心気を養う養生術

心気を養うことが養生の術(方法)の第一歩である。心を穏やかにし、怒りと欲とを抑制し、憂いや心配を少なくして、心を苦しめず、気を痛めないことが、これこそ心気を養う大切な方法である。

 寝ることを好んではよくない。長く眠っていると、気(血)の循環が悪くなる。特に食後、飲食を消化していないのに臥してしまうと、食気をふさいで大いに元気を損なう。心しなければならない。酒はほろ酔いまでがよく、主席がたけなわになるところでやめるのがよい。

 食事は腹八分がよくて、腹いっぱい食べてはいけない。酒食とも一定量を定めて、限度を超えてはいけない。また若いときから色欲を慎み、精気をむだつかいしてはいけない。精気を多くつかうと、下の部分の気が弱くなり、元気の源泉に影響してきて、かならず短命になる。もし飲食や色欲を慎まないならば、毎日栄養剤などの補薬を飲んでも、朝夕に栄養を補っても何の役にも立たないのである。また、風・寒・暑・湿の外邪をおそれて防いで、起居振る舞いに節度を持って慎み、食後は適度の運動をし、ときどき養生法としての導引をして、腰や腹をなで摩擦し、手足をよく動かし、労働して血気を循環させて飲食したものをよく消化させなければならない。同じところに長く安座してはならぬ。これらはみな養生のために欠くことのできない大事なことである。

 養生の道は、病にかからないときに慎むことである。病気になってから薬を使い、針や灸を持って病を攻めるのは養生の末である。養生の根本は、発病する前に予防することであろう。