さなくてはなりません」

「そうか、だが、いよいよ全面戦争となるのだ、費用はどうか?【目】」

「はい、申し訳にくいのですが、戦費の捻出はかなり厳しいものとなります」

「ということは、短期戦に臨まねばならぬ情勢か」

「は、」

「・・・・」

思案する顔つきになった、端整な小麦色の肌を持つ表情は
穏やかな目元をしている、しかし、その実は気性激しく
時に己を見失うほどの激情にかられることも見られる
その激しさが、むしろ、現状を導いたと言って間違いない
それまでの、どこか理屈すぎた、また、戦闘的ではなかった教祖では
決してなしえなかった、全教徒の兵民化は革命と言って差し支えがない

「では、お前達の作戦を聞かせよ」

「はい、では、【腕】より説明させて頂きます」

神の腕は、一人進み出るようにして
ツィーゲル全体の地図を拡げる
現在の情勢が事細かに記され
バンダーウの領域を朱塗りに、デハンの領域を藍染めに
それぞれ色分けがなされて美しい

「まず、ここ数年で取り返してきた地を一時奴らへと明け渡します」

「ほう」

「短期決戦にせねばならぬので、決定打を打つまで温存することを考え、元の状態まで一時的に戻します」

「・・・・・」

「ただ、実のところ、奴らは現在11地区を収めることしか出来ぬ人数で15地区を抑えることとなり、
全てが手薄となります、ここで、更にここ東ツィーゲルへ届く最短の道をゆっくりと後退しつつ明け渡します」

「・・・・・・・・・」

「戦勝に乗った奴らは、そのままの勢いで宮殿を目指し中央突破を試みる、ここで
伸びきった敵の退路を南北のエリアから叩き囲みます、前線が大幅に拡大しますが、
数的には圧倒できるバンダーウの民達全員で、内側に取り込んだデハン主力を叩きます」

「デハンの主力に勝てると言うか?」

「無論、【バンダーウの声】があれば」

「声を使うというか」

「はっ」

【声】とは、シヴァの親衛隊である
まだツィーゲルの地ではその戦闘力を発揮したことがない
そもそもの故郷である、東方、南方の地域にて
布教するにあたり入信したものから取り上げた「神の子」で組織された集団
幼い時分より教祖の近くでの護衛など身の回りの世話と、骨の髄までもが教義に染まることを
生きる全てとされて、「育てられてきた」教徒達
或る程度の年齢に達すれば兵役に就き、その錬磨のため
故郷へと戻り、故郷より更に東や南に布教をするため遠征に出かけて
常に戦闘力を鍛え上げている、正に精鋭

「短期決戦で臨むには、これしかありません」

「引き込みへの前線の駆け引きが、果たしてと思うが?」

「私、自らが出陣いたします」

「【腕】自らが負けると言うか?」

「・・・・はい、その上で、シヴァ様が反撃の勝利を納めます」

「なるほど・・・そうか」

そこで神の代行者は黙った
じっと考えているようで、ただ見つめているだけのようでもある
おそらくまた、神へと伺いを立てることとなるのだろう
それを当然だと受け止めつつ、三人の政治家達はその場で
じっと主の顔を見返している

「そうか、私が聞いた声でもおおよそはそのような内容であった、よきにはからえ」

「!」

三人は驚いた
今までは、頭ごなしに大筋の作戦を言い渡すだけだったのに
今回は、いよいよそれすらしなくなった、それどころか提案を聞き、それに従った
まるで、言われるままのような、その許諾には不安を覚えたが
次の瞬間には、もう、心の底から沸き上がるような熱さを覚えた
どういうことだろうか、なぜなんだろうか
わからないままエリート官僚である三人は戸惑いを隠せずに居る

「大丈夫だ、バンダーウ自らがそう仰られた、お前達が辿り着いたということは、この戦、間違いなく勝てるという保証でもある」

「過ちを犯さないと」

「我々は、いよいよ、バンダーウの足下へと辿り着いたということだろう、まだ、これを完遂してなお
一層のこと、バンダーウそのものへと帰化すべく、志を一つにしていかなくてはなるまい」

