かんかんかんかん・・・・・・・・・
消防車がけたたましいサイレンと鐘の音を響かせて走っていく
火事の方向は割と近い・・・・確か、あそこには食べ物屋があったはずだ
「・・・・・・・・・ぐあ!!!!」
現場に辿り着いたが、ものすごい熱気だ・・・・なんだ、この火は・・・・
すさまじく燃え上がる炎がどす黒い煙を上げている、空は薄暗くなっており
雨だってまだ止んではいない・・・しかし、炎はとどまる所を知らず燃え上がっている
「さあ、さがってさがって・・・・危ないから、さがって!!」
消防士が懸命の消火活動を行っている、野次馬がばらばらと集まりだしているが
それ以上に、中で食事をしていた客が、退散してきている所が気になる
なんだろう・・・・・・まなが、ここへ食事に来ているような気がする
いや、多分来てる(ぉぃ
「・・・・いたかい?高馬くん」
「いや・・・・・・・・あ、あれは・・・・」
まなは、見あたらなかったが、見慣れた顔が何か叫んでいるのが見えた
「まなぁぁぁあぁああああああ!!!!」
「こら!!君は死にたいのか!!」
消防士に押さえつけられている、うつ病のみなつき先生だ!
「せ、先生!!!」
「!?・・・た、高馬か!!・・な、中にまだまなが!!まなが居るんだよぉぉぉ」
みなつき先生が泣き叫ぶ、やっぱり、がばっと振り返る俺
ぱちぱちと火の粉が空へと舞い上がっている、黒い煙で視界は悪くなる一方
「こんな中に・・・・・・・・・」
絶句する俺・・・・俺に出来るコトは・・・・・・・・当然、ここで走っていって救出してこそヒーロー・・・
「まなあああああ!!!!」
気合いの一号、そして、走りだ・・・・
「またんかお前!!!!」
がばがばがば!!!、俺の行く手を何人もの消防士が塞いだ、どけええ邪魔だぁあああ←消火活動の邪魔
もがく俺だが、名うての消防士三人に囲まれてはなんともならない、しかし、中にはまなが・・・
「中に、中に人がいるんです・・・俺の大切な人が!!!」
必死に訴える
「大丈夫だ、我々が責任を持って助ける、だから、君はここに・・・・」
どっっかあああああんんん!!!
「!?」
「いかん、厨房が爆発したぞ!!!」
かんかんかんかん・・・・・・
「まなぁあああああああ!!!!」
またも暴れる俺、慌てて止める消防隊員
「ダメだって!!」
「だって、あんなのじゃ・・・あんなのじゃ・・・・・」
「あこら!!!!」
急に別の所から消防士の叫ぶ声が聞こえた、そちらを見てみると、ピンクのくまが走ってきているではないか(^^;
「邪魔だ貴様!!!・・・・ここは、炎の戦士アーリーバード様が・・・」
「おおい、誰か取り押さえろ!!」
どうやら、水沢さんらしいが、とりあえずそんな格好してたら目立つってば(^^;
「邪魔をするなぁああ!!」
がすがす!!!・・・・宙を舞う、消防士。流石ストリートファイトで生計を立てていた時期があるだけはある
強い強い、並みいる強豪を片っ端から粉砕し、勇猛果敢に炎につっこむ
「こらああ!!!そこのくま、またんかぁああ!!」
俺を取り押さえていた消防士も慌てて応援にいった、しかし、それをも振り切り炎へダイビング
「ぎゃあああああ!!!!!」
慌てて、火だるまになって戻ってくるくま(3秒)、当たり前である、ぬいぐるみで火事場に潜る奴は
曲芸師くらいのものだ・・・くま・・・というか、火だるまになった水沢さんの消火に気が行ってる隙に今度こそ
「うおおおおおおお、まなああああ!!!!!」
ヒーローは燃え上がる炎へと飛び込むのさ!!!!
