見城が、俺の前に立っている・・・ただ立っているだけじゃない
ものすごいプレッシャーをかけてきている・・・・・
「・・・・・・わかってると思ったのにな、俺がなんで君を殺しにきたかわかってるだろ?」
「・・・・・・・・・・・・まなちゃんのコトか」
「もう、まなちゃんだけのコトではなくなってしまったからな」
見城が視線を落とす、奴が何を言いたいのかはそれなりにわかる
そう、俺がうだうだやってたコトがいけないと言いたいんだろう
「俺は、まなちゃんと適当に付き合っていたり、遊んでたわけじゃ」
「ないと言い切れるのか?」
見城の一言一言は、いちいち俺の心に槍のように突き刺さる
「自覚がないんだよ・・・なお、タチが悪い」
見城が俺をにらむ
「言ったろ、最初に・・・・君は女の子を不幸にしてしまうと」
「不幸にした覚えはない、だいたいあんたに言われる筋合いもない!」
「まなちゃんを泣かして、あ〜る子をひっかけて・・・・・当利くんだって・・・・
君が気付かないうちに、どれだけの人間を傷つけたと思ってる」
「泣かせた覚えはない!!、まなは、まなは独立するために・・・依存する生き方を
変えて成長するために、俺から離れた・・・・」
がすっ!!!!
「っつ・・・・・・」
見城が俺の頬を殴りつけた
「ふざけるな!!、まなが独立したがってる!?、違うぞ、変わったんじゃない
アレじゃダメだろ!?」
見城がけたたましく俺のコトを怒り続ける・・・・まなの変わり方がいけない・・みなつき先生も言ってた
「待てよ・・・・それは余計なお世話だろ・・・・」
俺もにらみ返す、そう今はっきりと自覚した、俺はこいつが嫌いだ
「なんだ?お前は、いつも理解者ぶってるだけで結局は、何もしない、出来ないそんな奴じゃないか!」
「・・・・・俺だって、したさ・・・・・だけどな、俺じゃだめなんだよ・・俺じゃぁ・・・・」
「自分が出来ない仕事を結局他人に押しつけてる、それだけだろ」
「そうだ・・・・確かにそうだけど・・・・だけど、君の間違いは正す必要がある、大きく勘違いしてるからな」
きっと、鋭い目つきで俺をにらむ・・・物怖じせずに俺もにらみ返す
「・・・・・・・・そう、まなだけ気にかけてればそれでよかったのに・・・・・なんで、なんでまなを独立させる
ため、離れるために、あ〜る子を使った・・・・・・」
見城がうめいた
「つ、使った?・・・・違う、ただ話をしてただけじゃないか」
「本当にそう思ってるのか?バカな女が自分にひっかかってきたことに気付いていないって
言い切れるか?」
見城が俺にそう言った時、人影が現れた
「つ、坪倉さん・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「な、何してんの・・・・・こんなトコで・・・・」
嘘級生〜ごめん、ちょっち暗い話ね〜
じめっとした校舎裏、そこに増していく陰湿な空気
「ちょ、わーふさん血が出てるよ・・・・何してんのよ・・・・」
坪倉さんが不安そうな顔で、俺にそっと寄ってきてくれた
「バカ女・・・・・離れてろ、まだ話が終わってねえ」
「あ?何言ってんの、おじじ・・・・・って、あんたがやったの?怒るよ・・・」
「ごめん、坪倉さんちょっと・・・・・」
俺がそっと、坪倉さんと距離をとる、見城の前に立つ
「ちょっと、二人とも・・・何?何を・・・・」
「この男の罪を連ねてやってるんだよ・・・・」
見城が吐き捨てる
「罪・・・・・・・・・・・・」
「自分がどれだけの人間を傷つけて、それとなく暮らしてるか分からせてやろうとな」
見城が坪倉さんにそう告げる、それを聞いて感情の高ぶりを見せる坪倉さん
「あ、あんた・・・・・な、なんかバカなコトしてるんじゃ・・・・」
「いいから黙ってろ・・・・・」
どんと、坪倉さんを突き飛ばし、俺につかみかかってきた
「こいつを見て、わかったろ?・・・自分がどういうコトをしたか・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
何も言えない俺、俺がしたコト・・・・・・・・・・・
一瞬静寂が訪れた
ぱぁん!!!