「はっ」

三人は、更に深く頭を下げた
実際のところ、この三人の信仰心は、薄れつつあった
それが、今、この瞬間に
再び熱き思いを抱いていたころと同じほどの昂揚を胸に秘めた
幼い頃に神を教えられ、その神に讃えられることが
条理と道理を超えて、情熱に訴えかけてきたのだろう
政治を知るにつれ、神との交信が薄れていたのを自覚していた
声にはしないものの
本当は、神は、バンダーウは居ないのではないか?と
そんなことすら思っていたことが、嘘のように、信仰から来る沸き立つ力を自覚した
宗教政治は酷く難しい
教義が、往々にして、世の中の条理に当てはまらないことがあるから
その度に不審が募ってしまう、だが、それをまとめつつ矛盾を抱えてもなお
信仰と絆を深めていかないといけない
宰相になるため、三人はそれをすっかりとすり減らしていたのだ
改めて思い出した信仰心は、確固たる形で宿ったであろう
【腕】は、その自らを貶めるであろう作戦に、何一つ不平を思わなくなっていた

全てはバンダーウの為に、そう三人は、目の前の代行者に誓った

「そうだ、お前達が神の声を聞いた以上、神話に教典にある、神との同一化が見られる」

「同一化・・・・・まさか、回天」

「神が与えたもうた、この時機と、我々という人材、そしてうち破る為の壁」

「神話の体現が」

「【声】を呼び戻す、それまで、おそらく7日はかかるであろう、それを念頭に置き進めよ」

「ハッ」

歯切れのよい声で終幕した
シヴァはゆたりと横たえていた体を起こして
作戦の部屋から出ていく、外で待っていたのであろう
「声」の予備軍である小姓を連れて去っていく
ゆるやかな締め付けのない白い麻で出来た服は
ワンピースで、教義や教徒に見られる自由さを顕わしているようでもある
同じ服装をして、ただ違うのは、右の肩に赤い印があること
これは、染料を用いていない
やがて茶色く変色し、挙げ句、黒ずんでくる
己の血で染めている

小姓達は元々から大きな、体に不釣り合いな服を着ている
入信の初めに、己の血でそれを染めた後
その服に体が合うように、合わせるようにして成長していく
その間、ずっと、教祖の近くで教義と教祖の思想に触れて生きていくから
彼らは、もう、それ以外を考えることができないように育っていく
そして体がその服に合うまでになればもう、
心も、身体も
どちらにも、寛容な心と溢れんばかりの愛を注がれ
故郷では、有力者の三人目、四人目といったうらぶれた地位であるからこそ
ここに自分たちの生き甲斐を見出して生きている

ぱたぱた
音を鳴らすような、それでいて何も聞こえない
幼稚な仕草でありながら、礼節が行き届いたそれで
小姓は大きな団扇を持って後をついていく
今、シヴァ一番のお気に入りはこの小姓だ
やがて、【声】に入隊するであろう、当然、先達は
既に入隊し、それぞれが戦果を挙げている
幼い頃から教育されるからこそ、全てのことは意味を為す
それをここに見る
この一見自由を甘受できる教義と気質、いや、だからこそ
自制されるという、束縛を受ける集団が必要になる
この組織を造り上げたのは
四代目シヴァ、先代である、その遺志を継いで五代目シヴァが盤石にしている
始祖であるトナミ教祖の時は、宰相という形は採用されていたが、経済発展に優秀だったトナミは
誰かと争うということをその思考に入れず、戦争を想定した組織は作ってこなかった
だが、それはそれで成功を納める、簡単なこと、その頃は争う相手が居なかったのだから

「暑い日が続くな」

「申し訳ございません」

「お前の扇ぎが足らないと言っているのではない、暑さはバンダーウが授けた物だ」

「はい」

「今宵、私の部屋への入室を許す」

ぱぁっ、言われて小姓の顔が弾けるような笑顔になった
本来ならば、ここで恭しくその申し出を受け付けるものであるが
まだ幼い、そして、初めてのことである小姓には
とてもとても大切な、そして喜ばしいことである
それが素直に表情に出た
そんな可愛らしい神の子に、シヴァは満足げな瞳で返す
今宵、代行者により神の子が一つ、何かを進めることとなるのだろう
己の右肩を染めた血が、その決意と心中全てを顕わしている
教祖は人であることから、妻帯は許される
しかし、それとは別にそんなことも許される、むしろ、仕事の一つというほどで
地位と密着している、流行ではないが、幼い男子を包み込むことが
一種の宗教行為になっている、それ以上理屈はわからない

