「高馬・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・心配するなよ、当利・・・・大丈夫だよ」
「そうか・・・・・・・・・・・・」
終業式が終わった、とりもなおさず、俺の高校二年が終わったというコトを意味する
そしてこの日、この場所にまなは居なかった

「まなちゃん・・・・・・まだなの?」
「うん・・・・・・・まだ・・・・・・・・」
あ〜る子さんが心配してくれているという声色で話しかけてくれる、辺りは
これからの春休みに向けて、雄叫びを上げるモノや、乱舞するもので入り乱れている
そういう中から見ると、俺の周りだけやはりテンションが落ち込んでいる

「・・・・・・・・・・面会謝絶か・・・・・・・もう・・・・・」
「いや、まだ、3日だよ・・・・・・・」
暗く落ち込んだ声で言う当利に、「まだ」という部分を強調する・・・ささやかな抵抗にも似ている
だんだん葬式のような雰囲気になってきた、異常な空気をまき散らしながら
終業式の会場を後にした

「・・・・・・・・・高馬くん・・・・」
「水沢さん・・・・・・・・あの・・・」
「ああ、面会謝絶のままだ・・・・・・」
やれやれという顔で俺の肩にぽんと、手を置いた。一応、病院のロビーの所に座る
「何度か、中への侵入を試みたんだがな・・・・ここの看護婦は手強い・・・」
水沢さんが、遠い目で俺にそう伝える、そうか、俺のいない間に色々としてるんだな・・・・
ちらりと様子をみると、なにやら腕に注射器の痕がいくつかついている・・・・看護婦にやられたのか・・・・

「・・・・・・・・・水沢さん・・・・まなに、振られた時どう思いましたか?」
「?・・・・どうした?・・・・急に・・・・・・・」
「いえ・・・・・・・・・・・・・・・」
ふと、問うてみたくなったのだ、あの炎の中での出来事が、どうも気にかかる
何かを俺に隠しているのは確かだった・・・・そして、それを話すコトを必死に拒んだのも確かだ
信頼しあえて、お互いが頼るコトが出来る仲だと思っていたのに・・・・・・

「俺が振られた時か・・・・・・・・・そうだな・・・・・・・・悲しいというより、何かが欠けたって感じだな」
感動的な台詞を言ってくれる、流石くろねこ先輩の朋友だ、ただ者じゃあない
しんみりとそう語るその目は、薄く涙の膜が張られているように見える
「・・・・・水沢さんが、ここに来た理由は・・・・・・本当は、まなを取り戻したいわけじゃないんじゃ」
「・・・・・・・・・・・そう・・・・・そうだな、もう一度会いたいそれだけだったな」
ふふっと、笑う。病院のロビーで男二人でしんみりと人生を語っている・・・周りの方からはどう見られるだろう
ふと、目の前に女の人が立った

「・・・・・・・・・・・・・・高馬くん」
さり先輩だ・・・・・・・、卒業以来ぱったりと会わなくなっていたけど、お見舞いに来たらしい
「まなちゃんに、会えないの?」
さり先輩が俺に聞く、俺は力無く頷く

「じゃあ、仕方ないわね・・・・・・・高馬くんに朗報よ」
「え?」
「まなちゃんの、病室は庭側の個室・・・・・そして、その目の前に大きな木があるわ」

この展開は・・・・・・そうか

嘘級生〜色んな意味で終わった〜

翌日、時間は午後2時(謎)
「・・・・・・・・・・あの窓か・・・・・・・・まな」
俺は病院の庭へと忍び込み、ぐいっと見上げた。大きな木が伸びている、うむ、これに登って・・・ふふ
とりあえず、実行に移す・・・・・と、やばい!看護婦だ!!(−−;

