和為貴

和を貴しとなす   『論語』

聖徳太子が十七条憲法の冒頭に掲げた「和を以って貴しとなす」という言葉は、もともと『論語』が出典です。

孔子の弟子の有若(ゆうじゃく)が語ったところによると
「礼の用は和を貴しとなす。先王の道もこれを美となす。」といっているそうです。
礼とは社会生活の規範ですが、それの実践にあたっては和の心が根本に無ければなりません。
古代の聖王の道のすぐれているのも、この和の心があったからこそです。

しかし有若(ゆうじゃく)は「和」だけが金科玉条のように推奨しているわけでもないようです。
「どんな場合でも和の心さえあれば十分だというわけではない。
いかにも和は大切だが、一方で礼による折り目がないと、せっかくの和もうまくいかぬことがある。」

これは、「和だけが先行するのではなく、同時に社会生活の規範がしっかりと確立されていなくてはいけない。」ということです。