「よぉ、高馬、どうだった?昨日のまなちゃんとの、初デートは・・・・・」
朝一番、俺が登校すると同時に、当利がアホ面ひっさげ・・・・
がず!!!!
「ぐわ!!!・・・て、てめ何しやがる!!」
「お前、俺をさりげなく心の底で愚弄したろう(怒)」
「ったく・・・・・で、昨日はどうだったんだ?」
当利が、親身になって聞いてくる、何を期待しているのかいまいち計り兼ねるが
ともかく、真剣なだけに答えておく
「ああ、成功だったよ・・・・・・・最後以外はな」
「最後以外って・・・・お、おまえ、・・・だから、早まるなって言ったろ!!ヒロ!!」
「まてこら!!誰がヒロだ!!!」
当利が勝手に一人で物語を自分の中で作り上げて、その中の俺につっこみを入れている
「ばか、そうじゃねえ・・・・・・・」
「なんだ?・・・・・何があったんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「言えよ(怒)」
「いや、なんて言うか・・・・・・・」
そう、なんて言ったらいいかわからない、別になんてコトはなかった
昨日、送った時、まなの家の前に男がいて、そいつが、まなのコトを知ってて
まなが、そいつを「お兄ちゃん」と、呼んだ・・・・・・それだけだ
でも、それだけで、そこまでは確かにあった楽しかったという気持ちが
突然薄れて・・・・そして、不安に変わって・・・・・それだけだ
何かされたわけじゃない・・・・・・・
「・・・・・なんだ、ライバルの出現か?」
「いや、そういうのじゃ・・・・・・多分ないと思う」
俺が、机につっぷす。当利がやれやれというため息を横でついている
予想出来なかった、まなに関わる人間が俺の他に出てくるなんて・・・そういう感じかな
「・・・・・・それって、嫉妬じゃないの?」
「あ、あ〜る子さん・・・・・」
ふいに、頭の上から女の子の声が降り注がれた、当利の言うにはあ〜る子さんらしい
俺は、頭もあげずに、潰れたままでいる
「嫉妬ねえ・・・・・ふむ、確かに考えられる設定だな、新たに現れたライバルに、翻弄される主人公
そこから改めて自分自身を見つめ直し、ヒロインとしっかりとした関係を築いていく・・・」
「そぉねぇ、なんか、もうちょっとパンチが欲しいなぁ・・・・んと、突然の事故かなんかに巻き込まれて
不幸のどんぞこに落ちる主人公、そこからはい上がってくるってのが、また王道でない?」
などなど、俺を餌にして、二人でやたら盛り上がっている、勝手なコト言い出す前に止めておこう
「あのねえ・・・・・」
むくりと、俺が身体を起こす、すると、当利が急に言い出した
「あ、そうだ、高馬・・・・・・俺、今日からしばらく一人暮らしなんだぜ♪」
「は?」
話しを一本化しろよな・・・・・
嘘級生〜うーん、わざとらしいなこの話し〜
「・・・・・で、一人暮らしってどうして?お前、おやじさんとおふくろさん・・・・」
「それが、なんだか知らんが、突然旅行へ行くコトになったらしくてな、俺は留守番なんだよ」
誇らしげに当利が、答える、ちなみに、今は昼飯の時間だ、あの後、授業が怒濤のように詰まっていて
俺、当利共に深い深い、睡眠学習に取り組んでいたので、話しをするどころでなかったのだ
仕方ないので、昼休みに食堂で話すコトになった
「ふーん・・・・何日くらいなの?」
「え?・・・一週間もないって言ってたけど、よくわからん、もう出てっちまったしな」
「いい加減だなあ・・・・それでいいのかよ」
あ〜る子さんも交えて三人で楽しく談笑している、しかし、よくまあこの三人で何一つ
問題なく、こんな話しが出来るなあと思うが、深くは追求するまい
「まあ、なんにせよ、あこがれの一人暮らし体験だ♪、愉しみで仕方ねえんだよ」
当利が、そう言うと満面の笑みを浮かべて、口にランチをかきこんでいる
「・・・一人暮らしって、結構大変だよ(^^;」
