姉SS

ラヴ ジ アルコホル!!


目の前がぐるぐると回る
もうダメだっ!!!!!
僕は、何度も頭の中で叫ぶ
ダメだ、本当にもうダメだっ!!!!
僕は、あきらめの悲鳴を上げる
しかし

「も、もう一杯だ・・・・・・・・・・・」

「おいおい、ぼうやにゃ、まだ早いんじゃないか?」

「無理無理、やめておけよ」

周りが何か言っている、それは
怒号にも聞こえるし、笑い声や揶揄嘲笑にも聞こえる
何を言っているか、ほとんど理解出来ない
なんだ、こいつら、何語を喋ってんだ!?

「るせぇ・・・・・・黙れ、毛唐ども・・・・・ゴルァ」

「あいよ、七杯目」

ごとんっ
僕の頭に、鉄球が落とされたような音が響く
酷い感じだ、どろどろしてて、熱く痛い
痛い?そうだ、痛いんだ、この感じっ
思った時には、頭がずきずきと脈と、心臓の音に合わせて
張り裂けそうになる
うわああああっっ、頭の内側から脳味噌が弾け飛びそうだっ!!!

だけど僕は辞めない、辞めるわけにはいかない

ごっごっごっごっごっごっごっごっ!!!!ぶはっ!

一瞬、もよおしそうになったが堪えて飲み込んだ
まだイケる、きっとイケる、いかなきゃならない
あの女(ひと)を手に入れるためには

僕の目の前の女を睨み付ける、もうぼやけてその人かはわからない

「坊や、やめときな・・・・・・坊やじゃ無理だよ、本当」

「な、な、なに云って・・・・・・早く・・・・・そっちの・・・・・」

ろれつが回ってない、自分でもわかる
伝えたい言葉の半分も喋っていない
やれやれという仕草を見せたように思われた女性は
僕からグラスを奪い上げると、そこに次を入れてあっという間に飲み干した

ことん

優しい音が響いて、僕の番と告げられる
僕はまだイクぞ、死んでもかまうものか
僕は

それほどこの女が欲しいんだ

・・・

「どうする?」

「まいったね・・・・・・根性ってのは好きじゃないんだけどね」

「坊主、死ぬ気だぜ?」

「そうみたい・・・・・ったく、そろそろ辞めさせないと」

「客が黙ってねぇよ」

「・・・・・・・・・・・・黙らせるのよ、マスター」

・・・

目の前は相変わらずぐるぐる回っている、目を開けただけで
僕は吐いてしまいそうだ、だけど目をつぶっていたら
もう意識を保っていられないような感覚もある
行く手も退く手も無くなった、僕は散るしか無い
大丈夫だ、肝さえ座らせれば

「マスター、テキーラよっ!!!ショットガンっ」

「ああ?・・・・な、なに・・・云って・・・ぐあっ!!!!!!!」

何かをその女性が呟いた、ショットガン?
そうだけ聞き取れた気がする
けど、次の瞬間に僕は、もう、その場には居なかった

ああ、やっぱり負けたのだろうか僕は、涙となく涎となく、だらしなく堕ちたのか





僕は、なんとも冴えない男だ
自分でも解る、魅力が明らかに欠けている
どうしようもない
背は低いし、足も短い、一重瞼で眉毛も太い
顔は四角いし、声が中途半端に高い
趣味は、インドアばっかりだし
運動は全くダメだ
一度、野球をやってサヨナラデッドボールで決勝点を取ったことくらいしか
誇れる実績は無い

その上、酒は弱いし口もたたない
合コンなんて参加した事もないヘタレだ
わかってる、自分には何も無いことが
そう、これだけ貧相な割りに、勉強すら出来ない
取り柄は、何もない
一度も告白したことがない、風俗にイク勇気も無い
エロビを借りる勇気すら無い
コンビニの買い物で、店員が女だというだけで僕は
漫画の本すら買えないような奴だ

おまけに、最終日東館壁際だ、でも徹夜した事が無い

このままじゃ、ダメ人間で終わってしまう
僕は、焦って変わろうと思った、何をしても中途半端でキショい自分を捨てたかった
何度も、カローラのCMを見て自分を勇気づけた
変わらなきゃ、いっちゃえいっちゃえ
今なら言える

無責任な事を云うなっ!!!!

