端午の≪端≫は、はじめと言う意味で、端午は月の初めの丑の日と言う意味です。以前は5日に限ったものではなかったのですが、3月3日の桃の節句、7月7日の七夕、9月9日の重陽の節供などに合わせて5月5日にしたという説もあります。 また、端午の節句は薬日ともいわれ宮中や民間では医薬と関係のある行事を行っていました。旧暦のこの季節は、梅雨がはじまる時期で、湿気の多い日本ではいろいろな病気が発生しやすい時期だったからだといわれています。 最近では、運動会や記念式典に登場する≪くす玉≫は≪薬玉≫と書き、本来は生薬の「沈降、丁子、麝香など」を入れて菖蒲やヨモギで飾り、五色の糸を流したものでした。これは、中国や日本の宮中で、端午の節句に邪気払いとして飾られたところからの名称です。 *菖蒲とヨモギ 端午の節句には菖蒲湯にはいります。この菖蒲(アヤメグサ)ですが、本来はサトイモ科のショウブで、アヤメ科のアヤメやハナショウブとはまったく違うものです。この菖蒲も生薬ですから薬湯と言えます。菖蒲には身体を温める作用があり、これにより身体の中の異常な水分を正常に戻す働きがあります。漢方的には、≪湿≫をとると言いますが、しびれや麻痺、食あたり、食欲不振、下痢などに使用されます。湿気の多い梅雨時期に用いることは、東洋医学的に見ても理にかなっていると言えます。 またヨモギは、本来強い香りをもつことから、菖蒲と合わせて魔よけの印として、暑い夏に向けて邪気を払い、無病息災を祈る風習として伝承されています。 |