注:同級生ifを完全クリアしてないと、相当辛い内容です。
  だけども内容理解できないのはデフォルトです。


ぱっぱぷー

いつもと同じ車のクラクションの音が卓朗の耳にこもった
懐かしい
思った単語はそれだ
卓朗は卒業後、先負町からやや離れた所で、美沙と
ラヴラヴな生活を送り、起きたらテニス、寝たら○ニスという
旧世代エルフならではの人生を謳歌していた
だが、この日に限って、なんとなく先負町に立ち寄ってしまった
特に理由は無かった、懐かしみたかったのかもしれない

彼の思考など、誰にも読めるはずがないので、多くの説明は無駄であるが

「・・・・・・・・・さて、俺様が居ないここはどうなったことやら」

やや彼らしくない発言、自分でもそう思ったのか
くくっと含んだ笑いをすると、とりあえず駅から離れることにした
この辺りで一番近い、あのメンバーといえば・・・・・

「あらぁ、いらっしゃい、美脚でズキュンな4・・・・・」

ぱぁん

どうやら夏子さんは、バイトを完全に辞めたらしい
全くの無駄足を使ってしまったと、残念に思いつつ
渇いた音が響いたブティックを後にする、もう、本当に二度とくる事は無いだろう
卓朗の足は、そのまま大通りを真っ直ぐに進んでいた
今度は外すことを許されない、決意を胸にしかし
次は確実に同級生に会えると信じている

「さとみ・・・・・どうしてっか・・・・・・・」

OTIMTIMの看板が見えてきた
卒業後は、確かOTIMTIMを継いで、茶店のオーナーになってるはずだ
願った事が叶ったんだからさぞ、楽しい毎日を送ってるだろう
卓朗は少し思い出す
公園の裏で泣いていたさとみ、ブランコから抱きつかれたときの事
なによりも・・・・・・・・・・

「やっぱ、ここはやめとこう・・・・」

やや卓朗の顔に影が射した
あまり良い思い出とは言えない事柄もある、3年を過ごしたという事は
たくさんの出来事を起こしてきた、あいつはきっとアイツと上手くやっているんだろう
ぼんやりそう思って、前を通るだけにする
美しく磨き上げられたガラスの向こうに、数人の客が見えた
奥のカウンターで、わずかの事なのに随分と大人びた黒髪を認めた
綺麗になりやがったな
そしてもう一人が、案の定、あのころよりは見られる顔だが
まだまだ虫酸が走る面で、コップを不器用に拭いている

ここで卓朗は何も言わなかった、黙ってそこを通り過ぎた
一本目の道を今度は左に曲がることにした
花屋が見える、が、肝心の「花」は見えない、ピンクも黄色も視界に無い
そこまでわかれば充分だった、とりあえず
じょうろに話しかけるだけにしてそこを後にしよう

「よう、前から思ってたんだが、お前の位置からなら、いつも中身が見えてたんだよな」

ごつん

じょうろを蹴っ飛ばしたら、大慌てで店のオヤジが出てきたので
ほいほい退散、店のオヤジが一瞬だけ卓朗の顔を見て
なまはげが来たような顔をしたが、知ったことではない
足はそのまま真っ直ぐに西へと向かう

「一哉の家なんざ行っても仕方ねぇしな・・・・・・・ここは」

病院の匂いをかぎつけてそちらに向かうことにした
二つ目の角、そして、左に曲がり・・・・・・・・・

「はい1000円」

「なっ!!!い、因業ババァ!?な、なんで・・・・」

ダッシュで逃げる、が、引き戸は開かない
し、しまった
思った時には既に財布から金が抜き取られている、そして
突き飛ばされるようにして家を追い出される、っち、ま、負けるかっ!!
この卓朗様が、毎度毎度同じような事でっっっ
と、踏ん張った所でどうにもならなかった、神隠しにでも会ったように
気付いたら病院の前だった・・・・・・・・、久しぶりの事だったから
MAP移動でミスるなんて・・・・気落ちしたが、たかだか1000円、はした金ヽ( ´ー`)丿と
うっちゃって病院に近づく