嘘級生〜さあ、クライマックス(適当な展開とかつっこみは無用)〜
後ろからは、止める消防士の声がしたがそんなモノは不要だ
「まな!!!!まな!!!!!」
叫び回る俺・・・・しかし、すごい火だ・・・・熱い・・・・今更思うが、非常にやばい
下手すると、俺も死ぬな・・・・幸い、雨のおかげで服と髪は濡れていたので、まだ
大事には至っていないが、いつまでもつものか・・・・・
「まなああああ!!!
とりあえず、叫んでまわるが、いない・・・・まさか、さっきの爆発で・・・・
熱気と煙にいぶられて、俺自身の身体もまずいコトになってきているが、それ以上に
まなが・・・・・まなが・・・・・、もし、まなが手遅れだったら・・・・一瞬イヤなモノが
浮かんだがすぐに振り払い、次を探す
ごおおおおおおおお・・・・・・・・
すさまじい炎の昇る音、もう、熱さで自分がどうなっているのかもわからない
ちくしょう・・・・まな、まなは・・・・・、一歩一歩が急激に重くなってきた、まずい・・・・
ぶわりと、熱気に煽られる・・・・瞬間でも意識を失ったらもう、あの場所へは帰れない
そういう感じだ・・・・熱い・・・・まな・・・・まなは・・・・・
そして、店の中央付近のまだ、比較的火の進んでないテーブルの横に・・・
「ま・・・・・・まな!!!!」
まなが、うつろな目をしてたたずんでいた、膝から折れて、膝立ちしている
ぶらりと手を下げて、なんだろう・・・・・あの死んだような目は・・・・・
慌てて、気力をふりしぼり俺が駆けつける
「まな!!・・・まな!!」
呼びかけるが応答がない・・・・・意識はあるようだが、俺の声は届いていない
揺さぶってみるが、効果がない・・・・・どうしたんだ・・・・!?パニックになったから
一時的に何かが飛んでるのか?・・・・・とりあえず、あまり時間はない・・・早く救い出さないと
幸い、ここの屋根は吹き飛んだのか天井がなく、雨がわずかながら周りを濡らしてくれている
これが、火を遅めた要因なんだろう・・・・・
「まな・・・・・・今、俺が助けてやるから・・・・・まな」
一生懸命呼びかける、何かのテレビ番組で見たが、こういう時に一生懸命呼びかけるコトで
逝っちゃった魂は帰ってくるのが王道だ、必死に揺さぶってまなの意識を俺に向けさせる
「あ・・・・う・・・・や・・・・・・」
かくかくと、首がとれるんじゃないかというくらい揺すってやってようやく、声を出した
よし、もう大丈夫だろう(そうなのか?)、あとは、背負って颯爽とこの炎をくぐるだけか・・・
俺はあたりを見回した・・・・絶望的な状況であることに、今更ながら気付く
ぐおおおおおおおお・・・・・・・・
炎はとどまる所を知らず、どんどんと俺とまなの世界を狭めている・・・まなと一緒でも
死ぬのはイヤだ・・・・絶対生き延びて見せる・・・・・
「・・・・・こ、こわ・・・こわ・こわい・・・・・・」
「大丈夫だまな・・・・俺が着いてる」
怯えるまなを背中に、必死に俺が脱出口を探す・・・くそぅ、来た道はもう、火の海だ(−−;;;;
ここで、何か突破口が見つかるのが、セオリーだろ(ぉぃ
「・・・・・ちくしょう・・・・本格的にやべぇ・・・・ぐああ、こんな所にも・・・」
ばちばちと周りは燃え続ける、いい加減に熱い、そろそろ俺自身も焦げてるんじゃないかと
心配になるほどだ・・・・って、もしかして、まな燃えてたりとかしないよな
ちらりと様子を見てみる、肩越しにかたかたと震えて、不安な顔をしているまながいる
か、かわいい・・・・って、この緊急時にこんなコトを考えてる場合じゃない、ちくしょう、どうすれば・・・
「・・・・・・・・先輩・・・・・ダメ、こわいよ・・・・・・・」
「まな・・・・安心しろ、俺がついてる・・・・・絶対俺が助けてやるから・・・」
必死に励ます、ここで、どちらかが凹むだけで、おそらく生きて脱出は不可能だろう
