春秋時代、天下に号令した覇者の一人に、晋の文公という人物がいました。
この人は若いころ、後継者争いの内紛に巻き込まれて国外に逃れ、
19年にわたる逃亡生活ののちに、帰国して王位についています。
そう言う意味では、まれに見る辛抱の人といってよいかもしれません。
その文公が亡命中、斉の国に滞在していた時のことです。
さすがの彼も長い逃亡生活に疲れたのか、つかの間の安楽な生活におぼれてしまい、
めっきりとやる気をなくしてしまいました。
それを見た夫人が「しっかりして下さい」と、夫の文公をいさめる中に、この言葉が出てきます。
「懐」は、楽をしたいと思う気持ち、「安」とは、安逸をむさぼることです。
漫然とテレビなどを眺めながら、のんべんだらりと毎日を送っているようでは、
立派な仕事は出来ないということです。
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