「ぐああああ・・・・・・・」

「!?・・・・・そ、その声わ・・・・一哉か!?」

「た、卓朗なのか?・・・・・・う、ぐあっ」

うめき声とともに一哉がやってきた
八百屋調のシャツに粘土で作った頭、間違いない
悪友のその姿を認めて、ふと、あの夏の事を思い出した

「一哉・・・・また、下痢か・・・・・・」

「ぐ・・・・は、腹が・・・・・・・・・・」

言うだけ言うと一哉はふらふらと病院へと消えていった
そうか、病院のトイレを使うという手があったのか・・・・
そう思って奴のよたよたとした足取りを見た
紅い足跡が点々と、細かい錨を伴ってアスファルトを奇妙に演出していたが
あまり気にしないことにした

「あ、卓朗さん♪」

「ん?」

「久しぶりっ、どうしたの卓朗さん?珍しいじゃない」

小悪魔が卓朗の前にやってきた
にこにことはにかんだ顔がたまらなく幼い、が、あの夏以来女に目覚めた彼女
そうはにかんだ顔と裏腹に目が鋭く光っている、もう無垢さは微塵も無い
ただ、そこに気付くのは卓朗くらいのモノだから、彼女は未だ、そういう仁科くるみを
演じているのだろう

「いや、なんとなく立ち寄っただけなんだけど・・・・・・それよりくるみちゃん」

「なぁに?」

かわいく言う姿は随分と様になっていて、小悪魔の名は伊達では無さそうだ
だが、問題わ

「その、右手で血がしたたってる包丁わ・・・・・・」

「えへ、な・い・しょ・♪」

笑顔が眩しすぎる

「ていうか、卓朗さん、とーとつでごめんなんだけど、一哉くん見なかった?」

それか?それなのか?

「この前、またブティックのおねーさんとなんかあったみたいで、気が気じゃないんだ・・・知らない?」

「ああ、ちょっと知らないな・・・・まぁ、仲良くな」

夏子さんが居ない理由もひょっとしたら・・・
とか思わないこともなかったが、まぁ、そういう事もあるだろう
卓朗は柔軟な男なので、そういう細かい事をいちいち気にしない
何より彼のスタイルは、他人の恋愛にはほとほと干渉しないということだ
できあがってるモノを壊しにいく恋愛は、彼の範疇に無い
壊れかけている可哀想なモノを壊すのが彼の恋愛なのだ
ラヴラヴならそれでいい、別に、目をそらしているわけじゃない

納得するようにしてやや小走りでその場を立ち去ることにした
遠くで断末魔が聞こえた、達者で暮らせよマグマ大使・・・・・・
卓朗が鎮魂用の台詞をそっと呟いて北上する事にした

元自分の家へと近づく、別段なにも思い浮かばない
感慨などというものは無いなんたって、ほとんど寄りつかない週もあったくらいだ
自分の家ではなくその向かいである、真行寺の札を見にいく

「・・・・・・・・・・・・そうか」

引越センターの車が忙しく家財道具を運び出していた
流れるように働く引っ越しの人間の姿は、どこか映画めいていて
時間の流れを特殊な形で写しているように思えた
隠れる必要も無いし、少し遠巻きにそれを見ながら通りすぎる
家の中で、あの人が見えた
優しい顔、後ろで小さくまとめた髪、相変わらずの着物
そして
寂しげな瞳

いたたまれない気持ちを思い起こしたが、何をするわけでもないし
彼が何かした所で、もうどうにもならない事は、わかっている
それくらいの大人になっていた、口惜しいという気持ちが芽生える前に
そっとそこを後にした、横目にちらりと、彼女が靴の箱を大事そうに抱いているのが見えた

涙は出ない

通り過ぎて右に曲がり、庭のある家を目指すことにした
目印の電柱を思い出しつつ、するりとそちらへ向かう
民家からほどよい、醤油の香りがした
多分、そうだろう
別に用事があるわけじゃないから、会うわけにもいかないし
いきなり自宅に押し掛けるというようなはっちゃけからは卒業した
静かに通り過ぎていく、楽しそうな笑い声が聞こえた気がした
昼の生活にも随分と慣れたんだろうな
道を上り時間屋のあたりをずっと真っ直ぐ、公園を素通りしアパートへ向かう