このざまさっ!!!
変わろうと思った僕は、小遣いから五万円を握りしめて
繁華街に飛び出した、何もかもが初めてだ、当然こんな所に
連れてきてもらった事もない、だけどどんな所かは
なんとなく聞いていた、だから
僕は、目に付いた店に飛び込んだんだ、変わろう
そう思って、僕も人並みになるんだって

ラ・ビ・アンローズ

選んだ店の名前だ、理由は説明したくない
僕は店の前で30分悩んだ後に、ポン引きから逃げるために中に入った
どきどきしてカウンターから随分と離れた席に座る
喫茶店や、ファミレスとは全然雰囲気が違う
わけもわからないうちに僕は、カルアミルクと枝豆という
全く自分でもどういう事なのかわからない選択をしていた

運ばれてきて、甘い中に明らかに存在しているアルコールの匂いに
すでに参りながら、ちびちびとやっていた、僕は何しにここに来たんだろう
そう後悔しながら・・・・・・そしたら

「おおーーー、もう今日は4人目かっ、すげぇぜ!!」

「次はいないのか?おいおいっ!」

「煽ってばっかいんじゃねぇよ、お前がイケよっ!!」

カウンターの方でそういう声が聞こえた
閉じこもっていた僕は慌ててそちらへ目を向けると
客という客がみんなそちらに集まっている光景を目にした
スポットライトを浴びているように、店の中でもっとも明るいその場所
その中央のテーブルに

イチコロだった

理屈じゃない
恋い焦がれるとかそんな生やさしいものじゃない
一発だ、僕は激しく熱くなるのを感じた
女性に対して、凄まじい、自分でも驚くべき力が

引き寄せられた、そのテーブルに
そして一生懸命理解しようとした
「彼女と飲み比べで勝つことが出来たら、彼女は自分のモノに出来る」
そう理解した途端、否が応にも僕はアツくなった
あの人が僕のモノになる・・・・・・
焦がれる
渇望する
勇気を出そう、負けた時の注意書きは僕には見えなかった
昔一人、勇気を出してビールを飲んだ時
グラスの半分をやっと飲んだところで、死ぬほど吐いた
そんな僕だ、飲み比べなんて出来るわけがない、わかってる
だけど

「次が今日最後だっ!!!今のあたしなら、もしか・し・た・ら♪」

「バカ野郎、いつもそう言ってあと一斗はイケるくせによぉ」

「あら、今夜は本気よ?なんだか酔ったみたいだし」

その台詞にメロメロになった僕は
自分でも驚くほどの勇気をもってそこにあたった
時に勇気は、無謀と取り違えられる
けどもこれは違う

だって、彼女が欲しいから、手段はこれしか無いのだから

何も無い僕が彼女を手に入れられる最後のチャンス
僕が彼女を思い通りに出来る、目の前にぶら下げられた
最高のアポチュニティ

ごとんっ
置かれた大ジョッキに仰天する、見ただけで吐きそうになる
女性と向かい合って座った俺、どきどきしながらそっとジョッキを手にする
ゆっくりと飲む、周りのはやし立てる声が障る

そして

僕は、ビートたけしもつんくも嫌いになった
やっぱり、カローラはオザケンに限るという結論に至った

「・・・・・・・・・・・・・ちくしょぉ・・・・・・」

「やだ、泣いてるの?」

「え?」

声が空から振ってきた
僕は慌てて起きる、思った以上に爽やかだ
ちょっと身体がふわっとしてどこか危ない気がしたけど
良く聞くような、頭がずんずんとして死にそうな感じは無い

すっきりとした頭と視界には
見たことのない部屋が映っている、綺麗な2LDKのマンションの一室
もしかしなくても、ここは僕の家じゃなくて
声の主の部屋、声の主は?