「!!」
「・・・・・・・・・・・・」
「この、バカ!!!!!」
坪倉さんが見城の頬を平手で叩いた、そして更に叩き続ける
「何、何を・・・・・何をバカなコト言ってんの?・・・あんた、本当に頭悪いよ・・・・
ふざけてるんじゃないよ・・・・あんたねえ、自分の小さな物差しで勝手に人のコト
計ってんじゃないわよ・・・・わからんちんのくせに・・・知ったかぶりなんてしないでよ!!」
坪倉さんの頬が高揚してる、言い放った言葉は重く見城にのしかかったらしい
「バカ・・・・・罪?・・・あんたがしてるコトはなんだっていうのよ・・・余計なコトして
ヒーロー気取ろうなんてくだらないコトしないでよ!!」
そして、思いっきり振りかぶってきつい一撃を加えた
ぱぁん!!!
「あんたに、何がわかってるっていうのよ・・・・・・・・・・・・・・・・」
沈黙が訪れた、少しして見城がぐいっと、血のたれて来た口を拭い
坪倉さんの横を通り過ぎ、俺の横を通り過ぎていった
「・・・・・・・・・・出過ぎたマネだった、悪かった、ごめんな」
俺にだけ聞こえるようにそう言ってこの場から消えてなくなった
しばらく静けさに身を任せた・・・・坪倉さんは俺に背を向けたまま、うつむいている
そう・・・・・・気付いていないわけじゃなかった・・・俺は、坪倉さんに好かれてるかもしれない
そう思っていた・・・・・だけど、俺は、俺の気持ちは坪倉さんに向いてない・・・・当利のコトとか
そういうんじゃなくて向いてない・・・・・・・・好きじゃないんだ
俺が考える、どれくらい経ってからだろう、長かったような気がするが、そうでもないらしい
坪倉さんが俺の方へと向き直った
「なんていうかさ・・・・・あいつ、バカだからさ・・・・許してやってね」
「うん・・・・いや、許すとかそういうのはないよ」
俺が答える、何かうれしそうな顔で俺を見る
「やっぱり・・・・わーふさんて優しいよね」
照れてしまう(^^;
「・・・・・・・優しい人って好きなんだ・・・・・・・」
風が出てきた、そしてこれは告白なのだろうか
「なんでもないんだけどね・・・ふと、いつだったか、わーふさんが優しいって思った時に
・・・・・もう止められなかったんだよ、うん、初めてだったよ」
坪倉さんが顔を紅くして俺にそう言う
「あたしってバカだからさ・・・・なんていうか、優しくされるとつけあがるっていうか・・・・
わーふさんが、まなちゃんと居るのが正直辛くて・・・・・でも、ほら、この前から突然
離れたじゃない・・・それで、あたしのコトかまってくれるようになってくれて・・・・それが・・・
なんていうかな、凄いうれしかったんだ、うん・・・・・・・勝手にわーふさんがあたしのコト好き
なのかなーとかバカな夢見てさ・・・・・・はは、何言ってんだろうね、あたし」
知らないうちに、坪倉さんが泣いていた・・・俺は、聞いているコトしか出来ない
いや、多分聞いてあげるコトが一番好いコトなんだろう・・・下手な言葉は傷つけてしまう
見城の言ってたコトが少しだけわかるような気がする・・・・・でも・・・・
「だけど・・・・だけど、本当はあたしを見てたんじゃないんだとか・・・・当利くんのコトとか・・・
ショックだったよ・・・・・・当利くんがあたしみたいなのを、好く思ってくれてたの・・・・うれしかった
でも、わーふさんが・・・・・・知ってたのが・・・・・なんか・・・辛くて・・・・、わーふさんて
何も言ってくれないから・・・・自分の内側のコト、話してくれてないんだってコト、改めて
わかっちゃって・・・・・そしたら・・・・・そしたら、やっぱり、わーふさんは・・・・・・・・
あたしのコト好きじゃないんだなって、気付いて・・・・・・」
坪倉さんの声がだんだんうわずってきた、涙がとめどなく溢れてる・・・・俺は何もしない
「だけど・・・・・だけど、あたし・・・・わーふさんのコト好きで・・・・・・・好きだから、わかっても
好きなの・・・・・・ごめんね、本当・・・・う・・・くぅ・・・・ひっく」
坪倉さんが、そう言った時、俺はそっと近づいて抱きしめた
「・・・・・ごめんね、わーふさん・・・・面倒くさい女で・・・・ごめんね・・・・でも、わーふさん
まなちゃん好きなのに・・・・・好きだからって、あたしの所に・・・・うれしかったけど、辛かったよ・・・」
