温温恭人維徳之基也

温温たる恭人はこれ徳の基なり    『詩経』

「温温」とは、おだやか、柔和のことです。
「恭」は自分に対して、慎み深く、人に対してはうやうやしい事です。
これが「徳の基」だと言っています。
徳のある人は、周りの人から慕われ、信頼されます。
間違っても人の怨みを買うことはないでしょう。
そういう点が「温温たる恭人」のゆえんです。

逆のケースを考えてみます。「温温」の反対は「冷たさ」が強調されるような感じです。
前者が春の暖かさを思わせるのに対して、後者は冬の寒さを連想させます。
寒いときにはあまり外に出たくないのが本音です。心も硬く閉じてしまう感じも受けます。

また、「恭人」の反対は、「傲慢さ」です。
傲慢さは近寄って来る人まで遠ざけてしまいます。
これも「徳」とはいえません。孔子は「恭なれば即ち侮れず」と言っています。
「恭」もまた処世の要諦なのかもしれません。