あ〜る子さんが、身に染みた台詞を言う、さすが、台詞の重みが違う、俺が言ってもこうはいくまい
「それより、なんでそんなに一人暮らししたいんだ?面倒だろうに・・・」
「?・・ふ、お前のようなバカモノにはわかるまい・・・・俺はな、ここを卒業したら
一人で生きると決めているんだ、その予行練習のようなものだな」
「お前の話しはわかったが、バカはやめんか(怒)」
俺と、当利のそんなやりとりにあ〜る子さんが、入ってくる
「そっか、もう、先々のコト考えてるんだね、当利くんて・・・・」
「当たり前っすよ、俺は、ここ出たらめくるめく人生を謳歌していくんす♪」
笑う当利につられて、あ〜る子さんも楽しそうな顔をする
将来のコトか・・・・・・・俺は、どうするつもりだっけかな・・・・・
そう考えて、ふとまなの顔がよぎる・・・そう、まなとこれからどうなるんだろう・・・・
「っと、時間かな・・・じゃ、あたし先行くね♪当利くん、がんばってね♪」
「まかしてください(^^)」
あ〜る子さんが、早々に席を立っていった、俺と当利も食べているモノを片づける
「さて、今日から楽しい毎日の始まりだぜ」
「・・・まあ、気をつけてな・・・なんか、あったら俺ん所来いよ」
一応、心配しておく。まあ、心配するようなコトもないかとは思うが・・・・
午後の授業は、みなつき先生の授業じゃないので、どっちでも好かったから、寝た
当利の奴は、普段は寝てるというのに今日は起きていた、どうやら、寝付かれないらしい(間違ってるって)
授業が終わると同時に、扉から出るのもおこがましかったのか、窓を突き破って出ていった・・・うーん、パワフルだ
とりあえず、俺はまなと帰るコトにして、てくてくと学校を出る
「でな、どうやら、今日から当利の奴一人らしいんだ・・・」
「ふえー・・・一人暮らしですか・・・大変らしいですね、醤油が必需品とかなんとか」
なにやら、所帯じみたコトを喋るまなに若干違和感を覚えつつも、歩く
「・・・えっと、先輩、昨日は、あ、ありがとうございました、とっても楽しかったです」
「あ・・・・いや、うん・・・そっか、よかったよ」
動揺してしまう、俺。昨日のコト、楽しかったと言われて素直に喜べない自分がいるのに動揺している
昨日の、あの男は誰なのか・・そればかりが、気になっている証拠なんだろうな・・やはり、嫉妬なんだろうか
「・・・・・・昨日の人は、向こうに住んでた時に近所のお兄ちゃんだった人です」
「え?・・・ああ、そ、そっか」
まなが、俺の気持ちを察してくれたのか、ぽつりと話してくれた、いつも話したがらない
向こうの話題だ、当然、あの男のコトも本当は話したくないんだろう・・・
「そっか、向こうに住んでた時の近所のお兄さんか・・・・名前は?」
これくらいは、いいだろうと、そっと聞いてみる
「・・・・水沢京一・・・・・たぶん、くろねこ先輩やさり先輩と同学年です」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・くろやん・・・・・・・」
「?・・・・・・・!・・さ、さわっちなのか?」
昨日の男こと水沢京一と、くろねこ先輩がコンタクトをとっている、安堵の表情を見せている水沢
驚きの表情が隠せないくろねこ先輩、ともかく二人は知り合いらしい
「・・・いつ、こっちへ?」
「もう、一月以上になる・・・・・やっと、ここを見つけたんだよ」
「・・・・・ここを?僕に会いに来たのかい?」
「いや・・・・確かに会えたのはうれしいんだけどね・・・・目的は違う所にあるんだよ」
二人が、緊張した雰囲気をあたりに漂わせつつ、言葉を交わす
水沢が、サングラスをとりだして、さかさまにしてかける・・・どうやら、ネタらしい(ぉぃ
その姿にくろねこ先輩が緊張を緩める
「・・・・・変わってないね、さわっち・・・・・・でも、いったい何しに」
くろねこ先輩が、水沢の奇行にたじろぐことなく聞く
「人を・・・・・ちょっと、訪ねてきたんだよ」
