日本では昔から奇数は陽の数字とされ、なかでも一の位の最大である「九」が重なる9月9日は陽が重なるのでめでたい日とされ「重陽の節句」として呼ばれ、お祝いしました。 宮中では、端午の節句(5月5日)につけられた薬玉を、重陽の節句に菊花と呉茱萸の入った袋と取りかえる行事がありました。また、中国では古くに女性が呉茱萸の袋を身につける習慣があったそうです。 呉茱萸は、身体を温める作用が強く、冷えによる腹痛や頭痛、下痢、嘔吐などに使用される生薬です。これは寒い冬に向かうこの時期に、寒さによる病気の予防に願いを込めての風習と思います。
菊の花を枕に入れて菊枕を作ったり、プーアール茶に菊花をいれて菊普茶(コッポウ茶)として飲む習慣がありますが、夏の暑さの名残を取り除くためにも最適と言えます。 それ意外に栗飯を炊く習慣もあり「栗の節句」とも言われていますが、「お九日(おくんち)」といって収穫祭の一環とする風習もあるようです。「お九日」は9月9日を神の日、19日を農民の日、29日を町民の日などと言って、神酒に菊の花を添えて、餅をつき(ヨモギを入れたりする)、栗飯を炊いて神に感謝する稲の刈上げの祭りのようです。 また余談ですが、「お九日」に茄子を食べると中風にかからないとも言われているようです。茄子は生薬としては根と根茎を使い「茄根」といいます。実際に、中風にかからないように「気」を通したり、下痢、血便のも使われます。 |