ein rotes Kleid,
Sie ist Prinzessin.


広大な国となりつつある
いや、各国自体は統合、あるいは同盟後も
続いている、国、族、の隔ては常のまま
ただ、その最上位に紅の国がある、だから厳密に巨大国とは言わない
同盟国の盟主という類が相当するだろう
そのためにカーストが徹底されつつある
カーストと言うほどでもない、偉いのは、兎にも角にも
紅の王族のみだ
それ以外は全て今までと変わらない
そういった違和感、統一感、達成感のどれも味わえない
複雑な統治が進んでいる、姫君が望んで施した世相だ

それでも、一向に姫様の機嫌は治らないでいる

治らないのだ
病気と同じような風情で、苛立ちが募り
些細なことでよく人が死ぬようになっている
宮中はまったく穏やかでない
戦々恐々と大臣達は自らを律し、決して戒めを破ることを
しないようになった、今までの中で
ここまで強固に、理不尽で、緊張を強いられる平和は無いだろう

「調べはまだ進まないのか」

「も、もうしわけ」

「もうよい」

言い終わると、その謝りかけた男はその場で処断されている
城内だけでの、閉鎖された公開処刑
この様子は、なぜか城外に漏れることがない
漏れそうな場所は、既に塞がれている、人の死は
何よりも強固な重石だ

「アル、アルっ」

「はいっ」

「お前も遅い、どうなっておる、まだ治まらぬのか」

「はい」

「愚か者がっ、どれだけの時間を費やしているっ、イライラする、その遅延に加えて、お前はなぜ出陣し・・・・」

と来たところで、包帯に巻かれた身体をようやく知覚する
その言葉のムイミを知り、また苛立ちを覚えている
爆発し続ける爆弾だ
アルは、久しくこのように烈しい姫を見たことがない
もっと幼かったころに癇癪を起こしたら
こんな感じだったとわずかに記憶している
その時は、殺されるかと思うほどムチで打たれた、その傷は
未だに身体のかしこに残っている、余談

「ハンプに任せ、西の掃討を進めているのですが、抵抗が厳しく・・・」

「・・・・・・・西か・・・・やはりか」

ごもりながら、姫君は呟いた
何か、アタリを付けている雰囲気がある
何かはわからない、アルはこの身を裂くほどの緊張感に
随分とうれしそうな雰囲気があった
人間の根本が従属することに適応しているらしい
有無を言わさず、従わせるという環境を好んでいる
この従順な様子が、姫君を苛立たせ、それによるせっかんを催し
最終的には、姫君の心情は、ほんの少しだけ回復している

「仕方在るまい、直々に参る」

「!そ、それは」

「謀反の企てか?騎士殿」

冷たい言葉は、冷虐の笑みが浮かんでいる
しばらく潜んでいたような、純粋に意地の悪い顔だ
だが、いつもは真っ白な顔でそうだというのに
この時だけは、なぜかわずかに顔が紅潮していた
アルはそんな些細なことに気付いたが、報告はしなかった
その時点では正しい選択だった

がらんがらん

車輪はけたたましく音を立てて回り続ける
紅い車は馬に引き連れられ、そして、白い騎士を一人ひきつれ
あとは近衛の兵に守られながら、戦地へと移動している
車の中には、姫君と妹君が居る
近衛の隊長は当然の如くアルだ
傷はまだ癒えていないが、ここで留守番を仰せつかるほど
偉くもないし、怠惰を赦されていない
姫君からすれば、自分の為に一度くらい死んで、その忠誠を示してこそと
思っている節がある、だから、強行や無理強いが、アルに対して非常に強い
当然文句を言う度胸はアルにない、黙って、片腕を吊ったまま連れている

「ゲリラ戦を強いられているのか、なるほどな」

「散発的な行動をそこかしこから、不用意なタイミングで行われている模様です」

「お前は相変わらずバカだ、それを策謀と言うのだ、相手の軍師は賢いぞ」

姫君はいつになくようようとした口調だ
戦場の為かと思うほど、その顔は依然紅潮を保っている
傍らの褐色の娘もそれには気付いているようだが
何かしている気配はない

「アル」

「はい」

「ところで、奥との関係はどうだ?」

「ぃぇ、そ、その、も、問題ありません」

「シたのか?」

車の音が五月蠅いとはいえ
あけすけにそんなことを横を走るアルに向けた
廻りの衛兵に聞こえるかと思うが、それは無い様子
少し不用意だが、悪戯な笑顔はその答えを楽しみにしている

