12月31日、京都の八坂神社では「祇園削掛の神事」が行われます。寅の刻になると削り掛けの木に火を点じ、若水を汲んで神前に捧げるのですが、篝火には≪オケラ≫が加えられます。参拝者はこの白朮火をもらいうけて、家に持ち帰り元旦の元火として、雑煮や大福茶の火種にすると無病息災のご利益があると言われています。これは古都に生きる数少ない風習です。
オケラは寒い季節の無病息災に願いをこめた元火と言えます。 余談ですが、大晦日といえば除夜の鐘が有名です。この除夜の鐘は108回打つうち半分の54回は弱く、54回は強く打ちます。また107回は年内に打ち、最後の1回を新年になってから打つという決まりがあるそうです。 108という数についてはいろいろな説がありますが、1年を分けた数(12ヶ月、24節気、72候)を合計したものだという説とか、または人間の煩悩の数を表す場合もあります。これは、執着心が起きる根の6つ(目、耳、鼻、舌、身体、心)に対する認識に仕方(苦、楽、善、悪、好、嫌)が6つあるため、6*6の36種類の悩みの種をつくり、これが≪過去、現在、未来≫の3通りのものがあるため、3を乗じて108とする場合もあります。いずれにしても、年の節目には、昔からいろいろな習慣が残っていて、これは心身の無事を祈っての行事が多いようです。 |