不積キ歩、無以至千里

キ歩をつまざれば、以って千里に至るなし     『荀子』

「キ歩」の「キ」の字は足偏に頃という字を書きます。
「キ歩」とは右足なり左足なりを一歩前に進める事です。

千里の道も一歩一歩の積み重ねて行くことに
よって到達するものではないでしょうか?
これは普段の努力の大切な事を語った言葉に他なりません。

「ミミズには爪も歯もありません。また丈夫な骨もありません。
しかし、地中の土を食べ、地下の水を飲んで生きています。一時に専念すればこそです。
これに対して、蟹は八本の足と二本のハサミがありながら、
蛇や鰻の掘った穴をすみかとするしか能がありません。
落ち着きがなく一時に専念しないからです。
これと同じように目に見えない努力を積み重ねない物には、
栄誉と訪れるはずがないし、目に付かぬところで仕事の手をぬく者には、
輝かしい成果はありません。」と荀子例えを使って説明しています。

人目につかないところでも手を抜かない。
いわゆる職人のような仕事ぶりが「キ歩」なのです。