お千代物語
≪山内一豊の妻≫
第12話 
とも(友)、長男・慶隆を出産
  ともが木越城主の弟・遠藤盛数との間に長男を生んだ時、
初孫誕生に、八幡の赤谷の父・東常慶(とうのつねよし)は、

「とも、でかしたぞ。元気な男の子じゃ。わしの名を一字とって慶隆(よしたか)としよう。よいな、むこ殿。」

  夫の盛数は、顔を紅潮させて義父・常慶に言った。
「はい。私もこれで一人前。この木越城の兄・胤縁の厄介にならぬよう、他に領地でもあれば、と存じます。」
 
  夫・盛数の野心など何も知らぬともは、アジサイやアザミの紫の花の下で、わが子・慶隆に何度も頬ずりをしていた。
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