身体を保護して養生するために、忘れてはならない肝要な一字がある。これを実践すれば生命を長くたもって病むことはない。親には孝、君には忠、家をたもち身体をたもつ。何を行なっても間違いは生じない。ではその一字とは何か。「畏」ということである。 畏れるという事は、身を守る心の法である。すべてに注意して気ままにしないで、過失の無いようにし、たえず天道を畏れ敬い、慎んでしたがい、人間の欲望を畏れ慎んで我慢することである。つまり畏れることは慎みの心の出発をなすものであって、恐れると慎む心が生まれるのである。したがって畏れなければ慎みもない。それゆえ朱子学も晩年には、敬の概念を分析して、敬は「畏」という字の意味に近いと解したのである。 |