三年生の授業・・・・教科担当はみなつき先生のようだ
さり先輩と、くろねこ先輩が神妙な顔して、授業を受けている
「よし、次の所、杉本読んでくれ・・・・」
「はい・・・・・・・」
ゆっくりと、立ち上がりくろねこ先輩が、教科書を持つ、はっきりとした声で朗読
を始める
「俺には信じられなかった、いや、信じたくなかった・・・桜子ちゃんが死んだ?
あまりの驚きに、俺は樹から落ちてしまった、ずどんと大きな音がまわりに響いた
中では、看護婦達の驚いた声が響いた・・・でも、俺の中にはそんなモノは
通り過ぎるだけのモノ・・・それよりも・・・・・そんなコトよりも・・・・疑いをたくさん
持ってみた、死んでるわけがない・・・この前まであんなに元気だったじゃないか
俺は、走って自分の家へと転がりこんだ・・・・・・・部屋を暗くして、じっとうつむく
・・・・・美佐子さんの静止をふりきって、部屋に入りじっと黙りこくった・・・・・・・・
死んでるわけないじゃないか・・・・うう、でも・・・・・・・なんで・・・・そして、ふと
オルゴールが鳴った」
ひっくひっく・・・・ぐす・・・・・・しくしく・・・・
なぜか、くろねこ先輩のまわりで幾人かの生徒がもらい泣きしている
くろねこ先輩の迫真の朗読により、大きな感動を与えたようだ、そして、くろねこ先輩
自体も泣き崩れそうになってる
「え・・・・・・っと(^^;;」
焦るみなつき先生、長い間教師をやってきたが、教科書で泣かれたのは初めてらしい
「うー・・・・んと、そうだな、ではここでの美佐子の行動における心の変化を答えてくれ、秋積」
「はい」
さり先輩が平然と立ち上がる、ちょっとくろねこ先輩の姿にあれあれという目を向けた後答える
「慰める、彼女の行為には最初は保護者としての気持ちがありました、でも、彼の背中を見て
驚くほど成長して、そして今、大人になろうとしているその姿に、保護者としての喜びと女としての
不思議な感じ・・・この二つが秘められていると思います」
「ふむ、そういうコトだな、つまりは・・・・・って、杉本!!どうした!?」
「ごめんねぇ、ちょっと疲れたみたい・・・・」
ぐったりと横になるくろねこ先輩
三年生って大変だ(そうなのか?
嘘級生〜前説長いって?〜
「・・・・・・ってなコトがあったのよ」
「面白いですねえ、くろねこ先輩って・・・」
「そんな感動的な話なんすか?」
食堂で、俺(わーふくん)とさり先輩、そしてあ〜る子さんで、食事をしている
妙な取り合わせだが、不思議と会話は弾んでいた
「で、結局くろねこ君、あたしが連れて保健室なの・・・・」
「だから、いつもいるんですね、くろねこ先輩って」
「身体弱いんですか?」
「うー・・・どうなんだろうね、ま、一緒にいくと、授業さぼって寝てられるからいいんだけどさ」
さり先輩が、笑いながら言った
うーん、くろねこ先輩とさり先輩ってどういう仲なんだろうな・・・・ふと、疑問に思った
聞いてみようとも思ったが、いぢめられるのが怖いから聞けない・・・うう、俺って弱いなあ
「ねえ、さり姉・・・・・・・・くろねこ先輩とは、友達?」
「ん?」
俺が聞きたかったコトを、ずばっと隣のあ〜る子さんが、聞いてくれた
パックの紅茶を飲んでいた、さり先輩が特に驚いた様子もなく、ストローから口を離す
「・・・・・・なんでもないよ、ちょっと二人で一緒にいる時間が長いだけ」
笑顔を浮かべてそう答える、ああ大人な会話だ・・・・?・・・・まてよ、ってコトは