俺の中で泣き続ける坪倉さん、そう、あの見城が言ってたコトだ、俺は苦しめているだけだった
「そんなコトない、俺が、もっとしっかりしてれば・・・・ごめん、男としてダメなんだ、俺って」
「違うよ・・・・違うんだよ・・・・・わーふさん優しいから・・・・・だから、言えないんだよね・・・・・」
ぎゅぅっと、俺の胸に顔を圧し当ててきた・・・うずくまるという感じ
「俺って・・・最低だ・・・・・・・」
ぐっと、抱きしめてる腕に力をこめた・・ぎゅぅっと坪倉さんを近くに引き寄せる
細くてしなやかな身体が俺にぴったりとくっついてる・・・・・細かく震えるそれが尚俺には辛い
「わーふさん・・・・優しいから・・・・優しいから言えないんだよね・・・・あ、さっきも言ったっけ
・・・・だけどね、言わないで居てもらうの・・・・ごめん、バカだから・・・・もしかしたらって考えちゃう
から・・・・・だから・・・・・言ってよ、あたしはわーふさんのコト好きって言ったから・・・わーふさんも
わたしに・・・・・いってよね・・・・・・・お願い、でないと、このまま、好きなまま・・・・・ずっと前に
進めないよ・・・・・・自分で切り替えられないから、あたし・・・・・・・・わーふさんのコト、おっかけて
・・・・・・もう、潰れそうだよ」
坪倉さんがそう言った、俺は・・・・・
「・・・・・・・当利のコトがあるからとか・・・・・・そういうのに気兼ねしてるんじゃないんだ
坪倉さんのコト、俺好きだよ・・・・・・・でも、違うんだ・・・・・俺、どうしてもまなのコトが気になっちゃう
・・・・・・・・バカは俺なんだ、たくさん傷つけて・・・そうじゃないと気づけなかった・・・・遅いんだ
・・・・・でも、これ以上ひっぱらない・・・・・・・・つ・・・あ〜る子さん」
そっと、彼女を引き離して目を見る、潤みうつろう瞳に俺が映り込む
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あ〜る子さん・・・・・・・・ごめんね、俺まなのコトが好きだ」
泣き出されるかと思ったけど、すーっと息を吸い込んで、俺の言葉を受け止めた
泣き顔だけど、にこっと俺に笑いかけてくれる
「ありがとう・・・・・んでもって、ごめんね」
坪倉さんが、えへへーって顔して、俺に笑顔を送ってくれる・・・いたたまれない
坪倉さんが会釈をして俺の横を過ぎていく
「ばいばい・・・・・・わーふさん・・・・・・」
足音がそのまま小さくなっていった、俺は時計を見る・・・まだ、そんなに経ってるわけじゃなかった
ぐっと疲れにも似たモノがのしかかってきた・・・・でも・・・・・まだ終わってない・・・・
校舎にそっともたれかかって、空を仰ぎ見る、秋の澄み切った高い空が冬の凛とした空気を
引き連れて広がっている・・・・・・・・・・・そう、俺はまなが好きなんだ・・・・・・・
確かめるように思う、去来するまなの顔・・・・・・見に行かないと・・・・・
俺は、本当の目的に自分を乗せた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ただいま・・・・・・・・・・?・・・・・・あ〜る?帰ってるの?」
帰宅したあ〜る子、泣き崩れた後の顔だけに、少しはれぼったいという感じ
目の下あたりが赤くなってて、人に見せられる顔じゃない
暗い家の中をよたよたと歩く、あ〜るの部屋に明かりがないのに気付き
まだ帰ってないと悟る・・・・・・・ちょうどいいや、一人になりたいし
女の子はゆっくりと失恋を受け止めた、誰に気兼ねするわけでなく泣いた
わずかな時間でコト足りたのか、すっと泣きやんだ・・・そしてふいに立ち上がり
ぱたぱたとあ〜るの部屋へと向かった
「あ〜る・・・・帰ってるでしょ、本当は・・・・ちょっと、黙ってないで出てきてよ!そりゃ
叩いたのは悪かったけどさ・・・・・・あ〜る?」
がちゃ
「嘘・・・・・・・・・・・」
がらんとした空間が広がっていた、いつもと変わらない家具などの位置
備品・・・・でも、人の気配が全くなくなってる、人が生活してるという感じが消えている
机に手紙がある
「あ、あのバカ・・・・・なんで、なんでこういうコトを・・・・・・・」
手紙を無造作にポケットにつっこみ、急いで玄関を飛び出した
「ったく・・・・・・・なんで、バカ・・・・・・・・」
たたたたたたたたた
足は、秋積家へ向かう