天皇陛下が十六日、治療のため入院した前立腺がん。五十歳代以降の男性に見つかりやすく、簡単な血液検査でがんの有無が分かるケースが多いが、胃がんなどに比べ、検診を受ける人は少ないという。岐阜大医学部付属病院などで、県内の前立腺がん検診の普及に取り組む医師宇野裕巳さん(39)=泌尿器科=に、がん予防の大切さなどを聞いた。(聞き手は岐阜支社報道部・梅野光春)
「50歳過ぎたら毎年受診を」
−前立腺がんの特徴は。 前立腺は男性の下腹部にあり、生殖器の働きを助ける器官です。性ホルモンの分泌が衰える五十歳代から、がんが発症しやすくなります。前立腺肥大で尿の出方が悪くなり、受診するとがんもあったというケースが多いですね。この場合、進行してから見つかる割合が六割を占めます。
−ほかのがんと同様、早期発見が大事。 そうですね。ただ五年前の全国調査では、肺がん検診は約七百万人、乳がん検診は約三百万人が受けているのに、前立腺がんはわずか三万四千人。まだ、検診の大切さが知られていない。一方、検診でがんが見つかる率は、0・89%。肺がんの0・05%、乳がんの0・06%に比べると、格段に高いんです。
−県内の検診状況は。 市町村が、集団検診の費用を一部負担する制度は、県内九十九市町村のうち、三町しかありません。新年度から、十五市町村で新規導入される見込みですが、まだまだ少ない。県内に、五十歳以上の男性は約四十万人。前述の発見率をかけると約三千六百人が、前立腺がんにかかっていることになるのですが。−個人で検診を受けることもできますか。 保険対象なので、千八百円ほどで受けられます。腕から採血し、PSAという検査をします。採血から四〜五日で結果が出る。これで見つかるがんの六割が進行前。男性は五十歳を過ぎたら、毎年受けてほしいですね。