あれ?つまり、これって・・・・
「まるで、俺とまなみたいですねえ」
しれっと、俺が喋ってしまった
「ぅ・・・・・・・・・・・・・・えっと、わーふ先輩・・・」
「おや、まなちゃん」
俺が不注意にも喋ってしまった後に、まなの声、そしてそれに応えるさり先輩の声が続いた
俺は凍り付いた、俺の後ろへ知らないうちに、まなが到着していたらしい・・・・
今のを聞かれた・・・・・なぜだ、俺はどうしてこんなに動揺してる???・・・
「・・・・その・・・・・先輩・・・あ・・・・と・・・・」
うつむいてるまな、多分、今日一緒に帰ろうと誘いに来てくれたんだろう・・・・しまった
猛烈に反省してる・・・・・・・・何かとりつくろうとした時
「まなちゃんと、わーふさんてなんでもないんだ・・・・へー」
あ〜る子さんが、トドメを刺すように言い放った
そして
「なんでもないです、ごめんなさい・・・・・」
まなは走っていってしまった、続くように、あ〜る子さんが席を立って俺に顔を見せないように
背中を見せて消えていった・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・わーふくん」
「はい・・・・・・」
「失敗したって思ってる?」
「・・・・・・・・はい」
「そう・・・・・・・・・・」
さり先輩が俺に声をかけてくれた、自分では見えないが、ものすごく引きつった顔でも
してるんだろうな俺って・・・・・・・先輩は、何もなかったような顔を相変わらず続けている
俺は、今、何をしてしまったんだろう・・・・・・・
「あ・・・・・ん・・・・やだ」
「は?」
突然、前のさり先輩が悩ましい声を上げた、驚いて顔を上げると後ろに
くろねこ先輩が立ってる、忍び寄って、突然首筋をすっと、撫でたらしい
・・・・・・・これの、どこがなんでもない仲なんだろう(−−;・・・・・・・
「ん?どうしたんだい?高馬くん」
「い、いえ・・・・・あの、失礼します」
俺は慌てて席をはずした、振り返るコトも出来ずに教室へと戻った
「・・・・・何かあったのか?さり」
「うん・・・・・・血みどろの戦いよ♪」
なぜかさり先輩ってば楽しそうだったり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
午後の授業はまるで、俺の耳に入ってはこなかった
後悔の念だろうか・・・何か俺の胸中は複雑怪奇なモノに支配され続けた
横を見ると、曝睡してる当利がうらめしかった・・・こいつも、悩んでるんだろうか
全く何をしようにも、上の空の俺だった、気付くと当利に
うすく、ルージュを塗っていた・・・・ふぅ、似合わねえなお前・・・・・ぼーっとしてる中
アイシャドウなんかも入れたり、アイラインを強調したりしていた・・・・ふぅ、どうしよう
ところで、この化粧セットはどっから出てきたんだろう、まあいい、それどころじゃないしな
突然、俺の足下の床がかたかたと揺れてるコトに気付いた
あれ?・・・・なんだ、地震か?・・・・・・・・
だけど、揺れてるのは一枚の木の床板だけ・・・・そして、それが外れた
中から、人がせり上がってきた、何か「大都会」が聞こえる(ーー;
「忠告したはずだ・・・・・お前さん、まな泣かしたな」
「あんたは、どうしてそういう登場しか出来ないんだ」
見城だ、なぜかアフロのカツラをかぶって手にコーヒーを持ってる
・・・・・クリスタルキングのつもりなのか?