「??・・・・何をしてるのですか?」
「い、いえ・・・・いや、この木・・・・なんか、いいなーーって、ははは」
「この木は、昔、病苦に耐えられず患者さんが良く首を吊ったそうですよ」
と、だけ言い残し看護婦は去っていった・・・い、要らない知識を植え付けやがって(−−;
一瞬木の表面に苦悶の表情を浮かべた人の顔が見えたが、そんなモノに負けている場合ではない、
今はまなに会うコトが・・・・・・がしがしと登るコトにした

「・・・・・・・・・・まだ、面会謝絶なんですか?」
「はい・・・・申し訳ございませんが・・・・」
「仕方ないよあ〜る子さん・・・・・出直そう・・・・・・」
「だけど・・・だけど・・・うう・・・・・・・」
どうやら、当利もあ〜る子と共に見舞いに来たようだが、面会謝絶の前に断念せざるを得ないようだ
そのコトに思わず涙するあ〜る子
病院に若い男女、女の方が泣いている・・・・・他の患者の脳内には、そういう関係が浮かぶ浮かぶ
「・・・・・・かわいそうに、女の子・・・・」
「ああいう時は、往々にして男が悪いんですよね・・・・」
ひそひそひそひそ・・・・・
「あ、あ〜る子さん、と、とりあえず出ようよ(^^;;;;;」
「うう・・・・酷いよ、当利くん・・・・そんなにすぐ諦めるなんて」
「まあ、輪をかけて男が女の子を泣かせてるわ・・・・・かわいそうに・・・」
「最低ね、あの男」
ひそひそひそひそ・・・・・・・・・・当利少年の評判堕ちるおちる(−−;

その頃庭では
「ふぅ・・・・ふぅ・・・・・・ふぅ・・・・・ふぅ・・・・・結構辛いな、木登りって(−−;」
慣れないコトだが、懸命に登ってみる、そしてようやく窓の近くにやってきた
そっと、中を覗いてみる・・・・・まなは・・・・・・・・・

俺の目に、まなが写った・・・・くまのプリントが入ったパジャマでベッドの上に座っている
そして、まなの目線の先にはテレビがあり、お昼のワイドショーを見ながら笑っている(−−;
面会謝絶じゃないのか、おい・・・・・・・ちなみに、まなは俺に背中を向けている形なので
まだ気付いてないようだ・・・・えっと・・・・・

「・・・・・・まな・・・・・・・・まな・・・」
「・・・??・・・・・・・・」
あまり、大きな声で騒ぐと看護婦に捕まって、水沢さんのように薬剤投与されてしまうので
必死に声を殺して呼びかける、一瞬、ぴくっと反応して、おろおろっと自分の身の回りを
確認したが、テレビの画面が、まじかるカナンに変わって即諦めたようだ(−−;

「・・・ちくしょう・・・・・仕方ないな・・・・・そら」
こつ・・・・・・・・
「・・・・??・・・・・はう?」
常套手段である、小石をガラスに投げつけるを実行した、どこから小石が出てきたかは謎だ、
再びぴくっと反応してこちらを向くまなしばらくこちらを見て、硬直している・・・・そらそうだろうな
よもや、木に俺が居るなんて思わないだろうし

「せ、先輩!?・・・はう!!」
数秒間時間が飛んだ後、ようやく気付いたらしく、慌ててベッドから転がり堕ちるまな(−−;
あうううううっと、ひとしきり痛みにもぞもぞした後、涙目になりながら窓を開けた
からからからから・・・・・・
「先輩!!・・・・先輩」
「まな・・・・・・・・大丈夫なのか?」
俺の声を聞くと、静かにこくこく首を振って、じわっと大きく開かれた目から涙がこぼれてきた

「わわ、まだ泣くな(^^;;;;;、今そっちに移るからちょっと離れてろ」
「あう・・・・だ、大丈夫ですか?」
はわはわと心配そうな顔をするが、炎の中を走り抜けた俺に怖いモノなど、眉毛の繋がった当利くらいだ
「そら・・・・・・・っと」
しゅたっと、枝から窓へとダイビングする、普通こういう所で成功しないモノだが
そこは俺だ、颯爽と決めて、改めてまなと対峙した