「・・・・・・」

「答えよ、それとも、反目するつもりか?」

「し、しました」

顔を真っ赤にしてアルは絞り出す
実際の話だ、仇と呪われたものの、その後は
まるで普通の夫婦のように毎日が過ぎた、それ相応に
そんな事にもなった、当然と言えば、当然の結果だ

「詳しく報告せよ、戦果を」

姫君は本当にそれに対して興味があるのか
ただ、それを聞くことによって、この男の恥辱を究めさせたいのか
まるで計れない、アルは従うしかないが
恥辱に、そしてわずかながら残る人間の尊厳とやらを盾に
少し柔らかい表現で、それを伝えようとする

「ふ、夫婦の契りを結びました故、その3日後の夜に、だ、抱きました」

「・・・・・・・・」

がらがらがら
車の音は五月蠅い、それによって遮られたのだろうかと
アルは一瞬不安に思い、姫君を見た
ああ、違う、答えを間違えた
咄嗟に判断した、それだけを考えさせるに充分に
つまらなさそうな顔をしている
すぐにアルは、いつもの通りに答える、姫君の耳にようやく届く言葉で言う

「ここの所は、毎日、い、いたしております」

「・・・・・毎日?」

「は、毎晩、飽きることなく、他に女を知らない為、同じことばかりを」

「相変わらず愚かなことだな、流石騎士殿、期待を裏切らない」

姫君はにやにやと笑った、いや、そういう笑顔を作った
目はいつものままだ、つまらない、そういった風情
話題に飽きたのか、姫君はそれぎり黙った
戦地に入る、目立つ紅い車は、はばかることもなく駐屯軍の陣営へ
ずるりずるりと入っていった

「ひ、姫様自ら御出陣!?」

大きな声で驚いたのはハンプだ
局地戦を任されながら、司令官が直々に来たとなれば
彼のメンツ、立場は全て無きの如く
叩きつぶされたと言っても過言ではない、実質、その程度だろう
ただ、ハンプのデキが悪いわけではない

「敵は強力と聞きます、ハンプ、よく持ちこたえてくれました、恥じることはありません」

優しい声をかける紅の姫
深々と頭を下げる若い騎士は、この言葉だけで
一生を得た気分にすらなる
若いというのは、そういうものだろう、いちいちの感動が大きい
それを、どう、と思うわけもなく、姫君は
すたすたと状況の把握に務めることにした

「散発攻撃が続いているのですね」

「はい、方々から、数は大したことがないのですが、相手の所在がわからず
責められるばかりで、実際、兵の疲弊が酷い有様です」

隠し立てするわけもなく、ハンプはありのままの現状を報告する
姫君は、愚かなことだ、とは思わない、むしろ
今の状況を脚色なく表現しうるこの騎士を買っている
アルとは違うが、役に立つと踏んでいる様子
じっくりと一通り聞き終わったあと

「わかりました、明日、朝にでも、軍議、いや、命令を下知いたします」

言い終わると野営のテントへと姫が下がった
全員が恭しく頭を下げる、姫君が陣頭の指揮を執る
それだけで志気は凄まじく上がっている
キャンプ全体が高揚感で覆われた、充実した集団となった

しかしだ

アルは疑問を覚えている
おかしい、いつもならば、夜を徹してでも下知があるはず
いつもの迅速を尊ぶ信条をもってするならば、こうではないはずだ
しかし一方では、ここで迅速な戦術を取らなかったおかげで
志気の向上と厭戦ムードの一掃が計られたようにも思われる
このあたりは判断が難しい、頭の悪いアルでは理解できない
姫君のテントを守る為、もっそりと紅い車の止まったテントの前に
黙って陣取っている

「アル騎士」

「ハンプ、ご苦労だったな」

「申し訳ございません、マイグレックヒェンの武功を私は貶めて・・・」

「必要以上に責任を感じるな、姫様もおっしゃられただろう、そのようにしろ
これ以上気落ちすることは、反目とも取られかねん」

アルは強引に勇気づける
実際は勇気づけにもならない、くだらない言葉だが
信仰しているハンプにとっては、夢見心地だ
すぐに若者特有の明るさを取り戻し、夜営の見回りに行った

テントの中

「姉様・・・・な、なんだか」

「・・・・・・・・」

「ぁ、あ、ぁ、あ、、」

「・・・・・・・・」

黙ったまま、妹を相手に戯れを施している
いつものように、素っ気ない、いや、冷酷に
身もだえする妹を見下すような視線で
淫蕩を繰り返している
金髪の姫の手は、驚くほど巧緻に妹の身体を這ってまわる