信じる心さえあれば、必ず願いは叶うと昔から言うではないか・・・希望は、まだ捨てられない
「先輩・・・・・」
震える声が、俺を奮い立たせる、絶対助け出してやる・・・・・・・しかし、本当にどうやって
色々と考えるが、脱出口が見つかるわけでもない、消防隊員が来るのを待つのも手だが
いったいどれくらいかかるのかわかったものではない・・・うう、空元気だけではなんともならないぞ(−−;
ぱちぱちと、近くのテーブルも燃えだした・・・・危ない・・・・・・
「まな・・・・お前、服燃えてないか?・・・・」
ふと、そんな気がして、いったん、床におろして背中を見る
「あ!・・・・ダメ、先輩!!」
急に慌てた様子を見せるが、裾の所がぶすぶす焦げてる、嫌がるまなだったがなんとか押さえつけて
えいえいと、火を消した・・・・・・
「よし・・・・・・だいじょ・・・・まな?」
「・・・・ダメ・・・・・先輩・・・・ダメなの・・・・触ったらぁ・・・・」
「まな?」
まなが、ぼろぼろと大粒の涙をこぼしだした、小さな身体を更に小さくするように、自分自身を抱きかかえて
俺に背中を見せている、顔を決してこっちに向けてくれない・・・というより、俺に身体を見られたくないという
感じだ・・・・なんだ?・・・
「どうした?まさか、どっか怪我したんじゃ・・・・ちょっと、見せ・・」
「ダメ!!・・・・・お願い・・・・」
ばちばちばち・・・・・・・・・・炎が俺達を囲みだした、ふと、二人の間に大きな隙間を見たような気になった
「まな・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
黙ったまま泣き続けている・・・・異常な光景だ、まわりは炎に取り囲まれ、いつ何時、死が訪れても
不思議ではないというのに、今、俺は男と女の関係を、ここで考えている・・・今、二人は信頼というモノを
失っているのではないか・・・・・・元々、そのようなモノはなかったのではないか・・・・・
周りは不思議と静かな気がした・・・いや、あまりの轟音に耳が麻痺しているのかもしれない
「・・・・・・・・・・・・行くぞ」
「!・・・・・・・」
俺がまなを立ち上がらせた、とりあえず理由はなんでもいい、この際、嫌われていようと構いやしない
今は、この子を助ける、それでいい。俺は腹を据えた感じで、再びまなを背負った
きゅっと、俺の首にまなの手がまわる・・・・・耳元に何かを囁く
「・・・・・・・・苦しいよ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・俺を信じろ」
・・・・・苦しいよ・・・・この言葉が、本当に苦しいからなのか、俺との関係が苦しいのか・・・今は、考えるコトは出来ない
「うおおおおおおお!!!!!!」
とりあえず、叫んでみる、しかし相変わらず現状が打破出来るモノではない(ぉぃ
ちくしょう、何かないのか!?・・・・助けとか来ないのか!?
焦る俺・・・・そして、とうとう、脱出するアイテムを見つけた、ちくしょう、ひっぱりすぎだぜ!!
「こいつで・・・・・・・・・・・・・」
客に出すためにあったのであろうか・・・大量の、炭酸飲料の缶を見つけた、さいわいまだ中身は
入っている・・・・・・・・こいつで・・・・・・・・・
俺の頭の中では、このような状態が予想される
炭酸の缶が熱により、爆発し、その勢いで火が弱まり、道が出来る、すると、向こう側に助けが見えて
俺が走り抜ける、途中でまなは意識を失うが、なんとか一命をとりとめる、そして、俺もなんとか走り抜けるが
消防隊員の腕の中へ沈みこむ・・・よし、完璧だ、誰が見ても俺はヒーローだ、松田優作よりかっこいい
「おらあ!!!!」
おそらく、一番最短のコースになるであろう場所に炭酸の缶を投げ込む!!!さあ、爆発しろ!
