シガーと蜂蜜
設営
「というわけで早速準備をしましょう」
「そうしましょう」
てなわけで、準備を始める、実はここでしくじってしまったんだが
両となりのサークルの人達に挨拶してない
これはおいらのミスでありましたが、早速設営を始めてしまった都合
すっかりタイミングを失い、なんか、すげぇ気まずいなぁと
思ったりなんだったりしつつも、もたもたとイスを降ろして本を並べる
当然、20冊満たない本なんて、5分もあれば並ぶわけで
「そういえばあ〜るさん、ポップとかどうしましょう」
「まかせなさい、画用紙とマジック持ってきたから」
ここで、流石Rさんとか、褒められたような覚えがあるんだが
得意になって取り出す画用紙二枚とオレンジの油性マジック
よもやこの画用紙が、その前の週に、私が結婚式二次会で使用していたとは夢にも思うまい
と、どうでもいいんだが、そういういわくのもので
ポップを作ることにする、さて、困った
「僕は字が下手なので、けんさん書いてくれよ」
「ちょ、いやですよ、俺も下手なんすよ」
「えー」
とか言って、みっともない擦り付け合いをしているんだが
渋々けんさんがペンを取る、そして考える、考える、考える
その間に、おいらはカタログとか見てみる
うおお、すげぇな色々、というかなんだ、うちのサークルカットとか
どうなってんだ?
「ってか、すげっ、うちのカットなんつーか」
「はは、それ申し込みの時怒られたんすよ、セロテープで貼ったらダメだって」
「それはそれとして、もの凄い異彩を放っとるな」
「やっつけってのがバレバレですね」
笑いながらけんさんが言うのだが、ここは
大分申し込みで悶着があったらしい、ごめんな面倒なこと全部やらせて
そう思うものの、だからといって何か対価を与えたりしない俺
ああ、こうやってねこさんとか、高馬とか使ってきたなぁとか
まるで関係無いことを考えつつ、けんさんにつっこみ
「というか、全然進んでないやん」
「いや、やっぱRさん書いてくださいよ、俺無理っす」
しゃぁないなぁと、腹を決めて一気に書くこととする
けんさんはその間、なんか片づけたりしていたと思うのだが
ばりばりっと、オレンジのマジックで書き連ねられる言葉
創作小説
100円
マジでこんなもんが画用紙に書いてあるという
惨憺たる状況だったのでありますが、当時というか
その時の私にしてみると実に端的で分かり易く、非の打ち所がないキャッチ
と、通常の仕事でカタログ校正しているとは思えないような
情けないコピーを完成させたわけであるが、それを
とりあえず机に乗せてみる、折角なので正面からけんさんに見てもらう
爆笑される(怒)
「何を笑っておるのだ君は(怒)」
「いや、なんつーか、シュールすぎて、見てくださいよ、絶対おかしいですって」
このガキ、思うが本当にそうなのかもしれんと
危機を感じながら、自分も正面に回ってみる、
ああ、みんな想像してください、
中年にさしかかった男が二人並んで
机の上には白黒コピーの本がもっちゃり置いてあって
その横に画用紙で、マジックの手書きで創作小説て
「どうすか、絶対おかしいですよ、ね、ねぇ?」
「いや、きっとこのシュールさが目を引いて、アイキャッチとして成功なはずだ」
自分でも虚しいと思うのだが、なんというか
けんさんが思っているおかしいという部分と
俺が感じたおかしいという部分が違うと思った
私が思ったおかしいは、男子二人の前に画用紙で手書きのポップ
というところがおかしいというか滑稽だと思ったんだが
けんさんが思ったおかしいは、「創作小説」という切り口だった様子
彼曰く
「今時、創作小説なんつって売るんすかね、あー、
なんか面白すぎていい気がしてきました」
「君は俺に喧嘩を売っているのか」
そんな面白会話はしなかった気がするが、そういうようなことを言い合い
まぁ、とりあえず完成したわけであります、設営が。
まだ開場前、なんかざわめいているんだが、すげぇ
ああ、イベントに参加してんだなぁと、一般参加すらほとんどしたことねぇのに
なんだか感慨深いような気分になって、二人でイスに座って
カタログとか見たりして時間を潰す
ということをして、まぁ、開場まで結構時間があったので
あーでもねぇ、こーでもねぇとそんな話をしつつ
周りの人と会話するタイミングを逃し
うすらぼんやりと過ごしました、一応、まわりを
見てこようとか行って、見てきたような気もするんだが
どこを見回しても女性向けばっかで、わけわからんちんだったのが印象的であります
そして
開場
「いよいよだな」
「そうっすね、ここ入口近いから凄いっすね」
「本当に走るんだな」
感心しつつ、場内アナウンスの開始しますという声が
なんだか高揚感を与えてくれるのであります
どかどかと凄い勢いで人が流れていく
そして、入口近くに陣取っている我々の前を