三宰相はそれぞれ、お互いを見合わせて
主の居なくなった部屋で黙っている
それぞれが、己の胸の内に熱い何かを囲っている
それが紅潮した頬に現れている
だが、各々はそれをなじるようなマネは当然せず
ただ、その熱を絶やさぬよう、むしろ、バンダーウ教全てに拡げていけるように
それを考えるようになっている

「では、戦費に、いくら遣えるか、もう一度頼めるか」

「無論だ、その前に聞いておきたい、お前の【腕】の試算ではいかほど要るというのだ?」

「それは、【耳】の情報がどれだけ正しいかによるな?」

「なんだ、結局三人で寄らねばならぬ事態か」

「嫌ではあるまい」

「無論」

「全てはバンダーウの為に」

情報の宰相より、事細かな報告がこの後続いた
要点を、特に重要なところを抑えておくならば
デハンが聖戦を発動したこと、それにより傭兵を雇ったこと
なによりも、相手方は戦費の浪費を惜しまないこと
それらが伝えられ、それを基にして緻密な作戦を立てていくこととなる
大筋は出来ている、だが
この大筋を悟られてはいけない
彼らは、己が出世してくるまでに、それなりの哲学を形成している
経験で獲得したものだ、何かをなし得るには

誰にも何をしているか悟られてはならない

三人の宰相は、それぞれがそれを経験則から悟っている
だからお互いがお互いに隠し事をするのが常となっている
なっている上で、うまく機能しているのだから
優秀な組織なのだろう、化かし合いを続けていく
それでも、大筋と言われたことには反しない、その範囲内で反目していくこと
これが、バンダーウの意思であり、決して読み取ることが叶わない
鉄の作戦を作り、遂行し展開されていくのだ

「まず、前線となった奪い取った領地の教徒に、このような抜け道を作らせる」

「治水と開発に費用が必要か」

「これが後々生きてくる、そして時間を7日間稼ぐ必要がある、その為に7日間で敗れるだけの装備が必要だ」

「ふむ・・・7日後に負けるような、資金と兵糧の配分が必要ということか」

「そして、余力があることを敵にも、味方にも知られぬ必要があることか」

経済と情報の宰相がそれぞれ、思案にふける
それをなし得るだけの、それなりの細工について考える
この場は、戦場である限り【腕】の独壇場となるのは確かだと
二人とも信奉している、だからこそ懸命にそれを叶えるため
犠牲を厭わぬ、様々な作戦を思いついていく
あくまでこの会議は、情報交換の場でしかない
お互いの意思が伝わらぬように、それでいて、悟れるように
誰にもばれないようにしながら、誰かに伝えたいという相反したことを
叶えるため、賢者である三人が、賢者なりの言葉で
つまるところ暗号とも言えるような会話を繰り返し、目標と方針を決めていくことになる
並の器量ではこれが叶わないことは、どれだけの人間が解っているのだというのだろう
彼らは、名誉欲を持つ、普通の人間だ
だが、その名誉を発揮する相手が、衆目ではなく神であるところが異なっている
神は何も語らずともそれを認めてくれる、己を肯定できるところから強さを生み
やがて、強い力へと変えていく

「では、次に会える時は、いよいよ勝利に近づいていると信じて」

その場は散開となった
すぐに情報と戦争の宰相が前線地区へと情報と命令を流していく
それに伴って、明日にでも攻めてくるであろうデハンに対して
防壁とその後への布石を次々とちりばめていく
経済の宰相は、蔵の計算に戻った、もう一度、どれだけを戦費として
本当に使うことができるのか、それを計算し足らない分は調達する必要がある
どんな手を尽くしてもと、そこは考えている
デハンの派手な戦争への演出と異なり
バンダーウの戦争への対応は、地味でありながら、実益ばかりが見えた
酷く臭いものだ
それでも、その人間臭さを嗅いだとしても、教徒達は迷うことを知らない
なぜなら、それで慣らされてきたから200年の時は、彼らに味方していると言うほど
慣れ親しみ、当たり前だと知っているから成り立っている

「前線に噂をばらまけ」

そして、一つの噂を持たせ斥候を放つ
また、別の斥候に今度は一歩後退した地区にばらまく噂を伝える
そうやって、噂の濃度を徐々に変えて、内質を変化させてとぐろを巻かせる
情報は生き物だから、時に予想だにしないことへと変質することもある
だが、それを畏れては何もできない、この生き物を操る
耳で声を聞き、諭していくのが情報の宰相に課せられた仕事