どんどんどん!!!・・・ぱしゅしゅしゅーーーーー
予定通り爆発する缶しかし、予定通りいかないコトにやってから気付いた
「ごわ!!!!・・・・糖分が燃えている!!」
作戦は大失敗に終わった、どうやら、爆発の勢いよりも、中身の糖分が燃える方が早かったらしい
っていうか、なんだったんだ今までの振りは!?・・・俺は助かるのか!?
一番最短のコースを塞いでしまった以上、何をしても無駄であろうと気付きたくないが気付く・・・・ちくしょう
熱気が、俺の意識を煽る・・・・うう、頭ふらふらする・・・・・・??・・・・・まな?
「おい・・・・まな・・・・まな?」
ふと、妄想にふけっている間にまなのコトを忘れていた・・・・・さっきまで、きゅっと俺の首に巻き付いていた
手がぶらりと下がっている・・・・ぐったりと、俺に身体をあずけている・・・・最悪の事態を招いてしまった
「まな!!!・・・まな!!!!」
叫びゆすってみるが、反応がない、肉体の重さが俺の背中にずっしりとそれ以上の重さを与えてくる
「うわああああああ!!!!まなああああああ!!!!!!」
俺はキレた。そして、目の前に煌々と輝く炎の中へと、身を投じる
ああ・・・・・こんな映画を見たコトがある・・・・たしか、タワーリングインフェルノ・・・・そうだ
大火事で、高層ビルに閉じこめられた人々は次々と炎の餌食になるんだ・・・うう、スティーブマックイーンが主演だったな(どうでもよい)
目の前は何も見えない・・・・熱いという感覚ももう、なくなる・・・・身体が燃えているのかもしれない
もういい・・・・・・もう・・・・俺には手段が残されていないのだから・・・・・・・
「高馬ぁあああああああ!!!!!!!!」
急に野太い声で、俺を呼ぶ声が聞こえた・・・・ああ、地獄の鬼が迎えに来たのか・・・・
しかしむさい男の声とは・・・さすが地獄だな・・・・・・どうせなら、鬼娘とかがショートカットで・・・・
「高馬!!!!意識を取り戻せ!!!」
うるさい奴だな・・・・・今気付いたら、すぐに地獄へと連れていかれ・・・まてよ、まだ閻魔様にあってないか
うー・・・何か悪いことしてたかな・・・そうか、当利の顔に落書きしたか・・・・ごめんな
「当利・・・・・ごめんな・・・・・」
「高馬!!俺だ、当利だ!!!助けにきてやったんだ、目ぇ覚ませ!!!!!!」
「!!??・・・髭!?」
がす!!!!
「ごわ!?・・・・・・て、てめえ、助けに来たくせにピンチの青年に拳を決めるな!!!」
「うるさい!!・・・・こっちだバカ、お前本当に焼け死ぬぞ!!!」
当利だ。当利が割烹着の上にエプロンをつけて、手には鍋つかみを装備して俺を助けにきたらしい
意識を取り戻した俺は、その後に続く
がたたたたたたた!!!!!!
「ぐあ!!!!」
突然店が崩れだした・・・ぐあわああ、潰される
「なんのおおおおお!!!!!させるかあああああ!!!!」
ぐあし!!
なんと、当利が落ちてくる屋根を受け止めた、どうやら、鍋つかみのおかげで手はやけどをしないらしい(ぉぃ
「早く行けぇえええええ!!!!」
当利が俺の脱出口を作る、そこを通り抜ける、急に涼しい風が俺をとりまいた・・・・いや、どうやら抜けたらしい
どががががががっが!!!!
そして崩れる店の音・・・・あああ、当利・・・・俺の為に・・・・・
「勝手に殺すな貴様(怒)」
「ち、生きてたのか、そのまま逝ってれば英雄になれたものを・・・」
「余裕無いくせに、くだらねえコト言うな・・・ほら、救急車だ・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺の意識はもう、堕ちていた。