「笑わせるわね本当」

「・・・・・・・・・・・ごめんなさい」

「面白いわよ、そのキャラ、知ってる?酔っぱらいながら私に言ったこと」

「え?」

彼女は、コーヒーを煎れにキッチンへ移動した
僕はおそらく、彼女がいつも寝ているのであろうベッドの上だ
少し見渡すとソファの上に毛布がかかっているから
彼女はあそこで寝ていたのだろうか、心底悪い気がした
けど、それ以上に僕は何を言ったのだろうか、そこが気になった

「大丈夫よ、そんだけわけわかんない事出来れば、それは何も無いなんて事じゃないのよ」

だいたい何を喋ったのかすぐに想像がついた
恥ずかしい奴だ僕は・・・・・・惚れた彼女に、そんな愚痴をこぼして
酔っていたとはいえ、もっと言うことがあったろうに

「しかしね、鼻水とよだれを流しっぱなしにして、焦点さだまってない視線で言われてもね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・帰ります、ご迷惑をおかけしました」

逃げよう
僕は恥じた、心底恥ずかしいと思った
好きな人に、そんな醜態を晒すなんて
青ざめるような僕に、そっと彼女は声をかける

「あら、いいのよ、ほらとりあえず煎れたんだから飲んでいきなさいよ、それとも
カフェオレじゃないとダメ?」

「子供っぽいですか、僕は・・・・・」

「気にしてるの?やーねー、褒めてるのに」

「そうは、聞こえませんよ」

僕の鼻に、すーっと苦い香りが広がった
コーヒーの黒い液面には僕の顔が映っている
思ったより酷い顔はしてない
、あれ?そういえば

「どうしたの?」

「あ、いや」

久しぶりに鏡で自分の顔を見た気がした
そうかこんな顔だったのか、知らない内に
毎朝向かい合っているはずの自分を見ないで居たんだ
全てから目を背けて、自信の持てない自分を否定していたんだ
最低だなぁ・・・・しんみり感じた
そして、何から話したらいいのかとか
今、この人と一緒に居ることについての説明とか
どうしたらいいのかとか
色々思ったけど

「あの・・・・・」

「??砂糖?」

「・・・・・・・・・・・・・・・好きです、付き合ってください」

「・・・・・」

無言でその人は、僕の前をゆっくりと歩く
悩ましいその姿、全てが僕には愛おしいと思った
狂ってるのかもしれないな
何も無い僕で、危ない僕だから
こんなイカレタ事しか出来ないのかな、勇気じゃなくて、これは

投げやり

なのだろうから

どんっ

「わっ」

告白したにも関わらず自分の中に閉じこもる僕の前で大きな音がした
慌てて殴られたかと思って思わず、手で自分を守った
くすくすと笑い声が聞こえてそっと目を開ける
僕の目の前、ベッドの横にあるテーブルに
洋酒のボトルが乗っている、そして美しく磨かれたグラスは一つ

「続きをしましょう・・・・・・・・勝ったら・・・・・・・・・ね」

彼女の笑顔が僕に染み渡る
昨日の夜が蘇る
僕の中の熱いモノがこみあげる

そうだ、捨て身ってのも悪いわけじゃないだろう

「行きます、僕から・・・・・・・」

グラスに注がれる赤い液体、血のようだと思ったけども
彼女の血だと思えば、僕は

いくらだって飲んでみせる

ラヴ ジ アルコホル
もう片時も離せない
そう、まずは名前を聞くところから勝負だっ

もう、大丈夫だ、何もないから捨てるモノは無いのだから


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あとがき(反転読み)

別に深い意味は無いんですが
姉SSのもともと書きたかったところは
おいらが好む女の人(主に姉)を、クローズアップするような
キャラSSです、ストーリーで酔いしれるようなのは
おいらの表現力では無理に等しいので
せめて、キャラだけ

そして、自分がどんなのが好みなのか
自分が萌えるキャラってのはどういうのか
そういうのを、集約した感じです
そういうわけで、ほとんどの姉SSに
名前が登場してないのは、不変的な感じがあるからでした
語りますね、こいつ、最悪です

さておき
アルコホルという発音は、インチキですか?
昔、化学の先生でアルコール基の事を
アルコホルと唱える人がいまして
正しい発音かと思ってたのですが・・・・
おいらは酒が呑めないので
呑める人にはきっとわからないであろう
苦悩みたいな所とか
書いてみようとか思いましたが
嘘ばっかりになって困りました
翌日にひっぱりますね、いくら吐いたって

と、駄文失礼いたしました
ありがとうございます