「・・・・・・誰だろ・・・あたしなんかしたかな?」
制服に身を包んだ、あ〜る子が、T字路で、ふと目に入った二人組の
男を観て呟く・・・一人は、すらりとした身体にさらっとした黒髪
もう一人は、がっちりとした身体つき、そして髭

「・・・・・・・うちの制服だ・・・・誰だったかな?」
記憶にないので、知らない人だと判断して、その場を通り過ぎた
そのまま足は、家へと向かっていった

「ショートはいいよなあ・・・・・」
はうぅーという顔をして、俺が呟くその様子に呆れた顔を向ける当利
「お前なあ・・・・ま、確かに見た目はかわいかったな、見た目は」
「どういう意味だよ」
「あのな、やっぱ、最終的にハートだぜ、ハート。いくらみてくれが好くても
お前、実はハ虫類好きとか、げてもの喰いとかはまずいだろ?」
当利が、俺に諭すように話す、何か俺がショートの女の子ならなんでも
好いような言い方だ・・・・ま、間違ってはいないが

「おっと、じゃ、また明日だな」
「おう、じゃあな」
二人家へと入る、当利の家は、俺の家のごく近所にある、そのせいか
お互いの家が自分の家のように、感じるコトもしばしばなのだが、一応の
別れを告げて、家に入った

「・・・・・・そうだ、鍵を閉めて・・・・・チェーンもかけておくか」
ふと、さっき当利の顔に落書きしたコトを思いだし、厳重なセキュリティをかけて
その日を終わらせた、やはり、数分後に烈火の如く怒った奴が、扉を激しく叩いて
いたが、やりすごした・・・・・授業中に寝る方が悪いのだよ

嘘級生〜年内に終わるわけがないな(−−;〜

はあ、はあ、はあ、はあ、はあ・・・・・・・
おかしい、どうして俺は走っているんだ??
ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・・・・・・・・
なんでだ?・・・・どうして??

自分に疑問を投げかけるが、答えはとうに出ていた・・・・昨日と一緒、寝過ごしたのだ
昨日の夜、油断した俺は、部屋の窓を開けて空気の入れ替えを計ろうとした時を当利に
狙われ、部屋への侵入を許し激しい戦いを繰り広げてしまったのだ・・・バカ野郎が・・・・
いちおう昨日の朝よりは、数分余裕はあるものの、所詮は数分、懸命に俺は走る
「・・・・昨日の失敗を繰り返さないよう・・・・・」
がずっ!!!!!

「ぐあ・・・・・・」
「あうぅぅぅ!!」

思った矢先に、いきなりぶつかった、考えてるうちに校門をくぐっていたらしい(ぉぃぉぃ
かなり痛いが、昨日より体調がいいだけに、踏みとどまった・・・・そして、吹き飛んだ
女の子に素早く立ち寄る
「だ、だいじょ・・・・」
「どけどけどけ!!!!邪魔ぁぁぁ!!!!」
「な!?」
がずっ!!!!!!

今日も空はきれいだな・・・・、そんな爽やかな思考が俺の頭の中を流れていた
「ちょ、ば、バカ!!、今あんた人轢いたわよ!!!」
「うるさい、今はそれどころじゃないんだよ!!!」
どたどたどたどたどたどたどたどた・・・・・・・・
一陣の風が過ぎ去っていった

「・・・・昨日の、ショートの子??・・・・というか、俺吹っ飛ばした奴誰?」
「あの?」
「あ・・・・・・んと、ごめんね昨日に続いて」
苦笑しながら、俺が吹っ飛ばした子と喋る
これは、何かの縁だろうか、ふと考える
昔からぶつかるコトによって、出会ってそこからどんどん発展してくなんて
よくある話でないか、うむ、古典にも何度も駅前でぶつかる内に、テニスで勝負になるって
話もある・・・・テニスで勝負となれば、腕に覚えのある俺が負けるわ・・・・・

「えっと、遅刻しますよ・・・・・・・」
女の子がとてとて、校舎へ向かっていく、知らない内に妄想にふけっていたらしい(ぉぃ
結局、出会いを活かすコトが出来ずにこの日も始まった・・少し気になるのは
ショートの子の方だけど・・・・・・・