ファンファンファンファンファンファン

ばしばしばしっどこっべきべきっ、ぎゃーーーーーー

どうやら真純姉も元気なようだ
見るまでもないなと手前の道を左へ曲がり
自宅前の道をまた右折、そして、藤田製作所へと移動した
ブラインド越しに見えるかと思ったが、そうでもない
また駅に迎えにいってるのかもしれないな、そう思ってきびすを返した

「ん?」

電柱のところに、人形が落ちているのが見えた
そっと拾い上げてみる、アレだ
ずいぶんと汚れている、アイツからは考えられない
なにがあったのだろうかと、少し思ったが
もしかしたら、とても上手く行っているという事なのかもしれない
居なくなった者が関わるべき問題では無いのだろう
人形を捨てて道を急いだ、地面に割れた眼鏡の存在など気にしない

「・・・・・・・・・・・・・今は、授業中か・・・・・・・・」

河原の途中で気付いた
そういえばあの人たちは先生なのだと
校門まではまだ遠い、が、それ以上近づく気になれなかった
河原を少しだけ下って、美沙が転んだ場所に行ってみる
そこから少しからだを反り気味にして廻りを見渡す

ここが美沙の場所

あそこがさとみの場所

あそこが亜子さんの場所

亜子さんか・・・・・・・
思い出した名前、折角だから訊ねようと道を戻った
斉藤薬局が見える、ケロヨンは未だに元気そうだ

「亜子さん」

「あ、卓朗くん・・・・」

相変わらずの気怠い声がむずむずする
のーんとした調子で久しぶりに会った事を喜んでいるようだ
卓朗も、適当に話をして場を作った、少し立ち寄れたら良いだけだったし
深い話をしようとは思わなかった

「姉さんは学校には居ないわよ」

「え?」

「立派な人と結婚して、もうあそこには居ないの・・・・・変わってしまったわこの街も
卓朗くんが居なくなってから、なんか、パサパサしちゃった」

返答に困ったし、それ以上聞いても仕方ないという気持ちが強かったので
卓朗は何も言わないで曖昧に過ごした、亜子さんにも誰かが居るという話は
どうでも良かった、元気ならそれで

「帰るかな・・・・・・」

そう思った。
他にも気になる人物は何人か居るが、かおりさんにはどうやっても会えないだろうし
みどりちゃんも難しいだろう、それに会う事が目的ではないし
頭で色々考えてから行動するようになった卓朗は、多分、この街にはもう
必要が無い、居てはいけない存在なのかもしれない
なんか、わけのわからない不安を覚えたが、駅へと戻った

「あ・・・・・・・・・・・」

ヒロインが登場する

「卓朗・・・・くん?」

「先輩・・・・・・・・・」

しかも姉妹で

「元気そうだね・・・・・・・・・・・・・・」

「それは、もちろん・・・・・」

「こうやって、出会えるまで・・・・・・・・・待ってたもの」

「え」

「さ、やろうよ、舞ちゃん」

「そうね、ごめんね、卓朗くん」











それが、卓朗の最後の言葉だった。

「・・・・・・・ど、どうなったんだよ」

「多くは語れないわ、権力が全てをうやむやにしているような事件だし」

美沙は竜之介に向かってそう告げた
インストラクターとなった美沙に、現在竜之介という旦那が居る
二人の出会いのいきさつはここでは語れないが
ともかく今は、よく喧嘩をする普通の夫婦だ

美沙はこの話を思い出話として語る
そう、決してオフィシャルにはできない内容として
彼女の心の中で、もう、伝説となりつつある

真のEDとは、いつも切なくて悲しいものなんだから・・・・・

「意味わかんねーよ」

「あんたが子供だからよ」

「そうか、美沙はババァだからな」

ごちん☆

仲良し夫婦の夜がふける

−壊−

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