「そ、そんなに、は、ハゲシくっ!うぁっっ!!!」

股ぐらを這い回る白い手は
蛇のようにするすると身体を締め付けてはゆるめ
埋没しては引き抜かれを繰り返す
びちゃりびちゃりと、いつものようにはしたない液体が
どろどろとほとから流れ出て、飛沫を散らす
甘い匂いが立ちこめる、褐色の娘は目を細めてよだれを流す

「あー、あー、あー〜〜〜〜っっっっッッっっ!!!!」

びくびくびくっ、たまらずに果てる
くぱぁと穴は大きく口を開いて、そして
中身がはみでるような様子で、ピンク色の肉が
あつぼったくすぼまる
太股のあたりをてらてらと光らせて、ゆっくりと
離れていく白い指先に、銀色の橋をかける
つぅー、垂れる雫が艶めかしい

「・・・・・・・」

「あ、姉様・・・・今日は、なんだか、激しく、それに」

ほうほうと出来上がった顔で
妹は姉を仰ぎ見る、冷ややかな目はいつもの通り
見下されたものに、快感を催すに充分な衝撃を持つ
しかし、いつもの冷淡さと変わり
顔に赤みがさして、興奮が見られる、自分を見て
自分を犯すことで、姉様自身が興奮しておられる
そんな倒錯した快楽が、たまらない、妹は
うだった脳は、その様子を、至極としている

「はぁはぁ・・・・」

「姉様が、そのように息を切らせるまで没頭するなんて・・・」

甘えるように、妹は手を伸ばした
脳が飛んでいるせいだろう
普段ならば、ここで

「触るな、汚れる、誰が赦したか」

と必要以上な冷酷さを見せ、蔑を投げつけるというのに
今日に限っては、それをせず、されるままに金髪の娘は巻き取られた
妹は、全身で、姉の異常な火照りを感じる

熱い

一瞬、女がイくときのそれかと思ったが
すぐに持ち直した、青々と、褐色の肌が急速に冷えていく
ふるふるとふるえ、熱を帯びた肌を抱きかかえ
ようやく、全ての違和感の元に辿り着いた

「姉様っ・・・・姉様っ!!」

「ぅるさぃ・・・・ぁまり、ぉぉきなこぇを出すな・・・・」

半ばパニックになっている
狼狽えた表情は、おろおろとするばかりで
裸のまま、テントの外へと出てしまう

「!・・・妹姫様・・・・それは」

慌てて、その醜態を隠すようにアルが立ちふさがる
これが見られてしまうと、志気はおろか
国内の統率に影響が出る
狂乱するかのような、黒髪を振り乱した娘を強引に抱きかかえ
テントの方へと押し戻す、何があったのか
アルは落ち着かせる

「姉様が、あ、あねさまの身体が」

「姫様」

返事がない
うすら寒くなって、慌てて近寄る
熱に冒されてる
今更言うまでもなく、その通り
顔は赤らみ、うなされている様子は、軽くないことを
見せるに充分だ

「妹姫様、医者を連れてきますので、しばらく・・・」

「待て、アル、貴様がここを離れることはならん」

「し、しかし」

「それよりも、ここを早く離れる・・・」

「!?」

「夜襲がくる、大規模の反乱も併発するだろう、今のままではどうともできぬ」

あえぎあえぎ、白い姫は静かにアルに諭す
妹姫も青ざめながら、なんとか衣類を整えている

「なら、すぐにでも、退却の指令を」

「愚か者・・・・退却となれば、陣が乱れ、追われるうちに、私の身の安全が確保できぬ」

「・・・・」

「一刻を・・・争うのだ、今度のは、この速度では勝てぬ」

つまり、兵を見捨てて、自らを救おうというのか
アルは、いつかの動乱を思い出した
この人はそういう人だ、今更どう思うわけでもない
言い聞かせるようにして、すぐに脱出の用意だけを整えた
これでは、何しにここへ来たのかわからないが
その痴態を被ってまで、逃げなくては命が危ないと、この誇り高き姫君が踏んだ
これは、相当の危険がある