相も変わらずつまらない授業・・・日の光をうけて、ぽかぽかするなか、眠るなという方が
おかしい、うつらうつらと夢にいざなわれている中、ふと、校庭に目がいく
「・・・・・・・ショートの子・・・・・・・二年なんだ」
「どうした高馬?なんか面白いモノでも・・・・・」
じっと、校庭を見ていた俺に授業中だというコトにも関わらず当利がのぞき込んできた
「・・・・・・・お前、”ロ”だけでなくて、体操服とかそういうマニアックなのも・・・・」
ばぐっ!!!
授業中だろうとおかまいなしに、つっこみを入れておく、ふぅ
ま、俺が”ロ”かどうかはともかくとして、可愛い子が好きなのは確かだ、そうやって考えると
ぶつかった子は・・・・・・・・・・・・・

そうこうしてるうちに、授業は終わりを告げていった
「飯は?」
「食堂行く・・・確か今日、カツサンドが安かったろ?」
当利の問いかけに答えて、席を立った
昨日のコトなどすっかり忘れたのか、やれオカルトだ、やれ格闘だ、とよく分からない話を
当利が聞かせてくれる中、食堂へ向かった、ふと人だかりに気付く
「?・・・・どうした、高馬??」
「・・・なんだろう、俺は行かねばならぬような気がする・・・・」
「何を言ってるんだ?お前、そんなコトしてたらカツサンド・・・」
「いや・・・前世からの因縁か何か、このままカツサンドに走ってはいけない気がする」
ふいに、俺の頭にそういう予感がよぎった、なぜだろう
あの人だかりの中心に健気で、がんばりやさんのショートな後輩がいる気がする
「バカなコト言ってるんじゃない、ほら行くぞ」
当利が俺をひっぱる、が、俺の身体が激しくそれを拒む
「頼む!!俺は行かねばならん!!俺は、あそこへ行って、話を・・・・」
「うるさい奴だな・・・・えい!!」
ごぎっ!!!
頑張る俺だったが、当利に一撃もらってそのまま連れていかれてしまった
うわあああああああ、葵ちゃあああああああんんんんん(かなり謎)

なぜか白昼夢にうなされる俺だったが、無事カツサンドを買い上げ、席をとった
当利はランチを買うためカウンターに並んでいる、待っているほど俺はお人好しではない
さっさと、カツサンドを頬張った・・・・むぐむぐむぐむぐ・・・うむ、旨い

がしゃぁんんん!!!
「のわわわ!!!!っつつつつつつつつっ!!!!」
「んあ?」
カツサンドを頬張りながら、何かしら音のした方を見る

「はわわわ、ご、ご、ごめんなさいいいい・・・・あ、あの、わ、わざとじゃぁ・・・」
「あちちちちちちち・・・」
どうやら、女の子が席に座っていた男に、もっていたラーメンをひっくり返したらしい
うーん、今時そんなそそっかしいコト、サザエさんでもすまいに・・・・
「あ、あの、う、上着を・・・・・」
「え?・・・・あ、い、いいよ別に、ほら、今度から気を付けるんだよ・・・・」
男が爽やかに女の子に言う、なんか好い奴みたいだな・・・・・・あれ?

「ぶつかり少女じゃないか?・・・・・・・」
カツサンドを飲み込み、呟いた。間違いない、昨日に続き今日も激しい衝突を
成し遂げた運命の子だ、なんだ、そそっかしいのは彼女の天然なのか・・・・
あわあわ、してる女の子がラーメンを被った男に一生懸命謝ってる何かしらかわいい

「だから、もういいよ・・・・ほら、それより、ご飯もったいないコトし・・・」
がしゃぁぁぁぁぁんんんん!!!!
「のわわわわわ!!!!!」
「ぅおっと、悪い悪い」
その場をなるべく静かに落ち着けようと男が、柔らかい口調で女の子に話してる最中
またも、男に災難が降り注いだ・・・・・うわ、しかも当利の奴じゃないか
「すまん!!、手元が滑ってしまったんだ・・・悪い、本当・・・・」
「・・・・・・・何すんじゃ、こんぼけがぁぁぁ!!!!」
がつん!!!!!!