「人?」
「・・・・・・・向こうで、少し深い仲だった時期がある子にね」
「女の子か・・・・・相変わらず、モテてるんだね、その様子だと」
「くろやんほどじゃないさ・・・・・」
二人が、軽く笑う。風が冷たく二人を包むが意に介したコトもなく、話しが続いた
「くろやん・・・・聞きたいコトがあるんだけど」
「??」
「高馬わーふ・・・・って、一個下の男を知らないか?」
「・・・・・・高馬くん?」
くろねこ先輩の語調がわずかに乱れた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・っと、夕飯の材料はこれくらいでいいか・・・・・」
あ〜る子が、スーパーで色々と買い物をしている、じーっと、キャベツを見ては、半分の奴を買うか
一玉買うかで、散々悩んでいたが、結局一玉買うコトにした後のコトだ
「ふむ・・・・・結構量あるな・・・一人じゃ無理か・・・・・」
と、わざとらしく口にして
「仕方ないから、当利くん所行って、一緒しようかな♪」
どうやら、一人で食べるのにだいぶ飽きていた所らしい、今なら、一人しかいないと
言っていたわけであるから、泣いて叫ぶほど喜ばれるだろうとの推察による行動だ
レジをあとにして、ふんふんと鼻歌を唄いつつ、当利の家へと向かう
風は冷たい、早々に押し掛けてコタツにでも入りたい所と、思ったのか
歩く速度を早めた、ぱたぱたと若奥様走りをしながら、スーパーの袋を左右にふりふり
なんとか、当利の家についた
「当利くんいるかなぁっと・・・・・・・」
と、いいながら、目線は向かいの高馬家の窓を伺っている(^^;
どうやら目的は色々と複雑なモノらしい、ちらちらとわーふの部屋と思われる窓を伺うが
まだ帰った様子がないのを確認し、舌打ちを見せる、まぁいいや、とりあえず、当利さんの家に♪
りんごーん♪・・・・りんごーん♪
お決まりのベルの音が鳴ったのが扉のこちらからでもわかる、じっと待つあ〜る子
「・・・・・・・・・・・・いないのかな?」
もう一度押してみる、りんごーん、りんごーん♪
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「??・・・あ、当利くーん・・・・??」
呼び鈴に全く応じない・・・おかしいと思うのが、普通なのだが
(やだ・・・・キャベツ一玉もあるから、困るじゃない・・・いてよ、もぉ・・・・・)
主婦じみた台詞を頭に浮かべつつ、寒い中しばらく立っているあ〜る子
「・・・・はぁ、どうしよ・・・・・・・」
扉の前で困ってしまう、ふと、もしかして・・・という期待をこめて、そっと、扉を引いてみる
がつがつがつ!!・・・・鍵がかかってるらしい、留守なのだろう
「おかしいわ・・・・・・」
どうやっても、諦めたくないらしく、あれやこれやと手をつくすあ〜る子、とりあえず、庭先の
植木の下などを物色し、鍵を探すが見あたらない、郵便受けの中もチェックする(注:好い子はマネしてはいけません)
「ない・・・・やるわね・・・」
なにやら、すでに目的が違うような気がするが、キャベツ一玉を無駄にするわけには
いかない、なんとしても当利と合流するコトが、今、この女にとって最大の問題なのだ
「・・・・・・・・・・・・・あれ?」
そして、探偵モノよろしく、電気のメータをチェックする、くるくるとよくまわっている
「居留守?・・・・・・・いや、なんか事件に巻き込まれて今、監禁されてるとか!?」
ずいぶんと吹っ飛んだ思考により、拉致されたコトになる当利、おろおろとするあ〜る子だったが
意を決して、行動に出た
「ふん!!!!!」
ばぎっ!!!!・・・・・・・・鍵を粉砕するあ〜る子(笑)、扉が抵抗もなく開き、薄暗い玄関に
光を入れる・・・・そして、その目の先にうつぶせに倒れた当利の姿を発見する
「・・・・あ、あ、当利くん!!!!」
・・・・・・しかし、当利から返事はない