「これからどうするつもりだ?」
「あんたには関係ない」
「そうでもない・・・・・まなちゃんのコトとなっては、俺も黙ってない」
「どうして、そんなにこだわるんだよ」
「あの子は純粋だからだ・・・・・・ああいう子を傷つけるコトだけは俺は許せないんだよ」
アフロのカツラを被ってはいるが、その目は真っ直ぐで真剣そのものだった
俺は、思わず息を呑んでしまった、だが俺も言われ続けるだけではない
「わかってる・・・・・俺なりの、答えは出す・・・」
「ふむ、ま、信じてやるさ・・・・・・だがな、手は早く打った方がいいぞ」
「忠告ありがとさん」
「俺ならよけちゃうよ・・・・・・」
ずずずずずずず・・・・・・見城が床下へと沈んでいく・・・見城、その台詞はボス七だよ
授業も、いつの間にか終わっていた
「んあ?・・・・・どうした高馬?」
ゆっくりと、当利が起きあがった、ぱちぱちと二度ほどまばたきをして俺の方へと
顔を向けた時、当利が野村沙千代を越えた
「あん?」
「な、なんでもない・・・・・いや、うん、今日はお前一人で帰ってくれ、ちょっと用事がある」
「そうか・・・・うむ、じゃあな」
何も気付かずに、どかどかと当利が歩いていった、さすがにあれと一緒に帰られるような
勇気はない・・・・それに、用事があるのは本当だしな、俺はまなの教室へと向かった
俺は、今からまなに会って、何を言うつもりなんだろう・・・・多分、謝るような気がする
これは、もしかしたら、俺自身の心の中に、まなという存在が・・・・・どうなんだろうな
まだ、わからない・・・・ただ、複雑にしてるのは、まな一人のコトを考えてるわけじゃなくて
坪倉さんのコトも気にかかるからなんだろう・・・・・俺って・・・・・鬼畜なのかな・・・・
ぶつぶつと、色々考えながら、気付くと一年の教室に着いていた、わたわたと一年生達が
教室から出ていく、その中から、まなを探そうとしたが、見つからない・・・・
「ねえ、霧島まなっているかな?」
「まなちゃん?・・・・・・・えっと・・・・・あれ?さっきまで、いたのになあ・・・・トイレかな」
かりかりと、俺が訪ねた女の子が頭をかきながら、まなを探してくれた・・・けど見つからない
仕方ないな・・・とりあえず、待つか・・・・・・・
そう思って、壁にもたれかかった時、窓の外を坪倉さんが、歩いていくのが見えた・・・・・いや
正式には、何か物々しい連中幾人かに囲まれて、いやいや連れ去られているという感じ・・・・
・・・・・・・・・・・黙って立っていられるほど、俺はお人好しでもないらしい・・・・気付くと走っていた
・・・・・・なんだろう・・・・・・・・・
俺がものすごいスピードで、下駄箱を抜けていく、だんだん嫌な予感が
してきた、あの連中、噂では、かなりの・・・・・・・・まずい・・・なんかまずいぞ
ひたすらに走る俺だが、そこに辿り着いたからといって、何か出来るかはわからない
そして、薄暗い校舎裏に俺が走り込む
「坪倉・・・お前、同棲してるんだって?」
げしょげしょと笑いながら、男があ〜る子に喋りかける、露骨に嫌そうな顔して、男をにらみ返すあ〜る子
まわりを囲ってる連中も、へらへらにたにた笑いながら、あ〜る子を見てる、いや、視線でなめ回してる
という感じかもしれない
「うるさいわね・・・・あんた達に関係ないでしょ?・・・・くだらないコト言うだけなら、帰らせてもらうよ」
きっと、きつい視線で男どもをにらみつけて、そこから帰ろうとする、そこへ、俺が滑り込んだ
「おい・・・・女の子一人に何してる?」
男どもがちらりと、こちらを見た・・・・・坪倉さんは、囲まれて出るに出られないような感じらしい
「?・・・・・・・誰だ?お前・・・・・・・・そうか、お前もこいつ目当てで来たのか?」
にたにたと、一番偉そうな奴が俺にほざく、なんか、むかつくが、とりあえず腕力ではかないそうもない
「坪倉さんをはなせ、どう見てもお前らと付き合うような人じゃない」
「あ?わけわかんねーコト言ってんじゃねえよ・・・かっこつけて、結局こいつの身体が目当てなんだろ?」
何言ってるんだ、こいつ
「こいつが、大の男好・・・・・」
ぱぁん!!!!!
「っつ・・・・・・・な、何しやがるこのアマ!!!」
「うるさい!!!」
あ〜る子さんが泣いてる・・・・・・それだけで俺が動き出すには十分だった
あ〜る子さんの平手をくらって、逆上する男に、とりあえず俺が殴りかかった
薄暗い校舎裏では、さして珍しくもない光景かもしれない・・・・・
(あ、路線違うじゃん←作者の声)