姉SS
ワイヤーブラッシ リックス ハイハット
昼間っから
外は晴れてるのに
部屋の中で、カーテンは閉めずに
冬にしては、随分と暖かい休日なのに
「・・・・・・んー」
「なぁ」
「え?」
「その、んー、ていうのはサ、どっちなんだ」
「どっち?」
「よかったのか、わるかったのか」
「あ、え、よ、よかったよ・・・・・・だからだけど、なんかおかしい?」
「いや、なんつーかな・・・・・・他で聞いたことないような感想だから」
「そう、変かな?」
「いや、それはそれで可愛いよ」
コトが終わってすぐのこと
もたれかかってくるような疲労感が
じんわりと脳味噌の下あたりでくすぶってる
なんとなく、生々しい匂いがたちこめている
雰囲気だけはそんな感じだ、実際はそんな匂い、この世に存在しない
どっちも頭が、行為でうだってるからそんな風に思うんだ
「なんていうか、気持ちよくなると、間延びするじゃない、そういう感じなんだけどな」
「まぁ、よかったならいいんだ、うん」
「心配なの?」
「そりゃ・・・・・やっぱりね、慣れてないと、何事も慎重にね」
「・・・・・充分慣れてたじゃない、動きが、こわいくらい」
「それは言い過ぎだよ、そんなに数多くないもん俺・・・・姉さんに、慣れてないってコトだよ」
ぺちん、
ゴムが指先を叩く
アレからソレをとりはずして、ぎうぎうと自分側を結ぶ
指先でつまんで、なぜかじっと見る、ぶらぶら
彼女側のところが随分とどろどろで、非常に卑猥だ
中にはもっと猥雑な男側のが見える
「漏れてるの?」
「いや、濡れ過ぎててわかんねぇのな、これがまた」
「いやらしいコト言うのね」
「本当じゃ、ないですか」
ぽい、
ある種一番清潔なものが、汚物としてさっさと処理される
彼女の方は、あいかわらずだらっとしたまま
くったりとシーツの上でのびている、頬がまだ上気したままだ
女は落ち着くまでに時間がかかる
男は出てる時から既に醒めてきている
その差が、彼をシャワーに向かわせる
「あ、私も連れてって、その、脚に力が・・・ね」
「甘えたこと言うんじゃありません」
「そう?でも、こんな関係になると、甘えたくなるよ?女ってさ」
「今まで、そんなこたぁ聞いたコトもない、一人も無かったよ」
「あらあら、心許されてなかったのね、おかわいそう」
「るさいな、一緒に入りたいならこっちこいよ」
じゃわー
シャワーの音が鳴り始める
誰も一緒に入りたいなんて言ってねぇっつうの
とは彼女は思わない、それにちょっと良い所の出だから言葉はもっと丁寧だ
なによりそんな小さなコトに気をとめない、ずっと違うことを思っている
じょわじょわと音が一通りして
待ち人来ずという状況にやっと気付いたのか、音が止む
それを見計らって彼女は言う
「しかし、ドラムスがHじょうずって話は本当だね」
「なんだ、急に」
「両手が全然違う動きするものね、驚いちゃった」
「??そんなの、当たり前だろ」
しれっと男は棄てる
言われた通り、この男はバンドでドラムスを叩いている
彼女の方はボーカルだ
「リズムがあるっていうか・・・・・改めて、音楽がいやらしいんだって気付いたよ」
「言い過ぎ言い過ぎ、でも、リズムを狂わされると、いいんだろ?一人とちがって」
「おぢさまみたい」
「誰がだよ・・・・・・」
「でも、本当慣れた手つき、怖いよ、これは正直だよ」
「・・・・・・嫌だった?あれこれ攻められるのは」
「う、ううん・・・背中とか撫でられるの、好きだから、その、よかった」
「どう良かった?」
いやらしい質問
にや、とした笑顔が本当にいやらしい
男ってのは、女にこういうコトを強要して恥ずかしがらせるのを
非常に好む、バカな生き物だ
彼女は、そのバカが望むような恥じらいを見せる、見せた上で言う
「なんていうか、わからない所から、とつぜんさわられたりすると・・・・びっくりして、なんだかはずかしくて」
「て?」
「そのね、前付き合ってた人は、そういうことができない人だったから、すごく新鮮で・・・」
「前より良かった?」
「う、うん・・・・・よかった、全然違うから、こわかった」
男は調子に乗る
バカな生き物は、こんな些細な優越性を酷く気にする
だから、更に続ける、何も知らずに
「前とはどう違った?」
「その、ま、前の人はね、一つのコトに集中すると、他のコトができない人だったから・・・・
