七情を慎む

さて養生の道の根本は、内欲をおさえる(我慢する)ことである。この根本をしっかりと務めれば元気が強くなって外邪に犯されることもない。内欲を慎まないで元気が弱いと外邪に犯されやすくなって大病にかかり天命をたもつことができない。では、いかにして内欲をおさえることができるのか?

 それは飲食を適度にして過食せず、脾臓と胃とを傷つけて病を誘発するものを食べないこと。また色欲を慎み、精力をたくわえ、正しい睡眠をとり、長時間眠ることや座ることをさけて、ほどよく運動をして気の転換をはかることなどによるものである。

 ことに食後はかならず数百歩の散歩がよい。食後に安座したり、昼寝をしたり、食べた物がまだ消化していないのに早く眠ってしまう習慣をつけると、身体に滞りが生じて病気となり、繰り返しているうちに衰弱する。

 日頃から元気を消耗することをなるべくさけ、多弁をせず、七情をほどよく整えるがよい。七情の中でも特に、怒り、悲しみ、憂い、思いを少なくすることを心がけることが大切であろう。欲を抑え、心を平静にし、気を和らげ、物事に動ぜずして騒がず、心はたえず平和で安楽でなければならない。憂い苦しんではだめだ。

 これがすなわち、内欲をこらえて元気を養う道である。またこうした心がけが、風・寒・暑・湿の外邪に勝つ力となる。このような内外のさまざまな注意こそは、養生の大切な項目である。これらをよくよく慎み順守しなければならない。