雪が降った・・・・・しんしん・・・・なぜ、こんな音がするのだろう
雪が降る音・・・・・・・知らず内に、暗く明かりの落ちた空を見上げる
何かを思い出す、いや、覚えているから、いつだって忘れたコトがないから
思い出すという表現は当てはまらない・・・・・・・・・・泣けるな

「・・・・・・あ、くろねこ先輩が一人で泣いてる!」
「本当だ・・・・何かあったのかな」
俺と、当利が学校へと珍しく一緒に登校してきた時のコトである
この前の雪から、しばらく降り続いているのだが、運動場そばの木の下で
一人泣き濡れている先輩を見つけた

「・・・・・・・声をかけるべきなんだろうか」
「うーん、もしかしたら、卒業に関して何かあるのかもしれない・・・そっとしておくのが得策だろう」
当利が、そう決断を下す・・・・卒業で問題か・・・・進路とかそんなのかな
もしかして、大学落ちたとか・・・・・でも、そんな様子にゃ見えないな(^^;

先輩をさておいて、俺達は教室へ向かった、ほこほこと暖房が利いていて
あったかい、窓際の席だけに、暖房は必需品だ
「・・・・・・・・・先輩・・・・倒れてないか?」
当利が、窓の下を見てそう言う
「え?・・・・本当だ・・・・・しかも、妙な形に足が曲がってないか(^^;」
俺が感想を述べる、貧血で倒れたような形で、ぐったりと横たわっている、だんだんと
先輩に雪が積もっていく・・・って、なんか、死人みたいじゃないか(−−;

「助けにいかな・・・・・」
「まて、当利!・・・・」
「?」
慌てて外へと出ようとする当利を止める、くろねこ先輩の元に、そそくさとさり先輩が
近づいていくのが見えた、そして、くろねこ先輩のそばに着いて、足を曲げる
「何してんだろ・・・・・??」
「やはり、キスだろう・・・・・ああいう時は、キスで目が醒めるのがセオリーだ」
当利が力強く言うが、今時そんなおとぎ話のような話しがあるわけがない、ほどなくして
くろねこ先輩が蘇った、むくりと起きあがって、積もりつつあった雪を手ではらっている

「なんだったんだ?」
「さあ・・・・・」
「気になるんだったら、廊下行ってこい(怒)」
俺と、当利がかぶりつきのポジションで下を見ていたのだが、みなつき先生にばれてしまった
結局、この前に続いて廊下に立たされる・・・・・っていうか、廊下寒い(−−;;

中から、授業の声が聞こえるが、今はそれどころじゃない
「当利・・・・・・・・・・」
「なんだ、高馬・・・・・・・・」
二人揃って声が震えている、寒いのだ

「お前の上着よこせ・・・・この前、お前風邪ひいたから、もうひかないって」
「殺すぞお前(怒)」

嘘級生〜あかんな、ネタ切れや〜

昼になった、飯を早々に済ませて、やはり屋上へ向かった
先輩に、これからのコト、今朝のコトと聞きたいコトが山ほどあるし、当然の行動だと思う
ばんと、扉を開け放つ、身を切り裂くように冷たい空気が中に入ってくる
その向こうに、やはり、先輩がいる

「・・・・・・・・・・・今朝はね」
「おわ!?・・・・ま、まだ何も言ってないっすよ(^^;」
くろねこ先輩が、振り向くと同時に話しを始めた、読まれてる(^^;
「ちょっと、粉雪が懐かしくて、ぼーーっとしてたんだよ・・・・」
「いや、その割に倒れてませんでした?」
先輩は、やや驚いた調子で俺の顔を見た、よもや、そこまで見ていたとは
思わなかったんだろう、そして、俺に背中を向けて答える

「・・・・・・・ちょっと、逝ってみたかったんだ」
「??」
先輩が逝っちゃった(ぉぃ、俺に背中を向けているから、どんな顔をして喋ってるのか
わからないけど、多分真面目な話しなんだろう(^^;
「逝ってみたいって・・・・・・・死にたかったってコトですか?」
「・・・・・・・・・・ちょっと、違うかな・・・・戻りたかった・・・・いや、ま、いいじゃないか」
寂しそうな色を目に宿した、これ以上は深入りするコトは俺には出来ない

「まなちゃんとは上手くいってるのかい?」
先輩が、俺に今度は聞いてきた
「ええ・・・・・・まずくはないです・・・・普通に、普通にです・・・・」
「・・・・・・・・・・・・さわっちに会ったんだね」
「え?」
くろねこ先輩は相変わらず俺に背中を向けている、何時にも増してしっとりと心を濡らしてくる
口調だ、隠し事は出来ない・・・というか、隠す必要もない、この前あったコトを素直に話した