「!!」
俺は目を疑った、ラーメンをかけられても笑顔で対処していた男が
当利にランチをかけられたら、鬼のような形相で横面に拳を決めた!!
なんだ?あいつ好い奴じゃないのか??、とりあえず様子を見る

「ってててて・・・・悪かったって言ってるだろ・・・いきなり殴る奴がいるかよぉ」
「んだとぉ!?てめぇ、罪もないいたいけな一高校生に突然ランチぶっかけておいて
謝って許されると思ってんのかあぁ!?」
「べ、別にわざとやったわけじゃ・・・」
がつん!!!!
「言い訳をするな!!!、こんたわけがぁ!!!」
「って・・・・・こいつ、黙ってりゃあいい気になりやがって・・・・」

「あん?なんだ??このような仕打ちの上に、更に俺に暴力を振るおうというのか!?
この、全く何も悪いことなどしていない完全な被害者のこの俺に、君は、今悪意に満ちた
その拳で俺のコトを殴るというのか!?あー、いいだろう、やってみろ!!お前の気持ちが
それで済むというなら、この俺を殴るがいい・・・無抵抗主義といえば、ガンジーか俺かという
ぐらいだ、俺は決して反撃などしない、さあ、無抵抗の人間に君は暴力を加えるがいい!!!」

なにやら、実に煽動的な台詞を当利に吐きかけた・・・ギャラリーはどうにも、男に同情している
なんだあいつは!?とりあえず、このままでは当利は、悪役になってしまう、止めにいこう
「あ、当利!!・・・・やめとけ、確かにお前が悪い、ここは謝れよ・・・」
「た、高馬・・・・いや、俺さっき謝ったような気がするんだが???」
ダメだ、何か巧みな話術と周りの一転した雰囲気から当利も混乱している、とりあえず取り繕わねば
「いいから、とりあえず謝れば済む・・・」
「あ、ああ・・・・いや、すまなかった本当、悪いと思ってる・・・」
「・・・・わかってくれたならそれでいいんだ」
男が手を差し出してきた、当利はつられるようにその手を握った
なんだか知らないが、完全に相手のペースで終わった・・・その終局に
周りから惜しげのない拍手が・・・・・・
「当利さんと言うのか・・・僕は見城・・・・・二年の生徒だ何か縁があったらまた会おう」
爽やかな笑顔・・・いや、明らかに何かを騙してるという感じだが、とりあえず
あいつは爽やかだという印象を周りの人間に植え付け颯爽と去っていった

「・・・・・俺って悪い奴だよなあ・・・・」
すっかり、洗脳でもされたようにうなだれている当利
「いや・・・え・・・と、ま、落ち込むなよ」
なかなか懸ける言葉が思いつかないが、とりあえず元気づけておいた
「あ、あの・・・・・・」
「え?・・・・・あ、今朝の・・・・」
喧噪が止み、おのおのが席についた頃に、遠慮がちな少女が声をかけてきた
あの特攻少女だ(ぉぃ
「今朝もぶつかってしまいましたね、その、ごめんなさい、あたしどうにもそそっかしいから・・・」
一生懸命な所がたまらなく何かをくすぐる、こんなコト言われて許さないわけにはいかない
「いや、俺の前方不注意もあるし・・・その、明日は気を付けような」
「はい」
にぱっと、輝かしい笑顔を向けて女の子はほっとしたような仕草を見せた
「?」
「あ・・・その、優しい先輩でよかったと思って・・・・」
顔を紅くして語尾の当たりを聞き取れないような小さな声でそう呟いた
何かこっちが照れてしまう
「えっと、高馬先輩でいいんですよね?」
「ああ・・・んと、君は?」
「あ・・・・・一年の霧島、霧島まなっていいます」
一度、名字で切って何か選挙の時のようなしゃべり方で自己紹介をしてもらった
ふーむ、霧島まなちゃんと言うのか・・・

その後、その場をいそいそと片づけて別れた
ま、何もないようで実はかなりの収穫があったなとしみじみ
思いつつ、屍になった当利をかつぎ教室へ戻り授業を受け流した

「・・・・・霧島まな・・・・・か・・・・・・・」
ベットで横になりながら名前を反復した・・・なんだか、いい子だよな
そういう気がしてた