桃の節句といえば以前は3日とは限らず3月の上旬の「巳の日」に行い「上巳の節供」と呼ばれていました。 中国では≪桃≫は邪気を払う力があるとされ、ももの花を飾る習慣がありました。さらに、桃の果実は仙果と見られていました。桃の果実はかなりの糖分を含むため病人に活力を与えたところから来ていると思います。 病は邪気がもたらすものとされていた古代中国では、桃に降魔の力があると見られても不思議ではなかったのです。ここから仙果という考えが芽生え、本体の桃の木の威力につながったとのことです。また「桃」の字の「兆」は割れる、開き始めると言う原義がありそこから≪兆し≫の意味になったものです。 したがって桃は、妊婦の兆しや安産を象徴する果実となり、女性のお祭りに使用されるようになったと考えられます。桃の種は≪桃仁≫と呼ばれ、血をめぐらせ、排便を促進し、女性によく使用される生薬です。 |
ひな祭りには、白酒や菱餅、草もちをそなえます。はき酒は、古代中国の慣わしで、桃花が流れる水、桃花水を飲んで300歳の長命になったと言う言い伝えがあります。 その後、桃の花を浮かべた桃花酒や、桃の葉を細かく刻んで入れた酒を飲んで、邪気を払い延命を願ったとの話です。 草もちは以前ハハコグサが使用されていましたが、現在はヨモギが多く使用されます。ヨモギは生薬名≪艾葉≫で、お灸の原料でもあります。≪桃仁≫と同じく女性の生理痛や不正出血などに使用されます。 |
≪春に向かう折、冬に冷えた身体を温める草餅は、東洋医学的に見ても、理にかなっていると思います。≫ |