「そうか・・・・・・・・・」
先輩はそれっきり、口をつぐんでしまった。何かを知ってるのかもしれない・・・・・
「そういえば、先輩・・・・・・もうすぐ卒業ですね」
「ああ・・・・・・・・卒業だよ」
素っ気なく答える、あまり興味がないような感じだ
「・・・・・どうするんですか?」

先輩がやっと振り向いてくれた、爽やかな顔、涼しげな目元、それでいて温かい瞳
「僕はね・・・・・・・・卒業したら、ロシアに行くんだよ」
言葉は、俺を突き抜けていった・・・・一瞬何を言ったかよくわからなかったが、落ち着いて単語
一つ一つを整理する・・・・・ロシア?・・・・って
「あの、でかい国!?・・・・留学ですか?」
「いや・・・・・・個人的に、ロシアに行きたいんだよ」
笑顔で話す、本気なのか冗談なのか・・・・なんとなくかつがれてるような気がする(−−;

「せ、先輩冗談はやめ・・・・・・・・・・・・・・・」
「僕はいつだって本気だよ」
かっこいい台詞で俺を惑わす、うーん、マジなのか!?ロシアって・・・・
「先輩、どうして・・・・・・ロシアって何かあるんですか?」
「・・・・・・・・・好きなんだよ、それだけかな」
そう言った瞳は、やっぱり真っ直ぐで嘘とは思えない
「先輩・・・・もしかして、ロシア語とかもう・・・・・」
「ザンギエフ・・・・・・・・・(注:ロシア語)」
微笑う、あまりにも綺麗な笑顔だ・・・・本気なんだろう・・・・じゃあ、尚更に

「さり先輩はどうするんですか!?」
俺が、噛み付かんばかりに言う、驚いてふらりと後ろへ下がる先輩、頭に手をあてながら言う
「さりは、さりだよ・・・・・僕とは、何も関係はない、別の人なんだから、別の人生を歩むんだよ」
当たり前のように、答える・・・・しかし、それは一般論だ、俺が聞きたいのは、そうじゃなくて
「さり先輩は知ってるんですか?」
「さあ・・・・・お互い、進路の話しなんてしないからね」

素っ気なく答えて、先輩は校舎の中へと入っていく、追いかける俺
「先輩!!・・・まだ、話しは・・・」
「僕のコトより、自分のコトを大切にしないとダメだよ、高馬くん」
ふっと、振り向きざまにそう言われた、いつもと違う感じ・・・・・怒ってるのと違う
でも、制止されてしまう圧迫感があった・・・・なんで?どうして?

俺はそのまま、保健室へ向かった、さり先輩にも会わないと・・・・・
ばんと、扉を開け放ち中に入る、保健医の先生の代わりにさり姉が、椅子に座っている、驚いて
こっちを見ている。俺が少し呼吸を整えて、話題を出す
「先輩・・・・・・・・」
「何?・・・・・・・なんかあったの?」
とりあえず、何があったのかわかってない様子だ

「あの、先輩・・・・・進路どうするんですか?」
「なんだ、そんなコトか・・・・・・てっきり、告白でもされるのかと思っちゃったよ(^^;」
ふぅと、胸をなで下ろすさり先輩、そして、つまらなさそうな顔で、答えてくれる
「一応、大学志望だよ・・・・うん、特になにかやるわけじゃないけどね」
さも、つまらなそうに答える・・・・・・疑問が・・・・先輩は、くろねこ先輩のコトを知ってるのか・・・気にならないのか

「あ、あの、くろねこ先輩はどうするんでしょうか?」
柔らかい調子で聞いてみる、探りを入れるという感じでだ
「くろねこくん?さぁ、本人に聞いてみればわかるんじゃない?あたし、知らないよ」
さらっと答えた、やはり、当然のように・・・・・急に、二人の仲が不透明なモノになっていく
「あのね、わーふくん誤解してるってば・・・・・あたしと、くろねこくんて本当なんでもないんだから(^^;」
苦笑しながら、俺にそう言う・・・・・いつもそうだ・・・ここでチャイムが鳴ったので、しげしげとそこを後にした