デハンには金がある
ならばその金を取り上げるのが、戦費を調達し
力を蓄え、焦らせる、全ての望みを叶えることだろう
奴らから取り上げる為に、どれだけの投資が必要か
それを【目】に伝える必要がある、【腕】は黒く立派なヒゲを蓄えている
軽装ではあるが、戦争宰相の名に恥じぬ、それを連想させる人の形を
顔といわず、身体全体に備えている
登る為に暴力を厭わなかった、そんな性格をしている

「神の声が聞こえる今、畏れることはない、ただ」

三人の宰相が全く別のところで
同じ台詞を呟いて止まった、気がかりが一つだけある
それの行方が、なんとなく
これからを握っているように思われる
思われるからこそ、呟いて、それ以上は言わなかった
そこは経験則からくるそれ、真意を語らぬスタイルに当てはめて

「オファーが?」

「はい、休暇も終わりであります」

「さて、次の仕事はなんだろうな、前と同じ牧場警備か?だいぶコツを掴んだからな、今度は狼もお手の物だ」

「隊長は志が低い、そんな便利屋の仕事ばっかじゃ、部下が減るわけですぜ」

「バカを言うな、300人も居れば充分だ、それ以上は邪魔になる意思が伝わらないしな」

「まぁ、なんでもいいですが、今度のはいよいよだ」

「いよいよ?」

「ええ、なんだ、その、戦争ですよ」

どっと、周りのゴロツキ紛いの男達が湧いた
隊長と呼ばれている男は、静かにそれを聞いて
さして驚いた様子もない
そう言われると知っていたかのような風だ
超然としているといえば聞こえがいいが、そこまで上等かどうかは疑わしい

「ふん、戦争か、いつぶりだ」

「そうですね、発起した頃の、ほら、海岸沿いでの村一個守った小せぇ小競り合い以来だ」

「何せ、あの後ぁ、羊守ったり、牛守ったり、そんなんばっかだったからな」

「こら、商隊の護衛もやったろう」

「ははは、逆に襲った数の方が多いじゃないですか」

大笑いが起こるが、少し機嫌を損ねた風で隊長がそれらを睨む
しゅんと、それらが静まって表情が褪めた
それでも、空気は未だ情熱を保ったまま、戦争の声が男の血を騒がせる

「ツィーゲルだ、でかい戦争です、いよいよ始めるらしい、それの捨て駒役」

依頼を受けてきた男は
口汚い調子で、そう言い放った、皮肉たっぷりに
一言もそう言われていないが、バカじゃない彼らはそこまで解っている
ただ、品のない奴ばかりのように見えるが、一部がそうなだけで
ほとんどは行儀がよい、むしろ、騎士を彷彿とさせるような
そういう隊員で成り立っている

「まぁ、なんでもいい、引き受けるという返事は俺が出してくる」

「じゃぁ、準備をかけておきましょう」

「頼む」

その一言の後、それまでの巫山戯(ふざけ)た様子は、煙のように消えた
戦闘のプロの顔、陳腐だが、多分そういうことなんだろうと思う
根城にしている洞窟、いや、岩を彫り作った砦で
一番上等な部屋に隊長が戻る、中には美しい女が待っている、彼の妻だ

「どうされました?」

「仕事だ、雇い主に会いにいく」

「そう」

濡れるような声が、たまらなく女らしい
気品がどこかしこから漏れて、とてもこんなうらぶれた輩の間に居てはならないような
不安を醸し出すほど美しい、ただ、それは遠目からその威光のようなものを見た時の感想
本当に直面すれば、意思の強い瞳と賢い言動に驚かされる
言われた後、すぐに夫の仕度を整える
いや、既に聞いていたかのように、あっと言う間に整った

「じゃ、行って来る、ローザヴィ」

「行ってらっしゃいませ、カイン様」

ランディシー傭兵団
カインという男を隊長とし、デハンが雇った傭兵の名である

つぎ

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やっちゃならねぇと
自分で解っておきながら、人物が増えて、そして
わからない名前が増えていきます、す、すいません
名前は、ちなみに、全部ネタがあるんですが
それは最終回の頃に(ぉぃ

ともかく大変面倒をおかけしておりますし
展開遅すぎます、申し訳ない
精進しなおします、ひぎぃ

早くもせっぱ詰まってる辺り、見切り発射感が滲み出ていますが
よしなに長文ご愛読ありがとうございます
R(05/08/09)