メンテ塾
セルモーターによる始動不良
メンテ台は57年式SJ30ジムニ―
この回はSJ30,10などに多いセルモーターによる始動不良を取り上げます。
イグニッションキーをひねってもカチンカチンと高い金属音がするだけでセルモーターが
回らない症状です。軽い症状では1、2度セルを回し直すとセルモーターが回り出すと
いうのが多いようです。ジムニ―に限らず年式の経った車両や走行の多い車両にも
見うけられる症状です。音が大きくカチンカチンという時と小さい音でカチカチと言うのでは
後者はバッテリー不良やセルモーターのマグネットスイッチ(*)の不良が考えられますので
ブースターケーブルでバッテリーをジャンプさせたりしてセルが回るときなどは、この事例
は当てはまりません。 (*)セルモーターの中のスターターギアを飛び出させる機構。
すでにセルモーターを外した状態ですがピ二オンギアの頭の部分がつぶれているのが
わかりますでしょうか。セルモーターはこの位置からピ二オンギアが上に飛び出しエンジンの
リングギアにかみ合い、クランキングを開始します。ピ二オンギアの頭が画像のようにつぶれ
てしまうとリングギアの歯に反発してしまい、結果クランキングせずにカチンカチンとピ二オン
ギアが飛びこみ不良を起こすといった具合です。
対策としてはリューターなどでピ二オンギアのつぶれている部分を丸く滑らかに加工します。
注意としてはつぶれている部分のみ加工し、ギアのリングギアとのあたり面などには手を
加えないことです。まれに鋭く加工したほうが良いのではと聞きますが、それはつぶれやすく
なるだけで逆効果です。つぶれている部分を丸くするだけで十分と言えますでしょう。
ピ二オンギアの頭部分を丸く加工し終わった状態です。つぶれている部分がなくなり
なだらかな三角になりました。組み戻す前にドライバーで指示しているピ二オンギアの
スライド部分にグリスを少量給脂します、滑りがよくなり寿命をのばす効果があります。
きれいにピ二オンギアを加工したにもかかわらず症状が好転しない場合はリングギア側
にも不具合が生じている可能性が多いと考えられます。その場合はセルモーターの
ピ二オンギアの飛び出し状態を確認した後リングギアの加工、交換などとなります。
さらに症状として朝一番のみ、寒い時期のみの同症状ですとピ二オンギアの飛び出し
不良(マグネットスイッチの消耗により飛び出す力が弱くなる)の可能性が高いと考えられ、
この場合マグネットスイッチ自体が不良あるいはマグネットスイッチへの12V+の供給不良
(マグネットスイッチへの配線の経年劣化による物)などが考えられます(下記詳細)
セルモーター本体の異常と判断できましたら自動車電機屋さんや自動車修理屋さんに
オーバーホールをお願いしましょう。
マグネットスイッチへの12V供給不良の場合、リレーを介してバッテリーから安定したシグ
ナルを送る改良が良く行われます。下記画像バッテリーの上に乗っているのがリレーです。
20アンペア以上のリレーを選んで結線するのが一般的です。下記は4極リレーを使用した
際の配線の参考図です。
いい具合にセルモーターが回るようになったら安く解決できたと喜べます、SJ10,30などに
多い事例ですがその他の車種でも構造は同じなので症状が似ている場合是非お験しください。
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