姉SSリカヴァリィ

ジャジィコクテイル


「呑めるんだ?」
「当然よ。そういうあなたこそイケる口なのね」

キン、グラスの鳴る音は涼しげで
それだけで、ずいぶんと二人を瀟洒に見せる
まだ、若い
20才を越えたところだろうか
二人は久方ぶりに出会い、女から誘ってこのバーへと滑り込んだ
ムーディなJAZZが生で奏でられ、ドラムスのブラッシが
心地よくアルコールと共に熔けてくる

「で、何してるの?」
「そういう・・・・・・いや、聞くまでもなかったな、がんばってるじゃないか」
「ありがとう、気にしてくれてるんだ」
「してなくても、すぐに耳に入る、お前が歩くだけでニュースだ」

ふふっとは笑わない
もっと明るく、形容は可愛いが適当な
そういう笑顔でまたグラスを口元で傾ける
小指は立てない、そういう女だ、薬指には何も無い

「学生だよ、なんてことはないさ、あいつらとも上手くやってる」
「あら・・・・・そうなんだ、心配してたわよ、なんでもないわけが無いでしょうけど」

男が苦笑する、女にまつわる話が多いのだ
意地悪く笑って、髪の長い女はグラスを空ける
男も釣られるようにして、グラスを空けた
二人のグラスに浸されていた、カラフルな液体は
するすると男女の肉体に熔けて消えた
JAZZは、Baが魅せている

「で?」
「いえ、なんでもないわ」
「・・・・・・・・・・・」
「期待した?」
「バカ言うな」

ふふ、今度はそう笑った
目を細めて、長く美しい髪をお決まりにそっとすくい上げて
次のグラスに手をかける、男も一つ注文をする
カルアにアマレットとベイリーズアイリッシュクリームを
女は目を惑わす

「その気は無いわよ」
「・・・・・・・・・・好きなんだよ」
「このスケベ」
「スキャンダラスと呼んでもらおうか」

カクテルはORGASM
男がすくっとそれを浴びた、呑ませたかったのだろう
苦々しそうにその甘い酒を空けて、また見つめ直す
女のグラスにはウォトカベース

「・・・・・・・それは?」
「ホワイトキュラソーにライム」
「・・・・・」

男はそれっきり黙った、また意地悪く女が笑う
グラスの縁に唇の痕が紅く残る
グラスは空かない

「怒ってるわけじゃないのよ」
「・・・・・」
「ただ・・・・・・・・・」

キン、グラスの氷は涼しげに熔ける

「選べるのは一人って事と」
「・・・・・・」
「私は下がらないって決意よ」

女は席を立った、残された男が残ったグラスを呷る
舌と喉を、びりっと刺激が走る、斬りつけられたような鋭さ
KAMIKAZE

「・・・・・・・・・次の大会」
「?」
「・・・・・・・俺も出るからな」
「・・・・・」
「勝ったら」

「もう一度、これを奢るよ」

サックスのソロが終わる



未完の完

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昔BBSに載せた奴
実は、これ
綾香と浩之のお話(ToHeart)
一番最初、鳩十夜シリーズは、全部このカクテルで
話作ってこうとか思ってたんですが
ありきたりっぽいのでボツったのでした

今思えば、このシリーズでなら、ゆうゆう十話オワってただろうに・・・・

駄文誠に失礼いたします