この日は学校に着くと雨になった、傘を忘れた俺には一刻も早く
止んで欲しいと・・・・いや、せめて、俺が帰る時間までには
止んで欲しいと、願いつつ、やはり授業を聞いてなかった
「高馬・・・・・・・・」
「なんだ?」
「いや・・・・なんでもない・・・・・」
最近当利の様子がおかしい、いや、前からおかしい奴だとは思ってたが
ちょっと、最近はおかしいの意味が変わってきた、友人として気になるのだが
頑固モノのこいつは、何を聞いても、しゃべりはしない・・・・ったく
とりあえず、気怠い授業は終わりを告げた
「さてと・・・・・・・」
「どこ行くんだ?」
「まなちゃん所だよ」
「そうか、ノート返すんだったな・・・・・・・」
当利は興味なさそうに、そう呟きぼーっと外を見ている
放っておいて、俺は一年の教室へ向かう
「しかし、参ったな・・・・・・・・ロゴとしては絶対の自信があるが・・・・・」
じっと、まなのノートを眺める、ごく普通のノート、もともとかわいい字で小さく
書いてあった「数学」という字の、上に大きく平仮名で「ますまてっく」と、描き文字で
殴り書かれている・・・・・・・少なくとも、普通の女の子向けにはなってない
どうやって謝ろうかと考える中、とうとう教室にたどりついてしまった
「・・・・・・・あのさ、霧島って子いる?」
「霧島さん?・・・・・・・・・ちょっと待っててくださいね」
ちょうど、前を通りかかった女子生徒を捕まえてまなの所在を訪ねた
その生徒が小走りに教室の奥へと向かう、いつの間にか晴れた空から漏れる日に当たって
ものすごく「しやわせ」そうな顔をした、まなを揺すっている・・・
・・・・うーん、無防備とかそういう次元じゃないなあの様子は・・・・・
二、三、ゆさゆさとされて、びくっとして目を覚ましたまな、ぼーっとした顔で、女の子の
話を聞いてるようだ、あうあうと、何か頷いているのが見えるが、理解してるか疑わしい
そして、こちらをちらっと見て、慌てた様子で駈けてきた・・・・・とてとてとてとて・・・・ぱた
お約束だ
嘘級生〜まな、ってかわいい?〜
「はうぅぅぅぅ・・・・えっと、高馬先輩ですよね、なんですか?」
転んでしたたかにどこか打ったのか、痛そうな顔で話かけてきた
「いや、なんか、数学のノートを・・・・・・」
「あう、なぜか消えてたノート・・・・・・どうして、先輩が?」
不思議そうにまなが、聞く
「いや、なんか当利の奴が持ってたんだけど・・・・・」
そういえば、どうしてあいつが持ってたのか、あのどさくさ(ロゴ事件)で聞くの忘れてた
なんでだ?
「ふーん・・・・・・・・・・・、で、なんのつもりです?」
「え?」
「い、いや、その、この表紙わ・・・・・・・」
まなが困った顔をして言う、そのまなざしの先には、俺の全てを集約させたロゴが煌々と輝いている
「え・・・・・んと、話すと長くなるんだが・・・・すまん!!とりあえず、謝っておく!!」
話すと長くなるが、くだらない言い訳・・・するまでもないだろうと、考えて
とりあえず素直に謝っておくコトにした、ふぅ、思えばなんでこんなコトしたんだろう
「みゅ・・・・・いいですよ、そんな・・・・・あうあう」
いきなり頭を下げた俺に、何か怯えるようにあわあわとし出した、まな
クラスの仲間の視線が痛いみたいだ、これ以上迷惑をかけるわけにはいくまい
「んと・・・・じゃ、これ渡すだけだったから、じゃーな」
いそいそと、そこから離れようと戸から出る俺、だが
「あ・・・・・んと、お昼、よかったら一緒に食べてくれませんか?」
そんな誘いを受けた、断る理由も見つからないから快く受けた
その後の授業も何気なくすごした、暇でも潰そうかと当利を見たが
昨日に続いてぐっすりと眠りこけている、顔は向こうを向いてる
さすがにこの時間からイタズラするわけにもいかないので、諦めて
珍しく授業を聞くコトにする・・・お、よく見ればみなつき先生の授業ではないか
「・・・・・・・と、言うわけで、無事少年宝島という雑誌にて、初の週刊連載を持ち
そこから躍進を始めるのである。ここで、重要なのは、今までフリーターと二足の
わらじを履いていたのを、マンガ道一本に絞ったというところであって・・・・」
本当に、なんの授業なんだろう・・・・・俺には謎でしかない
さて、さっきは晴れてた空が、また怪しく曇りだし、また、ぱらぱらと小雨を降らせていた
授業は終わり、昼の時間が来た
「昼・・・・・今日は、俺教室で喰うわ」
「ん、そうか、じゃあな」
当利がでっかい弁当を広げてがつがつやってる、俺はまなちゃんとの約束もあるし
食堂へと向かうコトにした、食堂は結構なにぎわいを見せている
「えっと・・・・・・・・・・・」
ぐるりととりあえず、席を見渡す、するとひときわ小さな身体でがんばって、席を二つ維持しようと
してる健気な姿を見つけた、ああ、なんかがんばってるぞ
一生懸命、席を守ろうと小さな身体を大きく見せて、二つ分のスペースをとるのに必死なようだ
途中で心ない男子生徒が座ろうとすると、何か「はわわわわ・・・・・くすん」というような顔を向けて
それらを排斥していた、なかなかやるな、それでも限界がやってきそうな感じだったので、急いで向かった
「おう、悪い悪い」
「あ、高馬先輩・・・・・・どうぞどうぞ、ここ空いてるみたいですから」
にぱっとした笑顔でまなが、俺に席を薦めた俺はそこに座り、とりあえず財布を
見る、ふむ、金はわりとあるし、リッチにランチメニューと行こうかな?