「・・・・・・・・・と、言うわけなんだが・・・・・って、ま、まな!?」
「ふぇぇぇ・・・・せ、先輩が、もう卒業してしまうなんて・・・・うう、しかも、ろ、ロシアって・・・・北海道より寒い所へ・・・」
まなが、号泣している。この子には話さない方がよかったのか(^^;
「いや、論点はそこじゃない・・・・あのさ、まなから見て、先輩達どう写る?」
「おねいさんとおにいさん」
「違う(−−;」
即答するまなに、つっこみを入れる俺、うーん、この子と一緒だと、悲壮感とかから遠い存在になってしまう

「二人の関係だよ・・・・」
「ふえ?・・・で、でも、先輩達はそうじゃないって言ってましたよぉ」
どうやら、純朴すぎるこの子は、人の言うコトを全て鵜呑みにするようだ、うーん、参考にならん
っていうか、俺が考えすぎなんだろうか・・・・・・・
「・・・・・・なあ、まなって先のコトとか考えてるか?」
「カーマインになるんです」
「いやだからね(^^;」
どうもいけない、この子とは、何かがずれている、まあ、そのずれが楽しいから敢えて修正しようとは
思わないけど、なんかなぁ・・・・・・ぽつぽつ歩いて帰る

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

りんごーん
「あ、はーい・・・・・・・」
くろねこ先輩が、自宅で待機している時のコト、呼び鈴が先輩を誘った
がちゃりと、扉を開くと、そこに、威風堂々とピンクのくまが立っていた、時間が止まる
「いや、宗教なら間に合ってます・・・・」
一瞬の間の後に、そそくさと扉を閉めようとするくろねこ先輩、しかし、くまが扉の間に
足を挟んできた
「あ!!・・・・な、なんだ!?新手の、着ぐるみ強盗か!?」
先輩が、必至に扉を開け閉めして、がんがんと、足を叩く、表情はわからないが相当辛そうなピンクのくま

「くろやん、俺、俺だって・・・・・」
「知らない、知らない、俺には、ピンクのくまの知り合いなんて・・・・・・ぺけ?」
一瞬、その名がよぎったが、すぐに違うと判明する、そう、ぺけなら扉を有無言わさず開けて
中で茶をすすり、煎餅をかじっていくはずだ、こいつは偽物だ、えいえい

がんがんと、足を攻撃しつづける先輩、痛がってるのだろうと思われるくま
しばらく格闘が続いた後、くまが、仮面(注:ぬいぐるみの頭部分)をとった
「!!・・・・・さわっち・・・・・・・何してんだよ」
「いや・・・郵便局でバイト・・・・・」
水沢京一だった、あわてて、扉を開き、中へと入れる

その様子を、少し離れた所からあ〜る子が見ていた(お前は家政婦か)
「・・・・・あ、あーりーばーど!?・・・・やだ・・・先輩と知り合いなの?」
慌てて、くろねこ先輩の家へと向かう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「おや?」
「あう、あ〜る子さぁん♪」
「おや、わーふくんに、まなちゃん♪」
抱きっ!!っと、まなを抱えつつ、挨拶をしてくれるあ〜る子さん
「どうしたの?なんか、急いでるみたいだけど」
「あ、んとね、くろねこ先輩の家に、なんかピンクのくまが入っていったのよ・・・あ、怪しいと思わない?」
あ〜る子さんが、目をきらきらと輝かせて聞いてくる、うーん、ピンクのくまねえ(^^;
「あたし、前に、あのくまに助けられたのよ・・・だから、一言お礼に行く所なの・・・・じゃ、またね♪」
と、しゅたしゅたと走って去っていった・・・・・・・・って、あ!!まな抱えたまんまじゃん!!
慌てて、俺も追いかけるコトにした

振り回されながら、まなが助けを求めているように見える、とりあえずおっかける俺
んでもって、辿り着くのは先輩の家・・・・ふぅ、ここか、ちょっと丘の上っぽい所にあるんだな
「せんぱーーいい」
と、言うや否やあ〜る子さんは、扉を蹴破った(^^;、ら、乱暴だなあ(そういう問題ではない)
そして、中にいるのは、ピンクのくまでは、なかった

「あれ?あ〜る子くんに、まなちゃん・・・・・高馬くんまで」
先輩は、扉を蹴破られたにも関わらず平然と対応している、が、それよりもその横にいる男が

「・・・・・・・・・・・・・・・・水沢・・・・・・さん」
「やぁ、意外と再会は早かったね」
「・・・・・なんで、お兄ちゃんがいるの?・・・・」
三人が三人とも、違う反応を起こす

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、この人誰?」
あ〜る子一人おいてけぼり