脇目もふらずにただ、走りすぎていく見たこともない数の女子
と、以上まで、よちよち書いてあったんですが
再び書かないといけないと思い出して、実に一年ぶりに(そんなにか・・・)
以下を書いてみようと思うところです060221
すっかり内容を忘れてしまったが、どうしても書いておかないことだけ綴ることにする
「あ〜るさん、やっぱ恥ずかしいものですね」
「そうか?見向きもされてねぇ気がするんだが」
「いや、見られてほら、創作小説ですよ」
「君しつこいな」
そんなじゃれあいをしながら、なんとか間を持たせていたのだが
まず大手を皆様がまわっているのであろう、どかどかという足音が
時折聞こえたりしながら、凄い熱気というか凄い凄い何かを感じている
創作ジャンルはあまり広くなく、まわりも創作小説の様子で
少し離れた所ではドール用の小物とか、アクセとかなんか手芸っぽいものが
売られておったのが印象的であります
ただ立地条件としては、フロアの入口付近という
比較的ベストに近いところだったおかげで、人通りは多く
今か今かとまつ我々、しかし客は遠巻きに見て、決して本を手にとろうとしない
なぜだ、やはりキャッチが弱すぎるのか(多分そういう次元ではない)
しかし、その中、なぜか男子が突然現れた
不可解だ、その絵ヅラが不可解だ、思う我々二人に告げられる言葉
「こんにちは」
「え?」
「茶坊主です」
「あ、ど、どうも初めましてRです」
うちのお客様で同人にも造詣が深い茶坊主さんでありました
最初明らかにけんさんに向かって喋りかけていたのが印象的だったのですが
まぁ仕方在るまい、こっちの貧相なほうが、Rですよー、と
思ったりなんだったりしつつ、少し会話
「いやー、本当に来ていただけるとはありがとうございます」
「いやよく来るんですよ」
「凄いですよね、女の人ばっかりで」
けんさんと三人でわきあいあいとそんなネタふりをした瞬間
「ああ、そりゃそうですよ、これ女性向けイベントですから」
・・・・・・。
!?
思わずマガジンの漫画みたいな顔になってしまう、我々二人
なんですと、ってことは、ああ、そうか俺が今まで抱いていた同人のイメージは
女性向けイベントだから当たり前だったのか・・・・・
ビックサイトと呼ばれるようなところにはいったことがないので三日目イメージとか
そういう専門的なことは全然わからんのだが、ともかく衝撃が走る
そして、今更狼狽え始める我々二人
「あ〜、そうだったんですか、詳しいですね」
「僕らお門違いもいいとこっすね」
などとまた、けんさんとネタフリ、それに返事
「ああ、私、よく参加してますからこれ」
・・・・・・。
!!??
マークが増えた、そんな具合でまた疑問におろおろする我々
なぜ、男子の茶坊主さんが、女性向けイベントに頻繁に顔出してるんだろう
ちょっとつっこもうと思ったが、結局つっこみきれず
差し入れを戴いてしまったので、本を無料で提供してお別れとなりました
ありがとうございました茶坊主さん、ここ読んでないでしょうけど
感謝しております
と、それが一番衝撃的だったのでありますが、この後
さらにいわゆる、顔見知りというかネットで知り合いのお客様が続きました
なんか、お人形さんみたいな人が来た、女性だ、俺無理
と、既に対女性恐怖症のおいらが逃げ腰になるところ
じっと本を見てから、ゴスというほどでもないけど
なんか、かわいらしい服装の人がけんさんに声をかけた(ポイント)
「どーもー、CHIMAKOですー」
「ああっ、お世話になってますっ」
「うわわ」
なぜ「うわわ」と自分でも思ったが、けんさんにとって大切なお客様だと
すぐに理解して驚く、ああ、あの魔王様のプレゼント絵の人だと
わたくし個人的に驚いてというか、見ておったのですが
少しだけRに会釈をされたあと、なんとお土産に駄菓子セットを貰って
ありがたやありがたや、当然のようにしてまた無料で本をプレゼント
何か、けんさんとお話してましたが、私畏れおののいていたというか
よく聞こえなかったので詳細はわかりませんでしたが
本を受け取っていただいて、何よりも、差し入れが凄くありがたいと思ったのでした
と、ちまこさんの描写少なすぎますが、ともかくそんな具合で
おろおろしながら、我々二人が過ごしている途中
あとは、けんさんの知り合いの人(女性)が遊びに来て
おいらが挙動不審になるのを、不思議そうに見て帰っていった程度であります
私も、いい年齢なんだから女性恐怖症を克服しないといけません
と、そんなこんなで、実際はちまこさん参上と前後するのでありますが
一般の、見ず知らずのお客様も、ぼちぼちと訪れていたのでありました
「いらっしゃいませー」
「ああ、読んでもいいですか?」
「ど、ど、どうぞどうぞ」
初めての客に舞い上がる二人で、なんかダチョウ倶楽部のあれこれみたいな
