呼と吸と

呼吸は人の鼻から絶えず出入りする息のことである。呼は出る息で、身体の内にある気を吐き出すことである。吸は入る息であって、外気を吸うことである。

 呼吸は人の生気である。呼吸がなくなると死ぬ。人の体内にある気は天地の気と同じであって、内外あい通じ合っている。人が天地の気の中にいるのは、魚が水の中にいるようなものである。魚の腹中の水も外の水と同じく出入りしているのである。

 人の体内にある気も天気に満ちている気と同じである。がしかし、体内の気は内臓にあるので古くなって汚れている。天地の気は新鮮で清らかである。だから、ときどき鼻から外気を多く吸い込むとよいのである。吸い込んだ気が体内に一杯になったならば、口から少しずつ静かに吐き出すこと。荒々しく早く吐き出してはいけない。これは古く汚れた気を吐き出して新しい清らかな気を吸い込み、新しい気と古い気との取り替えであるからである。

 これを実行する時には、身体を正しくして上向きの臥し、足をのばし、目を閉じて手をしっかり握り、両足を五寸くらい開いて両肘と身体との間隔も同じく五寸くらいになるようにする。

 一昼夜のあいだに一、二度行なう。長いあいだ実行すれば効果が現れるであろう。気を安らかにして行なわなければならない。