「まな」
「あううう・・・・・せ、先輩!!!!」
ぐあし!!!
まなが飛びかかってきた、ぎゅっと俺も抱き締めてやる・・・・細った身体が痛々しいがそれ以上に
まなの体温を近くで感じるコトがとてもうれしい・・・・・よかった・・・・すごくほっとしてる
「・・・・・・・・・と、まな。ところでお前、面会謝絶じゃ・・・・」
「は??・・・・・・めんかいしゃぜつ??」
ハトがマメ鉄砲を乱射されたような顔をして俺を見る、なんだ?

こんこん
「霧島さん・・・・・霧島さん・・・・・・・・」
「はわ!?・・・あわあわ、検温の時間です!!!」
「え!?・・・やば、ど、ど、ど、ど・・・・・」
「先輩ここ、ここ!!!」
がちゃ・・・・・・・

「・・・・・・・・・・??何か今、話し声が??」
「あう、テレビの音ですよ・・・・むふ」
まなが怪しすぎるごまかし方をしている・・・・ああ、バレないといいけど
ちなみに、俺は今、まなのベッドの中・・・布団の中に潜っているのだ、じっと、黙って固まっている
目の前に小さなかわいい足がある・・・うーーん、まなの足か・・・・小さいなぁ

「あの・・・・・・私は・・・・」
「明日にでも退院ですよ・・・・・・・お迎えの方がいらっしゃるとか・・・・・」
布団の外では、まなと看護婦のやりとりが繰り返されている・・・お迎え?
退院?・・・・・なんで?面会謝絶ってのは??・・・・色々と考えているうちに
どうやら、看護婦が出ていったようだ、そそっとまなが布団の中を覗いてくる

「先輩・・・・・もうだいじょうぶですよ」
「あ・・・・・ああ」
ゆっくりと這い出る、ちょこんと座ったまなの前に布団から出てとりあえず、座り直す俺
「今の話し・・・・・・・・・・・・面会謝絶じゃないのか?」
「・・・・・・・・・・・面会謝絶なんて・・・・私運び込まれて次の日にはもう大丈夫でした」
まなが、うつむいている・・・・・・・うーん、なんだ?どういうコトなんだ?
「じゃあ、その・・・・・・さっき言ってたお迎えって?」

俺が聞くと、まなはぎゅっと俺に抱きついてきた・・・・そして静かに泣き始めた
「もう・・・・・・・・先輩ともお別れになります・・・・・・・・」
ぎゅううう・・・・・・俺に巻き付いた腕が一段と強く締まる
「・・・・・・・・・どういうコトだ?」
俺は、驚きを隠しながら優しく聞いてみる、しかし、何も答えてくれない
「何も言えないのか?・・・・・・・・俺には・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そっと、まなの顔をあげさせた・・・・・そして、キスをする

驚いた様子のまな・・・・目をぱちぱちとさせているが、やがてゆっくりとそれを閉じた
いつかのと違い、ゆっくりと甘くずっと大人なキスをしてみた・・・・・まなは戸惑いを見せながらも
それを精一杯受け止めている・・・・・たまらなく愛おしく思えた、俺は賭けに出る

「まな・・・・・・・・・・・・・」
すっと俺が身体に力を入れてまなを押し倒した
驚いてじたばたするまな・・・まあこんな急な展開だ、まなでなくとも・・・・予想通りだ・・・・・
「せ、先輩!!・・・だ、ダメ!!・・先輩こういうの・・・ダメ、ダメだよ・・・先輩!!」
困った顔のまなが必死にもがいている、本当に嫌がっているのが目に見えてわかる
これも予想通りだ・・・・・俺は、続ける
「せ、先輩!!!!・・・ダメぇ・・ここ、病院だし、誰かくると・・それに、こういうのは・・・・」
必死に抵抗するまな、だけど所詮はまなの力、簡単にねじ伏せて両腕を上にあげて押しつける
怯えた表情で俺を見て、ぽろぽろと涙を流す・・・そして、首をふるふると横に振っている