「えと、先輩何食べますか?あたし、買ってきますから・・・・・」
「ああ、んと、Cランチを頼むわ」
「はい♪」
元気に返事をして、ぱたぱたと走っていった、カウンターはそれなりに混んでいるが
まあ、大盛況というほどでもないし、問題はないだろう、さてランチを待・・・・・
「高馬くん、あの子とどういう関係だい?
「は?・・・・・!!?」
全く気付かないうちに、俺の前に見城が座ってる・・・い、いったい何時の間に!?
「あの子は、辞めた方がいいぞ・・・・気温が30度を越える日は、特に・・・・・」
「な、何をいきなり現れて言ってんだ・・・別に、あの子とはなんでもない」
「ふむ・・・・そうか、ならいいや・・・・悪いコトしたね」
きれい過ぎる笑顔を俺に向ける、うーむ、この笑顔裏がありますと言わんばかりだ
「ふぅふぅふぅ・・・・・お待ちどうさまです、はい」
「あ、悪い悪い」
そこへまなが戻ってきた、まなは、小さなパンをかじるだけみたいだ、持ってきたモノは
俺のランチだけ・・・・なんか、悪いコトさせたかなと、思う
「にゃ?」
ふいに俺の前にいる、見城を見つけて不思議な声を上げた
誰かわからない奴がいるから、戸惑ってるんだろうな、説明を・・・・
「あれあれ、あ〜る先輩じゃないですか」
「ふむ、久しぶりだな霧島♪」
意表を突かれた、あのランチぶっかけ事件から、お互いを知っていたのか・・・・
「久しぶりって・・・・昨日、私謝りに行ったじゃないですかあ」
「お前に会わない時間が長いと感じたってコトさ」
いきなり70年代まっしぐらな台詞を臆面もなく吐き出した、何者だこいつ
しかし、それにも増して、その台詞で頬を赤らめるまな・・・この子はもう・・・・
「と、ところで、ご飯は?見城くん」
「ん?ああ、食堂では飯を喰わない主義なんだよ、僕は」
絶対間違った何かを、呟いた
「は?じゃあ、なんで食堂に・・・・・この前だって」
「人を・・・・・・待ってるんだよ」
そう言うと、遠くから声がかかった
「おーい、あ〜る君♪」
「あ、さ、さり姉♪・・・・どうぞどうぞ、席の確保はばっちりっす、今日は何を食べるんです?
あっしが買ってきますぜ」
卑屈だ(笑)
「んーとね、やっぱ、すぱげちセットね♪」
「がってんしょうちでさぁ♪」
光よりも速いスピードで見城が、走っていった・・・・この人昨日屋上で会った先輩だ
「どうかしたんですか?高馬先輩・・・・」
あっけにとられたというか、少し我を見失っていた俺に、まなが声をかけた
「い、いや・・・・・」
「ノート・・・ありがとうございました、あの表紙、結構気に入ってるんです」
まなが、はぐはぐとパンを食べつつ話してきた
「そ、そうなのか・・・本当、悪いコトしたな」
「いいんですよ、友達にも大ウケで全然気にしてませんから」
俺も、ランチを頬張りながらまなの話を聞く、なんか知らないがとりあえず
助かったかな、そして、なんでもない話をじっと続けてると
「・・・・・・・・・・その子、彼女なの?」
「え?」
「はにゃ?」
ふいを突かれて、変な声で応答してしまった俺と、まな
前に座ってる先輩が、聞いてきたんだ。
「い、いや、別にそんなんじゃ・・・・」
「だって、二人仲よさそうに喋ってるし・・・だいたい、食堂で席並べてご飯食べてる男女なんて
言ったら・・・・・・」
じーっと、見つめてくる先輩、なんかばつが悪くて目をそらしてしまう
まなは、おろおろと慌てた様子で、一生懸命何か弁解してる
「い、いえ、そういうんじゃないんです、まだ会ったばっかりだし、そんな好きだななななな・・・」
うーむ、意味不明だ(笑)
「でも、かわいい子ねえ、うーん、なんか小動物みたい♪」
いたく気に入った様子で、まなの頭を撫でる先輩、ふにふにと何か気持ちよさそうな仕草を見せる
まな、どう見ても小動物だな確かに(^^;
そこへ、見城がスパゲティーセットを持って帰ってきた
「へい、姉さん、お茶は、熱いほうでよかったっすか?」
「あー、出来れば冷たいのが好かったけど、ま、いいや、ありがとね♪」
「じゃ、あっしはこれで・・・・ちゃお、霧島♪、姉さん♪」
と、見城が、まなと先輩にだけ挨拶をして、去っていった、いったい本当に何しに
ここにいたんだ、あの男は・・・・・
そして、妙な三人で会話をしつつ食事が進むコトになった