がらがら・・・・

車が走り逃げる音がした
陣の中では、不審がる兵が居たようだが
夜のため、その車の色が識別できず
よもや姫専用車だとは気付かない様子だ

「おい・・・・・居たぞ白騎士の大将だ、見張りについてる」

「あそこに、売女が、娼婦街の娘とともに・・・・」

「あまり大きな声を出すな、戻って報せよう、ここを叩けば・・・」

斥候らしい
三人の男がもそもそと
影の中を走り、呟いて、たくらんでいる

「・・・・どうした」

「車が・・・・・無い」

「なに?」

一人が気付いた、傍らにあるはずの
紅い車が無くなっている
離れているため、仔細はわからないが
車があった形跡はある
車止めが見え、止めていた縄が棄てられている

「縄がちぎられている・・・・・・・まさか、逃げられた」

「しかし、あそこに白騎士がいるぞ、どういうことだ」

「さっき、車の音がしたが、まさか・・・」

「まずい、急ぐぞっ」

「おいっ、だけど、あそこに白騎士が、近衛を置いて逃げるか?」

「囮だっ、間違いない、昔、あの女は近衛のアルを盾にして逃げたことがある、一緒だ」

がらがらがらがらがらっっ

夜営から少し離れたところで
車は一気にスピードを上げた
夜道、舗装なぞされているわけがない道は
凹凸が多く、時折、勢いのある車は
転ぶかと思うほど傾く、かなりのスピードだがその後ろ
それにまさる速度で、影が近づいてくる

ぽぅ

「!!来たかっ」

護衛の兵士が後ろに気付く
同時に、夜営では火の手が上がった
夜襲を受けたのだろう、静かだった夜が騒然となった
あちこちで、けたたましい音が産まれている
兵士の一人は思った
これが敗北のハジマリという現象なんだ、と

思った兵士は、直後、敗北に飲み込まれた
音を立てることもなく、気付くこともなく
葬られた、追っ手の速さは尋常ではない
車が取り囲まれた、慌てふためく護衛
喧噪が車のまわりで始まる

「車輪だ、まずは、車を止めろっ」

「させるなっ、何がなんでも守れっっ!!!!」

がいんっ、きぃんっ、ずぐっ!!
守りは手薄だ、逃げるのを隠すために
少数にしたのが、ここにきて、当然のアダとなった
すぐに伏せられていく護衛、そして車の車輪ががらりと外れた

がごっ!!!!!ごずがががっががっっ
こける
空中を一瞬だけ舞うようにして、車が大破した
敵がすぐに群がる
護衛はほとんどが死に失せた

「殺すなっ、捕らえるんだっ、殺すのは衆目の前だ、何よりも酷い姿でなっ」

「わ、わかってるっ、くそ、くそっ、忌まわしき女っ、こいつを」

燃え滾る怒りとずぶ黒い欲望がその目から、暗闇の中でもはっきりと取れる
強姦を、二度と立ち上がれぬほどの凌辱を加え
その上で殺す、でなくては、滅ぼされた祖国、親兄弟は慰められない

指揮を執るものの声は、わずかに昂揚している
興奮が、まちきれないような感情を持たせているらしい
車にまとわりつく影達、中にいる女をひきずりだす
白いドレス、華奢な身体

甘い匂い

「?・・・・・・・おい」

かたかたかたかた
震えた少女は、暗闇の中
自分に群がる、さらに黒いものに怯えている
車が大きく転げた時に、どこかしことぶつけたが
幸い怪我は無い、だが、食い破られるかと思うほどの恐怖が
目を怯えさせ、身体を震わせ、声を上げることを戸惑わせている

「違う・・・・こいつは、「娼婦」の方だっ、計られたっ!!!」

「なにっ、じゃぁ」

いきりたつ黒い影
すぐに後ろを見るが、もう夜営は襲撃がはじまり
どこでどうなっているかわからない、逃げ惑う紅い国の人間が
いくつか、もう、それこそ追うことができないほど
蜘蛛の子を散らした大騒ぎで、あちこちへと消えていく

「くそっ・・・・しかし、まぁ、いい」

赤々と照らされ始めた世界
夜はまだ深いが、それを破る炎が上がる

「あの炎は、紅を喰らう新たな、赤色だ」

「違いない、この敗走は価値がある、諸国でくすぶっていた炎を全て焚き付ける」

「その前菜としようか?」

ふと、一人が言った
そこには10人前後の男が居る
その声を待っていたように、廻りでは囃す声が上がる
震える少女に逃げ場は無い
そして空気から、全てを悟る
おぞましき未来を、くそだめのような過去から導き出す

がちがちがち、歯の鳴る音が、夜に寂しく鳴る

つぎ

もどる





少し、急ぎます
駄文失礼しております
R(04/09/20)