あまりに急な出来事・・・悲しさとか、驚きとか、怖さとかたくさんのモノが混じった表情を見せる
「せん・・・せんぱい・・・・・・」
まなの泣き顔が俺の前にある、痛い・・・・けど、俺は続ける
「まな・・・・・・・・俺は本気でお前のコトが好きだし、全てを分かりたいと思ってる・・・だけど
まなは俺には言えないコト、俺には隠すコトがあるだろ・・・・・・嫌なんだ・・・・」
俺はそう言いながらまなの服の胸元にそっと、手をおいた、びくっと大きく跳ね上がるまな
そして、声を殺して必死に嫌がる、ものすごい抵抗を見せる・・・・・でも
「先輩、せんぱい、せんぱい、せんぱい、せんぱい・・・・ダメ、だめだめだめ!!!」
「もう、お別れなんだろ・・・・・だったら・・・・・・・・・・・・」
俺は無気力にそう告げる、まなが狂ったように暴れる・・・・・・これは、俺の本心じゃあない
こんなコトをすれば、まなに嫌われる・・・そう、それを望んでいるような気分だ
理屈じゃなかった、本当はもっと話しをして、たくさんたくさん聞かないといけない、良心はそう訴える
でも、こうしないと・・・・・・いけないような気がした・・・・ケダモノなのかな・・・・・

そして、胸元においた手でまなの服を強引にはぎとる

「いやああああ!!!!」
まなが、断末魔のようにひときわ高い声を上げた・・・・・女の声だ、そういう感じだった
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
時が止まる
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙が続く
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・醜いでしょ?」
まなが、静かに涙声でそう、嘲笑するように俺に言葉を吐きかけてきた
「まな・・・・・・・・・・・・・・・・」
「驚いたでしょ?・・・・・・・・・・・うずくんです・・・・雨の日になると・・・・・ざわざわするんです
・・・・恐怖とともに・・・・・・・これが・・・・」
まなの声は凛と張った強いモノだ、そして更に続ける

「先輩には・・・・・・せんぱいには・・・みられたくなかったんです・・・・・」
まなは腕をそっと、自分の目の所にあててそう口だけ動かす
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
まなが、何かが終わったような顔をして笑う、俺は・・・・・・
「!?・・・・せ、せんぱい!?」
「まな・・・・・・・・・下も脱がすぞ」
驚くまなの上に覆い被さる俺、目を見てキスをする、ケダモノの俺は止まるコトはないのだ

「先輩!!・・・嘘でしょ!?・・・ダメ・・・だ・・・」
「うるさい・・・・・なんと言われても、俺はお前を抱くんだ」
ぎゅっと、まなを押しつぶす、そして行為を進める。じたばたしながら、まなが涙を流す
「・・・・・・・・・・・・・・・先輩は・・・・・優しいから嫌・・・・・・・」
「嫌で結構・・・・・・・」
もぞもぞもぞ・・・・・・・
「せんぱい・・・・・・・・・辛くなるよ・・・・・・・」
「知るか」
もぞもぞもぞもぞ・・・・・・・・・

この日、俺とまながどうなったかは俺とまなしか知らない

「・・・・・・・・・・・・・・・・先輩・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「先輩・・・・・・顔真っ赤ですよ」
「うるさいな(−−;」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・先輩」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お別れは・・・・・・・・イヤです・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ、ずっと一緒だ」
まなが、うれしそうな顔で俺に笑いかけた。なんかすっげえ決まりが悪くて恥ずかしかったけど
まなを、ぎうっと抱き締めた、外は雨がしとしとしているようだ・・・・まなを見ると、少し苦しそうな顔を
見せるが、ふるふると横に首を振った、屈託のない笑顔だ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なにげない ヒトコトで そう
キズついたり 悔いたり でもね
誰だって そうなんだ
その笑顔 もう一度
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、まなはいなくなった