その、そういうのがこういう時にも出て、その、右手でどこかを触ってる時は、右手だけしか動かなくて
で、思い出したみたいに唇で何かしてると、動いていた右手も止まったりして・・・・ともかく
凄く分かり易かったよ、一生懸命で、色々考えてるみたいなんだけど、でも
いつも一緒、どれか一つだけ、一つだけで単調で、変わらなくて、だけど真剣で・・・・??どしたの?」
彼女は怯えるような視線で
少し男を見守った、葛藤の表情を見つめた、苦虫をどうかした顔が見えた
黙ったまま、外は相変わらずいい天気だ
本当に、冬にしては暖かい日
「ん・・・・・・」
左手がノックする
右手は両手を捕らえて離さない
彼女はひとつひとつ、起こされる事象を
事細かに文字に変換して、頭に入れる
それで自覚したつもりになる
置いていかれないように
男のリズムは随分難しい、ぼやぼやしているとすぐにノリ遅れる
「お、こったの、?」
「そんなじゃないよ」
唇が耳から首筋にかけて這う
両手を抑えた右手はばんざいの形の手から腕へと
するする降りてくる、降りてくるときは平じゃない
指先がそれぞれ蛇行してる、腕の裏側の柔らかい所を
なぞるようにして5本が降りてくる
左手はノックをやめない、リズミカルな指先のノックが
じっと続いている、じんじんと、ノックに合わせて
頭の後ろがむずくなってくる、首筋はもう飽きられた
今じゃ胸のあたりがもぞもぞしてる、とかくせわしない
「ん・・・・・は・・・・・・・・ぅ」
息が切れる
目を閉じてしまう
身体が火照る
ふつふつと全身が沸騰するみたいに
ぽう、と熱くなってきた肌は、ことさら敏感になってる
もうどこからどの手が、どの指が、どの唇が
どこをどうやって噛んでるのか、なぞってるのか、ねぶってるのか
理解を越えた、頭より先に脊髄あたりで、びんびんと刺激がばくはつしてる
光がちかちかと、イメージが歪んで、ノックと撫でられるのと噛まれるのが一致した
まずい、もう
「!・・・っっっ」
ふるっ、一度震えてから
そこからは弛緩していく、余波が全身にたゆまなく広がる
波紋と水のイメージは、多分この時に産まれたんだろう
カミサマもなかなか、エロティシズムだ
彼女の中に、熱がこもる
一番、いい、時だ
彼はそれをよく知っている、動きがゆるやかになる
撫でる、なぞる、掌が、唇が、預けられる重さが、ああ、間延びする
「んー・・・・・・・・・・・?」
「ごめん」
「どうして?いれてないから?」
彼女は間延びしつつ、たわんだ頭のままでも
今一番必要なコトがよくわかっている
だから、彼と会話をする、面倒くさがらない、今の行為よりも、さらにいいことだから妥協しない
「・・・・・乱暴にした、ごめんよ」
くたり、
彼はイってもないのに、その後みたく
だらりと彼女にのしかかった、彼女はふと気付く
さっきまで向かい合って座ってた気がしたのに
今じゃ、うつぶせで倒されてる、やっぱり凄い、うまいんだ
背中に感じる彼に向かい、彼女は言う
表情は柔らかい笑顔、頬は上気、うっすらと汗ばむ、その姿で言う
「・・・・やっぱり、うまいよね・・・・・慣れてる感じが、すごいよ」
「・・・・もっとうまくなる、姉さん好みじゃなきゃ、意味がない」
「そんなに、いやらしいのは好きじゃないよ」
「じゃぁ、映画でもかまわない、BANDはそこそこで、他に見つける」
「冗談、音楽といやらしいことと、それ以外には食べるくらいしか興味が、な、あっ、」
ぬるり
ゆっくりと、でもとうとつに
彼が彼女に交わった、彼女の言葉は音になる
激しい腰づかいが、ぐるぐると
たわんだ気分を叩く
気持ちがまた昇る、丁寧に腰のあたりから、優しくさする手が
今は背中に感じる、彼のてのひら
わけもなく高い声が出てしまう
背中を舐める彼の手が彼女から声を誘う
彼女は幸せを噛む
背中を撫でる仕草
そして、一生懸命で熱中する彼に
・・・・・・・んー
三度目の間延びだけは、演技じゃない
fin
自分で書いてどうだろうと思ったんですが
まぁ、アレですよ、僕はJAZZドラムの
ブラシで撫でるハイハットの音が凄い好きなんですよ
それと
生意気気取ってるくせに
結局、姉の上で躍らされてる状況というかシチュエーションが
凄い凄い好きなんですよ
前にも続いて足らないのが問題です
駄文長々失礼いたしました
R