昔、晋の景公が重い病に倒れたときのことです。
隣国の秦から「高緩」という名医を呼んで、診察を仰ぐことにしたそうです。
その前の夜に景公は、病が二人の子供の姿を借りて以下の話をしている夢をみた。
「秦から高緩がやってくるそうだ。いよいよ俺たちも危ないな。いったい何処に逃げたらよいだろうか?」
「肓(横隔膜)の上、膏(心臓の下の薄い膜)の下なら安全だ。そこに逃げ込もう」
さて、翌日に高緩がやってきて、さっそく診察をするが、おわると「まことに申し上げにくい事ですが、
病は肓の上、膏の下に入り込んでいます。ここは鍼も薬も届かないところです。
もはや治療のしようがありません」と語った。
そして、景公はまもなく死んだという。
病気だけでなくどんな仕事でも病、膏肓に入らぬうちに、早めに手を打つことを心がけなければならない。
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