進め方で、女の人にそれを進める、少し読んで、そして、だいぶ読んで、そしてかなり読んで
もう、凄い悩んでるの、買うか買わないかをもの凄い悩んでるの
なぜそこまで悩むのか、我々二人にはわからないんだが、ともかく
乙女的にはなにかあるんだろうと、とりあえず、最初は、また後からきても
品切れないから、他見てきてはどうですかと
俺は本当に営業担当になるはずだったのか?という押しの弱さで
このお客様を逃すのでありました
「Rさん、今のはもっと押すべきでしたかね」
「うーん、でもなぁ、100円だしなぁ」
わけわからないことを言って、とりあえず次回は
もう少し営業してみようと思うのでありました
そうこうする内に、次のお客様、これが初めて売れた時だったのではなかろうか
現れた女性は、少し手にとると
ぱらぱらとめくり、何をチェックしたのかわからないが
すぐにこう仰いました
「これください」
「あ、あ、ありがとうございます、ひゃ、ひゃくえんになります」
確かここの受付係もけんさんがやってたと思うんだが
俺の中では、凄いもう、本当、げんしけんの初参加の時と同じエピソード
まさにあれ、自分の書いた物がお金にかわった、いや、
お金と引き替えにもと信じられた瞬間
お金が大事とかそういうことじゃなくて、それなりの代価を払ってもいいと
目の前の人が思ってくれた、それが、本当に本当に、すげぇすげぇ、
最高に気持ちいい瞬間でありました
これはもう、やった人にしかわからない
思わず震えたのと、売れた後、小さく、そして大きく、やったやったやったっ
そんな風にめちゃめちゃ喜びました
正直、ここの喜びようは覚えていないくらい舞い上がったんですが
態度としては、けんさんに遠慮して、私、あんまり出してなかったように思います
それでも、顔のにやにやだけは止められなかった気がするけども
本当、これは初めて掲示板でレス貰えた時とかと
比べ物にならない、創作物を作るものにとって、最高の甘露だったと思われます
この話だけ、延々と書いていたいくらい喜んだのですが
けんさんもいたく喜んでいたような気がする、すまん、覚えてない(ぉぃ
この後、数冊が立て続けに売れたり、また、けんさんの知り合いが来たりしたのでありますが
ここで、最初のお客さんが、なんと再来
「忘れられなくてまた来てしまいました」
「いや、もうそれなら、是非買ってください」
「そうです、コピー誌ですけどこの分量で100円は格安ですよ」
「そう、しかもインターネットで別の小説も読めてしまう特典つき!」
「これは買わなきゃっ」
・・・・・。
えー、真剣にこんな調子で売り込む二人
特においらのいただけない台詞が痛々しいのでありますが、それはそれ
そうやって説得を試みて、再三悩まれたところで、なんとか購入される
ありがとうっ、そうやって思わず頭を下げたのでありました
そんなこんなで、30部弱作って10部も出なかったのですが
なんか売り上げにして600円くらいあった気がするのですが、そこ重要なのに
俺覚えておけよ・・・・
「終わりましょうか」
「そうだね」
と、まぁ、会場終了まで居てしまったのですが、本当はその前に
けんさんが出ようと提案していたのだが、出たところで行くところがねぇと
個人的に思ってたので、最終までいたとさ
終わってから、「創作小説100円」ポップはゴミ箱へと移動され
この施設を後にするのでありました、また凄い数の女子と移動となったのですが
それはそれ、すげぇ貴重な体験で、最高に面白かった
そして僕は思ったのです
「もう一度やってもいいなぁ」
けんさんは答えます
「え?そうっすか?」
温度差が切ない
そんなことを覚えた5月でありましたとさ
すげぇはしょって申し訳ねぇけど、こんなところでありました
本当、同人というのは参加側になると、俄然面白いんだと
改めて、自分は創作物を作りたい人なんだなとせつせつ思ったという
まぁ、実際のところその後とりたててなんもしてないのですが
ステキ体験でありました
ああやって人の輪増やすのも悪くないなぁとか、引きこもり的発想でありました
この後、けんさんと呑みにいって
途中を箇条書きにしますと
けんさんと暇つぶしにゲーセンへ、格闘ゲーで奮戦するけんさん
ひたすら背後霊クン(懐かしい言葉だな)になる俺
得体の知れない三国志のゲームに感激したり
売り上げをつぎ込んでゲームやり始める俺(注:単独)
けんさんの昔のバイト先でよい焼酎を安く呑む(注:犯罪の匂い(こら))
そして二件目で、俺眠る
そんなことがあったとかなかったとか
ぼんやり思ったりしつつ、大阪ええとこやなーと
思ってから二人別れたという
切ないながらも、面白い話でありました
またやりたいね、そうは思うところであります
以上、駄文長々失礼しました
言い訳ばかりですが、本当、レポートに昔の切れがまったく無くなりました
俺もダメだなぁ、それが何より悔しい